機動戦史ガンダム 双眸のガーディアン   作:アルファるふぁ/保利滝良

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第5話 交わす言葉、交わす契約
5話 Aパート


大気圏の外、地球が目と鼻の先にある太陽系の片隅。青い星の反対側を向けば、黒いカーテンに無数の煌きが見えた。

 

宇宙。はるか数百万光年先の星の数々が、一面真っ黒の宇宙にイルミネーションのように輝いていた。

 

そんな中にあって、星々の光よりも近くに、より眩しい輝きがあった。飛び交うビームと爆ぜるモビルスーツだ。

 

宇宙戦争。空気も水もない無重力空間で、無慈悲な殺し合いが行われている。その主役は、モビルスーツだ。

 

モビルスーツは機体各所にスラスターを備えており、運動性、機動性が非常に高い。既存の機体の概念から脱却できない宇宙戦闘機や、サイズゆえに小回りが効かない宇宙戦艦では、モビルスーツの独壇場は覆せない。

 

現在戦闘を行なっているのは、コロニー連盟のナルカ共和国と、地球連邦軍の衛星軌道パトロール部隊であった。双方激しい攻撃の応酬を行なっている。しかし、数で勝るナルカの部隊と、定期巡回をするための連邦部隊とでは、数も質も段違いだった。

 

「後ろか、早っ…」

「堕ちろ!」

「うわ!」

 

青いシルエット、ディヴァインが、両腕がビーム砲になっているレガストBの背中にビームソードで斬り付けた。大きな裂傷を受けたレガストは、パイロットが死んだのか、動かない。

 

星が瞬く宇宙。いくつもの光る点が軌跡を描いてこの宙域を離脱していく。連邦の部隊が、スラスター噴射光の尾を引いて撤退しているのだ。

 

この場の戦闘はナルカ共和国の勝利に終わった。虫のような意匠を持ったモビルスーツ達が、踵を返して母艦へ戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっ…げぇえ…」

 

そんな様子を、サブローはモニターで鑑賞していた。ガンダムで出撃していないのは、地上の戦闘でガンダムが損傷していたのと、そもそも宇宙に出たばかりの彼を宇宙戦闘に出してもスペースデブリになってしまうだけと判断されたためだ。

 

彼の自室はクインスローン内部。自身の軟禁に使われた場所がそのままあてがわれた形になる。故郷の自室と比べて豪華な部屋で、正直落ち着かない。

 

傍らには、臣下の働きぶりを見守るソーラ女王の姿があった。サブローと同じモニターを眺めている。

 

「こちらには被害が無いようですね」

「誰も死ななくて良かったっす。ナルカのパイロットは、強いんすね」

「えぇ、良き兵士たちです。彼らの働きぶりには感嘆するばかりです」

 

早口のサブローに、ソーラは若干引き気味だ。無理もない、地球生まれ地球育ちのサブローにとって、宇宙に来たのはこれが最初なのだ。

 

地球では、宇宙に出ないまま生涯を全うする人間が数多くいるらしい。逆に、コロニーの外に出ないコロニー市民もいる。そんな状況では、相互理解の不足もやむなしだ。

 

「サブロー、もう平気なのですか?」

「え、何がっすか?」

「大気圏離脱時にあんなに気持ち悪がったのに」

「あ、あああ…いやあ、ええ。もう、もう大丈夫っすよ、はい。多分!」

 

地上のナルカ艦隊は、連盟制圧下のマスドライバー基地にて乗艦ごと打ち出され、大気圏を離脱した。そして、衛星軌道上で待機していた宇宙の本隊と合流したのである。

 

ちなみに、サブローは大気圏離脱の衝撃で嘔吐した。

 

「車の急ブレーキとエレベーターが到着する寸前のアレが何時間も続くみたいで、正直もうゴメンっすね…」

「何か?」

「いや、全然!何でもないっすよ!!」

「そうですか…」

 

思い出すたびに、サブローは身震いを起こした。頭の悪い彼は、同行しているナルカ共和国軍がもう一回大気圏離脱を行う可能性を考慮していない。

 

