MAC01・・中央指令室・・・
「・・司令・・あと5分で第6メッセージの送信を開始する予定ですが・・内容に変更はありますか・・?・・」
「・・内容に変更は無いよ・・予定通り・・10分のインターバルを置いて・・30回、ループ発信して下さい・・」 「・・了解しました・・」
第6メッセージの全世界への送信が開始された。その内容は、こうだった。
『・・この地球圏に生きる皆さん、こんにちは・・こちらはSSDО、ソーラー・システム・ディベロップメント・オーガニゼイション、太陽系開発機構です。私は代表のシエン・ジン・グンです。これは皆さんに向けてお送りする、6番目のメッセージです。繰り返します。この地球圏に生きる皆さん、こんにちは。こちらはSSDО、ソーラー・システム・ディベロップメント・オーガニゼイション、太陽系開発機構です。私は代表のシエン・ジン・グンです。これは皆さんに向けてお送りする、6番目のメッセージです。
今回のメッセージでは、皆さんに、SSDОとしての、地球圏の総てをカバーする意味での、救急救命隊・・緊急消火隊・・災害救助隊・・緊急支援隊の創設と、その運用をたった今から開始すると言うお知らせと、先日試験的に開設しました、パーフェクト・フルオープンチャンネルを、『パーフェクト・フル・ワールド・フル・アース・ディベート』と名付けて、毎週一回、正午から一時間程度で常設します、と言うお知らせです。
残念ですがこの世界は、今この時にも、様々な事故や事件や災害の危険により、人々の生命や生活や財産や仕事が脅かされています。
それらの多くは緊急の対応が必要なものであり、救助の手を差し伸べる為に、その方法と技術と必要な物資があるなら、即時に行動を起こし、駆け付けるべきであると言う観点に基づき、我々SSDОは、『太陽系開発機構・救急救命隊』・『太陽系開発機構・緊急消火隊』・『太陽系開発機構・災害救助隊』・『太陽系開発機構・緊急支援隊』を創設し、直ちに運用を開始致します。各種の出動・救助・救命・消火・支援を要請される場合には、3・5・7・9MHzのいずれの周波数でも構いませんが、出動要請通信の冒頭に於きまして、救命・消火・救助・支援のいずれかをご指定下さい。ここで改めて強調させて頂きたいのは、どのような個人からの要請に於いても、我々は出動します。それはご信頼下さい。
出動するに際しまして、要請された現場で活動する為には、その現場が属している世界各国・各地域の領空・領海・領土に入り、降りて活動しなければなりません。要請を受けて出動した各隊は、それらに入る前に、当該国政府、若しくは政権に対して、緊急出動要請を受けて来た緊急救援隊であり、緊急救援活動の為にのみ、入ると通告し、入ります。
我々はその現場の中では、緊急救援活動以外の事はしないと、ここで確約させて頂きます。
これに対しましても、どうかご信頼頂けるように、宜しくお願い致します。
次に、パーフェクト・フル・オープンチャンネルの常設に付いてお知らせ致します。
今日を含めまして、丁度5日後が地球の標準時間での月曜日になりますので、その月曜日の正午から、90分間の時限開設で、パーフェクト・フル・オープンチャンネルを開設致します。これには、『パーフェクト・フル・ワールド・フル・アース・ディベート』と名付けまして、その月曜日の時限開設を第一回目としまして、第二回目の時限開設はその次の週の月曜日の正午と致します。このように、週に一度、月曜日正午からの90分間の時限開設と言う形で、このディベートチャンネルを常設致します。このディベートチャンネルに於きましては、どのような方のご参加も歓迎させて頂きます。勿論、どのような立場の個人でも、ご自由に、お気軽にご参加下さい。但し、参加して、発言される場合には、その冒頭に於きまして、ご本名と、どのようなお立場の方なのかを明確に述べられてから、発言されますように宜しくお願い致します。尚、最後に改めて申し述べさせて頂きますが、参加者の全発言は全世界に向けて完全に公開されます。それは改めましてご了承頂きますように、宜しくお願い致します・・』
闇の中・・・・
「・・これはいよいよ・・切り崩しに来るようだな・・・」
「・・ああ・・これからは取り合いになるな・・・・」
『財団』中央指令室・・・
「・・『同盟』は何か言ってきたか・・?・・」
プリントされた文面を読み終えてから、彼はそれを持って来た部下の顔を見上げて訊いた。
「・・いえ、何の連絡もありません・・本部長・・・」
「・・チッ・・このメッセージの重要性が本当に解らないんだったら・・いや待て・・ホットラインが繋がっている・・そうか、CEOが掛けたのか・・・流石だな・・・」
渡されたプリントをデスクに叩き付けてから通話機を取って繋ごうとしたが、モニターに顕れた表示を見ると、そのまま置いた。
「・・どう言う事なんですか・・本部長・・?・・」
「・・判らんのか・・?・・これから奴らは・・本格的にこちらを切り崩しに来ると言う事だ・・この財団をだ!・・これではっきりしたな・・これまでの9年程の間で・・同盟や財団の計画や工作が・・悉く不成立や失敗に終わっていたのは・・奴らのカウンターアタックによるものだったのだ!・・これでこれからは・・奴らとの間で人や物の取り合いが激化すると言う事だ・・・」
