召喚士とステキな世界   作:ハレル家

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 どうもハレル家です。季節外れの風邪でダウンして、更新が遅くなってしまって申し訳ないです。

 前回で召喚に使う銃を全壊にしてしまったロマン……どうする第六話!!

 ……あ、ダジャレじゃないですよ?


第六話:目指せ錬金科

□□□

□学生寮ラビリス

 

 翌朝、食堂の一角にて重苦しい雰囲気が漂っていた。

 

「最っ悪だ……」

「……どうしよう……」

 

 ライエルスとカシオペヤは昨日の深夜に起きた事を思い出して頭を抱えている。その様子を見たアトラスハイズが声をかけてきた。

 

「朝っぱらからどうしたんだよ」

「……ジン」

「お前が考え事なんてらしくないぞ」

「それを言うなら悩み事だろ。ケンカ売ってんのか?」

 

 多少怒りを含めた声だが抑え込み、訳を話すとアトラスハイズは悩みの重大さに気付き始めて厄介なモノを見たような表情になった。

 

「これは酷いな……直るのは厳しくないか?」

「とはいえ、流石に召喚する媒体がないとダメだろ」

「ダビさんの店には売ってないって言ってました」

「どうするべきか……」

「おはよう三人とも!」

 

 召喚士にとっての召喚に扱う媒体は素材によっては壊れにくいとはいえ、壊れたモノを初めて目にして悩み始める……すると、バルドガングが三人に声をかけた。

 

「あ、おはようございます」

「……誰だ?」

「ライエルスさん、知り合いですか?」

「この人はシュメイヴ先輩。昨日の夜に知り合ったんだ」

「シュメイヴ・バルドガングだ。よろしく!」

 

 バルドガングの自己紹介に頭を下げて会釈して紹介するカシオペヤとアトラスハイズ……するとバルドガングが壊れた召喚銃に気付いた。訳を話すと、何やらしばらく考え込み、しばらくして口を開いた。

 

「錬金科の者ならなんとかできるかもしれないな」

「本当ですか!?」

「明日の休みに修理してもらうついでに見学したらどうだ? 大人数でも来れるようにシューリング先輩には話を通しておこう」

「ありがとうございます……シューリング先輩って錬金科なんですか?」

 

 直せる見込みがあると言う言葉に驚くライエルスはバルドガングに感謝するも、シューリング――熊の着ぐるみを着た人物を思い出す。

 

「来てみれば驚くぞ……それより、時間は大丈夫なのか?」

「……時間?」

 

 バルドガングに言われて咄嗟に時計を確認すると時刻の8時を知らせようとしていた。

 

「やっべ!? こんな時間かよ!」

「急げ! ギリギリ間に合うハズだ!」

「ありがとうございます!!」

「気にするな……そうだ。大人数でも構わないから交流を深める名目で何人か呼んでも構わないからなー」

 

 急いで食堂を離れようとする三人にバルドガングがそう伝えると、遠くから『ありがとうございましたー』の感謝の言葉が響いた。

 

「今年は大漁だな」

 

 そう呟いたバルドガングは携帯を取り出し、シューリングに連絡を取り始めた。

 

 

   ――それから、どした?――

 

 

 

□□□

□学生寮ラビリス

 

「遅れて悪い。オレで最後か?」

 

 翌日。休校日を利用した錬金科の見学を行う準備に手間取ったライエルスが急いで手荷物を持って外に出るとライエルスの前にはカシオペヤと他に誘ったアーヴァイン、ザブンブルグ、宗形の四人が待っていた。

 

「まだ先輩は来てないよ」

「アトラスハイズはどうした?」

「ジンは自分の召喚物とコミュニケーションとるから今度にするって」

「コミュニケーション……訳ありなのか?」

「……まぁ……あると言えばあるな」

 

 アトラスハイズの召喚物に心当たりがあるライエルスは調子悪く呟くと、バルドガングがラングルトと三人の人物を引き連れて現れた。

 

「遅くなってすまないな」

「今回はありがとうございます。バルドガング先輩」

「気にしなくていい……召喚士にとって媒体の故障は命取りだ」

「ラングルト先輩は見送りですか?」

「いや、俺も錬金科に用があるから行くんだ……そうそう。出掛ける前に一年に声をかけたら行きたいヤツがいたから連れてきたぞ」

 

