ゆきひらに帰り咲く。   作:洛南

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この物語は、フィクションでありssである。

サブタイトル変更しました。6月18日。


三食「それぞれの皿」前編

葉山アキラは、負け小林竜胆は反逆者の皿を認めた事で3名がクリアーしたことを聞いた薊は、苛立ちを隠していた。今回仕掛けたのは、薊自らが選び抜いたセントラルの十傑。つまり、常に至高の皿を作り反逆者に負けるなんてありえない。

 

だから、今回の試験で邪魔物は纏めて排除できる筈だった。

 

「ふう...小林には、明日からの試験では外れてもらう事にしよう。これ以上、私の完璧なスケジュールを邪魔されたくはない」

 

現在薊がいるのは、遠月学園が保有している、高級ホテルのスイートルームだ。広々とした空間で部屋には、カーペットが敷かれており北海道でも足が冷えないように常に暖かくなっている。テレビにソファー、ベットに流石遠月学園保有のホテルと言うべきか、一度も使用されていない、広々としたキッチンまで付いている。

 

扉が二回ノックされる。

 

この部屋に来るとしたら、十傑第1席の司瑛士か側近の相田くらいだが。

 

「どうぞ、鍵ならあいているよ」

 

「失礼します」

 

「相田ですか。何かありましたか?」

 

「直接報告するべきだと思い、此方に伺いました。まず今回の試験に合格した反逆者。幸平創真、タクミ・アルディーニ、田所恵ですが....」

 

「ん?どうしたんだい?まさか食戟でも挑んで来たのかな?」

 

受けるつもりはない。此方にはなんのメリットも無いのだから。何より時間の無駄だ。

 

「いえ、退学すると言ってきました」

 

「....ほう。それは、喜ばしい報告ではないですか。ええ、今日は実に素晴らしい日だ」

 

まさか自主退学するとは、思わなかったがそれならそれで良い。これでエリナは、私の元に戻ってくるのだから。

 

「それと....」

 

「まだ何か?」

 

「薙切エリナ様も退学されました」

 

 

 

 

 

 

 

「いやーそれよりさー。中村先輩の顔見たかったよな。薙切が退学したなんて聞いたら絶対すごい顔になってると思うんだよなぁ」

 

丁度その話を側近から薊が聞いているとき幸平達は、一度遠月学園の極星寮に荷物を取りに戻るために飛行機に乗っていた。

 

席順は、才波城一郎の隣に堂島銀、堂島銀の隣に薙切仙左衛門。その後ろに薙切エリナ、その隣に幸平創真、幸平創真の隣にタクミ・アルディーニ。その後ろに田所恵が座っている。今日不合格になった、皆は先に帰っているらしく二便ほど速い飛行機に乗っているのでそろそろ飛行機を降りる頃かもしれない。

 

「もう幸平君!あまりそういうことは、言わないでもらえるかしら!」

 

「あはは、薙切さん。まだ怖いんだよね?」

 

「これだけ震えてればな」

 

「まあ仕方あるまい。初めての反抗なのだからな」

 

「確かにお父様に反抗するのは、とても怖いわ。でもね、私はもう逃げないと決めたのよ!だから悔いはないわ!」

 

「うむ!よく言ったぞエリナ!」

 

「お、お爺様!?起きていらっしゃったのですか!?」

 

薙切仙左衛門は、才波城一郎と堂島銀と共に盛り上がり先程まで酒を大量に飲んでいた為寝ていると思っていた。

 

「さっきまで寝てたけどな」

 

「さ、才波様まで!」

 

「エリナ君。それは良い変化だと思うよ。それより一つ気になっていたが...」

 

「やっぱりお前も気になってたか?銀」

 

「当たり前だ」

 

憧れだった才波城一郎と遠月リゾート総料理長であり、かつて才波様が在席していた頃の十傑第1位。そして過去の十傑で一番優れた成績を納めたという堂島シェフが二人して気になる事があると聞いてエリナは、気が気ではなかった。

 

「あ、あの。気になっているとは何でしょうか?」

 

