S S D O ストーリー   作:トーマス・ライカー

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凶皇仏争奪戦 1 裏高野集結 東京湾内会戦

『荼枳尼衆山寺』・・・山門の前・・

座り眠っている巨虎の上で、腕を組み、眼を閉じていたゴーゴン大公だったが、眼を開けて腕を解くと、一つ欠伸をして首を廻した。

「・・さて・・そろそろかな・・・」

一つ鞭を振ると巨虎も目覚めて立ち上がり、欠伸と共に全身を伸ばした。

「・・お目覚めかな・・?・・大公・・」

鎧の擦れ合う音が右後ろから聴こえた。

「・・フ・・ゼロ大帝陛下に起床の点呼を執らせてしまうとは・・申し訳ないな・・・」

「・・なんの・・それで・・どのように行くかね・・?・・」

「・・凶皇仏の近くにまで、テレポートで運んでもらう手筈にはなっている・・思案は・・編成と・・順番だが・・・」

「・・取り敢えず・・東京湾の海底に着底している水中艦の中の連中には、動くように伝えよう・・・」

シルクハットにサングラス・・マントを羽織った長身の男が・・左手に立って言った。

「・・それは任せよう・・シャドウムーン!・・」 シャドウムーンが本来の姿で来た。

「・・ビルゲニアに第一波・先発の指揮を執らせよう・・髑髏忍群に戦闘員・・戦闘アンドロイドを率いさせて・・奴らがどの程度で守ろうとするのか、見極める・・・」

「・・了解した・・・」  「・・第一波の後発は任せて貰えるかな・・?・・」

ン・ダグバ・ゼバが青年男子の人間態で、ゆったりとした白いワイシャツを着崩して歩いてきた・・左手をポケットに突っ込んで、右手で何かをクルクル回している。

「・・その前に大聖、羅誐(ラーガ)、倶摩羅(クマラ)で荼枳尼(ダキニ)衆、六道衆を率いて第一波の後発として行け・・出来るようなら凶皇仏を確保しろ・・ダグバ・・お前達グロンギは第二波の先発だ・・良いな・・」   「・・分かったよ・・・」

「・・かしこまりました・・」

大聖、羅誐(ラーガ)、倶摩羅(クマラ)が、15歩ほど後ろで傅いて言った。

「・・ガランダー・・GOD・・ゴルゴムで、第二波の後発だ・・・」

「・・第三波の先発として、ブラックサタン、デルザー軍団、シャドウだ・・・」

「・・最後に私が妖機械獣を率いて奴らを叩き、お前達の脱出を援護する・・それで良いな・・?・・では、それぞれで兵をまとめて集合させろ・・・」

裏高野・・裏壇上場伽藍・・裏山門・・・

慈空阿闍梨が、簡略ではあるが使い込まれた甲冑を纏い、両腕にはこれも使い込まれた蛇牙籠手(じゃがこて)を装着し、その背には鞘に納めた三鈷双剣(さんこそうけん)を袈裟懸けにして、裏山門から麓を見下ろしている・・。

振り返ると、前面には裏高野薬師十二神将が専用の甲冑に身を固めて立ち居並び、その後背には裏高野五輪坊の内、この地に残った「水」と「空」が60名・・そして慈空阿闍梨が五輪坊候補の「木」「土」「金」から選抜した屈強の若い僧兵が45名・・それぞれ、甲冑と籠手を纏い、プラズマ・フェイズ・スティックを片手にして居並んでいた。

