【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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もうハリー・ポッターシリーズって賢者の石が発行されてから20年以上経過しているんですよね。

そんなに経つのに物語の大部分を覚えているってすごいインパクトがあった証拠でしょうね。

名作はいくら年月が経っても素晴らしいものだと再認識しました。

それでは19話どうぞ。


19.  推理と聞き込み

クリスマス休暇が目前に迫っていた。

決闘クラブの一件以来ハリー・ポッターはホグワーツ女子の多くから継承者だと、そうでなくてもリリを狙ったように見えたことから敵であると認定されていた。男子もグリフィンドールに一部以外はそのように思っている有様だ。

その後に発生したほとんど首なしニックとハッフルパフ生、ジャスティン・フィンチ‐フレッチリーが襲われるという事件が起こり、第一発見者がハリー・ポッターということもあってハッフルパフからの疑いはほとんど確信へと変わっていた。

ハリーは余りの敵意から授業中も廊下での移動も身を隠すようにこっそりとしか行動できない。

唯一心休まるのは自室にいるときだけとなっていた。

 

そんなホグワーツでリリアン・リンリーとハーレムメンバーは特にハリーの事を疑ってはいなかった。ハーマイオニーとパドマの推理から違うのではないかということであったがリリにとっては興味がない。それはハリーの周りの環境も同様だ。リリがハリーの事を継承者だと思っていないといえば疑いは即座に晴れるだろうに。

 

そんな事よりクリスマス休暇である。

今年はホグワーツでお祝いしようと計画している。

理由として去年は実家に帰ったのでホグワーツでのクリスマスを体験していないのとリンリー邸でクリスマスパーティーをするには人数の制限があるからである。

ホグワーツでパーティーをすれば全女子生徒と一緒にパーティーができる。

そう気が付いてしまっては残る選択しか頭には無かった。

しかし、これには当然ハーマイオニーやハーレムメンバー、女子生徒から猛反対された。

 

「リリ危険なのよ。戻った方が良いに決まっているわ。」

 

ハーマイオニーは理論的にいかに今のホグワーツが危険なのかを説いていった。

 

「私たちもクリスマスはリリの所に行くから、ね?」

「そうよ。それに他の皆だって誰もリリが危険を冒してまで一緒にパーティーをしたいなんて思っていないわ。」

 

パチル姉妹も必死である。

 

「駄目。リリちゃんが危険なのは駄目。」

 

普段のおっとりした感じもなくしてきっぱりとクラウディアは断言する。

 

「スリザリンでも誰が継承者か判っていないのよ。」

 

ダフネはスリザリンだからこそ分かる危険性を材料に説得しようとする。

 

「ダメ?」

 

上目使いでお願いをする。自分の力を理解しているからこそ全力である。

これにはハーマイオニー()たちは落ちそうになるがリリの為にもぐっと耐える。

学校女子全員でのパーティーをしたいがここまで想ってくれているのを無視してまで断行するつもりはないので引き下がることにした。

しかし、今までそこまで関心が無かった継承者に対しての怒りが湧いてきた。

 

「はぁ、分かったわ。でも継承者は邪魔ね。ダフネ、本当にスリザリンの誰かとかも分からないの? まさか本当に噂のポッターだったり?」

 

「ポッターはないわね。もしそうだったら行動が迂闊すぎる。第一発見者、自分のお見舞いの後輩、大勢の前で蛇語使いだとばらす、そしてまたまた第一発見者になって見つける。どう考えてもあり得ないでしょう。正直これでポッターが継承者だったら何がしたいのやら。で、スリザリンだと半分以上はポッターの事を継承者だとは無いと思っているわ。それとは別にリリに危害を加えそうだから敵意はあるけどね。かといって誰が継承者だなんて知っている子はいないわ。皆の方はどう?」

 

「グリフィンドールもポッターの事はリリの事を蛇で襲わせたってほとんど敵扱いね。でも継承者だとまでは考えてないかな。」

 

「レイブンクローも大体そんな感じ。ただ、確証がないから容疑者ではあると。」

 

