【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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夏休みも今日で終了……。

明日から仕事がんばるぞい!

それでは11話どうぞ。


11. リリアンズペット(ドラゴン)

クリスマス休暇はあっという間に終わってしまった。

数日はクリスマスプレゼントの処理で費やされていた。

クリスマスということでホグワーツ中の女子からリリ宛てにクリスマスプレゼントが届いたのだ。

それだけでなくロザリンド宛てにも世界中の(愛人)からプレゼントが届いていた。

食べ物、服、金品、魔法の品、本、写真、媚薬、様々なプレゼントで溢れたリンリーの屋敷はまさに混沌(カオス)であった。

それをリンリー親子は全て丁寧に開封し受け止めていった。

どんなに苦労しようとも一つもぞんざいに扱わず、プレゼントの送り主と品を余さず記憶していく。

それがようやく終わったころになってメイドたちからのプレゼントが待っていた。

こんなことは毎年の事なので邪魔にならないように最後に渡すようにしているのだ。

 

 

リリとハーマイオニーはリンリーの屋敷でたくさんの事をしていた。

お互いをもっと深く知るためにどんどん色んなことを話した。

リンリー家の事を知りたいハーマイオニーはロザリンドに尋ねたり、同じ境遇ともいえるレイラにも色々と教えてもらっていた。

他にも二人そろってメイドたちから花嫁修業という名の家事について伝授された。

掃除、料理、その他の家の事。魔法を使えば簡単に済むこともあえて自らの手を使う方法を教わった。メイドたちが言うには、やはり自分でした方が相手への思いを込められる、ということらしい。

それ以外にも金策や護身についてなど学ぶことは多い。

学ぶことが好きなハーマイオニーはそのどれも貪欲に習得していく。

リリの方は家事の方を、特に料理を中心に頑張っていた。

 

そしてあっという間にホグワーツへと旅立つ日がやって来た。

 

「リリ、ハーミー。行ってこい!」

「二人とも体にだけは気を付けるように。寒いので暖かくしてくださいね。」

 

ロザリンドとレイラ(リリの両親)はすっかりハーマイオニーにとっても第二の両親といえる存在に成っていた。

メイドたちもそれぞれがお別れの挨拶をする。

この休暇中にすっかり仲良くなったメイドたちもすっかり歳の離れた姉のように感じている。

 

「「行ってきます!」」

 

ホグワーツでの生活が再び始まる。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ホグワーツに戻って最初に待ち受けていたのはホグワーツ全女子からの熱い抱擁であった。

全員が順番になってリリを抱きしめ回した。

休みの間にリリとの接点が若干少なかったり精神が強かったものは何かがおかしいと感じていたが、リリと距離が近づき接触した瞬間そんな思いは吹っ飛んでしまった。

 

その後は特に何事もなく日常が過ぎていった。

授業、クィディッチ、女子会、パジャマパーティー、そんな穏やかだが楽しい日常だけがあった。

 

だが、そんな平穏な日常に突如事件は起こった。

 

雪の降るある日。

昼食をせっかくだからと雪を見ながら食べようとハーマイオニーをはじめ何人かで禁じられた森が見える校庭の一角で防寒・雪対策をして暖かい料理を食べていた。

身体もあったまり雪景色を楽しんでいると森のそばの小屋が突如として燃え上がる。

唖然とその様子を見ていると炎の中から何かが飛び出してきた。

それは一直線にリリに向かって突撃してくる。

 

「リリちゃん! 危ない!」

 

咄嗟に上級生の一人が盾の呪文(プロテゴ)を使ってそれを阻む。

盾に当たってその場に落ちたそれは……ドラゴンだった。

ドラゴンといってもまだまだ小さく体長50cmにも満たないサイズではあったが、翼に牙、それに何より口より漏れる炎がその存在がドラゴンであると明確に示していた。

そんなドラゴンの幼体を見たリリは一言。

 

「カワイイ……。」

 

「「「カワイイ!?」」」

 

常人とは異なった感覚でドラゴンを可愛いと断言するリリ。

もちろんこのドラゴンは雌である。

リリの一言で盾の呪文(プロテゴ)が解除され、ドラゴンがリリの肩に飛び乗った。

頬ずりをして甘えるような鳴き声を上げる。まるで子が親にするかのようだ。

その様子を見て何人かは嫉妬を覚えていた。

人の羞恥を捨てればあそこまで甘えられるのではないかと思う者もいる始末だ。

 

