アルケミアストーリー~クロとエルの物語~   作:cloverlight

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番外編~Ayamiの取り扱い方 その4~

「はー!疲れたぁー。」

宿の部屋に着くなり、Ayamiはベットにうつぶせに倒れ込んだ。満腹感と、酔いと、心地よい疲労で、幸せな気持ちだ。

「今日は大変だったけど、楽しかったなぁ。」

Ryuはそう言いながら、Ayamiが寝ているベットの端に腰を下ろした。

沈黙。

Ryuは、エルサイスともふから教わったアドバイスのことで、頭がいっぱいだった。

これからすることは、自分でも初めてのことで、上手くいくかまったくわからない。その前に、上手くできるかさえも、わからないのだ。しかし、こうしてぐずぐずしていれば、大事なものを取りこぼしてしまう。

Ryuは息を大きく吸うと、意を決して、Ayamiに声をかけた。

「あやみん。」

「ん?」

突然呼びかけられたAyamiは少しだけベットから顔を上げRyuを見る。

「今日はお疲れ様、ありがとう。」

Ryuはそう言うと、Ayamiの頭をぎこちなく撫でる。その手は、緊張で震えていた。

「べ、別に、お礼を言われるようなことなんてしてない!」

Ayamiは、嬉しいのに、つい、冷たく返してしまう。

「俺と一緒に冒険して、ついてきてくれるだけで、感謝できるものなんだよ。」

Ryuはそう言って不器用に笑った。

Ayamiはベットに座り直すと、戸惑ったように目を泳がせる。こんなRyuは初めてで、どうしたらいいかわからない。でも、嫌ではなかった。むしろ嬉しい。

「あやみん?あの……」

「ん?」

「きっ……キス……してもっ……いい?」

「えっ?」

RyuはAyamiが返事をする前に、その右手を強く握り、ぐいっと引き寄せる。

「えっ!あっ?!ま、待って!」

驚いて体をこわばらせ、目をぎゅと瞑ったAyamiのおでこに、Ryuは優しいキスをする。

一瞬の沈黙。

本当は口にするよう言われていたのだが、さすがにそこまでの勇気は、Ryuにはなかった。これだけでも、十分恥ずかしくて死にそうなのだ。

Ryuはゆっくり唇を離すと、Ayamiを見つめた。

Ryuと目が合った瞬間、Ayamiは、思わず彼を突き飛ばし、すぐそっぽを向いてしまう。

「あ、あやみん……。」

Ryuは驚くと同時に、後悔する。

「い、嫌だった?」

柄にもないことをしてしまったので、本当に嫌われてしまったかもしれない。そう思ってRyuは焦った。

「急にやめてよ!!」

Ayamiがそっぽを向いたまま、語気を強めて言う。

「こんな!こんなの!ずるい!」

「ご、ごめん……。」

Ryuはどうしたらいいかわからず、オロオロしてしまう。まさかこんな反応が返ってくるとは思ってもみなかった。

「本当にごめん……。」

Ryuは気まづくなってしまい、Ayamiに背を向けた。背中は丸まり「しょぼーん」という効果音が出そうなくらい落ち込んで見える。

「りゅう……。」

その背中にAyamiが後ろからそっと抱きつく。

「え?あ、あやみん?」

Ryuは訳が分からず、混乱する。

「ずるいよ……。急に、こんなかっこいいことするなんて……。」

Ayamiはそう呟くように言うと、Ryuの背中に顔を埋める。

「ねぇ……りゅう……。好き、好きなの。大好きなの。」

Ayamiはそう言いながら、Ryuの背中をポコポコ叩く。

「好きなのに、好きだから、怒っちゃうの。」

好きだから、怒るのメカニズムは、Ryuには理解できない。でも、Ayamiが自分を好いてくれているのなら、Ryuはそれで満足だった。

「あやみん……。」

そうホッとしたのも束の間

「ねぇ?」

とAyamiがRyuを引っ張り、無理やり自分の方を向かせる。

「な、何?」

「キスして。」

「へ?」

「キスしてって言ってんの!!」

Ayamiはそう言うと、目を瞑り、Ryuに「んっ」と顔を向ける。

「(えぇぇええ?!今このタイミングで?!)」

急に大胆なAyamiに、Ryuは慌てる。Ayamiの要望とは言え、今キスして、あとで文句を言われないか心配だ。

「早く!んっ!」

Ayami中々強情だ。

「(恥ずかしい思いは、今日で全部終わらせてしまえ。)」

そう思って、Ryuは大きく息を吐くと、意を決して、Ayamiの肩を引き寄せ、その唇に自分の唇を重ねる。

1,2,3秒。

ゆっくり離れる。

Ryuは恥ずかしくて、まっすぐAyamiを見ることができなかった。Ayamiも恥ずかしいのか、顔を赤くして俯いたまま、動かない。

沈黙。

「もう!りゅうのバカ……。」

「えっ!?」

「全部、りゅうのせいなんだから!!」

Ayamiはそう言い捨てると、そそくさとベットに潜り込み、頭まで布団を被って隠れる。

「もう寝る!明かり消して!!」

今日はAyamiに振り回されてばかりだ。Ryuは納得できない思いを抱きながらも、仕方ないと、ため息をつく。

「消すよ。」

明かりを消すと、部屋の中を一気に夜が満たした。

Ryuは、のそのそと自分のベットに潜り込む。

布団のくるまり目を瞑ると、無意識に、Ayamiの唇の感触を思い出してしまう。

「(あぁこれはダメだ……。)」

Ryuはお手上げだというように、息をついた。

一方Ayamiは、布団の中で頭を抱え

「(やっちゃった……どうしよう……。明日からどんな顔すればいいのかわからないよぉ……。)」

と、悩んでいた。

「((今夜は眠れそうにない。))」

2人は、別々のベットの中で、同時にそう思う。

そうして2人は明け方まで悶々と過ごして、次の日の朝、案の定寝坊をし、お互い「そっちが悪い」と言い合うのだった。

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