ラブライブ! Flying High 〜女神に恋い焦がれる男の恋愛物語〜 作:ガンプラビルダー
赤坂 春馬です。前回、穂乃果達が通う音ノ木坂学院が廃校になると聞いた僕たちは穂乃果達を励ますべく彼女の家に向かった。すると、穂乃果が言い出したのはスクールアイドルを始めることだった。その後、僕たちは作詞を誰がやるかについて話し合ったのだが……
「海未ちゃん……、おねがぁい!!……」
作詞担当がなかなか決まらずにいた中、南さんは脳をトロけさせるような声で作詞を頼み込んだ。南さんのお願いにとうとう折れてしまった海未は軽くため息をついた。
「もう……、ズルいですよ……ことり。」
「ってことは…!」
「分かりましたよ…やればいいのでしょう?作詞を…」
「良かったぁ」
「やったー!!そう言ってくれると思ってた!」
「ただし、ライブまでの練習メニューは厳しくしますからね。」
海未ちゃんが作詞を担当することになったことで二人がぬか喜んでいる中、海未は真剣な表情に豹変した。こうなっちまった以上今の海未はかなり厳しいぞ。
「「えっ?練習メニュー?」」
海未は、穂乃果のパソコンを起動しスクールアイドルの中でもトップクラスの実力を誇るA-RISEの動画を検索した。モニター越しに映る彼女たちは疲れた様子を一切見せず、キレのいいダンスと美しい歌を披露していたのだ。
彼女達のパフォーマンスはテレビに出ているプロのアイドルにも負けず劣らず、この実力にたどりつくためには相当な体力と技術が必要になってくるぞ。
「楽しく歌っている様ですが、ずっと動きっぱなしです。それでも息を切らさず笑顔でいる。かなりの体力が必要です。穂乃果、ちょっと腕立て伏せしてもらえますか?」
「え?こうかな?」
穂乃果は海未の言われた通り腕立ての姿勢になった。このまま腕立て伏せをするのなら穂乃果にもできるはず。
「それで笑顔を作って」
「こーう?」
穂乃果は笑顔を保ちながら、腕を曲げようと頑張った。だが、耐え切れず床から落ちてしまった。
「いったーーーい!!」
「これで分かったでしょう?弓道部で鍛えてる私はともかく、穂乃果とことりは楽しく歌えるだけの体力をつけなくてはなりません。」
「そっかアイドルって大変なんだね。」
その通りだ。正直さっきの腕立て伏せができないようじゃダンスしながら歌うなんてできない。しかも、それをこなすほどの体力もつけないと話にならない。毎日の練習が大事になってくるな。
「これから朝と放課後歌やダンスとは別に体力付けのトレーニングをします。鳥山さん、春馬さん、お二人に練習メニューを作ってもらいたいのですがよろしいですか?もちろん、私も練習メニューを考えておきますので。」
俺の中ですでに答えは決まっていた。いや、俺がとるべき選択肢は元々一つしかない。あとはそれを言葉にする勇気さえあれば……
「僕は問題ないよ。君たちがそういうのなら僕もできるだけのことはやる。体力作りに関しては野球部の練習を参考にして園田さんと作るつもりだから。」
だが、その時だった。
「え~~?朝練やるの~?穂乃果、朝起きるの苦手なのに……それに野球部の練習ってスッゴイ大変なんでしょ?」
「ことりも練習についてこれるかな?……少し心配になっちゃった。」
「もう……二人ともそんな弱気になって。」
「はは…いいんだよ海未……そうだよなオーバーワークは体に良くないしな…………あはは……そういえば俺、急用思い出したんだった。じゃあな。またいつか会おうぜ。」
その何気ない言葉を聞いた途端、ホントの気持ちを言うのが急に怖くなった。そして、俺は思わず身もふたもない嘘をついてしまった。自分でもいけないことをしているとわかってる。だが、もし俺の存在が三人にとって、いや南さんにとって邪魔になるかもしれない。そう思うとどうしてもホントのこと言うのが怖かった。
………クソ!いったいどうすればいいんだ!?…………
「待って鳥山君!……君はまだ……」
頭の中で考え続けた結果、完全に自信を失ってしまった俺は、彼女たちから逃げるように部屋から離れた。これでいい……これでいい……俺は必死に心中で言い聞かせた……言い聞かせるしかなかった。
「どうしたんだろう……しゅうくん、いきなり帰っちゃうなんて……」
「もしかして……ことり達のせいだよね…しゅうくんが出て行ったの…だとしたら私、もうしわけないことしちゃったかも………」
