MAC01指令室・・・・
「・・中隊の発進準備は?・・」 「・・進行中ですが・・・」
「・・中隊長に繋いでくれ・・サマリタンの状況に変化は・?・・」
「・・ありません・・まだ休眠状態には入っていません・・・」
「・・サマリタンの全体をシールドして、Mネットのサイバースペースの中に格納してしまうと言うのはどうでしょう?・・・」
チーフ・オペレーターのシェリドン・ホークスが訊いてきた。
「・・・それをやるには、サマリタン専用のプラットフォームをMネットスペースに造らなければならないんだが、もう時間が足りないな・・・ジョン・グリア氏が、適正に判断してくれることを期待するしかないよ・・・」
その時、左上のモニターが開いた。
「・・レッドリーダーのラウル・シニーズです・・」
「・・ああ、シニーズリーダー、まず発進時だが、発進ゲートも含めてミラージュコロイドで遮蔽するから、そのまま遮蔽しながら航行してくれ・・・」 「・・了解・・・」
「・・敵艦隊は大気圏離脱後に艦隊シフトパターンの再設定に入る・・・・時間にして1時間ぐらいで終わるだろうが、この隙に仕掛ける・・・中隊はミラージュコロイドを解除し、光学迷彩に切り換えて接近・・・まず艦体を覆っている電磁フィールドの極性・出力・周波数を計測して同調・同期するように・・・出力が足りない場合に備えて、パワーパックも可能な限り積載するように・・・・同期ができたら敵艦隊全艦のブリッジとメインエンジンの外壁にそれぞれ複数、アクセスセッターを接着させて、一旦は安全圏まで離脱して待機・・あとはこちらでやるから、中隊は不測の事態に備えて現場宙域の監視を厳に・・・・」
「・・・了解しました・・・・あと1時間弱で発進準備完了します・・・」
「・・分かった・・では、発進予定は2時間後で・・・」
「・・了解・・・」
「・・司令・・裏高野からの報告を基に、Xタイムを算定しました・・・」
「・・いつと出た?・・・」 「・・・今から、83時間42分後です・・・」
「・・・それでグローバーを出すことにしたのかな・・?・・」
「・・どうなんでしょうねえ?・・伏魔塔の出現と、それにまつわる地上での騒ぎから眼を逸らせるため、と言う話でしょうか?」
左手から、福居 健次郎が顔を出した。
「・・それで、場所も出たか?・・」
「・・はい・・これも大方の予想通りでパミール高原ですね・・タジキスタン・・パキスタン・・アフガニスタンの国境が接している地域で、近くに明確な目標となるものはありません・・」
「・・・そうか・・・場所も含めて、裏高野と聖域(サンクチュアリ)と梁山泊を含めて、各方面に通告してくれ・・・ロボの修理は、間に合わないようだな・・・大鳥島のソーラー・バードの状況を訊いてくれ・・・それと、世界各地のニュースサイトのチェックを厳しくしてくれ・・・そろそろ妙なものが見付かっていないか?・・・」
「・・力を持つ人間をダークサイドに覚醒させるための触媒ですか・・?・・」
チーフ・オペレーターの一人のグゥエン・シンが訊いた。
「・・そう・・・できればハーディアスがどこで生まれるのかを知りたいところだが、それは無理だろうな・・・」
「・・情報が無いことはありませんが、極端に少ない上に、どれを取っても切れ切れなものばかりでとても場所を絞り込めませんね・・」
「・・司令・・サード・メッセージのループ発信を終了します。続いてフォース・メッセージのループ発信を開始します・・」 「・・了解・・」
「・・・地上からこちらには、まだ何のコンタクトも無いか・・?・・」
「・・まだ始まったばかりですし、ニュース・メディアにもプレッシャーが掛けられているでしょうから、もう暫く時間が掛かるでしょうね・・・でも地上からは必ず、様々な接触があると思いますよ・・」
