機動戦史ガンダム 双眸のガーディアン   作:アルファるふぁ/保利滝良

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第10話 彼女のめざめ、弾丸の嵐
10話Aパート


頭上に街が見える。その隣には透明色の板が広がっていて、無数の星の煌めきがあった。その隣に、また街がある。

まるで、星光の大河を隔てて街が並んでいるようだ。宇宙は、ロマンチックな情景を無限に見せてくれる。

星光の大河の真下で、メリー・アンダーソンはうっとりと頭上を見上げていた。

 

「星の光が、綺麗ですね〜」

「そうだね。キラキラしてて、いつ見ても飽きないよ」

「こんな風景を見てたら…今が戦時中なんて、信じられないです」

「じゃあ、今だけはそういう物騒なことを忘れようか」

「あっ…ごめんなさい!」

「いいよいいよ。気の緩みすぎも危ないしね」

 

メリーの隣で、セイヴが笑いかける。彼女たちは今、コロニーの街をレンタルしたバッテリー車で駆けていた。

コロニー・サンバルタに連邦軍の特殊戦闘空母・ペガリオが着港してから早一週間。拡大しすぎた戦線はすっかり伸びきり、彼らが次の作戦に参加するまで長い期間が生まれた。

それらは暇な時間と化し、今の彼らは補給・整備・モビルスーツシミュレーションの毎日を過ごすことになる。

そんな日々の中で、唯一の楽しみはサンバルタ内部に遊びに出ることだ。いつまでも母艦に缶詰では気が参る、とクルー上層部が判断したからである。戦争という緊張状態の中では、時間があるなら心と体を休めて英気を養うのは当然と言える。

 

「あそこの店なんかどうかな」

「いいですね!」

 

見て分かる通り、メリーはセイヴとデートをしている。ガンダムを受領したあの基地で初めて目にしてから、メリーはセイヴに心を奪われた。彫刻芸術のように整った顔立ち、程よく角ばっていながらも決して太くない輪郭。染めたと思しき金髪、サングラスに隠れた多分カラーコンタクトの目。それらのミステリアスな外見もありながら、部下思いで紳士的な性格。更に言えば、連邦軍の新型主力機を任されたエリートでもある。

余談として、軍の公開データベースには独身とある。

考えれば考えるほど、交際相手としては最高級物件だ。あっちこっちの女性から声をかけられてもおかしくない。というか、絶対声をかけられているに違いない。

自分のようなダメダメ女子に、こうやってデートに付き合ってくれるなんて、本来はあり得ないかもしれない。だが誘ってみたらあっさり承諾してくれた。

これは人生の一世一代の大チャンスではないのか。このデートを制すればまた次のデートのチャンスが手に入り、それを何度も続ければいずれは交際も夢ではないのではないか。

そんな取らぬ狸の皮算用を、デート相手の顔を見つめながら行なっていた。やがて、セイヴは見つめられていることに気付いた。

 

「ん?メリー、どうしたんだ」

「えっ、あっ!あっはははは…」

 

ポケーットしてたのと名前で呼ばれたことで、反応が大きく遅れた。アリスがいれば、戦場なら今の隙で撃墜されていた、とでも言うのだろうか。

笑って誤魔化すか、いやそれでは相手の心象を悪くしかねない。なにか気の利いたジョークでも言って見せねば。

 

「たっ…セイヴさんの横顔、カッコいいな〜って…アハハ〜」

「…そうかい?ありがとう。お世辞でも嬉しい」

「お世辞なんかじゃあありませんよぅ。た…セイヴさんは凄くかっこいいです。憧れです!」

「そんなに褒められても、何も出ないよ?」

 

一般人の前で身分を隠すため、階級で呼ばないように勤めるが、呼び難いことこの上ない。

だが、ポケーっと見つめていた言い訳はできたようだ。

 

「じゃ、降りようか」

「はい!」

 

