「・・海江田艦長・・シエンです・・契約条項を履行するために・・情報を共有し、意見交換の上で、見解と意志を統一する必要を感じています・・しかも早急に・・共有すべき情報は多岐に渡り、大量でもあります・・申し訳ありませんが緊急であると考えて頂いて・・艦長と私とでの、会見のセットアップにご協力をお願い致します・・『やまと』の予定を変更して頂く事になりますが、ご了承を頂ければと思います・・・」
「・・シエン代表・・海江田です・・ご丁寧な申し入れに感謝します・・・私としても貴方との直接対話は、非常に重要であり、早急に行わなければならない事案であると認識しております・・・それで具体的には・・?・・」
「・・・24時間後に・・青ヶ島港で・・と言うのは、いかがでしょうか・・?・・」
「・・結構です・・了解致しました・・・それでは、『やまと』はこれでこのオープンチャンネルから退出させて頂きます・・・青ヶ島港でお会いできるのを楽しみにしております・・では・・・」
海江田艦長はマイクを置き、副長を見遣った。
「・・山中・・速度40ノットへ・・ダウントリム15°深度950に着いてくれ・・・」
「・・了解・・」 艦橋深度で航行していた『やまと』が潜航に入った。
その時、『マンダ』の発射管から注水音が聴こえた。
ネプチューン・ブリッジ・・・・
「・・開口音はまだだな・・?・・」 「・・はい・・」 「・・やまとは?・・」
「・・深度28から加速しながら潜航中です・・・」
「・・発射したら、やまとに到達するまでには・・?・・」
「・・最高速を出すなら、17.8分ってところでしょうか・・・」
「・・開口音が聴こえたら、インパルス・トラストを用意・・・ミサイルが不可避となったら、起動してコースをずらす・・・ミサイルが反転してもう一度捕捉しようとする頃にはロストするだろう・・・これで奴らには気付かれるだろうが『やまと』にはこちらの存在を気付かれずに済むだろう・・」 「・・了解・・」
そして発射管の扉が開口した・・。
マーカス・コーネル艦長が口を開くより早く、海江田四郎艦長が叫ぶ・・。
「エンジン停止!ベント開放!慣性自重沈降!マスカー開始!」
「・・インパルス・トラスト用意・・『やまと』は・・?・・」
「・・エンジン停止して慣性自重沈降に入りました・・マスカーを開始しています・・」
「・・さすがに速いな、海江田艦長・・これなら撃たれても回避できるか・・・しかし、撃ってこないな・・・そうか・・・我々を焙り出すと言うより・・海江田艦長の操艦を見極めたかったのか・・・20ノットでやまとを追尾・・」 「・・了解・・・」
「・・こちらはS S D O のシエン・ジン・グンです・・アダムズ事務総長・・他にご質問はございますか・・?・・・」
「・・・それでは伺うが、そちらのステーションを攻撃している敵対勢力について・・心当たりはおありかな・・?・・」
「・・攻撃衛星群も陽電子砲も、欧米先進諸国が共同で設置したエシュロン・ネットワークの管理下にあるのではないのですか・・?・・」
「・・それは確かにそうなのだが・・そちらのステーションに加えられた一連の攻撃は、外部からネットワークに侵入した者が行ったものなのです・・・」
「・・そうだったのですか・・教えて下さってありがとうございます・・残念ですが、思い付くような心当たりはありませんね・・・」
「・・そうですか・・現在、何者がハッキングしたのか、全力で捜査中でしてな・・・」
「・・何か、お手伝いできるようなことは、ございますか・・?・・」
「・・いや、お気持ちだけ頂いておきます・・先ず我々で、徹底的に捜査しますので・・・」
「・・そうですか・・早く判明しますように、お祈りします・・・他には、ございますか・・?・・」
「・・そうですね・・では、このような問いはどうでしょう・・?・・そちらが国連と、契約を締結するとしたら・・その条項は、どのようなものになるでしょう・・?・・」
「・・先ずは国連総会に於いて・・『S S D Oと契約を締結する』ことを決議して頂きましょう・・・具体的な協議は、それからと言う事で・・・」
