それでは13話どうぞ。
13. 夏休みとお買い物
夏休みが始まった。
リンリー邸はいつも以上に賑やかだ。
当主のロザリンド。その妻レイラ。メイド兼ロザリンドの愛人が5人。
娘のリリアン、その恋人のハーマイオニー・グレンジャー。
更にはリリアンのハーレムメンバーのパチル姉妹とクラウディアが加わっていた。
総勢12人の女たちがここで生活している。
家のことは基本的にメイドがまとめているが、時折リリのハーレムメンバーにも手伝いをさせている。ゆくゆくは彼女たちがリンリー家を支えることになるので今の内から鍛えておくことにしたのだ。
家事、勉学、作法、交渉、金策、ハーレムの心構え、女としての在り方、あらゆることを先輩であるメイドたちから伝授されている。
そして夏休みも後半に突入したある日。
最後のリリハーレムの一人が到着した。
メイドに案内されて少女が玄関から入って来る。
上質な生地で作られた可愛らしいワンピースを纏ったダフネ・グリーングラスは出迎えてくれた愛する人やその両親に優雅にお辞儀をした。
「お初にお目にかかります、お母様方。
「相変わらず聖28一族の貴族様は堅苦しいねぇ。ま、自分の家だと思ってリラックスしな。
リリのハーレムの一員なら私らは家族だ。」
「はいっ! お母様!」
ダフネは用意された部屋に案内される。
リンリー邸は豪華である。
リンリー家が代々ハーレムとして大人数の女と暮らすことが多いため広大な屋敷が必要であった。
メイドやリリのハーレム一人一人に個室を用意しても問題ないだけの数の部屋がある。
ダフネは部屋についてすぐに準備を整え、リリの部屋へと突撃した。
焦る気持ちを落ち着かせドアをノックする。
「どうぞ。」
約1カ月ぶりのリリの声。それが鼓膜を刺激するだけで鼓動が速くなる。
「お邪魔します。ああ……!」
声だけであそこまで体が火照ったのだ。実際に目にし、部屋に充満する香りを感じてしまっては抑えが聞かなくなってしまう。
気が付いたらリリを抱きしめていた。
「ふふふ。ダフネは甘えん坊さんになっちゃたのかな?」
「こ、これはっ! ……そうよ、寂しかったの。」
ハーマイオニーも残りのメンバーも黙っている。
自分たちも一カ月近くリリと離れていたらああなってしまうのは想像に難くないからだ。
リリはダフネを抱き返しながら髪を手漉きしている。
ダフネは至福の時を過ごしていた。
その後は我慢しきれなくなった全員がリリからの愛を受け取ることになる。
「満足した?」
「ええ。でもちょっと恥ずかしいわ……。」
「ダフネは大変だったわね。」
「やっぱり私たちみたいな庶民とはまた違ったことが多いんでしょうね。」
そう言うパチル姉妹は両親には
クラウディアは両親からほぼ放任されている状態なので何も気にしていない。
「本当に純血主義に貴族主義、頭が固くてもう嫌になったわ。ま、もう関係ないけどね。」
ダフネは両親や親族一同と揉めに揉めて最終的には勘当となってしまった。
最低限の金だけを与えられ追い出される形でリンリー家へとやって来ていた。
だが、ダフネはこれっぽちも後悔などしていない。
全ては愛するリリアン・リンリーと共に生きるため、ならば両親や聖28一族の事など何の問題もない。
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リリハーレムが集合してからは賑やかで楽しい日々が続いた。
ハーマイオニー、パドマ、ダフネという真面目がハーレムの半分を占めているため宿題などの勉強はとっくに終えている。それ以外にも必要最低限の勉強はハーマイオニー主導の元行っていた。
ハーレムメンバーは先代ハーレムメンバーであるメイドたちから引き続きリンリー家のハーレムの心構えについて聞くことも怠っていない。
それ以外は基本的にリリとイチャイチャした時間を過ごしている。
着せ替え、髪型をいじる、お茶会、ただ黙って一緒にいる、ハグにキス、そしてそれ以上も……。
毎日、食事をして、勉強して、家事をして、イチャイチャする。
これだけで毎日が楽しい、他に何もいらない至福の時間。
「ああ……。もうこのままでもいいんじゃないかな?」
リリはそう呟く。
しかしそうは世界が許してくれないらしい。
ホグワーツから新しい教材のリストが届いたのだ。
新しい教科書、呪文学の二年生用の基本呪文集とその他の備品はまだ良い。
だが、それ以外の闇の魔術に対する防衛術の大量の教科書の意味が分からない。
『泣き妖怪バンジーとナウな休日』
『グールお化けとクールな散策』
『鬼婆とオツな休暇』
『トロールとのとろい旅』
『バンパイアとバッチリ船旅』
『狼男との大いなる山歩き』
『雪男とゆっくり一年』
合計7冊になる中身は防衛術など関係ないような事実を元にしたという冒険譚。
著者は全部が全部ギルデロイ・ロックハートという人物。
リリたちは誰も知らなかったが、メイドのアンだけが知っていた