談笑もそこそこに、二人は駐車場に停めたバッテリー車を降りた。

すぐ目前には、こじんまりとした木造、を意識した塗装の建物。柔らかな筆致で『あたたかキッチン・フィロ』と書かれた看板が目につく。

今日の昼はここで食べる。セイヴが先導して、ドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

飾り気のかけらもない壁に囲まれた格納庫。そこに立ち並ぶのは、青いモビルスーツが数機。せわしなく動き回る整備員に、一人の上官の前に並ぶパイロット達。

ここはLサイズ輸送艦ダグ級マイオス。コロニー連盟所属の艦隊に所属する宇宙軍艦。

新米パイロットの前で立つのは、ブルー・タイフーンと呼ばれた男、レフェール・オルデラだった。

 

「諸君、俺は諸君の力を信じている。今回連盟が用意したモビルスーツが、君達パイロットの全力を引き出し、連邦軍艦隊を徹底的に粉砕することを、期待している」

「「「サー、イエス、サー!」」」

「実戦ということで不安を持っている者もいるだろう。だが、俺を信頼して、自分の任務を全うすることに注力してほしい」

「「「サー、イエス、サー!」」」

「質問がある者は!?」

 

レフェール中尉は、コロニー連盟の中でも名の知れたエースだった。高速で螺旋軌道を描きつつ敵機に突撃する彼の戦術は、これまで多くの連邦機を散らせてきた。

ブルー・タイフーンの名を聞けば、連邦軍人はことごとく震え上がる。そんな活躍は、所属を共にする若者達の憧れにもなった。

 

「れ、レフェール中尉!」

「コーエル少尉、どうした」

「僕らに、レフェール中尉と同じ機体を、扱うことができるのでしょうか!?」

 

その中の一人が、声をあげて質問する。自分と相手の実力差を認識しているが故の、心配。

だが、レフェールは、その質問に真摯に答えた。

 

「できる。ツウィスターは所詮ガードⅢを高機動に改造しただけの機体だ。基本はそう変わらん」

「は、はい!」

「キンヴァリー、俺の戦法はわかるか」

「はい!円を描くように機動して敵を撹乱しつつ、機動によって被弾率を抑えて敵に接近、ビームガンを連射する戦法であります!」

「長ったらしいがそれでほぼ正解だ。だが足りない点がある。ワイルズ、わかるか?」

「は、はいっ。ただ円機動を行うのではなく、円の半径や形状を変えながら機動し、相手に動きを読まれないようにするのがポイントであります!」

「上出来だ…カマーラ、それがお前らに可能かどうかわかるか」

「可能であります!」

「自信のほどは認めるし、これからの成長を鑑みればそうだが、現時点の話をしようか」

「もっ、申し訳有りません!現在は不可能であります!」

「それはなぜだろうか?シューベム」

「えっと…私達は実戦経験のない新兵であり、レフェール中尉のようにモビルスーツを自由に扱うことが難しいからです!」

「その通りだ。スラスターの動かし方とか結構きついんだ。だが、不可能は今、可能となる!」

 

自分の部下全員に発言させた後で、レフェールは大仰に身振り手振りを交えて、それから最後にこう締めた。

 

「君達はそれを知ることになるだろう。総員、搭乗!」

「「「了解!」」」

「アールデン帝国第2艦隊と協力し、彼らが追っている連邦艦隊を叩く。お前らにとっては初陣だろうが、落ち着いていけよ!」

「「「了解!!」」」

「…あのような若いのが、これからも死んでいくのか」

 

一瞬、悲しそうな顔をして、レフェールはツウィスターの起動ボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

メリーとセイヴの入ったレストランは、正直微妙だった。コロニー出身とはいえ地球の食べ物に慣れた二人にとっては、この店のメニューは味もボリュームも満足いくものではなかった。味付けはともかく、素材の味が悪い。

これで3000ホープスは正直詐欺ではないか、という気持ちもあったが、それは全力で押さえ込んだ。食糧難で苦しむコロニーの住民にとっては、こんな料理でもたまにしか口にできないご馳走なのだから。