二人が話し込んでいると、部屋のドアが乱暴に開けられた。ノックもなく、何かしらの一言もない。これはただならぬ雰囲気だ。

 

入って来たのは、ナルカ共和国親衛隊のメイヴィー・スノウ。美しい顔立ちに怒りの表情を露わにしていた。ヘルメットを脱いでくしゃくしゃになった髪の毛が怒髪天のように見える。

 

「やはりここにいらっしゃいましたか…」

「め、メイヴィーさん?」

「ソーラ様、サブローとの面会は一人でなさらないでとあれ程…」

「すみません、メイヴィー。気が緩んでいたようです。心配をかけました」

 

速攻で謝られ、何も言えず唇を震わせる。そんなメイヴィーの姿を見て、サブローは震え上がった。もしソーラに何か失礼なことをしでかしたら、目の前の女親衛隊員が愚かな百姓の三男坊を八つ裂きにするに違いない。

 

メイヴィーの肩に、ぽんと左手が置かれる。彼女の後ろから出て来たのは、親衛隊長のショーンであった。

 

「おい、メイヴィー。カリカリし過ぎじゃないのか?」

「でも、サブローは…」

「大丈夫です、ショーン。メイヴィーの言い分が正しいでしょう。私が迂闊すぎました」

「ソーラ様…」

 

サブローは困惑するように3人を見た。話題の中心なのに、会話では全くの仲間はずれ。それもそうだ、この話の論点は身元も正体も不明なサブローの存在であるのだから。

 

連邦の新型機に乗って現れた、農家の三男を自称する若い男。足りない頭で後から考えても、サブロー自身自分の身元が怪しすぎる。そんな状況になったのは半ば不可抗力なのに、ナルカの人々を騙している気分になる。

 

一応、財布の中の自動二輪免許で身元の証明はできたが、焼け石に水。偽造を疑われて手持ちの荷物は殆ど没収されてしまった。今サブローが着ている服は、その時没収された服の代わりに渡されたものだ。

 

「…俺、引っ込んでたほうがいいっすか?」

 

サブローの立場は、現在ではソーラの客人ということになっている。指紋などのロックで、ナルカが鹵獲したガンダムを動かせるのはサブローだけであるので、ガンダムを保管するにはサブローがいなければいけない。その上、ソーラ女王のお話相手となっては、それなりの歓待が必要というもの。

 

話に置いてけぼりな話題の中心に対し、その場の全員が視線を向ける。曲がりなりにも客人に対してぞんざいな態度を取り続けるのは、彼らとて本望ではない。

 

「…サブロー」

「いいよ。俺、信頼されてないんだろ?次からは親衛隊…だっけ?その誰かがソーラさんと一緒に来てくれよ」

「話が早くて助かる」

「気にすんなよ。タダ飯食わせてもらってるし、な」

 

ショーンとサブローの間には、友情関係があるように見える。サブローが地上で、命を張ってナルカ艦隊を援護してくれたからだろう。一方のメイヴィーも、その時のことは覚えているが、いまいち信用しきれていない。

 

少なくとも、本人の目の前でサブローを信用すべきではないと言いかける程度には、疑いの目を持っている。

 

「…丁度いいですね。3人とも、聞いて欲しい話があります」

 

微妙な雰囲気になったところで、ソーラがそう切り出した。今度は、ソーラを除く3人がソーラの顔を見る。

 

「はい、どうかしましたか」

「お話、ですか?一体…」

「え、お、俺も?」

「はい、サブローにも聞いて欲しい。私の目的についての、話です。各艦の艦長や本国には伝えたのですが、私に近しい立場の3人にも把握して欲しいのです」

 

途端に、ソーラの周囲の雰囲気がガラリと変わった。冷たく、殺伐とした空気。周囲の空間に色がついているように見える。

 