裏高野薬師十二神将は向って左から、

宮毘羅(くびら)大将、伐折羅(ばさら)大将、迷企羅(めきら)大将、

安底羅(あんちら)大将、頞儞羅(あにら)大将、珊底羅(さんちら)大将、

因達羅(いんだら)大将、波夷羅(はいら)大将、摩虎羅(まこら)大将、

真達羅(しんだら)大将、招杜羅(しょうとら)大将、毘羯羅(びから)大将だった・・。

「・・慈空阿闍梨様・・そのお姿を拝見するのは、30年振りですね・・・」

風見 志郎が懐かし気に声を掛けた。見ると、彼と神 敬介・南 光太郎が、慈空の左手から笑顔で歩み寄って来る・・。

「・・もうそんなになるかね・・?・・あの時も、六道衆・荼枳尼衆・GOD・デストロンの連合を相手にして、派手に暴れ回ったな・・・」

「・・ターミナル2からの最終増援メンバーが転送されて来ます・・場所はここでよろしいですか・・?・・」 南 光太郎が一歩前に出て訊いた。

「・・ああ・・構わんよ・・こちらもいよいよ・・役者が揃いますな・・」

「・・ターミナル2と大鳥島には、西新宿での様子をモニターして貰って・・我々と同盟が接触したら・・それぞれザンボットチームとボルテスチームを発進させて貰うと言う事で・・手筈は調えてあります・・」 そう神 敬介が伝えた。

「・・それは誠にありがたい・・正しく以て千人力ですな・・・」

そう応えた慈空阿闍梨が自分の右手側を見遣ると、専用の甲冑に身を固めた夜叉王が、皆が持つものよりも太く長いスティックを携えて立ち、その後ろに乾 巧と草加 雅人が並んで佇み、その7歩ほど後ろで、既に水瓶星座(アクエリアス)の黄金聖衣(ゴールドクロス)を身に着けたカミュが、マスクを左手にして立っているのが見えた。

慈空阿闍梨は内心、実際にゴールドセイントが放つ、その威光には感心した。カミュの右隣で、緊張を隠せない面持ちのまま、地味な学生服姿で立つ深町 晶との、対比が際立っていたと言う事もあったが・・。

深町 晶も・・隣のカミュを眩し気に見遣る・・視線に気付いてカミュも・・慈しむように深町 晶を見遣った。

東京湾海底・・・着底中のQ所属水中艦・・・

「・・うっ・・」   ドクトルGがまた、右手で軽く頭を押さえて俯いた。

「・・合図が来たな・・」と、ツバサ大僧正・・。

「・・チッ・・行くタイミングぐらい、こちらに決めさせろ・・」と、ドクトルG。

「・・艦長! エンジン始動だ! メインタンク僅かにブロー・・フリージーヤードを解除しつつ離底だ・・微速前進、微速浮上だ・・」  「・・了解した・・・」

ヨロイ元帥がそう艦長に命じて立ち上がると、首を廻した。

「・・さて・・いよいよだな・・・」

シードラゴン・ブリッジ・・・

「・・艦長! 目標対象艦が動きます・・エンジン始動して離底・・微速浮上中・・」

デニス・リパートン副長がパオロ・エルカーン艦長に報告した・・。

「・・東京湾の入り口までには・・?・・」  「・・今のスピードで15分・・・」

「・・ウォータージェット最大! 電磁水流推進出力90! 発射管開口! 電磁推進ミサイル、ウォータージェットブースター装備で、装填して注水・・ヴァリアント起動用意・・最短最速で直線射程を確保できるインターセプトコースを採れ! 」   「・・了解・・・」

ターミナル2・・・第6転送室・・・

この転送室は、ここで一番規模が大きい・・人間なら一度に70人は転送できる・・今、ここから裏高野へと向かう最終増援メンバーが、集まりつつある・・。

ドアが開いて光明寺博士が、イチローとジローを伴って入室した・・既に来ていたギルモア博士とお互いに握手を交わし合う・・イワンのバスケットは、ギルモア博士の頭より少し高い辺りでフワリと浮いていた・・・ジェット、ジョー、アルベルトが入室した・・イチロー、ジロー、光明寺博士らと握手を交わし合う・・フランソワーズにボー、ジェロニモ、グレート、ピュンマも入室した・・それぞれが装備を確認している・・そして、門矢 士を先頭に、海東 大樹、火野 映司、左 翔太郎、フィリップ、小野寺 ユウスケ、野上 良太郎、津上 翔一、キャシャーンとフレンダーが入室し、最後に夏海ちゃんが獅子丸を連れて入室した・・それぞれが久し振りに顔を合わせる相手と握手の挨拶を交わしてから、ボーと光明寺博士、ギルモア博士の3人だけを残して、全員が転送台に乗った・・夏海も転送台に乗ったのを見咎めた士が、夏海の腕を掴んで台から降ろそうとする。