 そう言うとラングルトは三人の人物――茶髪にゴーグルを掛け錬金術師の衣装に身を包んでる青年、黒髪長髪紫目の少女、白髪ショートで青のタレ目が特徴の褐色の女性に紹介を促した。

 

「エレン・アルケミヤと言います。えっと………今日はよろしくお願いします」

「八坂です……よろしくお願いしますね」

「いえーい! あたしゾナ!! よろしくっ!! 苗字はマナナナだよ!」

 

 茶髪にゴーグルを掛け錬金術師の衣装に身を包んでる――エレン・アルケミヤは礼儀正しいお辞儀をし、黒髪長髪紫目の少女――八坂霧切はライエルス達に目線を合わせないように俯きながら挨拶し、白髪ショートで青のタレ目が特徴の褐色の女性――ゾナ・マナナナは快活に声をあげた。

 

「オレはロマン・ライエルス、よろしくな!」

「キミがロマン君か……噂は聞いてるよ。パンイチで暴れる問題児で老若男女関係なく口説いてる変態だって」

「尾ひれどころか翼生えてるんだけど!? 誰だよそんなデマを流したヤツは!!」

「え? じゃあ本当は?」

「パンイチの変態だ」

「変態であることに変わらないよね? 翼なくしても汚名外れてないよね」

「私はフィル・カシオペヤです。フィーと呼んでくださいね」

「……よろしく……」

「アタシはゾナだぞ! よろしくな!!」

「テンション高いね……」

「まぁ、この前のムカつくヤツじゃないから話しやすいな」

「お喋りもいいが、そろそろ錬金科に行くぞ」

 

 各々が和気藹々と話すとバルドガングが声をかける。

 

「そういや、この大人数でもいけるんですか? 流石に多すぎたら……」

「そこは大丈夫だ。出番だ……ダイオミード!!」

 

 ふと、宗形が気になった事を口にするとバルドガングが召喚を行った。

 

 飛行機の尾翼を模倣した形状であり、前方両サイドには角を模した意匠の飾りパーツが存在感を引き立て、刃付きの軽い鎧を着こんだ馬二頭立て――ダイオミードが現れた。

 

「おぉ! こんな召喚術って初めて見た!」

「ふふ、そうだろそうだろ」

「俺もやるか……メデューサ!」

 

 ズミが驚く様子に機嫌を良くするバルドガング。ラングルトも同じように若葉色に輝く玉を口に加えた蛇の頭を象った杖を取り出し、召喚を行った。

 召喚陣から長身の美女が現れ、足のつけ根に届きそうなぐらい長い黒髪と三白眼が特徴な女性がオロチにめんどくさそうな目線を向けて話しかけた。

 

「喚びましたか、オロチ?」

「錬金科の研究棟に行くんだが、お前はどうだ? 着いたら自由に本を読んでもいいし、久々に運転してもいいぞ」

 

 オロチの言葉――正確には『運転』の言葉に目を光らせた。その様子はまるで蛇が獲物を見つけたようだと一部始終を見てたライエルス達は錯覚した。

 

「二言はないようですね。すぐに準備します」

「あぁ、頼む」

「あの、ラングルト先輩」

「どうした?」

 

 早足で何かの準備を始めるメデューサを余所にライエルスはラングルトに話しかけた。

 

「頼みがあるんですが……無理ならいいんで、一緒に乗せてもらえませんか?」

「お前……そういう趣味があるのか」

「あるわけねぇだろ。変な誤解すんな」

「いや、人それぞれだからな……私は否定しないぞ!」

「だから誤解だって言ってますよね!? お前らも少しずつ離れようとするな! オレは女性が好きだから! そうじゃなくて! メデューサの能力に関係あるんです!」

 

 宗形とバルドガングの勘違いからライエルスにソッチ側の趣味があると思われ、必至に誤解を解こうとするも何人かに疑惑の目を向けられる。

 これ以上誤解が拡大しないようにライエルスは本題に触れた。

 

「本で読んだぐらいですが……メデューサには相手の動きを止める魔眼の他にペガサスを召喚できるって聞いたんですよ」

「ペガサスって、あのペガサス!?」

「よく知っているな」

 

 ライエルスが説明した意外な知識に数人のメンバーが驚いた。

 もともとペガサスは海神からメドゥーサに贈られたものであり、メドゥーサがペルセウスに退治されたおり、その断ち切られた首から滴り落ちた血から生まれたものとも言われている。