ショーンとメイヴィーが背筋を伸ばし、ソーラと向かい合う。一言一句も聞き逃さないと言わんばかりの真剣さだ。ソーラと出会って日の浅いサブローですら、先程までの会話を忘れて真顔になる。

 

これがカリスマ。これが女王の威厳。上に立つ者に必要とされる能力。

 

「私の目的は、コロニー連合の勝利ではありません」

 

衝撃的な一言から切り出し、ソーラは語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コロニー連合が勝利しても、その後コロニー国家同士による戦争が始まるのは目に見えています。アールデン帝国のドラクル公は特にその傾向が強い。逆に、地球連邦がこの戦争に勝利すれば、連邦によるコロニーへの支配体制が磐石な形で再構成され、コロニーに住む人々はさらに苦しめられる」

 

ソーラの重々しい語り。わからない単語が多いのでサブローは混乱気味だが、親衛隊の二人はその話についていけるようだ。

 

真剣そのものの目で聞いている。

 

「どちらが勝利しても、この地球圏…ひいては我がナルカ共和国に大きな不利益しかありません。そこで私は、この戦争自体を終結させ、連邦と連盟の間にある程度の緊張関係を保つのが最良と考えました」

 

3人の反応を眺めつつ、ソーラはさらに続ける。

 

「具体的な方針としては、連盟と連邦、両者が抱える問題を解決することで、戦争をする理由をなくすこと。連邦のエネルギー資源問題と、連盟の食料問題の解決…そして講話。これによってこの戦争の根本は根絶され、あとは両者のわだかまりを解く段階に入ります」

 

話の締めに、大きく息を吸って、ソーラは言った。

 

「私からは以上です」

 

数秒の沈黙。その間、サブローも、ショーンも、メイヴィーも、女王の話を反芻していた。

 

「…さらに詳細な計画内容は、お聞かせ願えませんか?」

「恥ずかしい話ですが、今の段階ではこれが全てです。戦争の理由をなくす具体的な方法は、未だ案すら得られていません」

「そう…ですか。わかりました…」

「火星政府なら、安定した物資を持っているのでしょうが…あそこは外交断絶中でどうにもなりません。非力な私を、どうか許して欲しい」

 

ショーンの質問に、申し訳なさそうに答えるソーラ。

 

何が何やらわからず、口をもごもごさせるサブロー。農民の三男にとってはソーラの話はかなり難しかったようだ。

 

だが、しばらく反芻して、ようやくサブローが口を開いた。

 

「つまり…つまり、ソーラさんは、戦争を無くしたいってこと?」

「…はい、そういうことになります」

「じゃあ、俺は賛成だ。よくわかんねえけど、戦争は無くなった方がいい」

「お前なあ、真面目に聞いてたのか?」

 

要領を得ないサブローの言い様に、ショーンが思わず苦言を呈する。呆れた様な表情で、メイヴィーが同調した。

 

「地球の人間は皆こうなの?」

「いや、俺が特別バカなだけだよ。うん、俺、バカだから難しいことはよくわかんねえ」

「あのねえ…」

「でも、連邦のモビルスーツと戦った時、死ぬかと思った。普通の人たちがあんな目にあうのは、絶対にだめだと思う」

「ふわふわしてんなあ」

「いや、なんか、うん。ごめん。うまく言えない」

 

黒い髪を片手で搔きむしり、困った様な顔をする。教養の薄いサブローには、このようなグローバビリティな話題はきつかった様だ。

 

良いことを言った様に見えて、実はソーラの話に関連した言葉を出せないでいる。

 

「大丈夫ですよ、これから勉強していけば良いです」

「勉強、っすか。ここで?」

「はい。私も、まだまだ勉強が足りないようです。一緒に頑張りましょう」

「え…は、はい!よろしくっす」

 

ソーラが言ったことは、まるでサブローを今後とも引き止める意志である様に見えた。実際、そうなのだろう。

 

ソーラの、サブローへの執着はやけに重い。親衛隊はそう考えた。やはり、同年代の話し相手だからか。それとも、サブロー相手にすら打算的なものを持っているのか。

 