勇気を出して聞いてみた言葉に返ってきたのは、意外な言葉だった。

 

「「飯が不味い!!」」

 

二人して発した言葉に、思わず納得するまで数秒かかった。まだ早い時間なので、酒を飲みながら軽食も取っていた才波様と堂島シェフのお口には合わなかったようだ。

 

この飛行機は、遠月とは関係ない普通の飛行機だ。一応ファーストクラスなので席も体を休めるには、十分すぎるくらいには、座り心地が良い。

 

「そんなに不味いなら、一度頼んでみないか?薙切もタクミも田所も腹減っただろ?」

 

「確かに空いてはいるけれど...」

 

「成程...こういう場所で食べる料理も勉強になるかもな」

 

「うん、私も食べてみたかったの!初めてのファーストクラスだから、もう楽しみで!」

 

「それじゃ頼んでみるぞー」

 

にしても...多いわね。

 

「メニューこんなに多いんだな。親父達が食ったのってどれだよ?」

 

「あーなんだったけなー。なんか四季の料理メニューだったぞ。確か...おお、そうだBonheurだ」

 

「Bonheurと言えば。フランス語でBon『良い』+Heur『時間』『幸せ』を意味する言葉だったな。つまり『幸せな時間を』という名の料理だな」

 

「へー、普通に旨そうだけどな」

 

「食ってみりゃー分かるよ」

 

「それじゃ皆これで良いか?」

 

「ああ、良い忘れてたが。それオードブルだからな?」

 

「え?」

 

その声は誰が発した声だったのか、一品だと思っていたが、料理名だと思っていたのは、コースの名前だった。しっかりと下にオードブルのメニューが複数書かれていた。

 

本格的に食べるには、少し早いが頼んでしまったものは、仕方がない。

 

頼んでから一品目は、ベーコンのシャキシャキサラダだった。カリッカリに焼いて、少し焦げ目をつけたベーコンにブラックペッパーと、ナツメグを使用しており、ブラックペッパーのピリリとした辛さと臭みの無いベーコンがシャキシャキのキャベツとマッチしており美味しい。そのあとのスープも美味しく食べれたが、問題はメインディッシュにあった。

 

「これは、フランス北部で郷土料理として食べられている『ブフ・ブルギニヨン』ね。でも...」

 

「ああ。牛肉を赤ワインで煮込んでいるんだろうが、煮込む時間が甘過ぎる、そのせいで肉は固くなってる」

 

「それにジャガイモとチーズを乗せてオーブンで焼き上げる調理法、アッシ・パルモンティエだが。オーブンで焼き上げている時間も甘いのか、チーズがうまく溶けていない」

 

「うん、これじゃあ折角のメインディッシュなのに...」

 

「はあ...ここの料理長は、何をしているのかしら?」

 

「確かにな...よし。俺ちょっと行ってくるわ」

 

「え!?ゆ、幸平君!?」

 

「ふん、幸平が行くのなら僕も行くに決まっているだろう」

 

「え!?タクミ君も!?」

 

「さて、と。創真も行ったことだし俺達も動きますかね」

 

「ああ、そろそろだからな」

 

「ギリギリ間に合ったかの」

 

「え?才波様?どういう....」

 

「ああ、元々この飛行機の機長とは知り合いでさ。乗る前に頼まれてたのよ。まっ、そのお陰でファーストクラスに乗れてるわけだけどな」

 

「だが本当に良かったのか?頼まれたのは、城一郎。お前だろ?」

 

「良いんだよ別に。それに俺も行くしな」

 

「あ、あのー私も良く分からないんですけど...」

 

「あーつまりだ。料理長が体調を崩してな今代わりの奴が料理してるんだけどさ、客に出せるレベルまで上がらないってんで、俺に頼んできたのよ」

 

「で、でも創真君達行っちゃいましたけど....」

 

「まあ、あいつも子供じゃ.....まあ大丈夫だろ。んじゃ、そろそろ行きますか」

 

「少し気になるが....そうだな」

 

「わ、私も!私も行きますわ!田所さんもね!」

 

「え!?は、ははははい!」

 

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