東アフリカ・タンザニア・アルーシャ市・東アフリカ共同体(EAC)機構本部・・
共同体機構・総裁執務室・・・デスクに置かれた一枚のプリント・・印字された文面を見下ろして・・総裁・・副総裁・・秘書官と・・2人の補佐官がいた。
「・・総裁・・それでは・・?・・」 「・・ああ・・我々東アフリカ共同体機構は・・これよりSSDОとの間に回線を開き・・対話に入る・・その旨を国連本部・・対SSDО専用連絡室の・・アダムズ事務総長と・・エチオピアの首相と・・西アフリカ諸国経済共同体機構本部の・・シアカ・セク・ブハリ議長に通告してくれ・・通話周波数を3MHzにセットして・・通信機の用意を・・・」
サンフランシスコまで150分のプライベート・ジェット機内・・・
セシル・A・デミルがプリントの文面を読み終えて、隣のボブ・マッケイに渡した。
「・・事態の進み方が早すぎる・・これじゃ国も国連もどんなメディアも・・適切に対応するどころか・・正確な把握すらおぼつかなくなるぞ・・・」
「・・どう言う事が・・起こるんでしょうねえ・・?・・」
「・・さあな・・予測は色々と立つんだろうが・・実際には全く分らんよ・・それでも・・アフリカの中で誰かが手を挙げる可能性は・・高いだろうな・・ウチとしては・・常設フル・オープンチャンネルの独占放映権が欲しい所なんだが・・それを獲得する為には・・正式に契約を締結しなきゃならんだろうな・・とにかく今は・・シスコに急ぐか・・・」
ニューヨーク・国連本部・対SSDО専用連絡室・国連事務総長執務室・・・
クレイグ首席秘書官が通信文のプリントを持ってドアをノックしてから開いた。
「・・事務総長・・」 「・・彼らの6番目のメッセージなら読んだよ・・・」
「・・事務総長・・東アフリカ共同体機構の総裁からです・・」
そう言ってプリントを手渡そうとしたが、アダムズ事務総長は左手で持っていたプリントをデスクに置くと・・・「・・読んでくれ・・・」
「・・は・・我々、東アフリカ共同体機構はこれより、SSDО(太陽系開発機構)との間に回線を開き、対話に入る・・ランサナ・サニ・コナレ・・以上ですが・・こちらとしては・・どうしましょう・・?・・」
「・・どうすることもできんよ・・彼らとの対話を望む者たちの動きを止められる権限など・・我々には無いからな・・・ただ・・・」 「・・ただ・・?・・」
「・・我々が舞台の外(そで)に・・追いやられてしまいそうな気がするな・・・」
SSDО・deck3・CCR(コミュニケーション・コントロール・ルーム)・・・
「・・通信要請を検知・・発信地・・タンザニア・アルーシャ市・・発信者署名・・東アフリカ共同体機構・総裁・ランサナ・サニ・コナレ・・添付ファイル無し・・データリンク無し・・搬送波無し・・映像通信波無し・・ハッキングではありません・・ウィルスの可能性は低レベル・・緊急支援要請です・・・道明寺 椿総監・・」
「・・了解したわ・・アーロン・ウォン・ディンシン通信士官・・基幹ファイアウォールの上に攻勢・誘導・探知の順で防壁を組んだ上で・・回線の接続を許可します・・音声をこちらへ・・・」 「・・了解・・接続しました・・オープンです・・」
「・・初めまして・・東アフリカ共同体機構のランサナ・サニ・コナレ総裁・・こちらはSSDО・・『太陽系開発機構・緊急支援隊』です・・私は、道明寺 椿と言います・・そちらからの通信・支援要請に感謝致します・・通信状態は良好です・・どうぞ・・」
「・・初めまして・・私は、東アフリカ共同体機構のランサナ・サニ・コナレです・・通信を許可して頂き、感謝申し上げます・・あの・・シエン・ジン・グン代表ではないのですね・・?・・」
「・・はい・・私は緊急支援隊の総監を務めております・・緊急支援の要請に於きましては・・私が応対させて頂きます・・よろしいでしょうか・・?・・」
「・・了解致しました・・宜しくお願い致します・・改めまして、緊急の支援を要請致します・・それと、私の事はランサナとお呼びください・・道明寺 椿総監・・」
「・・ご丁寧にありがとうございます・・私の事は椿(tsubaki)とお呼びください・・ランサナ総裁・・それでは、そちらの通信機をお手近なPCと接続して頂き、ウェブカメラを起動してください・・お互いに顔を見て、お話が出来ればと思います・・その上でそちらのデータリンクと接続させて頂きます・・それが出来ましたら、こちらでご用意できます、支援内容、物資などなどのリストを送信させて頂きますので・・それを基にお話を進めましょう・・よろしいでしょうか・・?・・」
「・・ご丁寧な配慮を頂き、痛み入ります・・椿総裁・・早速接続します・・暫くお待ちを・・・あと、これはおそらくですが・・エチオピアと西アフリカ諸国経済共同体機構からも・・緊急支援の要請が・・そちらに入るものと思われます・・その際には私からも・・宜しくお願いを致します・・・」
「・・ご丁寧にありがとうございます・・待機します・・・」
これからは、東京西新宿での争奪戦が始まる。