「・・分かりました・・現状でこちらとして貴方にお訊ねしたい事は・・一先ずありません・・・」 「・・退出なさいますか・・?・・」
「・・残り時間は、どのくらいですか・・?・・」 「・・8分ほどですね・・・」
「・・宜しければ、傍聴させて頂きたいのだが・・」 「・・ご随意にどうぞ・・・」
「・・全世界の皆さん・・・こちらはS S D O のシエン・ジン・グンです・・このチャンネルは、あと8分ほどで閉じますが・・それまでに私と対話されたい方は、どなたでも結構です・・お話しませんか・・?・・」
アメリカ・ニューヨーク・A C N・T V ネットワーク本社ビル・10階・・・
ファースト・リポート・スタジオ・・・
セシル・A・デミル社長がライト・クリームブラウンのスーツを着て椅子に座り、脚を組んだ状態でライトを当てられ、ライブ・カメラを向けられている・・・。
ディレクターが右手でカウントダウンを示し、キューを出した。
「・・グッドイブニング・・A C N を視聴される皆さん、こんばんは。セシル・デミルです・・今夜は、短時間ではありますが緊急かつ特別に、我らのこの世界に突如として現れた、ビッグなニューカマーへのインタビューをお届けします・・・S S D O のシエン・ジン・グン代表・・・聞こえますか・・?・・こちらはA C N・T V ネットワーク・・私は社長のセシル・A・デミルです・・そちらのオープンチャンネルに参加します・・聴こえますか・・?・・私は社長のセシル・A・デミルです・・応答を願います・・・」
「・・初めまして・・セシル・A・デミル社長・・こちらはS S D O ・・私がシエン・ジン・グンです・・交信の呼び掛けに感謝します・・メディアの方からの交信の呼び掛けは、貴方が最初です・・もうあまり時間がありませんが・・良い話し合いができればと思います・・何かご質問がおありですか・・?・・」
「・・シエン・ジン・グン代表・・セシル・デミルです・・応答に感謝します・・メディア・カンパニーの代表としても、一人のジャーナリストとしても、貴方とお話ができる事に興奮しています・・私の事はどうぞデミルと呼んでください・・そちらから発せられましたメッセージは大変に興味深く拝聴しました・・その上で幾つか質問させて頂きます・・貴方方S S D O が武力を頼み、世界に覇を唱える者でないと言う事を、何を根拠に信じれば良いのでしょうか・・?・・」
「・・デミル社長・・それについては、今後の私達の姿勢や態度や言動をつぶさにご覧になって頂いて、判断して頂く他には無いかと思います・・・それと、私の事はシエンと呼んで下さい・・・」
「・・分かりました・・シエン代表・・お答え頂き、ありがとうございます・・続いて・・先に発せられたメッセージにもありましたが、そちらは他の誰とも契約を締結する用意があると言われましたが・・その契約内容は、金銭を仲介とするものではないとの事・・そちらは金銭を必要とはしないのですか・・?・・」
「・・はい、デミル社長・・ご推察の通り、私達は金銭を必要としてはおりません・・なぜなら・・私達は、必要である物総て・・私達自身で調達する事が可能であるからです・・」
「・・シエン代表・・それは素晴らしいですね・・どのように調達されているのか・・ぜひ教えて頂きたいものです・・・」
「・・デミル社長・・それにはまず・・私達と契約を締結して頂く事が・・必要になりますね・・その上で関連する事項や内容の中で・・お話できる場合があるかも知れません・・・」
「・・そうですか・・では、次に移りますが、貴方方は何者に攻撃されているのですか?・・エシュロン・ネットワークが何者かにハッキングされていた事は、こちらでも調べがついています・・・それに、今の地上にある技術では考えられない攻撃方法で襲撃されていましたね・・?・・相手について・・心当たりがおありなのではありませんか・・?・・・」
「・・デミル社長・・残念ですし、申し訳ないとも思いますが・・相手について思い付くような心当たりはありません・・・こちらでも調べてはいますが、まだまだ情報が不足しています・・・ですが、いずれは明らかになるだろうと考えています・・・」