と、ここでショーンが、ある考えに至った。

 

「ソーラ様?まさか、あの話は本気だったのですか?!」

「本気です。彼が…サブローがいた方が、これからのことで何かと好都合でしょう」

「そ、ソーラ様…」

「メイヴィー、大丈夫です。彼は善良な人間です」

 

またも、3人が意味深な会話を始める。

 

「なっなんだよ。今度はなんだよ」

 

困惑するサブローに向き合い、ソーラが言い放った。

 

「サブロー、私はあなたを、アシスタントとして雇用しようと思っています」

「えぇっ?え、マジっすか」

「先程も言った様に、我々にとってはサブローが同行してくれる方がいいのです。私個人としても、お話しして欲しいことが沢山あります。勿論、あなた自身の意見を尊重します」

「えっと…」

 

ついに件の話を切り出したソーラに、親衛隊の二人が呆れ返った。幾ら何でも、偶然拾った地球出身の男を気に入りすぎではないか。

 

寝首をかかれないか心配だ、とメリーは思った。彼女はサブローを信頼していない。保険代わりにソーラに命ぜられた、サブローに対する監視任務も、彼女は本気で取り組んでいる。

 

だが、ショーンは違った。

 

「…はい、わかっ」

「待て」

 

二言返事で了承しようとするサブローの声を、ショーンが遮った。

 

「サブロー、お前が何を考えているのか、正直俺にはあまりわからない。だけど、こういう話はそんな軽い気持ちで、さっさと決めてはいけないんだ。わかるか?」

「ショーンさん、俺はそんな…」

「ショーン?」

「ソーラ様、申し訳有りません。しかし、サブロー自身の意見を尊重するなら、答えを決めるための熟考は必要ではないでしょうか」

 

ショーンの黒髪が揺れる。瞳に込められた光は、親衛隊長に相応しい力強さがある。

 

お前の心配をしているんだぞ、とでも言うように。

 

「わかりました、ショーン。サブロー、すぐに答えを出す必要はありません。今の話、じっくり考えてください」

「…ウッス、了解っす」

 

ソーラが納得したように頷く。だが、言われた当のサブローは納得しかねているようだ。答えは出ていたのに、それを遮られたからだろう。

 

メイヴィーが流し目で親衛隊長を見る。彼女の知るショーン・ザンバーと言う男は、ソーラの意向には極力従う人間だ。今のは、ソーラの意向に添いつつもサブローを庇うような言動だった。

 

ソーラの意思を尊重しつつ、サブローの心配もしてみせる。うちの親衛隊長はここまで器用な人間だったか。

 

「…なんだよ」

「いいえ、なーんにも?」

 

見詰められたことに気づいたか、ショーンが苦言を呈したが、メイヴィーは視線をそらしてはぐらかす。この状況、メイヴィーには面白くない。

 

よく考えろ、と言われ、サブローがうんうん唸っていた、その時、ソーラ女王の腰ポシェットが騒音を立てて揺れた。中身を取り出すと、そこから引っ張り出されたのは、一個の無線機。

 

赤い通話ボタンを押し、耳にあてる。

 

「こちら、女王ソーラである。なにか」

「ソーラ様、グランガンとの合流時刻であります。双方、お互いを確認しました」

「よろしい。予定通り合流を。私も移行の準備をする」

「了解しました。それでは、失礼します」

 

青い通話終了ボタンを押し、ポシェットへ押し込む。ショーンとメイヴィーも通話機器を持っている。二人とも、それぞれ別の人間から同じ内容を聞かされたようだ。

 

一人置いてけぼりなのは、やはりサブローだ。ナルカ共和国の一員ではない彼に、こういった通知は知るべくもない。

 

「サブロー、これからこの艦隊は宇宙で待機していた別艦隊と合流します。私たちは向こうの艦隊の旗艦グランガンに移ります」

「あ、そうなんすか…ん?俺は?俺はどうなるんすか?」

「お留守番…ということになるのかしら」

「まあお前も向こうに行く理由もないし…」

「ええ、二人の言う通りです。サブローはクインスローンに残ってください」

「ま、マジすか」

 