「・・・サハラから艦隊が飛び立てば、流石に騒ぎ始めるだろうな・・・・まあ、それらも我々にとっては重要な援護の一つになるからね・・・」
「・・司令・・大鳥島からの返信ですが、ソーラー・バード自体の発進準備はまだですが、ボルテス・チームの訓練は終了するとの事です・・・それと、マシーンが対象者を出しました・・・同時に地上でも表示されています・・・ジョン・グリアも含めた、サマリタンのメンバー・・・75名です・・・」
「・・了解した・・ボルテス・チームには、そのまま出動待機態勢に入って貰うように返信してくれ・・・」
「・・サマリタンのメンバーを狙っているのは、Mか?・・・」 「・・そうです・・」
「・・サマリタンが眠っても眠らなくても、と言う事か・・・Mはもう同盟の息がかなり掛かっているからな・・・地上に派遣しているスタッフと装備で対応できるだろうとは思うが、少し応援を廻そう・・・ターミナル2に連絡してユウスケ君と正一君をニューヨークに転送しよう・・・ターミナル2とニューヨークのスタッフリーダーには短く通達してくれ・・・ハロルドさんから問い合わせがあったら、その旨も説明して対応はそちらに任せる、と返信するように・・・・」 「・・・了解しました・・」
廃棄地下鉄駅構内・・・・・・・・
「・・・マシーンがまた対象者を出したよ・・・・」
ハロルド・フィンチがプリントを片手に皆を振り返った。
「・・・当てようか?・・・サマリタンのセンタースタッフ全員がMに狙われている・・・・」と、ジョン・リース。
「・・・正解だ・・・サマリタンが眠っても眠らなくても、間もなくMは動くな・・・」と、フィンチ。
「・・リースさん、スタッフ30名、B4装備・・出動態勢で待機中です・・・他の20名は、個別任務を遂行中です・・・」 と、SSDOからの派遣スタッフ・リーダー、トーマス・キールが声を掛けた。
「・・了解だ・・全員で出動しよう・・・刑事さんたちには知らせなくて良い・・騒ぎを大きくしたくない・・」
「・・シャトルは出しますか?・・」 「・・勿論だ・・Dは除いてA・B・Cで行こう・・」 「・・了解しました」
「・・フィンチ・・・サマリタンがいよいよ危なくなるまで、どのくらいだ?・・・」
「・・・1時間弱と言ったところかな・・・・」 「・・・分かった・・・じゃあ、行ってくる・・」
ショウさんもルートも一緒に出て行った。
「・・気を付けてな・・」そう言ってフィンチは、またモニターの前に座った。
裏高野・裏本堂・・・長身で筋骨逞しい青年が声を掛けた。
「・・慈空・・・」 「・・・日光様・・・・」 「・・星海殿はどうだ?・・」 「・・今は更に細部の見立をして貰っております・・」 「・・そうか・・あまり、ご無理にならないようにな・・」 「・はい・・」
「・・伏魔塔の場所が出たから、俺は五輪坊の内、地・火・風の三つを率いて行く・・・ここには、水と空を残して行くから、どこかで触媒として奴らが使いそうな物が発見されたら、その二つを率いて、奴らがそれを回収する前に処理してくれ・・・・」 「・・分かりました・・孔雀には?・・・」
「・・孔雀は連れて行かないし、知らせもしない・・・触媒の事も知らせるな・・・・孔雀の力は役に立つが、今は奴らに取り込まれそうになることが怖い・・・」 「・・分かりました・・・お気を付けて・・・」
「・・お前もな・・・触媒が見付かれば、上からも知らせが来る・・・星海殿を頼むぞ・・」 「・・はい・・・」
そう言って、日光と呼ばれた男は出て行った。
やまと・・・・