 

「あ、ここのパン美味しいですね。もう一皿頼みます?」

「いいね、じゃあそうしよう。すいません、パンをもう一皿!」

「かしこまりました〜」

 

唯一ましなのはパンだった。塩を混ぜ込んであるのか、ほんのりと味が付いていて美味しい。

皿の上の白いパンを千切って口にしながら、セイヴは談笑する。

 

「地球に来た最初の頃は、パン屋になりたいと思っていたんだ」

 

地球に来て云々、というのは、メリーにしか話せない話題であった。地球連邦軍人でありながらコロニー連盟を故郷に持つセイヴ・ライン特務大尉は、無用の混乱を避けるため、そのことを滅多に公言しない。

無論、本人はスパイなどやっておらず、コロニー連盟相手に平気で銃を向けられるのだが。

 

「そうなんですか?あ、地球のパンが美味しかったからとか?」

「その通りなんだよね。生まれ故郷のパンは、本当に焼いた小麦粉の塊でしかなかった…地球の豊かな環境でできたパンは、外はカリッとしていて、中はふかふかで、もちもちで…とにかくすごく美味しかった」

「わかります。私も地球のパンってこんなに美味しかったんだ!ってびっくりしましたもん」

「地球の人達は、生まれてからずっと毎日あんな美味しいものを食べてるんだ」

「ズルいですよね!」

 

メリーの冗句的な一言で、二人はクスクス笑いだす。

共通の話題で盛り上がるのは、凄く嬉しいし、楽しい。サングラスの上からでも、セイヴの甘いマスクが豊かに破顔しているのが見て取れる。

あぁ、かっこいい。染めた金髪があの肌の上を揺れるのをずっと見ていたい。あの金髪の元々の色はなんなのだろう。目もカラーコンタクトで色を誤魔化しているし、そっちも気になる。生まれ故郷に関連する色なのだろうか。

向こうの方はこっちのことをどう見ているだろう。銀髪で、ポニーテールで、目が赤くて。ウサギのようだと思われているのだろうか。

胸もお尻も、他の女子より大きいが、彼は大きすぎるのは嫌いだろうか。太っている、と見られていないだろうか。

そんなことを気にしていたら、チークをつけたほっぺたが朱に染まっていく。クスクス笑っていたのに、恥ずかしげな顔で首を埋め始める。

あぁ、気になる。目の前の彼は自分のことをどう思っているのだろう。デートの誘いを受けたとはいえ、まだ部下でしかないのか、女として見てもらえているのか。

 

「セイヴさん、私…」

 

私のこと、どう思っていますか。

そう言おうとして、ギリギリで食い止めた。馬鹿、それを聞くのはまだ早すぎる。だってこれは一回目のデートではないか。

焦ったら嫌われるぞ。

 

「どうしたんだい?」

 

何かを言おうとしたメリーを、セイヴが心配する

言いかけた言葉が彼女を窮地に追い詰める。大変だ、言い訳を言わなきゃ。

 

「な、なんでもないです。こんな時に話す話じゃないので、やっぱり…」

「…戦闘のことか?」

「…はい」

 

途中から小声に切り替える二人。

軍人だとバレるのはまずい。だが、セイヴは追及を止めてくれない。

 

「話してみてくれ」

「でっでも…」

「先の戦闘のことじゃないか?あの時君は何か…様子がおかしかった」

 

ちょうどメリーも、そのことで少々悩んでいた。これは、別の意味でチャンスではないだろうか。

 

「実は、戦闘中に、敵の思考がわかったんです。こう、頭の中にビビビッて」

「それは…本当か」

「信じてくれるんですか?」

「あぁ。それが真実なら、もしかしたら君は…エスパーかも」

 