「う~ん。ハッフルパフだとほとんどポッター君が犯人扱いかな。何せこっちから被害者が出ちゃったし。」

 

皆の意見や情報を整理してハーマイオニーは打開策について考える。

 

「何にしてもスリザリンの継承者だから純血もしくはスリザリンに所属している可能性が高いと思うわ。誰か有力な情報でも持っていると良いのだけれど。」

 

聖28一族であったダフネも知らないとなるともっと有力な貴族ならば知っているのだろうか。だが、パンジー・パーキンソンやミリセント・ブルストロードも家柄で言えばグリーングラス家とそこまで差はない。

 

「あ!」

 

悩むリリに閃きが降りてきた。

 

「リリ? 何かいい手が見つかったの?」

 

「いるじゃない。最近可愛くなった銀髪の子が。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

スリザリンの談話室。

スリザリンの寮は地下牢にある。とは言え活気が無いわけではない。

今日も談話室では何組かがおしゃべりしたり、魔法について論議していたりしている。

そんな談話室の一角。

そこには憂鬱な表情で窓から見える湖底を眺める銀髪の美少女がいた。

その様も非常に様になっている。

だが、女子も男子もその少女に声をかけるどころか近づくのもためらっている。

 

その少女の名はドラコ・マルフォイ。

かつて男だった少女である。

 

性転換をしてから既に数カ月。

男子も女子もドラコとどう接したらいいのか未だに分からないのだ。

 

「ド、ドラコ! お菓子だ。」

「うん、一緒に食べよう! うまいぞ!」

 

男だった時には一緒に行動していたグラッブとゴイルは籠いっぱいのお菓子を持って傍までやって来た。

二人ともドラコとは小さい時からの仲だ。そこに何事にも揺るがせない友情があったわけではない。だからと言って落ち込んでいるドラコを放っておくほど二人は薄情でもなかった。

二人は自分でも頭が悪いとは分かっていた。だから自分の欲しいものを相手と分け合うことぐらいしか思いつかない。

 

「……ありがとう。でもいいよ。僕はもう少し一人でいたい。」

 

振り向いて力なく微笑むその顔は美しかった。

男だった、友達だった、そんなことは分かっているが二人は、いやドラコの様子を見ていた男子はその顔に釘付けになるほどの威力を持っていた。

もちろんドラコにそんな自覚はない。

また、窓の外を眺めながら憂鬱な表情に戻ってしまっている。

 

 

(……どうすれば良いのだろう。こんな体になってしまって。こんな、子供を産むことさえできない出来損ないの身体に。父上や母上とどう接すればいいのだろうか……。)

 

何百回と繰り返してきた問。

だが、今回も答えは出そうにない。

 

(もうすぐクリスマス休暇か。……残るしかない、か。会いたい、けど会えない。

はぁ、これも全部リンリーのせいだ。)

 

そうは思いつつも男だった時の恐怖や嫌悪感、怒りなどそういった負の感情は塵ほどしか湧いてこない。

 

(僕はどうしてしまったのだろう。あいつのことを思うと怒りではなく暖かな気持ちになってしまう。クィディッチの試合の時の事を思い出すだけで動機が激しくなる。まさか、他の女と同じように? ばかばかしい。)

 

そうは思ってもどうしても考えてしまう。

リリアン・リンリーの隣にいる自分を。

笑顔を向けてくれる彼女を。

色々な光景が頭に浮かんでは消えていく。ドラコはつい口からその名を出してしまった。

 

「リリアン・リンリー……。」

 

「呼んだ?」

 

横から聞こえた声にものすごい勢いで振り向く。

そこにはここにはいるはずがないリリアン・リンリーがいた。

周りにはリンリーハーレムがいるだけで誰もいない。

時計が目に入ると時刻はかなり経っているのか夜遅くになってしまっている。

 

「何でここに!?」

 

「あなたに会いに。」

 

「ふぇ?」

 

いきなりの言葉に疑問も何もかも一瞬で消えてしまった。

 

「あなたなら秘密の部屋や継承者について知っているかもってことになってね。ダフネに合言葉を聞いてここに来たの。何か知ってる?」

 

