自称女神が転生させようとしてくる件   作:めんぼー

1 / 1
なぁにこれぇ


第一話

 

俺の名前は但野孝(ただのたかし)

 

8月26日生まれ、獅子座のA型

 

今年で23歳だ

 

T県K市の駅前にある1DKの賃貸アパートに1人暮らし

 

彼女なし、貯金なし、車なし

 

高校からの友人も疎遠になり、会社と自宅を往復するだけの生活を送っている。

 

天涯孤独ということでもなく、実家で両親は今も尚健在だ。

 

"普通"、全てにおいて極一般的な普通の社会人。趣味はそう、ラノベを読むことくらいか。

 

数多くの異世界モノが世の中に出回っている。読む人たちは皆、新しい世界への旅立ちという物語に胸を躍らせ、楽しんでいるのだろう。

 

かくいう俺もその1人だった。

 

見知らぬ世界、見知らぬ土地、ゲームや漫画の中に出てくる勇者や魔物の存在。

そして主人公はハーレムを手に入れたり、チート級の力を手に入れたり…。全てが読む人を惹きつける。

 

色々あるが、なんにせよ異世界転生というものは素晴らしい。自分も、こんな素敵なイベントに出くわしてみたいものだ。

 

ハーレムなんて出来たらヤりたい放題の砲台磨きの毎日じゃないか。

 

等と一人妄想に耽りながら、今日も会社に1人残り残業をこなしている。

 

時計の針は、丁度深夜0時を回ったところだ。

 

「お、終わった~~!!」

 

自分以外誰もいないオフィスの一角で、俺は椅子にもたれかかりながら伸びをして叫んだ。

 

俺の所属している会社、社名は【株式会社ホワイトハッピー社】

 

「…どこが?」

 

椅子の背にもたれ、天を仰ぎながら1人寂しく呟く。深夜0時を回るまで残業をする人なんているのだろうか…。いいや、やめよう。俺以上に頑張ってる人だっているんだ。

 

朝8時に会社の朝礼、昼休憩は満足に取れず3時間遅れでの昼食。その後定時までデスクと現場を行き来しながら、終わらなかった仕事を回される。そのせいで0時を超えるなんてことは最近は当たり前になってきてしまった。

 

「俺…過労死するかもなぁ…。」

 

父ちゃん、母ちゃん、ごめん。上京するなんて無理を言って、結局都内には住めずに少し離れたところで慎ましく暮らしてます…。

うちの実家は魚屋だ。毎日元気に近所の人達に挨拶をしたり、声を張って客寄せしたり、我が両親ながら本当に凄い人達だ。

お盆は帰れるんだろうか、というかお盆休みなんて取れるんだろうか。両親より先に死ぬなんて親不孝者にはなりたくないな。

 

「はぁ…。」

 

ため息をつきながら、椅子から立ち上がり喫煙室へ向かう。

 

カシュっと缶コーヒーを開く音が喫煙室に響く。こちらへ向かう途中で自動販売機で買った物だ。

一口飲むと、身体に染みるようなそんな感じがした。

 

「あぁ~~~~うめぇ~~!」

 

おっさん臭い、酒でも飲んだかのような反応、仕方ないよ、うまいんだもの。

少し間を空けて、煙草に火をつける。うまい。生き返るという程ではないが、こちらも身体に染みるような感覚が――

 

「うっ…」

 

ヤニクラだ。

 

稀に起こる、長時間煙草を吸わずにいた後、煙草を吸うと頭がグルグルするそんな感じ。

 

「帰るか…。」

 

ジュッとバケツに入れてある水に煙草を浸け、火種の消えた煙草を吸殻入れへと落とす。

 

コーヒーを一気にあおり、喫煙室の外にある空き缶入れへと、空になった缶を突っ込んだ。デスクに戻った後、そそくさと身支度を整え、会社を出る準備を終えた。

 

あとはタイムカードで記録して、会社の裏口から出て、鍵を閉めて退社。

残業代は出てるらしいがほんとかどうかはわかったもんじゃない。深く気にしても仕方ないので、さっさと帰ろう。

そうだな、今日のオカズは久々にOLでもいいかもしれないな、ふふっ。

もう何人も同期をオカズにしたがな!!!

