アルケミアストーリー~クロとエルの物語~   作:cloverlight

67 / 145
第50話 共闘

私は飛び上がると、魔物にスカルティガーをお見舞いする。確実に当たったが、キンっと金属が擦れ合うような音がしただけで、それほどダメージを与えることはできなかった。

「固いな。」

バックステップで少し距離を取る。その間に、エナが魔物に追撃を加えていた。

「クロ、盾できる?」

「余裕だ。」

プロヴォーグで、魔物のヘイトを集める。エナの戦闘能力は未知数だが、壁役をさせるのは少し不安だ。確実にできそうな私がやった方がいいだろう。

「回復と支援重視で行くよ。」

「ヘイト稼ぎすぎんなよ!」

私はそう言いながら魔物にエーテルレイを放つ。三方向からの光の矢が、魔物を貫くと、魔物が一瞬膝をつく。物理攻撃より、魔法攻撃の方が効きやすいようだ。

「魔法ダメージ重視でいく。エナを巻き込まないよう中距離から様子見ながらやるから、いつもより下がってて。」

「了解。こっちでも見るから、自由にやっていいよ。」

エルサイスはそう言うが、中々難しい。エナと私は、本当に息が合わないのだ。事故になったら困る。

私はエーテルブレイドで、魔物に切りかかる。自分の物理攻撃を、魔法攻撃に変換する魔剣士のスキルだ。私が攻撃している横から、エナが飛び込んできて、魔物の脇腹にファイアスラッシュを叩き込む。

エナが急に近づいてきたので、私は剣を振り下ろす腕を少し緩め、攻撃を当てるタイミングを調節する。

その間に、魔物の爪が私を襲った。まったく避けられる体勢ではなかったので、顔から腕にかけてまともに食らってしまう。血が吹きでて、一瞬視界を遮る。

私はそのお返しに、エーテルブレイドを魔物の脳天に叩き込んだ。いい手応えがあった。

「クロ!」

エルサイスがエアシールで風印をつけたあと、ウォールを唱えて回復してくれる。痛みはあっという間に引いていった。

下がって1度体勢を整える。その間もエナは、魔物に連続でスキルを使っていた。あまりダメージを与えられていないようだが、ヘイトだけは稼いでしまっている。ヘイトを集めるためのプロヴォーグは、まだクールタイム中で、次いつ使えるか、まだわからない。このまま放っておけば、すぐにエナのヘイトは、私のヘイトを上回る。

「くっそ……。」

私は悪態をつく。本当にやりにくい。

「エナ!1度下がって!」

マナがエナを制止するが、エナはお構い無しだ。

「クロ、タイミング支持するから、スキルバンバン使って。」

苦肉の策だ。エルサイスを信じて、私は前に出る。

「行くよ!」

エルサイスがアルカナを唱えると、HPが全回復した。まだまだ戦える。

「3,2,1はい。」

エルサイスの支持で、私は連続でスキルを使う。風迅剣、金剛剣。

「下がって、次4秒後にもう一度。」

エルサイスは、エナの動きを読みながら、私が適切なタイミングで攻撃できるよう支持を出していた。素晴らしい連携だ。

私は敵の動きを先読みするのは得意だが、仲間の動きまで見ることはできない。そこまで気を回せる視野が、私にはないのだ。私ができない分、エルサイスがそれを代わりにしてくれる。

体勢を整えながら、心の中で4秒数えたあと、またエーテルブレイドを食らわせる。

魔物の腕が伸びてきて、脇腹辺りを思いっきり突かれた。

「カッハ……。」

思わずむせるが、膝をつくわけにはいかない。なんとか着地して、持ちこたえる。

「まだいける?」

「余裕だ。」

地面に血の混じった唾を吐きながら、答える。こんなもので、私が倒れると思うな。

「3秒後にスカルティガー。そのあと下がってエーテルレイでいけるはず。」

勝利はすぐ目の前だ。

「がってんしょうち!」

私はデモンブレイド=アビスを力いっぱい振り上げた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。