「・・・山中・・・・」 「・はい、艦長・」 「・・深度500に付けてくれ・・・速度は10ノットへ・・・」
「・・・了解・・・・」 「深度500に着いたら、ピンを打つ・・」 「・・はい・・しかし、付近に他艦の気配は・・」
「・・ああ、確認したいだけだ・・・」 「了解」
ネプチューン・・・
「・・艦長・・海江田艦長が深度500への浮上と、速度10ノットへの減速を指示しました・・・その後、アクティブ・ソナーを使うようです・・・・」
「・・・やはり感じているのかな・・・・こちらも速度10ノットに減速・・・深度はこのままで良い・・・マスカーを開始してくれ・・・・僚艦全艦にも暗号圧縮サインで通達・・・・」 「・・・了解・・」
やまとが緩やかなアップトリムとともに減速し始める・・ネプチューンとポセイドンも減速を掛けた。
そして、両艦ともにマスカー・バブルシールドの展開を始めた・・・粘着性の高い泡状のシールドが艦体を覆っていく・・・完了すれば、アクティブ・ソナーの探査音が到達しても、音波はバブルに吸収されて反射しないようになる。
聖域(サンクチュアリ)・・・・・教皇の間・・・・
「・・教皇様・・・・」 「・・・アイオロス・・・シャカ・・・・・どうした?・・・・」
「・・・伏魔塔の場所と出現する時間が分かったそうですね・・?・・・」 「・・・ああ・・・・」
「・・・それで、こちらからは誰を・・?・・・・」 「・・・誰も送らない・・・それは上にも伝えた・・・・」
「・!・・なぜです?・・ハーディアス軍は我々の宿敵・・・・我等が出て主導するべきでは?・・・・」
「・・アテナは降臨されたばかりでまだ幼い・・・我等はここの守りを固めねばならぬ・・・それに我等の宿敵はハーディアスだけではないし・・・現在、聖闘士(セイント)の数は圧倒的に足りない・・・・六道衆との戦いに派遣できる聖闘士(セイント)はいない・・・・それは上も承知しているし、裏高野と梁山泊にも了承して貰っている・・・今回は彼らの作戦に委ねるしかない・・・・」
「・・・・我等の現状は理解していますが、悔しいですね・・・・・それで、作戦とは?・・・」
「・・降下チームが揃う場合と揃わない場合での2案があるそうだが、詳しい事はまだ知らされていない・」
梁山泊・・・中央指令室・・・・
「・・・・長官・・・どうやら伏魔塔出現の騒ぎからも眼を逸らさせる必要があっての、グローバー動員のようですね・・・」
「・・・そのようですね・・・・サマリタンの方は任せるしかないとして・・・・聖域がセイントを割けないと言うのも了承するとして・・・・降下チームが揃わない場合には、強行作戦案が採用されるでしょうから、その場合に備えて、私も船団と共に行こうと思っています・・・黄先生・・・・」
「!・・・中条長官自らが行かれなくても・・・・」
「・・・いや、降下チームが揃わなければ、榎本さんは自分が降りると言うでしょう・・・・現状で奴らに、彼の存在とその力を知られる訳にはいきません・・・それなら、私が行きます・・・・」
「・・・確かに・・・それしかないのかも知れませんね・・・・しかし九大天王の一人であるあなたが・・・・・」
「・・・ところで黄先生・・・・弟さんの海峰君は今どちらに?・・・・」
「・・・実は黄家仙道から降下チームの一員として呼ばれていまして、今は王仁丸君と一緒にガランシェールに乗っています・・・・」 「・・・そうですか・・・・そちらの方も気掛かりですね・・?・・・」
「・・・いや、海峰の方が修得した法術や仙術、そして体術でも、私よりも上ですから・・妥当な人選です・・・」
やまと・・・・・
「・・・深度500です・・・」 「・・よし、アクティブ・ソナー発振」 「・・了解、発振!」