「・・そうですか・・シエン代表・・では、次の質問に移りますが・・S S D O の目的とするところとは何でしょうか・・?・・」
「・・デミル社長・・S S D O は契約者との間で締結した契約条項を遵守し、契約内容に明記されたものを過不足なく納期を遵守して提供します・・・供給し、提供するものは総て、太陽系内宇宙空間にて生産します・・・将来的には提供品目数、供給量ともに増大を目指し・・・地球圏内での再開発並びに、生産活動を縮小の方向へと向かわせ・・・生産量も減少の方向へと向かわせるのが・・目的です・・・」
「・・シエン代表・・それは地球上での開発事業や、生産活動の総てに打撃を与えてしまうものなのではありませんか・・?・・そのような事態や状態を、結果としてもたらしてしまうような契約を・・結ぶ相手が地球上にいると思いますか・・?・・」
「・・デミル社長・・地球上での再開発事業や総ての生産活動が例え衰退しても・・人類社会にとって損にはならない・・持続的な発展や建設や向上が・・更に確実に見込めるような・・内容を契約の条項に盛り込んで合意の上で締結し・・遵守して推進すれば、問題は無いと考えています・・・地球圏が人類社会の礎であることは自明であるのに・・人類社会の再開発事業や総ての生産活動は・・地球圏の自然な成り立ちに破壊的な影響を与え続けています・・・礎を崩してまで社会を豊かにしようとするのは、本末転倒であって・・・意味を成さない行いです・・・」
「・・そちらの主張されようとするところの、概ねの意図は理解しました・・シエン代表・・それでは・・S S D O が目指す・・終着的な目標とは・・どのようなものでしょうか‥?・・」
「・・デミル社長・・それは・・地球上の人類社会を、宇宙空間に移設する事です・・・」
「・・シエン代表・・それは、軌道空間にスペース・コロニーを建設する、と言う事でしょうか・・?・・そのような大掛かりで大規模な・・そして遙かに遠い目標が・・実現可能であると思われますか・・?・・」
「・・デミル社長・・確かにこれは、遙かに遠い目標です・・・実現への可能性を引き上げる為にも・・実現への具体的で実際的な道筋を構築する為にも・・多くのフェイズを達成する必要があるでしょう・・・ですがこれは将来的に・・到達しなければならない目標なのです・・・偉大なる地球圏は・・私達人類にとって・・長きに渡り母なる揺りかごでした・・・ですが、いつまでも揺りかごではありません・・・人類にとっての地球圏が・・揺りかごでなくなるまでに・・そうなる前に・・言わば宇宙世紀をスタートさせる必要があると・・考えております・・」
「・・シエン代表・・地球が我々にとって揺りかごでなくなる、と言うのは・・例えば、どのような事態でしょうか・・?・・」
「・・一つには、更に温暖化が進行して・・各種の気象現象が更に過激化して・・地上での人類の居住が・・難しくなってくるとか・・もう一つには、地球磁場の循環する磁束流の中で、D層と呼ばれる循環磁束流があるのですが・・この磁束流の流れや循環のパターンの動きなどが活発化し・・徐々に磁束流の循環パターンが地表の近くにまで浮上してくることが予想されるのですが・・そうなりますと・・地殻変動の頻度やパターンが活発化する可能性が高くなる事が予想されます・・そうなりますと・・地表の状況の予測などは非常に困難になるでしょう・・・」
「・・詳しくお答え頂きまして、ありがとうございます・・シエン代表・・さて、もうそろそろ時間も押し詰まって参りましたが・・このオープンチャンネルは、定期的に開設して頂けるのでしょうか・・?・・」
「・・デミル社長・・なにぶんにも総てが初めての試みですので・・今後の事は、まだ未定です・・が、オープンチャンネルを定期的に開設すると言うのは、良いアイディアですね・・・」
「・・それはどうも・・シエン代表・・ところで、シーバットのキャプテン海江田とは、24時間後に青ヶ島港で再会する予定だそうですね・・?・・初めて対面しての会談と言う事になりますが・・・どう言った内容のお話をされるおつもりですか・・?・・」