そこへ大きな足音を響かせ巨大な人影が現れた。

 

「おお! おおお! ! ノーバートここにいたのか! んん!? こりゃたまげた! ノーバートが懐いとる!」

 

森番の巨大な手がドラゴンを捕まえようとする。

それに怯えたドラゴンは牙をむいて威嚇するがそれを親愛の表現と勘違いしているハグリッドは気にも留めずに手を伸ばす。

それをリリが妨げる。

 

「止めてちょうだい。この子が嫌がってるわ。」

 

「ん? そうか? 俺には喜んどるようにしか見えんぞ。ほらノーバート行こう。」

 

「嫌がってるのが分からないの? こんなに震えて牙を向けているのに! もういいわ。大丈夫よ、私が守ってあげる。とりあえずどうしたらいいかしら、ハーミー?」

 

「まずは先生に連絡するべきじゃないかしら。ドラゴンを飼うのは違法だし私たちだけじゃ対処できないと思う。」

 

ドラゴンを抱きしめたままみんなと一緒に信頼できるマクゴナガルの元へ行こうとする。

しかしその前にハグリッドが立ち塞がった。

 

「待て! ノーバートは俺のドラゴンだ! 俺のだ! 卵の時から心を込めて育てたんだ。何でお前さんが勝手に連れて行こうとする!?」

 

それを無視してそのまま歩を進めるが、それに怒ったハグリッドが力づくでドラゴンを取り戻そうとしてきた。

 

「「プロテゴ(護れ)!」」 「ステューピファイ(麻痺せよ)!」 「インペディメンタ(妨害せよ)!」 「ペトリフィカス・トタルス(石になれ)!」

 

それを周りにいた女子たちが防ぐ。

盾でリリを護り、失神などの様々な呪文でハグリッドに攻撃を仕掛ける。

その巨人の血が流れる巨体には効果がいまいち発揮されなかったが、その場を離れる時間稼ぎには十分であった。

 

「みんなありがとう! 無理はしないでね! 行こうハーミー!」

 

「ええ! 全くハグリッドってあんなに野蛮だったのね。ドラゴンを飼うだけじゃなくてまさか女の子に危害を加えようとするなんて……!」

 

リリはマクゴナガルの元へ急いだ。

もし女子たちが一人でもかすり傷でも負っていたらあの大男を唯じゃ済まさないと思いながら。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

マクゴナガルは自室で昼食を食べていた。

今日のホグワーツの料理も美味しく食べるだけで日々のストレスが消えていくようだ。

リリアン・リンリーを筆頭に今年のホグワーツは問題だらけである。

リンリー以外にもウィーズリー双子、ハリー・ポッターとロナウド・ウィーズリー、スリザリンと他三寮との確執、マルフォイを筆頭にした聖28一族たちの純血主義。

おまけに賢者の石といった重要な品の防衛。

昼食時ぐらいこうして自室でゆっくりしたいものだ。

 

その貴重な休み時間は胃を痛める存在の筆頭であるリリアン・リンリーが破壊した。

 

「マクゴナガル先生! 大変です!」

 

ノックもせずに飛び込んできたリリとハーマイオニーを見て嫌な予感しかなかった。

 

「どうしたのです!? そんなに慌てて!」

 

「先生! この子!」

 

リリが抱きかかえるドラゴンを見せる。

教師生活が長いマクゴナガルも生徒がドラゴンを抱えてやって来たことなど皆無であった。状況がまるで理解できない。

ハーマイオニーがそこに助け舟を出す。

 

「マクゴナガル先生。私たちが校庭で昼食を食べていたらハグリッドの小屋がいきなり燃えてそのドラゴンが飛び出してきました。どうしたらいいのか分からなかったのでマクゴナガル先生を頼るために来ました。それに今皆がハグリッドを抑えようとしています、助けて下さい!」

 

マクゴナガルは頭を押さえ今の情報を整理する。

要約するとハグリッドがドラゴンを密かに飼っていてそれが逃げ出したと。

何はともあれハグリッドの所に行かなくては。

 