セイヴの話の途中で、彼の持っている携帯端末がけたたましく鳴った。メリーのものも同様に鳴る。

二人の物が同時に通知を受け取ったということは、二人の仕事関係の連絡だろう。

画面を見やれば、緊急の文字がはっきりと見えた。

 

「行こうメリー。お代は俺が払っておく」

「はいっ、準備しておきます」

 

二人は慌ただしく席を立った。

だが、メリーは少し残念そうな顔をしていた。せっかくのデートが、台無しになってしまったのだから。

だが、その顔もすぐにキリッと引き締まる。今は作戦が大事だ。それに、デートならまた今度誘えばいいじゃないか。

二人は会計を済ませ、雰囲気のいい店から急いで走り出した。

 

「お待たせしました、パンのおかわりで…あら?」

 

注文の品を持って来た店員だけが、パンと一緒に残された。

 

 

 

 

ペガリオブリーフィングルーム。白塗りの壁と、無数に並んだ椅子と机、正面には大型のモニターが埋め込まれている。

椅子と机には戦闘に参加するクルーが、モニターの前に立つのはセイヴ特務大尉と、ブリッジから離れられないテルミット艦長の代理としてシャープ・ディッショナ副艦長がいる。

 

「よし、皆いるな。これより作戦説明を行う」

 

セイヴ大尉が、サングラス越しに部屋を一瞥する。ここには、ペガリオのパイロットが全員いる。彼らの命運を絶たぬためにも、しっかりと説明を行う必要がある。

 

「今回の作戦目的は、連盟艦隊に追われている友軍艦隊の援護及び保護にある」

 

セイヴが指し棒でモニターを突くと、モニターに光が灯った。

 

「サンバルタからも友軍艦隊が派遣される。救援の主軸となるのは、我々でなく恐らくこちらだろう。だが…」

 

セイヴがもう一度モニターを指し棒で突く。今度は、画面上で動画ファイルが再生され始める。

その様子を眺めていたパイロット達は、次第にざわめき始める。

ブルー・タイフーンが、6機いる。しかもただの偽物じゃなく、本物と同じように高速の螺旋機動で戦っている。

同様と焦燥で、その場が一気に騒がしくなった。不安に駆られたパイロット達の弱音のコーラスか。

無理はない。ブルー・タイフーンといえばコロニー連盟指折りのエースだ。敵として立ちはだかるなら、螺旋機動で翻弄され、たちまちにビームガンで蜂の巣だろう。

 

「静かに!静かに!作戦説明はまだ終わっていません」

 

シャープ副艦長が手を叩き、大声で呼びかけてその場を鎮める。

セイヴと副艦長は互いにお辞儀をする。そしてすぐ、セイヴは作戦概要の説明を始める。

 

「ブルー・タイフーンの押し止めは我々ペガリオに託された。彼ら単機の戦闘力は本物となんら遜色がないらしい。ガンダムの性能で食い止め、味方の救出を援護せよ…というのがサンバルタ司令部からの命令だ」

 

画面の表示は元に切り替わり、複数の点が表示された黒い面になる。

セイヴは指し棒で示しながら、ここは敵、こちらは味方、とわかりやすく教える。

ペガリオはここ、と言われた場所は、中央やや後方。今回の作戦は敵と真正面からぶつかり合うことが予想される。その場合、真ん中というのはどこに目標の部隊が現れても対応できうる位置だ

だが、問題はある。

 

「友軍の保護はサンバルタ艦隊に任せるとして…肝心のブルー・タイフーンの部隊の対抗策の話をする」

「いよいよきたね…」

「…うん」

「まさか何人も出てくるなんて…どうするのかしら」

 

ガンダムチームの3人娘もその内容に特に耳を傾ける。なにせ、前回当のブルー・タイフーンと相対して手酷くやられたばかりだ。

そんな彼女達の気持ちを知ってかしらずか、セイヴはやはり淡々と述べる。

 

「結論から言うと、このブルー・タイフーンはデッドコピーだろう」

 