会話だけでなく物理的にも置いてけぼりとなることを告げられ、サブローは震えた。宇宙に来てから状況が変わり続け、目が回る。

 

彼の不安を感じ取ったか、ソーラがフォローのように言う。

 

「合流の後にすぐダイダロスに着きます。そこでまた会いましょう」

「だ、ダイダロス?え、えーと…わかったっス」

「…いえ、やはり少し会えません。というより、しばらく会わないようにしましょう」

「えっ?」

 

唐突に言葉を翻すソーラ。驚くサブロー。主を見るショーンとメイヴィー。

 

「先程の話、お互いの答えが出るまで、私達は会わないようにしましょう。少し頭を冷やす意味も込めて…」

「さっきの話って、ソーラさんのアシスタントをやるとかなんとかだろ?お互いの答えって」

「それでは、また」

「ソーラさん!?」

 

いそいそと部屋を出るソーラ。二人の親衛隊員もそれに倣う。

 

自動ドアが閉まり、サブロー一人が部屋に取り残される。その表情には不安と混乱がありありと浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XLサイズ母艦グランガン級ネームシップ・グランガン。そのサイズは800メートルを超す全長から窺い知れるだろう。60メートル程度のクインスローンが並ぶと、母艦と艦載機ほどのスケールとなる。

 

この非常に巨大な軍艦こそ、ナルカ共和国軍の旗艦だ。白い楕円の上に煌びやかな城が乗ったような風情のそのデザインは、大気圏外ならではといえよう。

 

クインスローンからショーンとメイヴィーはそれぞれの乗機で移った。ソーラはメイヴィーの機体に同乗した。その後機体から降り、ショーンとメイヴィーを従えたソーラがメインブリッジへ続く通路を歩いて行く。

 

ソーラから少し離れて着いて行きつつ、二人の親衛隊員はお互いを向かずに会話していた。

 

「メイヴィー。お前の心配は杞憂だ。サブローは一般人に過ぎない」

「いやに肩を持つじゃない。じゃあ、その証拠はどこに?」

「今までの言動を見てみろ。今日だってそうだ。ダイダロスと聞いて、サブローは何のことかさっぱりわからないようだった」

 

宇宙空間において、ダイダロスとは月の裏側にある一つのクレーターを指す。

 

「何が言いたいの?」

「俺達に悪さをしようと言うには、あまりにもお粗末な刺客だ。普通ならもっと警戒されないように頭の良い奴が送り込まれる」

「アレが全部演技だとしたらどうなの」

「それを言ったら、もう誰も信用できないぞ。それに、もう少しでわかることだ」

「何が?」

「月面停泊はひと月の予定だ。俺はあいつを、試す」

 

歩き続ける二人。鳴り続ける靴音。一瞬の静寂。

 

ソーラ女王には、この会話が聞こえているのだろうか。ふと、ショーンは思った。

 

聞かれていても問題はない。自分は、女王に恥じることは何もしていないのだから。今までも、これからも、そして今も。

 

「ソーラ様の…サブローとしばらく会えないというお言葉…お前はどう思う」

「また急にどうしたのよ。このままずっと会わずっきりならいいと思っているわ」

「サブローを信用できないからか」

「そうよ。あなたの方こそどう思っているの」

「俺か…俺は」

 

じっと見つめる方、青いロングヘアが揺れている。華美過ぎないドレスに身を包み、17歳とは思えぬカリスマを振りまきながら、ショーンの主は自分の作る未来へと邁進している。

 

それを思えば、ソーラの征く道を助けるであろうあの男の存在は、決して不快ではない。

 

「俺は、これからも二人がやり取りするのが好ましいと思う」

 

 

 

 

 

 

 

白い巨大軍艦が、多くの味方艦を引き連れて、灰色の岩塊へと向かう、そこは月。地球最大の衛星だ。

 

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