ステンドグラス   作:ポタージュスープレックス

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月一投稿を崩しました。忙しくなるので不定期投稿となります。


原作15年前

 今年はフィッシャー・タイガーが再びマリージョアに潜入し、多くの奴隷を救う年だ。

本来ハンコックとテゾーロが自由になる年でもある。

 

 もう助けてる故にあまり関係はないのだが、前世の俺が原作中で一番好きだったコアラたんが関わってくるので行くしかあるまい。

 ここでフィッシャー・タイガーと深い縁を作っておけば後々便利だしな。

 

 

あらかじめブルーノを変装させてマリージョアに潜入させている。

 あとは合図と共に俺らが空気開扉(エアドア)から潜入すれば終わりだ。フィッシャー・タイガーとのコネは既にある。

そう。終わりだ。

 

─────そう思っていたのだが。

 

 空気開扉(エアドア)から飛び出た俺たちを待ち受けていたのは『黒腕のゼファー』を筆頭とした海軍艦隊であった。

 

 その数、およそ数千人。

 

 対して、こちら。潜入者も合わせ、五名。

 

 俺、テゾーロ、カク、ルッチ、ケリー。

 

 何故このような劣勢に陥ってしまったのか。

 

 

 全ては、空気開扉(エアドア)を操るブルーノの仕業である。

 

 ルッチと親友であったカクに比べ、ブルーノの世界政府脱退動機は『後輩が心配だった』だけだ。軽すぎる。

 

 勿論、()()()()で信用してしまった俺にも非はある。

 

 こんな子どもに騙されてしまうとはな。してやられた。

 

 してやられた。

 

 

 

 囲まれた瞬間、俺は絶望した。ケリーやカク、ルッチは即座に戦闘態勢に入ったが、俺は悪魔の実の能力者ではない。

 なんてったってまともな攻撃手段がないのだ。

 言い訳に過ぎないが、仕方ないと思う。

 

 ブルーノの裏切りを、グラスは薄々予感していたような表情で流したが、俺はそれを受け止めきれる程の器じゃない。

 

 俺の仲間は戦い始めた。自分の命を守るために。

 

 対して、俺は、何もしていない。何もできない。

 

 

 物語なら、ここらで一番弱いやつが覚醒して上手いこと切り抜けるんだけどなぁ。そんな手段があったらとっくに使っている。現実は上手くいかないなぁ……。

 

 カクも悪魔の実を貰って強くなっているってのに、俺は何もない。

 

 いや、これは言い訳に過ぎない。過ぎないのだが、仕方ないだろ。何もできないんだからな。

 

 

「なぁ、テゾーロ」

 

 グラスが呟く。

 なんだと思い彼の顔を見ると、笑っていた。

 

『これも何かの縁だろうか、まさかこのタイミングで渡すことになるとは』。そう独りごちた後に、グラスは何かの塊を投げ渡してきた。

 

 

 

 

  金ピカに光るそれは、念願の “果実” であった。

 

 

 

 

 

 悪魔の実を食した瞬間。

 

 テゾーロは覚醒の段階まで突入した。

 

 “覚醒”とは、能力者の身に稀に起こる、言わばボーナスステージ。

 

 人によって精度も内容も変わる。

 

 偶々スイッチが入る者もいれば、一度入ると自在にONOFFできる奴もいる。常時“覚醒”状態の奴もいる。

 

 それは、悪魔の実と関わりの深い鍛え方をすることで身につく。

 

 運か、はたまたグラスの狙いか、テゾーロは、悪魔の実に適した鍛え方をしていた。また、その器も適したものだった。ゴルゴルの実は、食べられた瞬間にテゾーロの身体に適応した能力をもたらした。

他の世界線のテゾーロと比べても、随一。

 

 本来能力を得た後に始める修行を、能力を取得する前に始めたのだから、まあ仕方ない。

 

 

 また、聖地マリージョアは天竜人の本拠地。言わば世界で最も貴族のいる場所と言える。

金も多い。

 

 テゾーロは金貨を取り出し、操る。

 

 金貨が蠢き、どこかへ消えたと思った次の瞬間。

 

 

 マリージョア中の金が全て液体のように流動し、海軍へと襲いかかった。

 

 

◆とある新聞記事

 

 

【奴隷解放】

 

