召喚士とステキな世界   作:ハレル家

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 今回は作者のオリキャラが二人出てきます……まぁ、変態だけど(ボソッ

 それとティピロス様とケツアゴ様に謝っておきます……すみませんでしたぁぁぉ!!


第一話:学生寮【ラビリス】

□ロマン・ライエルス

 

 オレの家は古くから伝わる召喚士の家系だった。とはいえ、有名ではない無名で平凡な家の生まれだけど、優秀な兄や妹が居て後を継ぐ必要もないし、ぶっちゃけ一部を除いて才能とかないからよその家に婿入りさせられるとかはなかった。

 

 それでも『見聞を広めて来い』と両親はオレことロマン・ライエルスをキャスタ大陸の北にあるセイレムのコルデアユニバーシティに進学させ、生活するために親父の弟さんの家に居候することになった。

 

 まさか、親に大学には行けと言われたが家から離れる事になるとは思わなかった。

 

 正直今オレはとても緊張してる……知らない土地で過ごす事になるから緊張しない訳がない……

 

 此れから新しい生活が始まるのか、どんな思い出を創るのか、これから始まる自分の人生に胸を弾ませながら学生寮のの玄関の扉を開き―――

 

「アウトォーーーー!」

 

「セーフッーーーー!」

 

「「よよいの!!」」

 

 ――開いた扉を閉めた。

 

「……ふうー」

 

 一旦深呼吸をして落ち着く。

 

 なんだろう今の光景は?

 

 ゆっくりと落ち着いて見た光景を思いだそう……自分の目が確かなら立派な館のリビング的な広場で灰色の毛で胸に三日月の形をした白い模様がある人語を話す熊と魔法少女の服を着た男性、筋肉質な身体の金髪男性がトランクス一枚だけでなぜかジャンケンをしていたような? そしてその隅でエメラルドのような緑のくせ毛に白衣を着た低身長の女性がワイン瓶をそのままラッパ飲みしてたような……いや、そんなはずはない。そもそも意味が分からない。なんだその光景?

 ……そうだ、きっとあれは自分の緊張が生み出した目の錯覚だろう。そうに違いない。思えば、ここに来るまでに刺激的な光景を見たんだ。そんな見間違いが起きても不思議じゃない。

 さあ、もう一度扉を開こう。

 今度こそ、自分の新生活が始まる――

 

「よっし! オロチに勝てたー!」

「やるなオズ!」

「次はオレの番ベア」

 

 金髪の全裸が誕生していた。

 

「なにこれぇ!!」

 

 思わず四つん這いになって絶叫した。

 

 違う、こうじゃない。自分の描いていた新生活とこの光景は180度違う。

 現実と変態が混ざった壁に、オレの希望は砕け散った。

 

□□□

□学生寮【ラビリス】

 

「改めてようこそ、学生寮【ラビリス】へ」

「おじさん、何で普通にしてられんの!? 普通におかしいでしょ!」

「ん、ああ良く言われるんだよ、俺にこの服装は似合わないって」

 

 ライエルスの指摘にダビは苦笑しながら自分の服装のセンスについて答えるが、見当外れな答えにライエルスは指摘する。

 

「オレが言ってるのはそういうことじゃなくて!」

「服装の事じゃないの?」

「いや、服装だけど、おじさんじゃなくてアッチ! アッチの事ですよ!!」

 

 ライエルスが指さした先では今度は魔法少女の姿をしてた男性――オズ・エメラルダと対決しようとした見た目が灰色の熊に負け続け、パンイチになっていた。全裸がまた一人誕生しかけていた。

 

 それをじっと見て、ダビは小首をかしげて一言。

 

「いつものことだけどアレがどうかしたのか?」

「実家に帰らせていただきます!!」

 

 返答を聞いた瞬間、ライエルスはダッシュで学生寮を出た。

 

 もう出会った時に抱いた期待や心が踊るような楽しみとかどこかに吹き飛んでいた。ともかく一刻も早くこの異常な空間から逃げようとライエルスは走り抜けていった。

 