「・・おい! 何でお前も行くんだよ?! 危ないんだぞ! 」

「・・だって、あたしが行かないと獅子丸さんのお世話ができないでしょ・・?・・」

「・・向うにだって人はいるだろ?!・・」

「・・あたしが一番上手く獅子丸さんに説明できるのよ・!・・」「・・だってな、お前!・・」 「・・裏高野までなら良いだろ、士・・新宿には連れて行かなければ良い・・夏海ちゃんもそれで良いな・・?・・」見かねた海東 大樹が二人の間に割って入り、執り成した。

2人とも不満そうだったが、周りに対してバツが悪いのもあってか、そのまま黙った。

「・・ようし! それじゃあ、みんな、用意は良いな・・?・・解ってはいるが、無理はするなよ・・こちらでも、君達の動きと生命反応はモニターしているからな・・」

ギルモア博士の言葉を受けて、ジョーが全員を代表するかのように応える。

「・・解っています・・それじゃ、行って来ます・・・」

それを聞いた博士は頷くと、コンソールパネルの前のスタッフに目配せした。

「・・転送!・・」全員が転送ビームに捉えられて、煌めく光の中でその姿を薄れさせて消していった。

裏高野・・裏壇上場伽藍・・裏山門・・・

2秒ほど掛けて全員が実体化した。

静かだが、驚きの波紋が拡がる・・転送してきたメンバーも驚きを隠せなかった・・これ程の物々しさであるとは、考えていなかったのであろう・・。

ジョーと慈空は、お互いを見遣って会釈した・・門矢 士、海東 大樹、火野 映司、

左 翔太郎、フィリップ、野上 良太郎は、風見 志郎、神 敬介、南 光太郎のもとに歩み寄って、お互いに握手を交わし合った・・夏海は獅子丸の傍に立った・・深町 晶はその夏海に笑顔を向けながら歩み寄った・・。

「・・お元気そうですね・・夏海さん・・お久し振りでした・・・」

「・・晶君も元気そうだね・・嬉しいよ・・暫くだったね・・・」

シードラゴン・ブリッジ・・・

「・・目標艦、5分で浮上します! 」 「・・ヴァリアント起動しろ! 浮上したら上陸部隊が出るぞ! 直線射程は!? 」 「・・5分弱です・・」

「・・ミサイル発射だ! ここからなら誘導できる! 」 「・・誘導波を検知されます!」

「・・検知される頃にはヴァリアントを撃ち込める! 発射しろ! 」

ウォータージェットブースターを装着した電磁水流推進水中ミサイルが射出された。

「・・ブースター最大稼働・・電磁推進出力も最大・・・」 「・・到達は・・?・・」

「・・妨害が無ければ、250か60秒・・」 「・・目標艦からの反撃に注意しろ・・次発を装填・・直線射程を確保したら、ヴァリアント連射だ! 」

東京湾・浮上中の同盟水中艦・・・

「・・!水中ミサイル検知! 一本です! 高速接近中! 湾外からです! 誘導波を感知! 到達まで220! 」

「・・ベント閉鎖! 急速浮上! 後部発射管、7・8に迎撃ミサイル装填、注水、開口! 敵の誘導波を逆手に取って逆探知誘導プログラム! 5秒のインターバルを取って連射だ! 準備出来次第発射! 全艦戦闘態勢! 敵の攻撃を受けている! アスロック起動しろ! 浮上して敵の位置が確認出来たら発射だ! 」

「・・やはり見付かったか・・」と、キバ男爵。

「・・奴らもバカじゃない・・」と、ヨロイ元帥

「・・まだ距離はあるが、浮上出来たら飛べる者は飛んで行け・・」と、ドクトルG。

「・・それはそうさせて貰うが、他の者はどうする・・?・・」と、ツバサ大僧正。

「・・泳ぎが得意な者は海中を・・得意でない者は海上を行くさ・・艦が沈む迄の間にな・・」

と、キバ男爵がそう応え、立ち上がって肩を回した。

「・・海面まで70・・ミサイル到達まで160・・プログラム完了・・7番発射! ウォータージェット最大 電磁推進最大 逆探知誘導開始 8番発射! 」

「・・続けて回避運動A3! 全発射管にミサイル装填! 機関最大! 」

シードラゴン・ブリッジ・・・

「・・目標艦迎撃ミサイル2本を発射! 以降対象を敵艦と呼称します・・こちらの誘導波を逆探知する誘導プログラムです・・こちらのミサイルに到達するまで130 本艦に到達するまで230・・敵艦は発射後回避運動アルファパターン・・・」