やまとがピンガーを打った。 4艦は既にマスカー・バブルシールドの展開が終了していたので、やまとからの探振音波は到達したが、反射波は生成されなかった。 が、他に反応があった。
ネプチューン・・・・・
「・・・・!・・艦長、艦です・・・1艦・・・・こちらを基点として方位は10時20分・・・・距離は・・42200・・深度は820・・・ボトムしています・・・」 「・・・1艦だな?・・・」 「・・はい、今のところ・・・・」
「・・・艦のタイプは判るか?・・・」 「・・・このディテールでは、クラーケン・クラスの可能性が高いですね・・・エンジン音か、推進音が聴こえれば何とか・・・何番艦かも判るかと思いますが・・・・」
「・・・やまとの反応をモニターしてくれ・・・遮音フィールドを展開していないと言う事は、存在を探知されても構わないと言う事だな・・・・・」 「・・了解・・・そのようですね・・・・」
やまと・・・・・
「・・・速度を5ノットへ・・・」 「・・了解・・」 「・・随分大きい艦ですね・・・戦略原潜でしょうか?・・」
「・・・このディテールのデータは登録されていない・・・それに戦略原潜なら護衛として攻撃型の原潜がいるはずだ・・・なぜ1艦だけでここにいる?・・・エンジン音は無いな?・・・」
「・・はい・・推進音も共にありません・・・」 「・・・どうしますか、艦長?・・・」
「・・・正体が判らないし、何かイヤな感じもする・・・・感じていたプレッシャーの正体がこれなのかは分からないが、関わり合いになるべきでもないと思うな・・・・ハッキリしているのは、あれが所属しているのは国家ではないと言う事だ・・・・もしかしたら我々が海に出た後で、世界情勢が変わったのかも知れないな・・・」
そのままの姿勢で2分ほど動かなかったが右手で帽子を脱ぐと艦長・海江田史郎は、山中副長に振り返った。
「・・・あれがエンジン始動して推進音が聴こえたら、面舵20°・・・アップトリム10°で浮上・・動きが無くても通過後、浮上する・・・私はライアン大佐の話を聞いてくる・・・・」 「・・・了解・・・」
クラーケン・クラス 4番艦、「マンダ」・・・・・・
「・・攻撃型の原潜ですね・・・推進音、エンジン音共に登録にありません・・・」
「・・・データに無い?・・・ふうん・・さてはシーバットとか言う反乱逃亡艦だな・・・レポートにあるデータと照合してみろ・・・本艦はこのままだ・・・変更はない・・・・」 「・・・了解・・・しかし、本艦を感知しても慌てませんね・・・」 「・・・度胸の良さと言うのかな・・・・肝は据わっているようだな・・・・並みの艦長ではないな・・・・」 「・・・レポートにあるデータと合致しました・・・シーバットです・・・・」
「・・・ふん・・・モニターは続行・・・・シーバットに変化が無ければ、これ以上の対応はしない・・」
「・・・了解・・・・」
廃棄地下鉄操車場車庫・・・・・
「・・・リースさん・・・シャトルA・B・C・・発進準備完了しました・・・乗員の配置も完了・・・」
「・・よし・・・じゃあ行こう・・・」 「・・待って下さい・・・ターミナル2からの転送信号を感知・・・同時に上から短い通達です・・・」 「・・・内容は?・・・」 「・・2名の応援を送るが、対応はこちらに任せると・・・・」
「・・・応援を2人だけ?・・・分かった、取り敢えず転送収容してくれ・・・二人だけって、誰だよ?・・・」
「・・デルタ・フライヤーで収容します・・・」 「・・・了解・・出迎えよう・・・」
リースとショウ、ルート、トーマスがそれぞれ搭乗していたシャトルから降りて、デルタ・フライヤーに乗り込んだ。 そのまま転送室に入る。 リースは担当スタッフに頷いて収容を了承した。