ドラコは落胆していた。自分に会いに来たと言いつつただ単に情報が欲しいだけなのかと。

 

(待て、なんでがっかりしているんだ。)

 

そうは思いつつ思いは口から出てしまう。

 

「僕に用があるのはそれだけ? だったら帰ってくれ!」

 

「それだけじゃないわ。せっかくの機会だしもっと仲良くしましょう?」

 

そう言って隣に腰掛けるリリ。ドラコの心拍数が急上昇する。

動きが固まるドラコに寄りかかり腕を、指を絡めて知っていることを聞き出していく。

服従の呪文にかかったかのように知っていることをしゃべってしまうドラコ。

 

(でも、こんないい気分なら……。ああ……リリ。)

 

「ありがとね、ドラコ。また来るわ。」

 

最後に頬にキスをしてリリたちはダフネを残して帰っていった。

しばらくぼーっとしていたドラコは我に返ると真っ赤になっていた。

羞恥、怒り、様々な感情が渦巻く。

自分はどうなってしまったのか。いったいどっちなのだろうか。

 

「ドラコ。無理しなくても良いんじゃない? こっちは良いわよ。」

 

その様子を見ていたダフネはドラコにそれだけ言うと部屋に去っていく。

それからしばらくドラコは頭を抱えていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ドラコからの情報では50年前に誰かが秘密の部屋を開け一人死人が出てしまったこと、そしてその時の犯人は退学になったということが分かった。

しかし、今回の件については何も手がかりはなかった。

 

クラウディアやパドマと別れてハーマイオニー、パーバティとグリフィンドール寮に戻って来る。太った婦人の肖像画をくぐって談話室に入る。

夜も遅いので誰もいないだろうと思っていたが、一人だけいた。

ジニーだ。ソファーに座ってぼーっと外を眺めていた。

 

「はぁいジニー。早く寝ないとお肌に悪いわよ。」

 

私たちもでしょ、とハーマイオニーとパーバティからのツッコミが入る。

そうでも最近のジニーは調子が悪そうなのだ。

相変わらずぐいぐいと懐いてくるが、日に日に無理をしているのが、目に見えて分かってしまう。目に隈があることもあり心配だ。

 

「あ……。リリお姉さま。」

 

たった今リリたちに気が付いたのか、ぼーっとしていたのが嘘のようにばっと立ち上がってリリに近寄ってそのまま抱き着いてきた。

このような行動は別段珍しくないのだが、今回は少しおかしかった。

いつもならそのままリリの胸に顔を埋めて香りを堪能したり、ひたすらお姉さまと連呼したりといった行動がプラスされるのだ。

だが、今のジニーは震えていた。

 

「ジニー? 何かあったのね。話してくれない。」

 

そう言うと震えはピタリと止まりリリから離れていった。

 

「ふふ、お姉さま成分充填完了! おやすみなさいお姉さま! ハーマイオニーとパーバティも。」

 

そう言って女子寮に駆け上がっていった。

その様子をリリは心配な顔で見ているしかできなかった。




クリスマス休暇は帰省することに。
流石にリリのお願いでもダメなことはダメなのである。
それでも上目使いで大分やられてましたけど。
ハーレムメンバー出なかったら即座にKOされてました。
リリに対してもNOといえるのは限られた者だけですね。

ハリーは継承者として疑われていますけど冷静に考えらば違うとも思える。
ただ、リリを襲った(ように見える)ので女子からは敵意100%です。

ドラコはかなりの美少女になってます。
そんなのが微笑んでくれたので取り巻き二人はどうしていいのかわからない複雑な感情を得ました。

リリ、スリザリン寮に訪問。
とはいってもこれが初めてではない。既に全ての寮でお泊りまで経験済みだ!
尋問にポリジュース薬など不要。女というだけでリンリーの魔力からは逃げられない。
ドラコちゃんは徐々にリンリーに堕ちて行っている。頑張れ!

ジニーの様子がおかしいのは気が付いてますけど、あんな日記が原因とまでは気が付けません。リリは魔法の技量としては別に優れているわけでもないですしね。

それでは次回お楽しみ。
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