「・・それはまあ、色々なお話をすることになるだろうとは思っています・・デミル社長・・具体的な詳細については、まだ詰めておりませんが・・例えば、海江田艦長の唱える安全保障体制の構想を・・我々としてどのようにサポートできるのかについても・・話す事になるでしょう・・・」
「・・そうですか・・シエン代表・・急な申し出で本当に申し訳ないのですが・・その青ヶ島港での初対面会談を・・我がA C N で独占生中継させて頂けないでしょうか・・?・・」
「・・デミル社長・・青ヶ島港で会談するとは言いましたが・・これが正確にどこで始まって・・どのように推移して・・どこでどのように終るのかについては・・どのような予定も立てられませんし・・何の保証もできません・・米海軍がどのように動くのかについても不明ですのでね・・・また、会談終了後に記者会見などしませんし・・一切のインタビューにも応じられません・・以上を承知して頂いて・・24時間以内に・・想定できる総ての状況・状態にも対応できる体制を構築できるだけの準備を・・A C N だけで調えられるのなら・・独占生中継を許可しましょう・・改めて申し上げますが・・そちらの記者やリポーターは・・こちらに一切話し掛けないように・・よろしいですか・・?・・」
「・・シエン・ジン・グン代表・・仰られた総ては了承いたします・・独占生中継を許可して頂いて本当にありがとうございます・・それでは私達はこれより・・独占生中継の準備に入りますので・・シエン・ジン・グン代表へのスペシャルインタビューはこれにて終了させて頂き・・このオープンチャンネルからも退出させて頂きます・・時間の無い中、インタビューにお応えを頂きまして・・改めてありがとうございました・・それでは、これで失礼いたします・・・」
それでデミル社長は退出した。
「・・全世界の皆さん・・S S D O のシエン・ジン・グンです・・このパーフェクト・フルオープン・チャンネルにお付き合いを頂きまして・・ありがとうございました・・予定はまだ立てられませんが・・次回の開設もあるでしょう・・その際には・・また宜しくお願いしたいと言う事と・・より多くの方々との対話を望んでおります・・皆さんの平安と健康と充実を祈念しております・・・それでは、ごきげんよう・・・クローズ・・」
オープンチャンネルは閉鎖された。
M A C 01 指令室・・・
「・・どうだった・・?・・」
ネットワーク・オペレーターのリーア・ミスタンテに訊いた。
「・・B G、シャドウ、クロノス、ガイゾックに侵入されましたが、いずれも第3セットの中隔で阻止しました・・・クローズまでに、あと10分あったら危なかったですね・・様々なウィルスも送り込まれましたが・・総て阻止して隔離しました・・影響はありません・・」
「・・精神感応波による攻勢はあったのか・・?・・」
ディフェンス・オペレーターのエレーナ・キーンに訊いた。
「・・20分間ほど、侵入を試みていましたが、諦めたようです・・物理破壊的な精神感応波は検知されませんでした・・・」 「・・分かった・・ご苦労様・・・」
日本・横須賀・ディーゼル潜『たつなみ』・艦長室・・・
深町 洋と田所潜水艦隊司令が、A C N・TV ネッワークから特別に中継されていた生放送番組を映し出していた、TVモニターを見ていた・・・。
中継が切れて田所司令は、帽子を右手で脱いでテープルに置いた。
「・・司令・・どうして、こんなことになったんですか・・?・・」
「・・簡単に言うなら、極めて高度な政治的判断によって・・って事だな・・・アメリカの言う事に我が日本は、基本的には逆らえない・・・それはお前も知ってるだろう・・?・・」
「・・それにしたって、『やまなみ』を犠牲にしてまでやらなきゃならなかった事なんですか・・?・・」