「・・・転送・・・」 デッキの上で2人が実体化した。
「!・・ユウスケ!・・・正一君!・・・・」 「・・・久しぶりですね、リースさん・・・・」
「・・・君達2人が来ると言う事は・・Mは結構ヤバイのか?・・・」 「・・・みたいですよ・・・」
「・・分かった・・・トーマス・・・デルタ・フライヤーも使おう・・・乗員・装備の再配置を頼む・・・」
「・・・了解・・・10分で終えます・・・」
『サマリタン』指令室・・・・・・・
ジョン・グリアは、スタッフ全員を見渡した。
「・・・諸君・・残念ながらサマリタンは既に制御不能であり、信頼できる情報によれば、強制的に統合されてしまう可能性が高まっている・・・・誠に遺憾ではあるが、スリープ・コードを入力して隔離してあるコピー・システム以外は、休眠させる・・・」
そう言ってスーツの内ポケットからメモを取り出し、コードを入力した。
スリープ・モードへの移行は急速に進み、3分も掛からずに表で稼働しているサマリタンの全システムは休眠した。
薄暗くなった指令室でグリアはまた口を開いた。
「・・全員、武装の上第5CICに移動する・・すぐにMが襲ってくる・・・この指令室は放棄する・・・」
MAC01 司令室・・・・・
「司令・・サマリタンの表面上のシステムが休眠しました・・・稼働は必要最小限・・・スタッフは全員武装して第5CICに移動するそうです・・・・・続いてガイゾックからMのサーバーに通信が入りました・・・部隊が出るようです・・」
「了解だ・・・ニューヨークに暗号圧縮コードで通信を・・」 「・・了解・・」
廃棄地下鉄操車場車庫・・・・・・・・・
「リース君、サマリタンが休眠した・・Mが動くぞ!」 「分かった、トーマス、どうだ?」
「出られます!」 「よし! Dを先頭にしてABCの順で出よう!」 「・・了解・・」
「リース君、上からの連絡だが、センサー・ステージはデルタ・フライヤーともリンクさせるそうだ・・今ゲートを開ける・・気を付けてな・・」
「分かった、発進する・・トーマス、行くぞ!」
「了解・・シャトル全機、光学迷彩・・インパルス・パワー20%・・浮上・発進!」
ハロルド・フィンチが廃棄地下鉄駅に通じている閉鎖されていた引き込み線トンネルのゲートを解放した。その先には斜め左に横穴トンネルが彫り抜かれており、そのトンネルの先はハドソン川河口デルタ・エリアに通じる、都市雨水排水管の放水口につながっている。
デルタ・フライヤーを先頭にシャトル全機は、A・B・Cの順でフワリと浮き上がると次々とゲートを潜り抜けて行った。
それを見送ってからフィンチはモニターの前に戻り、ニューヨーク全域をモニターしているセンサー・ステージウィンドウに注意を向けた。
シャトル全機は光学迷彩を掛けたまま放水口から飛び出すと、高度800mまで上昇して編隊を組んだ。
「・・・目標ポイントまで2分20秒・・・・Mの動きは・・・・不明です・・・・」と、トーマス。
「・・着く頃には判るだろう・・フェイザー・ライフルのレベルと出力を確認して置けよ・・」 「・・了解・・」
ケンタッキーの山荘で・・・・
「・・・レイモンド・・・・」 そう言ってデンベがPADをレッドに手渡す。
「・・・ふん・・・サマリタンが眠ったか・・・」 それだけ言ってPADを返すと帽子を取って被り、コートに袖を通しながら言う 「・・ジョンに電話して機体の準備をさせてくれ・・・ニューヨークに行こう・・・」
間髪を入れずにデンベの電話が鳴る・・・応対したデンベが少し驚いた様子でレッドに手渡す。
