アルケミアストーリー~クロとエルの物語~ 作:cloverlight
現在連載中のストーリーとは、前後の繋がりが一切ありませんのであしからず
話の中の『Ayami』さんとそのYOME『Ryu』の設定は、Ayamiさん本人への取材を元に構成しています。
Ayamiさんご協力ありがとうございました・:*+.\(( °ω° ))/.:+
尚、友情出演として『にも』さんにもご協力頂きました。ありがとうございます!
戦況は悪い。
RyuのHPは半分ほどで、AyamiのHPは3分の1を切っている。
「あやみん、下がって。」
Ryuは早撃ちを使って、クールタイムを短縮すると、連続でスキルを使い、Ayamiからヘイトを奪う。
「うるさいなぁ!余計なことしないで!」
Ayamiはそう言い返しながらも、後ろに下がってプネウマで自身を回復をする。その回復量は微々たるもので、正に焼け石に水、今の戦況を変える力はまったくない。
コノミグランマ特効武器、聖なる武器シリーズのラファエルブレイドを握り直しながら、Ayamiは自分の前に立つパートナーの後ろ姿を見つめていた。矢を放つ反動で、コバルトブルーの長髪がふわりと揺れ、その隙間から、敵を睨みつける黒い瞳が見える。真剣な眼差しに、Ayamiは思わず見惚れてしまった。
コノミグランマが炎を吐く。
「あっちぃ!!」
「あっつ!」
2人は同時に悲鳴をあげた。
「くぅ……。」
Ayamiは呻きながら、膝をつく。2人とも、HPがもうほとんどない。
「あついえんじょー(熱い炎上)てあついえんじょ(手厚い援助)がほしいなぁ!」
こんな時に親父ギャグを飛ばすRyuに、Ayamiは呆れたため息をついた。
「(かっこいいとおもったのになぁ……。)」
AyamiとRyuは、コノミグランマの『初級』を周回しにきたのだが、何を間違ったのか『中級』に入ってしまった。気がついたのは、戦闘が始まったあとで、もうどうにもできない状況だったため、仕方なく戦ったのだが、この有り様だ。コノミグランマのHPは8割以上残っているのに、2人のHPはもう瀕死の域にきていた。
「あー、これ教会送りかも…。」
Ayamiが諦めかけたその時
「あれ?あやみんじゃーん。何してんの?」
「ほんとだ!あやみーん!」
「瀕死じゃないですか。大丈夫ですか?」
「すぐ回復します。」
Ayamiが所属するボンド『シルフィード』のメンバーが続々と戦闘に乱入してきた。
クローバーと、そのパートナーのエルサイス、にもと、そのパートナーもふの4人が、戦闘に加わる。
「本当に手厚い援助がきた!」
Ryuが目を丸くして驚きながら言う。
「親父ギャグは絶対に関係ない。」
Ayamiは冷たくそう返しながらも、内心は安堵していた。教会送りにならなくて済みそうだ。
「クロ、ヘイト取って。回復は僕がします。にもさんはバフ優先で、もふさんは最大火力でどうぞ。」
エルサイスが素早い指示を飛ばす。
「がってんしょうち!」
「はーい!」
「了解です!」
クローバーがフォアフロントでヘイトを集めると、にもがメンテナンスで攻撃低下のデバフを解除し、もふがライトニングアローでダメージを与える。滑らかな連携だ。
「とりあえずお2人はクロがヘイトを取るまで下がっててください。すぐ回復します。」
エルサイスがアルカナを唱えると、AyamiとRyuのHPが半分ほどまで回復する。
さっきまでかなり厳しい戦いをしていたのが嘘のように、戦況はあっという間に好転した。
「よかった、よかった。」
そう安堵しているRyuに、Ayamiは
「よくない!危うく死ぬところだったんだからね。」
と、つい厳しい言葉を返してしまう。
そんなやり取りをしている間にも、コノミグランマのHPはガリガリ削られていく。クローバーがヘイトを奪うと、AyamiもRyuも戦闘に参加し、そのスピードをさらに早める。
6人が勝利を掴むのに、それほど時間はかからなかった。