 

「それだったら乗せてやるよ」

「本当ですか!?」

「三人乗りだから問題ない」

 

 早い話、ペガサスに乗ってみたいという事を察したラングルトはライエルスに乗っても良いと許可をするとわかりやすく嬉しさを表していた。

 

「……」

 

 しかし、メデューサが戻ってきた数分後に先程までの表情は消えてなくなり、無表情となっていた。

 

「どうした? さっきまでのテンションが嘘のように消えてるぞ?」

 

 様子の変わりように心配するラングルトが声をかけると、ライエルスはどこか悲しみを含めた声色で語った。

 

「……すいません。これってペガサスじゃないですよね? ママチャリですよね?」

 

 そう。メデューサが用意したペガサスは翼が生えた馬ではなく、見た目がカゴ付きのママチャリだったのだ。ちなみにカゴにライエルスがすっぽりと体育座りで収まっており、サドルはメデューサが座ってラングルトは荷台に乗っていた。

 これでライエルスがヨボヨボのエイリアンだったら有名な映画のワンシーンを彷彿してしまうだろう。

 

「オレ言いましたよね!? ペガサスって!!」

「まさか私のペガサス号にイチャモンをつける気ですか?」

「え、ペガサス号!? ペガサスってママチャリなの!? 空を飛ぶ馬じゃなくて!?」

「そっちのペガサスですか……あの馬なら、先月に転職して農耕馬になっています」

「転職!? 馬の世界に転職なんてあんの!?」

 

 メデューサ本人から放たれる衝撃の言葉に驚きを隠せないライエルス。

 

「それに、実物のペガサスに乗って移動したら無免許運転で捕まるだろ」

「無免許運転って免許が必要なのか!?」

「当たり前だろ。馬を公道に走らせるにも免許が必要なんだ……常識を考えろ」

「全裸で公道を走った人に言われたくないですよ!!」

 

 免許が必要な事に驚く宗形にラングルトが注意するも心当たりがあるライエルスが指摘する。

 

「それよりいいのか?」

「何が?」

「メデューサの運転はスピード重視だから荒いぞ?」

「…………」

 

 ラングルトの言葉にゆっくりとメデューサに目を向けるライエルス。彼女の目は興奮しているのか爬虫類のように瞳孔が縦に細くなっていた。心なしか顔がほんのりと赤く、気のせいか鼻息が荒く聞こえる。

 

 ……あ、これヤバイやつだ……

 

「そんじゃ、しゅっぱーつ」

「すいません。やっぱり戦車の方ニィィィィィィィィィ!?」

 

 身の危険を感じてバルドガングが操縦するも判断が一足遅かったのかあるいはメデューサが待てなかったのかママチャリ――ペガサス号は高速と比喩しても問題ない速さで疾走していった。

 心なしかライエルスの悲鳴を置いていって……

 

「……はやい……」

「もう見えなくったよ……まるで激流に流された木の葉のようだ」

「少し羨ましいと思っちまったけど、あんな速さなら遠慮するな」

「……血がたぎるではないか……」

「…………え?」

 

 風のように疾走していったママチャリを見送っていると小さな呟きが聞こえ、目を向けるとバルドガングの闘争心に火が着いていた。

 

 ……あ、こっちもヤバイ。

 

 戦車に乗ってた全員が次に来る展開を予感した。

 

「こちらも最高速で向かうぞ! ヤツらを追い抜き、一位になる勢いで!!」

「よっしゃー! いっけー!!」

「煽んなバカ!!」

「あ、安全運転でお願いします!!」

「安心したまえ……安全に、高速だ!!」

「ダメだ! 聞いてない!!」

「早く掴まれ! 振り落とされ――」

 

 バルドガングの闘争心にガソリンを散水したマナナナに宗形が注意し、カシオペヤが言うも本人は止まらず、アルケミヤと宗形が急いで振り落とされないように注意した瞬間、火ぶたが切られた。

 

「走れ! ダイオミード!!」

 

 その言葉と同時にダイオミードは主の言葉通りに駆けて言った。安全かどうかはわからないが、同乗している彼らと彼女達の悲鳴を聞けばわかるハズだ。





 次回から錬金科と魔術科について詳しく説明します。出番がなかった投稿してくれた応募キャラもなんとか出せるように尽力しますので、よろしくお願い致します!!
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