 先日、『ガラスの海賊一味』を中心とした海賊達によって聖地マリージョアの多くの奴隷が解放された。

海軍の厳戒態勢だったにも関わらず、これが行われたのか。

 

 当社は独自のルートからこれらに関する情報を集めた。  

 なんでも、予め『ガラスの海賊一味』には世界政府のスパイを潜り込ませてあったらしく、海軍の厳戒態勢のもと、おびき寄せる、という作戦だった模様。

 

 そんな中、一味の一人であり、『掏摸烏』の右腕でもあるギルド・テゾーロによる悪魔の実の能力らしき攻撃により、海軍特殊部隊は一網打尽。奴隷解放を許すこととなった。

 

 聖地に置いて海軍側のこの作戦はあまりに無謀であるし、結果的に『ガラスの海賊一味』に奴隷解放に達することを許してしまったので、各地で反響が広がっている。

 海賊が海軍より人徳的に正しいというのは、珍しいことだ。これにより世界政府への疑問の目がより向けられることとなった。

 

 

 

 

 助かったー!危ねー!危機一髪ゥ!

 

 本来『ゴルゴルの実』がテゾーロの手に入る、ドフラミンゴさんのオークションイベントまでの期間が長すぎた為、こっそり入手していたのだが、それがよかった。

危うく死ぬところだった。

 

 それにしても、原作ならこのタイミングでテゾーロが脱出するからなのか、ほんのり原作補正が掛かっていたようで安心した。

 

 『テゾーロがマリージョアから脱出する』という事実は改変されたONE PIECEの世界でも変わらないらしい。

 

 

 さて!これで男性陣は全員能力者になったな!

 どうしようか!することがねぇ!

 

 

  仕 方 ね ぇ か ら ケリーの恋人探しでもすっか!

 

「ケリー!お前のタイプはなんだ!」

 

「タイプ?そうだな。強いていえば あく かくとう ってところか?」

 

「ええい!やめろやめろ!俺にしか伝わらねぇじゃねえか!そんなことは聞いてねぇ!お前の好きなタイプはなんだ!」

 

「う~ん。はがね かな。単タイプよりは複合のほうが好きだけどな」

 

「ルカリオかキリキザンかな!?ポケモンの話なんてしたかねぇーんだよ!てめぇの恋人探しに力を入れてやろうと思った俺が馬鹿だったか!?」

 

「ぬゎにぃ!?バカモン!それをはやく言わんか!そうだな。ボンキュッボンで目がくりっとしてて背の高い人がいいな」

 

 彼はこの世界がONE PIECEだということを忘れているようだ。

 元の世界ならトップモデルに匹敵するであろうプロポーションとなる、彼の理想の女性は、この世界では量産型のモブキャラだ。つまり誰でもいいんだな。

 

「そうかそうか。君はそういう奴だったんだな。」

 

 おや、口に出てしまったようだ。

 

「あん?なんだそれ、どっかで聞いたことあるな」

 

「もーいいや、自分で探せや」

 

「ハァァァ!?!?!?なんだお前!?お?お?お?」

 

 

 その後はケリーくんを全力でスルーして自分の部屋に戻り、きっかり13時間寝ました。快眠でした。

 

 

 

 

 

 アフロヘアーのおじさん(センゴク)が部屋でそのアフロごと頭を抱えている。悩んでいるようだ。

 それも仕方ない。自分の発案した計画がものの見事に失敗したのだから。元々、ハイリスクハイリターンだったので、失敗した結果、残るのはハイなリスクだけだった。

 クビか、或いは実刑を伴うか、前例がない故にわからない。

 自分の行く末が見極められないという恐怖に頭を抱えているのだ、と思う人もいるのかもしれない。

 

 実際は違う。彼は何の責任も取らされなかった。

 名も知らぬ軍兵が今回の計画の立案者とされ、全ての罪を被り、処刑された。

 海軍の裏を見た。

 やめたくなった。『知らぬが仏』では済まされない。

 

『仏のセンゴク』、彼は次の日、辞表を提出した。勿論受理されることはなかった。

 

 

 




今回の改変

・テゾーロが悪魔の実の能力者に
・センゴクが海軍を疑い始める

今回の出来事

・ブルーノ脱退
・マリージョア襲撃

ブルーノは便利すぎたからね!しかたないね!

誤字報告してくださった方、ありがとうございました

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