S S D O ストーリー   作:トーマス・ライカー

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ニューヨーク・NPB・ターミナル2・ラガーディア空港・デルタフライヤー・シードラゴン

「・・まったくもう・・何なのよ!・・いったい!?・・・彼らの事、知ってるわね? 何者なの?・・」  「・・名前はもう聞いただろ・?・以前には同じ仕事にも拘わった事のある・・ちょっとした知り合いだよ・・だが仕事仲間ではないし・・ビジネス上の付き合いもないがね・・デンベ・・トレースも含めて、どうだ・・?・・」

「・・つながりました・・正常です・・トーレスも、もうすぐ着きます・・・」

「・・エリザベス・・君は通報しろ・・ともかく殺人事件だ・・この2人の保護も頼む・・私も奴等を追う・・弾倉はもうこれだけだ・・気を付けろよ・・教会の中を捜索して・・神父のパソコンも調べろ・・今襲ってきた奴等の事も・・・少しは判るかもな・・・」

そう言って最後の弾倉をリジーに手渡した・・その向こうから高速で接近してくる黒いステーションワゴンが見えた。

「・・本部に通報して、教会の捜索には応援を呼ぶわ・・でも、私一人でこの2人をここで守るのは危ないから、一緒に乗るわよ・・その方がこの2人も守れるし・・奴等も追えるから・・」  「・・分かったよ・・じゃあ乗れ・・トーレス、トレースしている目標を急いで追跡してくれ・・・」  「・・了解・・」

デルタフライヤー・・・・

「・・車は何台だ・・?・・」ジョン・リースと3人は、そう訊きながらデルタフライヤーの転送台の上から降りた・・。

「・・6台ですね・・しかし、レベル8のフェイザーでも倒せないとは・・?・・」

「・・まあ・・タイプ2のハンドフェイザーだったし・・恐らく、バトロイド程にまで改造・強化された、サイボーグ・ウォーリアだろう・・使っていた銃も、データに無いものだったからな・・・」

「・・じゃあ教会の後ろにいるのは、やはりBG・・?・・」

「・・いや・・メインバックがXなのは変わらないだろうが・・BGとシャドウで実戦部隊を編成してるんだろうな・・光学迷彩を掛けて、高度を上げてくれ・・どこに向かっているか、判るか・・?・・」

「・・通信を傍受していますが・・ラガーディア空港ですね・・そこで輸送機を用意しているそうです・・・」

「・・よし・・ミスター・デンベのPADにその情報を送ってくれ・・こちらから威嚇の攻撃を掛けて・・奴らの到着を遅らせよう・・レッドとエリザベス・キーン捜査官に・・奴 らが輸送機に乗って飛び立つところを見せる必要がある・・・レベル7のフェイザーで間断なく至近での威嚇攻撃を頼む・・車には直撃させるなよ・・・」  「・・了解・・・」

デルタフライヤーは光学迷彩を掛けて、高度200m程にまで上昇し、シャトルタイプ・フェイザーキャノンで威嚇攻撃を開始した・・直列して走る6台の車列の前方至近距離から、左右の至近距離地点を間断なく砲撃し、車列を10数回に渡って停車させたが・・その都度、車列を整えて再発進した・・・。

疾走する黒のステーションワゴン・・・ドライヴァーはトーレス・・助手席にはレッド・・レッドの後ろにデンベ・・トーレスの後ろにエリザベス・・その後ろにマックスとジャックの2人・・デンベがPADで確認して後ろからレッドに言った・・。

「・・ジョンからメッセージで、行先はラガーディア空港です・・ジョン達が威嚇攻撃を繰り返して奴等を足止めしています・・・」

「・・よし、トーレス、ショートカットでラガーディア空港だ・・急げよ・・」「・・了解・・」

NPB(ノース・ポール・ベース)中央指令室・・・・

「・・マノーダ司令・・製作ラボからですが・・本体の組み立ては、2時間ほどで終わる見込みです・・・」  「・・そう・・発射施設の方は・・?・・」

「・・あちらでの据え付け装置の準備は・・4時間ほどです・・エネルギーコンジットは・・90分ほどです・・」  「・・ここでの、制御操作パネルは・・?・・」

「・・それはもう完成しています・・」  「・・衛星の設置は・・?・・」

「・・既に24基を軌道に投入していますが・・これは計画から見れば、まだ10%程です・・また姿勢制御連動システムは、まだ調整中です・・それに衛星の設置は・・他の衛星群に紛れ込ませるような形で・・目立たないように行っているので、まだ時間が掛かります・・・」  「・・それはそのままの調子で続けて頂戴・・それよりゲシュマイリヒパンツァーは、所定の出力を出せるの・・?・・出せなければ、根本的に意味が無くなるわよ・・・」