「・・もしもし・・」 「・・ニューヨークに行くのか?・・」 「!レナード!電話はマズいだろう・・」
「・・大丈夫だろう・・・奴らの目も耳も今は殆ど向うを向いてる・・・私もグリアが死ぬ前に訊きたい事がある・・」 「・・思う事は同じか・・」 「・・多分私の方が先にニューヨークに入る・・」
「・・分かった・・向うで合流しよう・・」 それだけ言って切った。 「さあ、行こう」
「・・エリザベスには・・?・・」 「・・何も知らせない・・FBIがサマリタンの事を知ったところでどうにもならん・・」
「やまと」士官室・・・・・・
「・・ライアン大佐・・・ご不自由をお掛けしていますね・・・申し訳ありませんが・・・・」
「・・・いや、良くしてもらっていますよ・・・かなり、退屈ではありますがね・・・・」
海江田四郎はライアン大佐の向かいに座り、PADを置いて示した。
「・・大佐・・・この艦に見覚えはありますか?・・・また・・国家以外の存在で・・このような大型の戦略原潜クラスの水中艦を保有でき得る存在について・・心当たりは?・・・」
「・・・海江田艦長・・我々も時折に流れる噂でしか聞いたことが無い・・・ディテールをはっきりさせたければ、早く浮上して情報を収集する事ですな・・・・」
闇の中・・・・・・
「・・・・それで、あれはどうする・・?・・」 「・・・・厄介ではあるな・・・・」
「・・・・叩くしかないのだろう・・?・・・」 「・・・・叩けるならな・・・・・」
「・・・・確かにあれには、我らの知らぬ異質な力があるように感じる・・・・」
「・・・・妙に、先回りをされているような感も拭えないしな・・・・・」
「・・あれの手の内を知るためだけでも、続けて叩くのは必要だろうな・・・」 「・・・確かにな・・・・」
ニューヨーク上空・・・・・
「・・・目標ポイントまで40秒・・・・Mの車両は・・10台・・・いや12台・・・目標ポイントまで3分ほどです・・」
「・・・全機屋上に着陸・・・パーソナルフォースフィールド起動・・・シャトルCのクルーは第5CICに転送降下して関係者を屋上に誘導・・対象者の目の前で実体化はするなよ!・・我々は光学迷彩を掛けて、パーソナルジェットで地上に降下してMを防ぐ・・降下しろ!・・」
「・・了解、ポイントクリアー・・・着陸10秒前!・・」
デルタ・フライヤーを先頭にシャトルは光学迷彩を掛けたまま、全機屋上に着陸した。
「・・リースさん!僕達は先に行きます!変身!」
正一とユウスケはそう言って跳び出すと、直ぐにアギト・クウガに変身して屋上から跳び下りた。
「フライヤーは転送準備!降りるぞ!後に続け!」
リースも跳び出すとバックパックジェットを噴かして跳び下りる。
リースに続いて22名が跳び下りた。右側にショウさん、左側にルートが付いている。
下を見晴るかすと500Mほど向うで、黒塗りの車が集まって停まり始めている。
クウガはマイティ・フォーム、アギトはグランド・フォームで着地した。
「・・リースさん・・見覚えのあるヤツらがいますよ・・」 クウガ(ユウスケ)が通信機で呼び掛ける。
「・・ああ・・ヤツらの顔は忘れない・・・」 言いながら全員、ほぼ同時に着地した。
「・・誰なんだ?リース君・・・」 フィンチだ。
「・・結構ヤバいぞ、ハロルド・・・前にやり合ったハイパーゾアノイド5体の内の2体・・エレゲンとザンクルスだ・・・」 「!クロノスが出張ってきてるのか!」 「・・そういう事だ、切るぞ!」
「・・ユウスケ!正一君!・・援護するからハイパーゾアノイドは任せる!」 「・・了解!」
Mの車は総て止まり、戦闘員が降りてサマリタンの秘密本部ビルに迫り始めている。
「・・全員でクウガとアギトを援護する! ヤツらをこっちに近付けさせるなよ!」 「了解!」