「そんなことないって。鳥山くんのことは僕に任せて。じゃあ僕もそろそろ帰るからまた明日ね。」
「はい。春馬さん、明日からよろしくお流します。」
「ことり、どんなに厳しくても二人の練習に付き合うよ。だから…だから……」
「だから、明日は絶対来てね!!穂乃果達との約束だからね!」
「うん。約束するよ。」
春馬は三人を安心させるべく健やかに笑い、俺を追っかけるために走った。
幸いにも、俺が家を出てからあまり時間が空いてなかったため春馬はすぐに追いついたが、こいつの息は荒れてゼェゼェとしていた。
「………どうした春馬?お前も今帰るところなのか?……」
こんなクタクタになりながらも俺のことを一番心配してくれる春馬に対し、未だ嘘という名の仮面をつけたままだった
「ねぇ鳥山君、今僕に言いたいことはない?君は今嘘をついているんじゃないの?本当は君も一生懸命になっている三人の力になりたいって思ってるんじゃないの?」
「はは……そんなことねぇよ…手伝うのなんて春馬一人で十分じゃねえかよ……それに俺なんかいて南さん達が迷惑になるかもしれないし……」
あのときのように春馬に気遣って嘘をつく俺。そんな余計な気遣いににとうとう耐えきれなくなった春馬は小刻みに震えながら俺の胸元を強く握り自分の本音をつぶやいた。
「いい加減にしろよ!!君が今嘘ついていることぐらい僕にはわかるんだよ……鳥山くんが何か悩みを抱えるといつも僕には言わずにごまかそうとする。君が今嘘ついていることぐらい僕にはわかるんだよ……そうやって自分に嘘をついて一番苦しいのは結局君じゃないか!?だからさ……少しは僕を……親友を頼ってよ!!!力になれるかどうかわからないけど、僕も君と一緒に悩んであげるから。」
「………………」
…情けないな…本当に情け無い……まさか春馬にこんなこと言われちまうなんてな………全く…他人の顔を伺って正直なことを言えないまま仮面をかぶっている今の俺ってかなりかっこ悪いんだな……
「正直に答えて!君だって本当は手伝いたいんだろ?少しでも南さんの力になりたいって思ってるんだろ!?」
このままじゃいけない……いつまでも春馬や南さん達に気遣ってごまかし続けるのはもうウンザリだ。嘘の仮面を外すのは今しかない!!……
春馬の思いを受け取った俺はこいつに気を使うことをやめ自分の今の気持ちを明かした。
「あぁ勿論だ!俺は南さんの…いや、スクールアイドルを始める三人を手伝いたい!!少しでもいいからあいつらの力になりたいんだ!!あいつらが一生懸命になってるっていうのにこのまま黙って見てられるかよ!!!」
「何だよ……やっぱ君も手伝いたかったんじゃないか。僕に気遣って嘘つくよりも本音をぶつける君の方が100倍似合ってるぞ。」
「ありがとよ…そう行ってくれてマジで助かる……なあ春馬、手伝ってくれないか?あいつらの練習メニューを作るのに俺一人だけじゃさすがに心細いからさ。」
頭を下げて必死に頼み込む俺。だが、春馬の中で答えはすでに決まっていた。いや、こいつにとって選択肢は一つしかなかった。
「当然さ。僕は君の親友だよ。君がそう言ってくれるなら僕もできるだけ力になる。だから、君も一緒に頑張ろう!!」
「サンキュー。恩にきるぜ。」
その後、俺たちは近所のファミレスで彼女達の練習メニューを考えた。最初は意見がなかなか一致しなかったものの、お互いのアイデアをうまくまとめ上げLINEを通じて海未に送った。
そして最終的に俺たちのメニューと海未のメニューを組み合わせたものを明日からの練習メニューとすることにした。
改めて思う。やっぱり春馬は俺にとって最高の親友だ。さっきの言葉で今までのムシャクシャ消えて、どれほど気分が楽になれたことか。
俺はもう迷わない。
俺が手伝うことで足手まといになるのかもしれないし、迷惑になるのかもしれない。それでもいい。
このまま何もしないまま黙って見ないふりをし続けるなんて絶対にしてはならない。
俺が、いや俺たちが必ずお前らの力になってやるからな!!!
本当はこの話も2話の一部として投稿したかったのですが、長くなってしまったため分割しました。けど、あまりいい区切りじゃなかったのが申し訳ない。
感想、アンケート、高評価など募集中です。
次回も叶え!俺たちの夢!!