「・・それについては、2.3の確認実験が必要ですが・・大丈夫です・・必要な出力は保証できます・・・」  「・・実験は慎重に行って頂戴・・・」  「・・了解・・」

「・・とにかく・・これは同盟の他の組織にも秘密で完成させるのよ・・これが完成すれば・・例えどこの誰がここに攻めて来ても・・充分に余力を持って撃退する事が出来るようになるんだから・・・」  「・・分かっています・・・」

ターミナル2・ファースト・ファクトリードック・メインポート・・・

ファーストチーフ・ファクトリーエンジニアのミゲル・セグラが、ヤマトのファーストブリッジの中で、右舷側の制御パネルと手持ちのPADを見比べつつ、忙しく指先を走らせて操作している・・ターボ・リフトのハッチが開いて、ファクトリー・エンジニアのセス・グレイス、ニール・サベージ、レイニー・マナーズ、トレイシー・ハイド、ハリー・ディレイン、スミット・マクフィー、ステラン・ハンソン、マグナス・ラングレンが連れ立って入って来た・・皆、自分のPADを持っている・・。

「・・チーフ・・こちらでしたか・・」セス・グレイスが、言いながら左舷側前部のパネルの前に立った・・ニール・サベージは左舷後部・・レイニー・マナーズはミゲル・セグラの隣に・・トレイシー・ハイドはブリッジ後部左側のパネルの前に・・ハリー・ディレインは後部右側のパネルの前に・・スミット・マクフィーは機関部制御席に座り・・ステラン・ハンソンはキャプテン・シートに座り・・マグナス・ラングレンはブリッジ前面の操舵席の下に潜り込んで、それぞれの仕事を始めた・・。

「・・セス・・フェネクスはどうなってる・・?・・」

「・・取り敢えず、ロールアウトはしたようですね・・艦内からの廃棄物・不要物の撤去と・・清掃が終ってから・・順次稼働試験に入るんじゃないでしょうか・・?・・」

「・・計画の修正指示書は見たか・・?・・」

「・・見ましたよ・・このヤマトの指揮を・・あの海江田って人に任せようって言うんでしょ・・?・・できるんですかね・・?・・」と、ニール・サベージが振り向いて言った。

「・・まあ・・今の彼のレベルじゃあ・・無理だろうな・・榎本さんも直ぐにとは言っていないしね・・これからの我々との付き合いの中で・・色々と知って貰わなければならないし・・学んでもらう事も多いだろうね・・・」

ミゲル・セグラは、見比べる眼の動きも、走らせている指先も止めずに答えた・・・。

「・・ヤマトは・・NPB攻略戦に間に合えば良いんでしょう・・?・・」

レイニー・マナーズが、右隣から訊いてきた。

「・・当初の予定ではそうだ・・パミールには間に合わないだろうからな・・だが我々の大気圏内での戦力はまだまだ少ない・・それに同盟は・・パミールでの作戦に絡めて・・世界各地で陽動作戦を仕掛けてくる可能性が高い・・ヤマトの発進準備を・・出来得る限り早く仕上げて置く必要性は・・ますます高まってきているよ・・・」

ミゲル・セグラはまた・・右側を一度も見遣らずに答えた。

「・・このヤマトを・・フェネクスともセットにして、シーバットも迎え入れて・・『沈黙の艦隊』の旗艦に据えようと言う事ですよね・・?・・そこまでする必要があるんでしょうか・・?・・」と、トレイシー・ハイドが工具ケースを開いてツールを物色しながら顔を上げて訊いた・・。

「・・同盟に所属する組織が持つ海洋機動戦力に・・効果的に対抗して抑止力を発揮する為には・・その方が良いのではないのかと考えているのかもな・・?・榎本さんは・・だが、状況の推移によっては、と言っていたから・・まだ決定ではないし・・現状では・・単に可能性の一つなんだろう・・・」

少し手を止めるとPADとパネルを見比べ・・2歩退がって操作していたパネル・エリアの全体を、ざっと見渡しながら答えた。

「・・よ~し・・どうやらここは・・これでフェイズ2完了って事で・・良いかな・・皆はどうだ・・?・・」

「・・全センサーシステムと天体観測ラボですが・・あと15分程でフェイズ2完了ですね・・・」セス・グレイスが応えた。

「・・亜空間フェイズ・トランスファー・コンバーターとは、同調できているのか・・?・・」

「・・はい・・そちらとも同調を保持しつつ、進めています・・」

「・・メインエンジン、サブエンジン、インパルス・パワードライヴですが・・あと30分でフェイズ2はコンプリート出来ると思います・・」スミット・マクフィーが応えた。

「・・プラズマ・フェイズ・パワー・インジェクターの具合はどうだ・・?・・あんまり芳しくないって話は・・3日前に聞いたが・・?・・」

「・・この一両日で、何とかこっちのレベルにまで調整を追い付かせましたよ・・遅くても40分で・・レベルコンプリートできます・・・」

「・・プラズマ・パワー・トランスファー・コンジットの、接合部分の不具合はどうなってる・・?・・」  「・・それも現状では、総て解消しました・・・」

「・・ディフレクター・シールドと、各種シールド・ジェネレーター・・・光学迷彩コンバーターと、ミラージュ・コロイド・インジェクターの同調・調整を続けていますが・・あと60分程は・・時間を貰いたいですね・・・」