 

「アホくさ…帰ろ…。」

 

どうしてこんな子に育ってしまったのかなんて母の声が聞こえてくるような気がした。しょうがないじゃない、エロは男のロマンだもの。

 

心の中で言い訳をして、タイムカードに記録した後、オフィスを出ようと扉を開いた直後だった――

 

「こんばんわ、但野孝さんですよね?」

 

開いた扉の先に、暗がりで顔は見えないが知らない女がいる。何これ。

非常口の案内でしか照らされていない廊下から、知らない女の声。しかも会社には俺1人。誰もいない、向こうは先に不法侵入してる。つまり揺すれる。

 

うん、よし。犯すか!

 

なんて言ってる場合じゃない、やばい。背筋が冷やりとしたけど、とりあえず落ち着け俺。

 

「違います、ただのおかしです。」

 

おかしいのは俺の頭ァァァ!!!許せマイサン、性欲には逆らえないんだ。

 

「ふぇっ!?あ、あれっ!?おかしいですね…聞いていた特徴と一致してるんですけど…。」

 

あれ?可愛くない?やばくない?ちょっとマイサンすていすてい、落ち着くんだ。

 

「えっ?犯してほしい?キいてる膨張でエッチしたいんですけど?」

 

「何この人やば…。」

 

顔は見えないけど、思いっきりどんびきしてる顔が目に浮かぶ。

嗚呼…、気持ち悪がられるってこういう事なんだ…。でもここまで言えば身の危険感じて帰ってくれないかな…。

俺も若干身の危険感じてビンビンだし…。

 

「んっんんっ!」

 

女が咳払いをする、可愛い。

 

「先に名乗るべきでしたね、私の名前はカーラ。カーラ・コルセスカ。」

 

「マーラ・ハメマスカ?」

 

「ぶっ殺しますよ!?」

 

裏返った可愛い声でとんでも発言ちゃんだな、参ったぜ…なぁ、マイサン?

 

「あなた何なんですかいきなり!」

 

それこっちの台詞じゃない?っていうのは野暮なんだろうか。うーむ。

ん?お、おいこっちに来るなよ。こっちくんな!

 

「初対面の人間にとんでもない…!!それでも社会人なんですか!?」

 

 

金髪碧眼にスーツ姿のボンキュッボンな女性があらわれた!

 

 

「そもそもですね、男性というのは――

 

なんか言ってるけど外人さんであるのは間違いなさそうだ、名前もそうだし。

でもスーツって事はこの人も会社の人間?でも今まで見た事無いし。

不法浸入ってやつ…?あ、そういえば聞いたことある、海外じゃ拳銃とかピストルとか当たり前に持ってるって…や、やばい…どうしよう…。

な、何か武器を…武器…?

 

「聞いてるんですか但野さん!!」

 

どうせ金目当てなんだろう、よろしい、ならば戦争だ。

童貞のまま死んでたまるか!!

 

「こっちもピストル持ってるんじゃオラァ!!」

 

ボロン

 

「キャアアアアアアアアア!!!!!」

 

「おいおいおいぃぃ!?こんな夜遅くに女の子がぁ?1人でぇ?こんなとこに来ちゃ危ないなぁぁぁ?」

 

あっこれ知ってる、映画で見たチンピラとかのそういうアレだ。

あれ?これ俺が今悪者になってる?

 

「しっ、しまって!!しまってください!!」

 

ええいここまで来たら引っ込みつかん!!

出すんなら出せよ!!こっちも出すもん出すから!!

 

「カーラちゃん…可愛いよカーラちゃん…ハァハァ」

 

「…ぐすっ」

 

いけねっやりすぎた

 

「最低です!!!」

 

その一言を頂戴、もとい投げつけられた俺は、いつの間にか顔に衝撃をくらっていた。

ビンタなんだろうけど、あれ…ビンタってこんな痛いの…。

 

「えふぅ…。」

 

情けない声と共に俺の意識は闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。