「ありがとうございました!」
「本当に助かりました!」
戦闘が終わると、AyamiとRyuが口々にお礼を述べ、深々と頭を下げる。
「別にいいよ。偶然だし。」
「そうそう、ホント偶然でびっくりした。」
クローバーとにもは、顔を見合わせ「ねー」と頷き合う。
「さすがに2人で中級は無謀ですよ。」
「間違えたんじゃないですか?」
もふの推察に、Ayamiが頷く。
「りゅうが間違えたんですよ。」
「え?俺?!先に入ったのあやみんだろ?」
「うるさい!りゅうが間違えたの!」
言い返されたRyuは不満げに頭をかいた。
「まぁまぁ、落ち着いて。僕たちはこのまま中級周回しますけど、ご一緒にいかがですか?」
エルサイスがAyamiをなだめながら、そう誘うと、AyamiとRyuが
「是非お願いします!」
と同時に返事する。思わぬシンクロに、みんな笑った。Ayamiだけが
「もう!マネしなでよ!」
と不機嫌そうに頬を膨らませていた。
エルサイスが、それぞれの役割について軽く説明したあと、6人は周回を始める。
中々賑やかな戦闘だった。
基本的に、にもがずっとしゃべり倒していて、もふとエルサイスが、その話に交互に合図打ちを打つ。クローバーは戦闘に集中しているようで、言葉少なめだが、時々、にものとんでもない発言に笑ったり、エルサイスの指摘に反論したりで、みんなそれなりに楽しみながら戦ってる。
AyamiやRyuも、さっきまでとは正反対の、ゆったりとした気持ちで、時々会話に参加しながら、戦闘を楽しんでいた。
Ayamiは、弓を構えながら、にもの話に笑うRyuの横顔を見ていた。真剣な眼差しもかっこいいが、こうしてリラックスしている顔も素敵だ。そんなことを考えながら、ついつい彼を目で追ってしまう。
軽く微笑みながら、コノミグランマにライトニングアローを放つRyuに、Ayamiが見惚れていると、ふと、目が合ってしまった。Ryuは一瞬キョトンとした顔をして、戸惑ったようにぎこちない笑みを浮かべる。Ayamiは思わず
「よそ見してないで、さっさと攻撃しなさいよ!」
と、強い口調で言ってしまう。その言葉を聞いたRyuは
「よそ見、細身、あやみーん。」
などと、くだらないギャグを飛ばす。
「なんだ、りゅう、よそ見してあやみんを誘惑とは、随分余裕だなぁ。私と壁役変わるか?」
そう愉快そうに笑うクローバーに、Ryuは困ったような苦笑いを返す。Ayamiは複雑な思いで、それを見ていた。
AyamiはRyuが好きだった。
冒険者になったAyamiは、1人連邦の酒場で小さな依頼をコツコツこなして稼いでいた。そこに現れたのが、Ryuだ。初めてRyuを見た時、Ayamiはその姿に一目惚れしてしまい、彼が受けた依頼を手伝い、近づいた。そうやって何度も一緒に冒険をするうちに、AyamiはますますRyuを好きになり、RyuもAyamiに惹かれるようになっていったのだ。
そうやって、お互い好きなはずなのに、2人の関係はなぜか上手くいかない。
Ayamiはその原因が自分にあるとわかっていたが、それでも言動を改められない自分がいて、にっちもさっちもいかなくなっていた。
「あやみーん?大丈夫?」
曇りがちな顔をしていたAyamiに、にもが声をかけた。
「疲れましたか?」
もふがラピットショットを放ちながら、Ayamiをチラリと見る。
「そろそろ終わりにしましょうか?」
「私お風呂入りたーい。」
エルサイスの言葉に、クローバーが額の汗を拭いながら返す。
「じゃぁ、これ倒したら終わりにして、城塞都市まで戻りましょう。」
エルサイスがそう言うと、みんな口々に「はーい」と返事をする。
「もうすぐだ。頑張ろう。」
RyuがAyamiを励ます。Ayamiはその気遣いが嬉しくて、そして恥ずかしくて、腹立たしい。
Ayamiは照れてしまうのを隠すように、ラファエルブレイドを振りかざし、コノミグランマにトドメをさした。