トレイシー・ハイドがブリッジ後部の制御パネルの前に立ったままで、振り返らずに応えた。

「・・プラズマ・パワー・トランスファー・インジェクターとパワー・トランスファー・スチュミレーターだな・・?・・」

「・・ええ・・両方の同事調整を続けていますが・・エネルギー・ゲインとパワーレベル係数の設定と整合・調整に時間が掛かっています・・・」

「・・プラズマ・フェイズ・リアクターからの、オーバーロードにならないようにな・・?・・」

「・・ええ、それは、分かっています・・」

「・・レイニー・・ハリー・・火器管制と兵装の調整はどうだ・・?・・」

「・・ショック・カノン・・グレン・キャノン・・ゴット・フリート・・レベル9フェイザーキャノンの、調整は順調です・・既にフェイズ3のPart2まで、コンプリートしています・・3式弾は、もうチェックが終了して積み込みを開始しています・・ダブル・ヴァリアント・・トリプル・イーゲルシュテルン・・は、フェイズ3のPart5まで終わっています・・各種対空ミサイル・・対空レーザーヴァルカンは・・既に使用可能です・・・」

「・・プラズマ・スクラム・トランスファー・フェイザーバンクスの調整は・・?・・」

「・・そちらとの同事調整も含めて・・現在での進捗状況となっています・・・」

「・・フェイズクリスタルの予備は・・幾つ積み込める・・?・・」

「・・予定では3個ですが・・もしかしたら一つ増やせるかも知れません・・・」

「・・拡大集約陽電子砲は・・?・・」

「・・それは、あと20分程でフェイズ2がコンプリートします・・が、ポジトロニック・プラズマ・パワー・フェイズキャノンじゃいけませんか・・?・・」

「・・どっちでも良いよ・・インパルス・グラヴィティ・パワー・プレッシャーキャノンとの切り換えは・・?・・それと、スパイナーはどのくらい積み込める・・?・・」

「・・インパルス・パワー・トランファー・コンバート・ジェネレーターとの同事調整も含めて・・20分で完了する見込みです・・スパイナーですが・・1㎖入り、5㎖入り、10㎖入りの弾頭を、出来得る限り積み込むつもりですが・・どこまでできるかは分かりません・・・」  「・・了解だ・・」

「・・通信システムは、概ね順調です・・あと20分でフェイズ3が終ります・・」

ニール・サベージが振り向いて応えた。

「・・サード・サブスペースでの通信は可能か・・?・・」

「・・10分位までなら・・相互通信が可能ですね・・」 「・・分かった・・」

「・・各種の緊急システムですが・・あと20分でフェイズ3をコンプリートできます・・」

キャプテン・シートに座って、タッチパネルディスプレイとキーボードで操作を続けていた、ステラン・ハンソンが応えた。  「・・分かったよ・・」

「・・操舵系や操縦系・・各種のパワー伝導系のシステムですが・・あと30分で・・フェイズ3のPart5までを、コンプリートできます・・・」

マグナス・ラングレンが、ブリッジ前面の操舵席の下に潜り込んだまま、大声で報告した。

「・・各種パワー・トランスファー・コンジットの接合部分は・・特に念入りにチェックしてくれよ!・・」  「・・ええ! それは勿論! 」

ラガーディア空港・展望台・・・

レディントンとエリザベスとトーレスが並んで立っている・・レッドとリジーは双眼鏡を眼に当てている・・デンベと二人の若者の姿は見えない・・700m程先に見えるハンガーの中から・・ダークグレーにカラーリングされた輸送機が出てきた・・ジェットエンジン4基の大型機だ・・。

「・・恐らくアレだろうな、リジー・・シルエットはギャラクシーに似ているが・・エンジンは全く違うようだな・・それに対空火器を、色々と隠し持っているように見える・・・」

「・・やっぱり、何のマークも、何のナンバーも無いわね・・・」

「・・ほら、あっちだ・リジー・・・」

双眼鏡を持ったままレッドが指差す先に・・記憶に新しい、あの襲撃者の集団が顕れた・・コートも帽子もマスクも、そのままのいで立ちだったが・・武器は持っていないようだ・・。