「・・お前が『やまなみ』の圧壊・沈没に疑問を持って音源をコピーし・・・南波水測長に持たせて秘密裏に研究所で解析させようとした事は、重大な隊規違反だ・・・だが事がコトだし・・場合も場合でな・・この任務・・お前にやらせるのだけは危ないと進言したんだがな・・・任せられるような男も他にはおらん・・・全く・・・出来の良過ぎる生徒を2人も持つと、心労で髪はこの通り、真っ白じゃよ・・・もう世界中に明らかになってしまったしな・・・海江田もクルーも全員生きとる・・・お前にはこれから『たつなみ』で出て貰う・・・青ヶ島に向い、海江田と接触して説得でも脅してでも構わん・・・シーバットごと日本に連れ帰れ・・・」
「・・米軍が撃ってきたら・・こっちも撃ちますよ・・・」
「・・優秀な艦長は・・どのような状況でも状態でも・・常に冷静沈着に・・臨機応変に行動して・・対処できるものじゃよ・・・お前の任務を特別に支援する艦として・・MJ が出る用意もあるからな・・・」
「・・あれを世間に晒すんですか・・?・・一度でも晒せば・・引っ込みが付かなくなりますよ・・?・・」
「・・その危険を冒してでも・・・シーバットを回収したいと言うのが・・・上の思惑じゃよ・・・補給は終わっとるな?・・いつ出られる・・?・・」
「・・すぐにも出られますが・・奴が人の言う事を素直に聞くタマだと思いますか・・?・・」
「・・もう一日も無いからな・・すぐ出てくれ・・・いいか・・くれぐれもな・・最後まで撃つなよ・・・・」
ニューヨーク・ポイントA・地下3階・センター・ルーム・・・・
メイン・スクリーンに映し出されていたセシル・デミル社長の姿が消えて、特別生中継が終了した・・。
ハロルド・フィンチは、もうすっかり冷めてしまった紅茶の残りを飲み干したが、まだ喉の渇きは癒し切れないように感じた。
トーマス・キールは、まるで今まで一度も呼吸していなかったのように大きく深い息を吐いた。
ジョン・リースは、グラスに残っていた液体を口に含むと顔をしかめた。あまりにも水っぽい水割りの味がした。
ルートは、コーヒー・ポットを取って自分のカップに注いだ。お代わりは3回目だった。
ショウさんは、椅子に座ったまま思い切り伸びをして、クラマトー・トマトジュースのグラスを取り、3分の1ほど飲んでグラスを置いた。
ベアーは、「何?」と言う感じで頭をもたげた。
レイモンド・レディントンは彼等より後ろの席に座ってテーブルに左肘を突き、左手で顔を支えていた。
レナード・コールはその右隣で椅子に深く座り、脚を組んでいた。
デンベはレディントンの左後ろに立っていた。
「・・さすがは榎本さんだね・・・早くも契約成立だ・・・矢継ぎ早に情報を発信して、それだけで状況を変えていくその手腕は・・相変わらず大したものだ・・・これで米軍も・・それほど派手には・・動けないだろうな・・・しかし、彼が直接地球に降りるのなら・・・同盟が狙ってくるだろうね・・・」
レッドは左手で山高帽を脱ぐと、手に持ったまま立ち上がった。
「・・それじゃ・・ジョン・グリア氏の話でも聞きに行こうじゃないか・・・訊きたい事も・・話したい事も、あるからな・・・」
皆がそれぞれに立ち上がり始めた時、少し前からモニターの一つに表示されていたメッセージを読んだトーマス・キールが、ハロルド・フィンチの前に立った。
「・・フィンチさん・・マシーンが対象者を出しました・・・」 「・・誰・・?・・」
「・・今しがた映っていた人です・・・」 「・・!!・・」
片付けようとしていたティーカップとソーサーを、ハロルド・フィンチは取り落としそうになった。
「・・!デミル社長が!?・・」 ジョン・リースも声を挙げた。
「・・と言う事は、彼は被害者で・・狙っているのは、同盟の一派、と言う事だな・・・」
レイモンド・レディントンが冷静に言った。
「・・どうするの?・・」と、ルートが訊く。
「・・私が5人率いて行きます・・皆さんはグリア氏と話を・・マシーンに指示して、仮の身分を出して貰います・・・」 トーマス・キールが言った。
「・・A C N は24時間後の生中継の準備で、かなりバタバタするわね・・どこでどう狙われるか、判らないわよ・・・」 ショウさんが言った。
「・・分かっています・・注意してガードします・・」
「・・よし、任せよう・・だが、手に余ると感じたら、直ぐに連絡しろよ・・・」
リースが空のグラスを手に取って言った。 「・・了解・・」
そう言って足早に出て行った。