「取引先で良く聞く名前なので調査したのですが、それなりに功績を上げているようでして闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、勲三等マーリン勲章授与されるなどしています。『週刊魔女』チャーミングスマイル賞を5連続受賞していますがこれはどうでもいいですね。後、噂では今年からホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の教師に就任するとか。」
それだけの功績を持つ人間なら去年の
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リストが届いた次の日。
ロザリンドとレイラ、リリとハーマイオニー、そしてパチル姉妹、クラウディア、ダフネはダイアゴン横丁にやって来ていた。
目的は勿論ホグワーツ新学期の準備である。
今回メイドたちは仕事や、あまり大人数でも行動しづらいのもあり不参加だ。
リンリーがやって来たこともあって多くの店が臨時休業だが、目的の店は活気に満ちていた。
「なんだこりゃ?」
ロザリンドがそう言うのも無理はない。
フローリシュ・アンド・ブロッツ書店には大々的にギルデロイ・ロックハートサイン会と書かれた横断幕が張られ、女性客でごった返している。
店の奥ではギルデロイ・ロックハート本人が女性客に次々とサイン本を渡している。
無駄に歯を見せた笑顔で。
サインを貰えた女性たちはみんな幸せそうであった。
サイン待ちの行列を無視して必要な本を買うために店に足を踏み入れる一行。
ロザリンドが店内に入るとキャーキャーうるさかったのが静まり返った。
女性は一人残らずロザリンドを凝視している。
先程までのロックハートへの熱気は霧散し、全ての熱がロザリンドに向けられている。
どんどん女性客が寄って来ては名前を聞いたり握手を求められたり、食事に誘われたりとどんどん状況はカオスになっていった。
ロザリンドは平然と次々と女たちの対応を行っていったが、周りの子供たちが身動きを取れないと判断すると女性客全員を連れて店外に出ていった。
「ああ、待ってください! 皆さん! ギルデロイ・ロックハートはこっちですよ!?」
そんなサイン会の主の声が木霊するが残ったのはほんの数人だ。
狼狽えるロックハートは一人の少年を目にとめた。
生き残った男の子ハリー・ポッターであった。
自分ともう一つのネームバリューがあればきっと女性たちも戻って来る!
「皆さん! 私、ギルデロイ・ロックハートは今年からこの生き残った男の子ハリー・ポッターがいるホグワーツ魔法魔術学校で闇の魔術に対する防衛術の教師をすることになりました!」
カメラマンにハリーとのツーショットを撮るように呼び掛けるが、そのカメラマンすらロザリンドの虜となって仕事に身が入っていなかった。
結局女性客が戻ることはなくサイン会はお開きとなった。
けれど、ロックハートは最後は笑顔で、私のスマイルに皆照れてしまったのでしょう! などと言っているのであった。
その間にリリたちは目的の本を入手して店から出ようとしていた。
しかし入り口ではハリー・ポッターや赤毛の集団と青白い親子がいがみ合っていた。
言い争っているだけならともかく父親同士が殴り合いを始めてしまって店を出ることができなくなってしまった。
だが、その殴り合いも唐突に終わった。
「邪魔だ。」
女性たち全員とデートの約束を付けてきたロザリンドがそう言い放つだけで男二人はその場に膝をついて動けなくなった。
ハリーやドラコ、ウィーズリー兄弟たちも同様に動くことができない。
ウィーズリー母のモリーは必死に自分を律し出来る限り末娘のジニーを引き離している。
そのジニーは一人の少女に釘付けになっていた。
「教科書は買えたか? こっちも終わったし帰るか。それともみんなはデートでもしてくる?」
「「「「「「デートで!」」」」」」
そのまま書店の状態を無視してデートに繰り出したハーレムメンバーたち。
屋敷の中でのイチャイチャも良いがたまには外でのデートも最高である。
クラウディアから聞いたホグズミード村への外出も今から楽しみだ。
夏休みもあとわずか。それが終わればホグワーツが待っている。
そこには新しい一年生がいる。後輩にお姉さまと呼ばせることができるとワクワクしているリリであった。
夏休み+買い物回でした。
ハーレムメンバーは全員リンリー邸に集まりました。
ハーマイオニーは既に両親にリリとの関係を伝えているので問題なし
パチル姉妹は魔法使いの父は諦めているが、母が理解不能として関係悪化
クラウディアは両親から放置気味なので何も憂うことなし
ダフネは勘当。でも妹とは密かに交流は続けている。
ロックハートのサイン会はロザリンドが来たことによって終了。
ロックハートも最初は戸惑っていたけど最終的に自分のあまりのイケメン具合に皆が照れて出ていったとポジティブすぎる解釈で納得。
アーサーとルシウスの喧嘩
原作ではハグリッドが止めていましたけどロザリンドが強制終了
歴代最大の呪いを持つロザリンドは男性相手なら余程の相手でなければ強制的に無力化することも可能なレベル。
それでは次回お楽しみ。