やまと・・・・
「・・海面まで30秒・・」 「・・不明艦は?・・」 「・・動きません・・」 「・・アンテナを露出・・」
「・・了解・・」 海面を割ってシーバット(やまと)が浮上した。
「・・通信士・・・予定通り、平文で発信だ・・・」 「・・了解・・」
《good morning U S A ホンカン ゲンシリョクニテ コウコウチュウ》
「・・ノーチラス号がハドソン川を遡上しながら打った電文とはね・・・」
ライアン大佐が後ろで腰に手を当てながら皮肉っぽく言う。
「・・そう・・・最初にはどうしてもこれを打ちたかった・・・・」
「・・周辺に機影はありません・・・静かです・・・」
「・・それじゃあ、ネットに接続して情報収集といこうか・・・・」 「・・了解・・」
サマリタン本部前・・・・
「・・オイ、あれはクウガにアギトだぞ・・?・・」 と、エレゲン。
「・・フン・・奴らも備えていたと言う訳だな・・・」 と、ザンクルスも車から降りながら言った。
「・・ゾアノイドは獣化しろ! ゴルゴム怪人とグロンギは前に出ろ! Mの戦闘員は援護しろ! 何としても突破して地下施設に突入するんだ!」 と、エレゲン。
ゾアノイドは全員が次々と獣化した。主力はグレゴールとラモティスだったが、ヴァモアも2割程度いた。
「・!・・ゴルゴムやグロンギもいるぞ! 全員、フェイザーレベル7に設定しろ! ルートのチームは右から! 俺のチームは左から行く! ショウのチームは上から行け! ヴァモアのバイオブラスターを先に潰すぞ! 用意!」 と、リースが指示を飛ばす。
「・・リースさん! サマリタン・スタッフメンバー誘導中!」 「了解・・急げよ!」 「了解」
クウガとアギトが最初のゴルゴム怪人とグロンギに殴り掛かる5秒前・・・「撃て!」 と、リース。
ニューヨークでの攻防戦が始まった。
MAC01司令室・・・・・・
「・・・司令・・・ニューヨークで接触しました・・・」 「・・・大丈夫そうか・・?・・」
「・・大丈夫でしょう・・・それと、先程やまとが浮上しました・・・」
「・・・ああ、同盟の水中艦と接触したんじゃしょうがない・・・パワーグリッドのエネルギー備蓄レベルはどうだ?・・そろそろいけそうか?・・」
「・・・いけますね。・・・レーザー発振、開始します・・・」
「・・了解・・全システム、フェイズ2起動準備だ・・メイン・パワーグリッド、インパルスパワー反応炉接続・・」
「・・接続しました・・インパルスパワーコア・・ポーラロン結晶体・レーザー励起・良好・パワーレベル上昇・パワーフロー・サーキュレーション、共に良好・・インパルスパワー反応炉・・臨界パワー40%まで、40秒・・・」
「・・・よし、フォース・メッセージを停止。フィフス・メッセージのループ発信を開始・・」
「・・了解・・フィフス・メッセージのループ発信を開始・・」
「・・・メイン・インパルスパワー反応炉・・臨界パワー42%・・起動準備、完了・・・」
「・・・メイン・インパルスパワードライヴ・・起動・・・全システム・・フェイズ2へ移行・・・」
「・・・了解・・・メイン・インパルスパワードライヴ起動完了・・フェイズ2への移行シークエンスを開始・・・」
「・・全システム・・アップデートプロトコルを解放・・・移行シークエンス・・完了しました・・・SSDOMAC01・・・フェイズ2です・・・」
「・・よし・・・第2段階、完了だな・・」 そう言ってオールセクションにコミュニケーターを繋いだ。