その一言に、その場の何人かが安堵のため息をつく。

 

「ブルー・タイフーンの戦法は、円を描くように機動して敵を撹乱しつつ、機動によって被弾率を抑えて敵に接近、ビームガンを連射するものだ。しかもただ円を描くのではなく、逆回転や円半径の変化を混ぜて機動を不規則にし、動きの予測を困難なものにしている。その上で機体両手のビームガンを次々命中させる」

 

指し棒を両手で握り、サングラスの向こうから説明を聞いている軍人らを見る。

 

「そんなことができるパイロットが、何人もいるだろうか?いたとしても、こうまでして全く同じ戦法をさせることはできない。そんな時間はなかったからだ」

「…つまり、どういうこと?」

「この前戦った時には、ブルー・タイフーンは単機しかいなかった」

「エースパイロットを何人も集めて、その全員にあの螺旋機動をさせるなら、訓練がいるでしょう?」

「でも、あの時はまだ訓練中だとしたら?」

「それができるパイロットを遊ばせておく?普通」

「あ、そっか…」

 

セイヴの言葉を理解しきれなかったメリーに、ショコラとアリスが補足を付けてやる。

納得すると同時に、新たな疑問が浮かぶ。

 

「じゃあ、あの偽物ブルーは何?」

「それはこれからわかる」

 

3人娘は再びモニターに目を向けた。

 

「あくまでも仮説だが、モーションパターンの応用で、コンピュータに螺旋機動を憶えさせ、それを自動で行わせているものが、こいつらの正体だろう。そう考えるのが、現在最も腑に落ちる結論だ」

 

モビルスーツは、あらかじめ設定された動作を行わせることで、操縦の難易度を低くしている。これがモーションパターンである。

それなら、指一本一本を操作させるよりも簡単だ。あの複数のブルー・タイフーンは、本物の螺旋機動を機械に行わせている、という。

質問を見つけた軍人が一人、右手を上げた。

 

「はい!」

「ドリュー中尉、なんだ」

「先ほどの動画のブルー・タイフーン隊は本家のように不規則な機動も混ぜていました。あれはどういうことでしょうか?」

「プログラムにランダム性を持たせるのは簡単だ。何秒に一回かはランダムに不規則な機動を混ぜるように設計されたんだろう。これで普通の兵でもブルー・タイフーンの動きができるようになり…あとはビームガンを当てるのに集中すればいいと言うことだ」

「ありがとうございました!」

 

質問を行なった中尉が座ったのを確認して、セイヴは指し棒を持ってまた喋り出す。長話を一人でやって、少し疲れが見えるようだ。

だが、その語り口に変化は一切ない。

 

「脱線したが、敵の正体がわかったところで、我々ブリッジクルーはすぐに対抗策を考案した」

 

方々から声が漏れる。待ってましたと言わんばかりの態度。皆がそれを待望していた。

 

「まず、ガンダムチームを中心とする。ダンシングシープ、スリーピィラビット、スマイリードッグの装備を、今回の作戦に合わせて変更する」

「えっ、うそ」

 

今度はメリーが声を漏らした。今まで戦い慣れたガンダムの追加装備が変わる。ぶっつけ本番でそんなことをして、果たして大丈夫だろうか。

だが、そんなメリーの心配は、セイヴの次の言葉に吹っ飛ばされた。

 

「ペガリオアルファ、ペガリオブラボーにも協力してもらう。本艦にもだ。これは、総がかりとなる」

 

ブリーフィングルームが、特務大尉の素っ頓狂な発言で静まり返る。多くの者が、口をポカンと開けてセイヴを見つめる。

だが、言った当人は至って真面目だ。そうすることが当たり前だと言うように。

 

「我々ペガリオのすべてを、連盟最強エースとその贋物に、ぶつける!」

 

顔の前に握りこぶしを持ってくる。サングラスの奥で、カラーコンタクトの奥で、隠しきれぬ瞳の光が煌めいた。

 

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