「・・ねえ、何のケースを運んでいるのかしら・・まさか棺桶・・?・・」

「・・いや・・一つ一つに生命維持装置が組み込まれているように見えるな・・どうやらあのままで・・あの輸送機に運び込むつもりらしいな・・・」

謎の襲撃者たちは、二人で一つのケースを、計7個輸送機に運び込み・・そのまま全員が搭乗した・・輸送機はエンジンの回転数を上げながら・・滑走路に向って進んで行った・・。

「・・エリザベス・・アレが何処に降りるか突き止めるのは・・かなりの難関のようだな・・」

「・・でも必ず突き止めるわよ・・例え何処の誰に食い付いてでもね・・・」

「・・デンベがあの機体の画像を3Dで記録している筈だ・・面倒だが、着陸が予想できる空港を全部、衛星の監視システムを利用して、画像解析で見付け出すよ・・」

「・・先ず、フライトプランが出ているか、訊くわ・・出てないんでしょうけどね・・次に国内の教会支部を全部家宅捜索して・・人間関係も金の流れも徹底的に洗うわ・・これだけの銃撃と拉致誘拐殺人事件ですからね・・どんな令状も取れるわよ・・・」

「・・エリザベス・・気を付けろよ・・これらの事件の裏にいるのは・・フルクラムよりも広く深く怖い連中だ・・フルクラムの総ての結社でさえ・・簡単に使い走りにできるぐらいのな・・ここから先の捜査は・・誰が敵で誰が味方なのかを・・見極めながら慎重に進めるんだ・・いつ、どこで、誰が出て来るか・・全く判らないぞ・・・」

「・・分かってるわよ・・・」

所属不明の魔改造輸送機は、滑走路上でマックススピードに達した・・程無くしてその機首は浮き上り・・総てのランディング・ギアが、路面から離れた・・。

デルタフライヤー・・・・

「・・リースさん・・やはりこちらのベクトル解析でも一致しました・・マシーンの予想通り・・行先は、ゴールデン・トライアングルです・・・」

「・・やはりそうか・・この情報をMAC01・・ターミナル2・・デンベのPADにも送ってくれ・・・間違いないな・・ゴールデン・トライアングルのどこかに・・奴らのヘロイン精製施設がある・・」 「・・了解・・」  「・・悔しいが俺達だけでは・・そこの攻略はできない・・攻めるなら仕切り直しが必要だ・・その前にエリザベス・キーン捜査官とは・・刑事さん達も交えて・・改めて話をしなきゃならないな・・ともかくこれで・・俺達の介入が同盟に知られた・・奴等もこれからは動きを潜行させるだろう・・それでもマシーンの眼と耳から・・隠れ続ける事はできないだろうがな・・よし、回頭だ・・帰還コースに入ってくれ・・・」   「・・了解・・」

シードラゴン・ブリッジ・・・・・

パオロ・エルカーン艦長が、キャプテン・シートから立ち上がった。

「・・ポセイドンは、やまとのフォローに付いているな・・?・・よし、本艦は取敢えず、マンダに対してのインターセプトコースを採る・・ダウントリム10°・・深度500に着け・・速力30ノット・・・」

「・・待って下さい・・東京湾中央部の海底に・・フリージーヤードの反応を感知しました・・」デニス・リパートン副長が、スキャン・スイープパネルから顔を上げて言った。

「・・フリージーヤード・・?・・Qか海の眼に所属する水中艦が・・東京湾に入り込んでいると言うのか・・?・・何故出航前の探査で出なかった・・?・・」

「・・その時には丁度東京湾の海底にあった、沈船の影に隠れるような形になっていて、探知できなかったようです・・・」

「・・今東京湾にいると言う事は・・目標は西新宿だな・・?・・」

「・・そのようですね・・タイミングを観て浮上し・・洋上から攻撃するつもりでしょうか・・?・・」

「・・凶皇仏を強奪して離脱する作戦で・・洋上からの攻撃が必要だとしたら、陽動だな・・その他にも先行して上陸する部隊ぐらいは積んでいるだろう・・いずれにしろ対処は必要だ・・現状で即応できるのは、本艦だけだしな・・進路変針! 東京湾に向かう! 東京湾口までは深度300、速力30ノット、ウォータージェット停止、遮音フィールド、出力50%で展開・・」

「・・了解、取舵一杯!、回頭左80°、総員第一警戒配置!、艦側電磁水流推進、出力60%、安全隔壁閉鎖・・」副長が補足して指示した。

「・・あまり時間は無いな・・・」

クロノメーターを見てそう呟くと、パオロ艦長はシートに深く座った。

 

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