「ミス・リンリー、ミス・グレンジャー。ハグリッドの所まで案内してください。」

 

「「はい!」」

 

廊下を走って元の校庭に戻るとそこには鎖が巻きつけられ身動きが取れないようにされたハグリッドが転がっていた。

どうやら火事の騒ぎで集まった女子たちが総出でハグリッドを捕らえたらしい。

 

「みんな無事!?」

 

「もちろん!」

「ええ、私たちを傷つけていいのはリリちゃんだけよ。」

「こんな野蛮人なんかに負けないわ。」

 

女子たちはどこも怪我などしていないようでまずは一安心だ。

後の処遇はマクゴナガル先生に任せることにしよう。

 

「ルビウス・ハグリッド! これはどういうことですか!? 説明しなさい!」

 

「マ、マクゴナガル先生……。これは違うんです。そ、その娘が俺のノーバートを!」

 

「何が違うのですか! ドラゴンの所持は重罪です! それに女子生徒に手を出したとも聞きました! あなたに森番を任せたダンブルドア校長も失望するでしょう!」

 

恩人のダンブルドアの名を出されてようやく大人しくなった。

生徒たちは授業があるので解散となったが、ドラゴンはリリから離れないため今日は特別に授業は休みとなった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

後日、ルビウス・ハグリッドの処罰が決まった。

ホグワーツの永久追放である。

ドラゴンの所持についてはダンブルドアの擁護もありアズカバン送りは免れたが、女子生徒に危害を加えようとした恐れがあることとや危機管理能力の低さからホグワーツにはふさわしくないと生徒の保護者から批判が殺到した。

 

これにはハリー・ポッターやロン・ウィーズリーを中心としたグリフィンドール男子が反対したが決定は覆るはずはない。

女子は全員がハグリッドの追放に賛成であり、スリザリン男子は当然としてグリフィンドール男子の中にもハグリッドを危険だと思っている者が少なくないのが事実だ。

 

それでも反対するハリーとロンに追い打ちが待っていた。

匿名の密告により燃えるハグリッドの小屋から二人が逃げる様子を見たと言うものがいたのだ。

二人に追求するとドラゴンを知っていたと認めグリフィンドールから更に点数がマイナスされた。更には罰則も言い渡された。

これでハグリッドだけでなくハリーとロンへの元々あった負のイメージが更に加速する。

 

 

ちなみにドラゴンは雌であったのでリリにものすごく懐いた。

リリも初めてのペットができたみたいで喜んでいる。

ダンブルドア監修の元、ドラゴンはリリのペットとして認められた。

ただしそう簡単には飼育は出来ないのでハグリッドの小屋があった場所に飼育スペースを作りロザリンドのコネから女性ドラゴンキーパーを数人ホグワーツに派遣することになった。定期的にリリが訪れることで普通のドラゴンと比較してとても大人しく従順に成長している。




ドラゴン騒動の回でした。

リンリー邸に届いたクリスマスプレゼントは数百以上です。
それを丁寧に全部リリたちは扱いました。
女性のプレゼントは無碍にしないのがリンリー家なのです。

ハーマイオニー魔改造
但し女子力UPがメイン。戦闘力などはおまけ

ハグリッド小屋全焼。
ドラゴンは原作の引き渡しより成長した段階。
魔法生物の感覚で近くに好ましい存在=リリがいるのを察知して炎で小屋を焼いて
飛び出しました。

ドラゴンはカワイイ。
リリはちょっと常人と比べてズレているところもあります。

ハグリッド敗北
女子のほとんどが戦闘に参加してリリの為! というリリアンバフが発動していたのでハグリッドもどうしようもなく拘束されました。

ハグリッド追放。
魔法省へはダンブルドアがどうにか対処したのでアズカバン送りは免れましたけど
生徒の親からの批判はどうしようもなく追放処分になりました。

ハリーとロンは罰則
匿名の密告=フォイによって原作同様の罰則に 付き添いのハグリッドの代わりは誰になるのかな?

ドラゴンはペットに
リリに懐いていることから引き離すよりその場で飼育した方が良いという判断になりました。
ロザリンドは色々あって世界中にコネがあります。もちろん女性限定で。

それでは次回お楽しみに。

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