「……うーん、もしかしてだが……俗に言うホームシックというヤツかな……?」

「ダビさん、今のは誰ベア?」

「叫び声が聞こえたんですけど?」

 

 ライエルスの叫び声を聞いた灰色の熊と全裸のオロチが近くにいたダビに声をかけた。

 

「コルデアユニバに入る俺の兄の息子を連れて来たんだが、何処かへ行ってしまったんだ」

「そいつってコルデア大生なんですか?」

「ん、4月からな」

 

 ライエルスが去った方向を見るダビをよそにオロチと呼ばれた男と灰色の三日月熊が顔を見合わせる。

 

「ってことはバレット」

「ああ、そうベア」

『新人ゲットのチャンスだな!』

 

 男達(へんたい)の目が怪しく輝いた。

 

 一方、全力ダッシュしたものの息が続かず呼吸を整えていたライエルスは先ほどの混乱から回復し少し冷静になった。

 

「たく……なんだったんだ……待てよ。何か理由があって全裸になってたかもしれないな……それに三人の恰好からして酔った勢いの悪ふざけかもしれない……だとしたら別に裸になっててもおかしくなかったのか?」

 

 先ほどの光景にも何か意味があったのではないか? それも知らずに逃げ出してしまった、とだんだん罪悪感が胸を占めていったときにふと、何やら後ろの方から騒がしい声が聞こえてくる。

なんだろう? と振り返ってみれば

 

「見つけたベアァァァァ!!」

「待って〜〜!!」

「新入生確保ーーっ!!」

 

 熊と魔法少女(男)と全裸が追いかけてきた。

 

 公共の道を熊と魔法少女(の姿をした男性)、生まれたままの姿をした男の三人が走りながら。

 

 当然、全裸は局部を揺らしながら。

 

「外だと完全にアウトだー!!」

 

 三人――特に一人を視界にいれた瞬間にライエルスはダッシュを再開した。先程までの罪悪感やその他諸々が消え去り、世にも奇妙な追走劇が始まった。

 

「待て! なぜ逃げるベア?」

「逃げるに決まってんだろ、自分の格好分かってんのかあんた達は!?」

「ハハーン、さては人見知りのシャイボーイだね!!」

「ホントに自分の格好分かってる!?」

 

 見当違いの言葉を言う灰色の熊とエメラルダにツッコミをいれる。

 

「そんな事はどうでもいい!!」

「良くねぇよ! すげぇ大事な事だよ!」

「とにかく俺達の話を聞くんだ!!」

「イヤァァァァァァ!!」

 

 スピードを上げるオロチに悲鳴をあげながら、さらに加速して逃走を図るライエルスだが、彼はまだ知らない。

 

 自分が相手にしているのは一癖も二癖もある奇人変人超人だということを……ただの素人ではどちらが勝つのか。

 

 そんなものは子供でも分かる問題だった。

 

□□□

□学生寮【ラビリス】

 

「ただいまベアー」

「三人ともお帰り」

 

 二時間後、館にて椅子に座りながら新聞を読んでいたダビは帰宅した(へんたい)たちを迎え入れる。

 彼らもそれを見て自然に挨拶を返す。これだけなら特に違和感のない光景だろう……

 

 ……全裸の人物の小脇にライエルスを抱えていなければ。

 

「お、ロマンもおかえり。不安は解消された?」

「まあ気持ちはわかるよ。オズさんもその頃は不安でいっぱいだったからね」

「だがその不安を乗り越えて一歩踏み出さなければ何も始まらないぞ」

「待って下さい。どうしてオレに原因があるかのような話になっているんですか?」

 

 うんうん、と自己完結して頷いている男たちに対し納得がいかないとライエルスは問いただす。

 

「違うのかベア?」

「違うよ! 館に入ったら裸になってる皆さんを見てびっくりしたんです!!」

「……ん? 裸を見るのが珍しいのか?」

「むしろ珍しくない方がおかしいと思うんですけど……むしろ熊や魔法少女の格好をした男性に驚いたんですよ!」

 