「・・司令室より全セクションへ・・こちらは榎本だ・・・ステーションはフェイズ2への移行を完了した・・皆の協力と努力に感謝する・・・だがこれからは、同盟や財団からの攻撃が激化するだろう・・・これからが正念場になるので・・油断しないでいて欲しい・・・以上だ・・・」
ニューヨーク攻防戦・・・・・
Mの戦闘員が放つ銃弾は、マシーンチームが個別に展開したパーソナル・フォースフィールドに弾かれ、跳弾となるだけだった。 8体のヴァモアがバイオブラスターを開こうとした。
「・・撃てぇ!」 ショウとルートが同時に叫ぶ。
ほぼ全員のフェイザービームがヴァモアに集中して、バイオブラスターを焼き潰した。
ライジングマイティにフォームチェンジしたクウガが、ラモティス2体を殴り飛ばし、ゴルゴム怪人を殴り倒して、グレゴールをキックで蹴り飛ばした。
フレイムフォームにチェンジしたアギトは、剣や槍を使うグロンギ3体とフレイムセイバーを用いて戦い、相手の武器を払い飛ばし、斬撃を加えて撃退すると、グレゴール2体・ラモティス3体・ゴルゴム怪人に斬撃を加えて後退させた。
Mの戦闘員が次々とフェイザー・ビームで気絶させられる中で、エレゲン、ザンクルス共に獣化はしていたが、前には出られずにいる。 リースのヘッドセットに通信が入った。
「・・リースさん! スタッフ全員 屋上に誘導完了 シャトルABCでポイントAへの移送を開始します・・」 「・・了解・・急いでな・・」 「・・はい・・」 「・・よし! このまま防ぎきるぞ! 」
クウガとアギトが格闘している怪人、グロンギ、ゾアノイドに、それぞれフェイザー・ビームが数本ずつ撃ち込まれて、次々と気絶させられていく。Mの部隊の旗色は悪い。
「・・ダメだな・・」 エレゲン。 「・・・ああ・・」 ザンクルス。 獣化を解いた。
「・・大体マシーンチームがこんなに強いなんて聞いてないぞ! 」
「・・・クウガやアギトともつるんでいるようだからな・・・」
「・・ヴァモアは収容しろ! 車まで下がれ! 連れて帰れる者は連れて帰るぞ! 」
「・・全員、引き揚げだ!!」 「・・撤退する! 乗れ!」
「!逃げるわよ!」 ショウさんがそう叫んで4・5人と一緒に勢い付いて前に出ようとするのをリースは鋭く制した。
「追撃するな! サマリタンスタッフの移送が先だ! 周辺の安全を確保しろ! 残っている敵は無力化しろ!」 「・・了解・・・」
「・・周辺を掃討して安全を確保する! ルートとショウのチームは屋上まで上がって、上空を警戒しつつ移送を警護してくれ! 」 「・・・了解・・・・上がるわよ!・・」
ルートとショウのチームがジェットを噴かして上昇する・・残っているMの戦闘員が散発的に撃ってきているが、リースのチームがフェイザーで次々に気絶させていく。
「・・ハロルド! 聴こえるか? 」 「・・聴こえているよ・・・どうした? リース君・・」
「・・こっちはそろそろ終わりそうだ・・・」 「・・・了解した・・・移送は順調かね? 」
「・・ああ・・あと一往復で終るだろう・・」 「・・そうか・・皆、無事かね?・・」
「・・ああ、無事だ・・ケガもない・・・それでフィンチ・・気絶させた連中にタグを付けるから、ターミナルに連絡してファクトリーに転送で収容するように頼む・・・」
「・・・分かった・・伝えよう・・・気を抜かないでな・・」 「・・ああ・・分かってる・・・移送が完了したら俺達も移動するから、取敢えずポイントAで会おう・・・」 「・・・了解した・・・」
通話を切り上げるとほぼ同時に、最後の戦闘員が気絶した。
リースが立ち上がってヘルメットのバイザーを上げた。
「・・安全を確認してくれ! それから倒れている全員にタグを付けてくれ・・・あまり見られたくないから、ちょっと交通整理も頼むよ・・・」 「・・・了解・・・」