「・・誘導波を停止して、自律誘導に切り換えろ・・インパルス・トラストを用意・・100秒後に起動してインパルス・プレッシャーでミサイルに干渉してコースをずらせ・・その後に迷走しているミサイルをヴァリアントで狙撃する・・秒読み開始・・両舷ヴァリアント起動! 敵艦を狙撃できるか? 」

「・・敵艦は最大速で回避運動中ですので、撃っても命中率は低いと思われます・・」

「・・それなら、敵艦の浮上方位の直上を狙って掃射しよう・・両舷ヴァリアント、連射3連、6連射で敵艦の直上を掃射する・・掃射角度は30°・・セットしろ! 」

同盟水中艦・・・

「・・誘導波が停止しました・・自律誘導に切り換わったようです・・」

「・・こちらのミサイルも自律誘導に切り換えろ・・エンジン停止・・メインタンク全ブロー! 慣性最大速浮上! 」

シードラゴン・・・・

「・・セット完了! 敵艦エンジン停止・・慣性最大速浮上です! 」

「・・連射始め! 」

極超強大電力で砲弾を加速して撃ち出す、リニアレールキャノンがヴァリアントだ・・シードラゴンの両舷に装備されたヴァリアントが3連射で6発の砲弾を撃ち出す・・掃射角度30°で慣性全速浮上中の同盟水中艦の直上を掠めて通過した・・直撃ではなかったが、瞬時に発生した強大な水圧衝撃波が、水中艦を上位6方向から叩き付けた・・衝撃波に曝された艦体を激震が襲い、海中で破滅的に翻弄した。

同盟水中艦・・・・

「・・!・潜舵、方向舵破損! バラストタンク破損! 空気が洩れます! 他に艦体4ヶ所が破損! 激しく浸水中! 浮上不能! 操舵・航行不能! 」

「・・!エンジンとリアクターを閉鎖しろ! 総員カプセルに入れ! 遺憾ながら本艦は放棄する! 総員カプセルに入り、退艦せよ! 」

シードラゴン・・・

「・・敵艦各所で破損・・激しい浸水音が聴こえます・・バラストタンクも破損したようで、浮上不能のようです・・!・リアクターとエンジンが閉鎖されたようです・・エネルギー反応急速に低下中・・ゆっくり沈下中・・このまま沈底するようです・・・」

「・・減速50%・・接近中の迎撃ミサイルにこちらのミサイルを向かわせろ・・敵艦から退避カプセルが出る筈だ・・観測はこのまま続行・・浮上用意・・・」

「・・敵艦から退避カプセルが排出され始めました・・浮上していきます・・・」

「・・よし、こちらも浮上する・・ヴァリアント収納・・予測される爆発点から距離を取って浮上しろ・・イーゲルシュテルン起動用意・・・」

MAC01・中央指令室・・・

「・・榎本司令・・東京への派遣部隊が裏高野に集合しました・・いつでも転送で配置に付けます・・・」

「・・そうか・・了解・・ところで、西新宿発掘現場の警備体制はどうなっているのかな・・?・・」

「・・夜間の警備は、民間の警備会社に委託されていますね・・毎晩交替で6人の警備員が、二人一組で一定時間ごとに巡廻しているようです・・」

「・・そうか・・じゃあここの保安部から6人を選抜してくれ・・目立たない格好をして貰って、タイプ2のフェイザーガンを持たせて転送降下・・件の警備員全員にレベル3でフェイザーを照射して眠って貰い、騒ぎが鎮まるまで、一時的にこちらで収容しよう・・・」

「・・了解しました・・直ちに掛かります・・・」

「・・収容したら、派遣部隊の全員を西新宿に転送する・・・」  「・・はい・・・」

 

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