 先ほど追いかけてきた二人とは別に全裸の金髪の青年――先程まで全裸で公道を走った人物――オロチがそれを聞いてズイ、と身を乗り出してくる。

 

「まあよく聞け後輩。別に俺たちだって好き好んであんな姿になってるわけじゃない」

「え? 違うんですか?」

「「「否定はしない」」」

 

 男たち全員からの変態発言に再びダッシュで逃げようとしたが今度は逃走すらできず腕をつかまれる。

 

「変態だ……」

「アイツらはそういう種族なんだベア……そう考えるしかないベア」

「……いや、アンタもだよ。なんで熊なんだよ」

「悪い、紹介がまだだったベア。俺はバレット・シューリング……金髪がオロチ・ラングルトで魔法少女姿がオズ・エメラルダだベア」

「よろしくね。オズさんは歓迎するよ」

「とりあえず普通の服装に着替えてください……なんであんな服装に……」

 

 灰色の熊――シューリングの言葉にライエルスはジト目で呟く。

 

「まあ聞け後輩、この格好には理由が有るんだベア」

「そりゃ、理由もなく全裸だったり魔法少女姿だったら文明レベルは原始時代まで(さかのぼ)りますよ?」

「温故知新というヤツだな」

「ツッコミませんよ。それで、全裸だった理由はなんですか?」

 

 シューリングとラングルトの言葉に少し呆れを覚えつつもライエルスは質問する。

 

「うむ。実はな、魔導タンクの準備をジャンケンで決めてたんだ」

「魔導タンクの準備?」

 

 聞きなれない言葉に首をかしげるライエルスにラングルトが説明する。

 

「マジックアイテムの魔力を込めたり、召喚士のパートナーを召喚する為に必要なアイテムだ。この学生寮から少し歩いた場所にダビさんが経営しているオールジャンルのアイテムショップがあってな……俺達は店の手伝いと同時に家賃を少しオマケしてくれてるんだ」

「人件費も浮くから助かるんだよ」

「……はぁ……」

 

 意外にマジメな説明をするラングルトとダビに目を点にし、空返事するライエルスを他所に説明を続けるシューリング。

 

「それをお客さんが使う場所まで運ぶ係をジャンケンで決めてた訳ベア」

「なるほど、それで?」

「ん?」

「いえ、それでどうして裸になってたんですか?」

「え? じゃんけんをする時は野球拳をして服を脱ぐに決まっているでしょ?」

 

 ライエルスの疑問をエメラルダが『おかしな事を言うね?』みたいな視線で答えた。

 

 野球拳。じゃんけんに負けた方が来ている服を一枚ずつ脱いでいくちょっとイヤらしいゲーム。

 

 ライエルスは自身が中学の頃にいたクラスメイトが昔言っていた言葉を思い出した。

 

 ――“女の子との野球拳は最高だ”と。

 

 それと同時に言っていた。

 

 ――“男同士でやっても何にも面白くない”と。

 

 気が遠くなるような感覚――体感時間では数年がかりの中でライエルスはそのセリフを理解した。

 

「貴方方は野球拳以外のジャンケンを知らないんですか!?」

「いや、聞くんだ後輩。誤解しないで欲しい……俺は服を脱ぐつもりはなかった」

「はぁ……」

 

 ライエルスの肩をつかみ、オロチ・ラングルトは説得しようと優しく語りかけた。

 

「『ただ自然と脱げていた』……俺の言っている事わかるよな?」

「いいえ、微塵も」

 

 真剣な表情で語るオロチにライエルスは真顔で即答した。

 

 しかし、(ライエルス)は知らなかった……まだ自身に迫る足音が近付いていることを……




 本当にすみません。特にティピロス様のオズ・エメラルダをハジケてしまって本当に……二人のオリキャラから流れ出た空気に感染してああなったと思ってくださると幸いです……

 次回、事件ですよみなさん。
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