一応、ダンブルドアが悪事の証拠を集めてアズカバン送りという設定です。
それでは24話どうぞ。
1993年9月1日 キングス・クロス駅 九と四分の三番線
子供たちがホグワーツに旅立つこの日は大勢の魔法使いで溢れかえる。
だが、今年は少々違っていた。
普段は見ないガード魔ンがいるのだ。
これも脱獄囚のシリウス・ブラックの影響だろう。
リリ達はロザリンドとレイラ、警護担当のキャロルに見送られて蒸気機関車に乗り込む。
「ママ、お母様、キャロル。行ってきます! 今年こそはホグワーツでパーティーするから次は夏休みまで会えないと思うわ。」
「楽しんで来いよ! 大人数でのパーティーなんて学生時代だけだからな!」
「無病息災であるのならば何の問題もありません。気を付けてください。」
「お嬢様、何かあればペンダントを躊躇なく使ってください。次の夏休みまで更に美しく成長成されるのを楽しみにしております。」
三人はハーマイオニー達にも同じように気を付けるように言う。
もう家族同然なので実の娘、お嬢様として扱うのが当然になっている。
他の生徒たちも家族との別れの挨拶を済ませ、紅い蒸気機関車はホグワーツへと走り出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リリたち7人は最大サイズのコンパートメントを占領している。
昨年は蒸気機関車が動き出してからリリを求める女の子たちで長蛇の列ができた。
もちろん今年も同じようになることは想定済みである。
なのでハロウィンと同じように選ばれし者だけがリリと触れ合える機会を得られるように夏休み前にひと騒動あった。
学年末試験を終えた女子生徒たちはもう一つの戦いを始めようとしていた。
女子生徒の数は一学年平均40人。それが卒業する7年生を除く6学年、その内8割程度の200人近くの女子たちが大広間に集まっている。
休み明け、つまりは長い間お預けだったリリと触れ合える機会を得るための絶対に負けられない戦いを前に闘志をみなぎらせていた。
選ばれる人数はそれぞれの寮から各学年一人ずつ、つまり24人。過酷な戦いになる。
「
リリとの触れ合い争奪戦、通称リリ杯が開催される。
司会進行はパチル姉妹だ。案外二人はノリノリで進行していく。
「競う項目は三つ!」
「学力、戦闘力、そして魅力!」
学力はそのまま、学年末試験の総合結果である。教師には根回しをしてあらかじめ女子生徒の分のランキングは入手済みである。
戦闘力は魔法戦闘の技量を競う。秘密の部屋騒動があったことからリリを護るためには力が必要ということからこの項目が選ばれた。競う方法は一対一での決闘で、トーナメント形式で順位を決める。
最後の魅力、これはいかにリリをときめかすことができるかの勝負だ。
ちなみにハーマイオニーをはじめとしたハーレムのメンバーは関係が無い。彼女たちは既にリリによって選ばれた精鋭の愛すべき人なのだから。
「「さぁ! それではリリ杯スタート!」」
まずは学力。
学年別、寮別に一斉に学年末テストの順位が表示される。
その結果に一喜一憂する女子たち。特にレイブンクロー生は他の寮に比べてハイレベルの、それこそたった1点の差での争いである。
こんなことになるなら勉強をしておくんだったと嘆く声があちこちから聞こえてくる。
続いて戦闘力。
皆が密かにリリを護るために練習していたのか決闘クラブの時と比べて格段に上達している。上級生などは様々な呪文が飛び交いそれを躱すという成人同士の決闘でもなかなか見られない決闘となっている。
最後に、魅力。リリ杯の目玉といっていいものだ。
どんなに賢く強くてもリリに気に入られなければ意味がない。前二つの項目などはおまけでしかないのだ。
審査するのは言わずもがなリリアン・リンリーその人である。
女子たちは限られた制限時間でいかにリリへの熱い想いをぶつけ、愛されることができるかアピールする。
リリは女子たちに色んな方法でアピールされてご満悦である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こうして激闘を征した各学年4人、計24人の精鋭たちは久しぶりのリリとの時間を満喫している。
去年は一人当たり数1~2分だったのが今年は10分近くリリを独占できる。
その分魅了されるが、彼女たちにとってこの上ない幸せな時間である。
そうして最後の一人との時間を過ごしてリリのいるコンパートメントはハーレムだけがいるいつもの状態となった。
「はぁ~……。堪能したわ。やっぱ女の子との触れ合いは癒し、生きるうえで必要不可欠な要素だと再確認できた気がする。」
「私たちだけじゃダメ?」
ハーマイオニーがリリを抱きしめながら聞く。言葉とは裏腹に不安など感じていないような声色だ。
「みんなは別格。でも最上級の料理でも毎日じゃね。やっぱり色んな娘と、それこそ世界中の女の子と親密になりたいわ。」
リリの言葉はある意味、『あなた達だけじゃ満足できない』という宣言にも聞こえる。
だが、それを聞いたハーマイオニー達はまだまだこの
「リリ、私頑張る。他の娘たちがいなくても私だけであなたの事を満たせるような女になるわ。」
「もちろん。」 「私たちもね。」
「私も負けないわよ~。」
「当然ね。他の娘が目に入らない程になってみせる。」
「わ、私も!」
それを受けたリリも皆にハーレムの主としての答えを返す。
「私もみんなの愛を受け止めるだけじゃなく、皆の事をもっともっと満足させて……幸せにする。これは絶対よ。どんなことがあっても!」
お互いの想いを改めて伝えあう。
ハーレムの皆も全員がリリを幸せにしたいという思いは共通だ。それだけでなく他のメンバーを蹴落としたりなどせず、競い合い高め合う良い仲間、共にリリを愛し愛される共同体だとも認識している。
リリもその愛に応え全員を幸せにすると約束してくれた。
それが何だか気恥ずかしくなってみんなで笑い合った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リリたちが幸せでいると、蒸気機関車が速度を落とし始めた。
だが、ホグズミード駅に到着する時間ではない。
ついには停車し、灯りも全て消えて真っ暗になってしまう。
「何かトラブルかしら?」
「私が見てきます!」
ジニーが少しでもリリの為と思ってコンパートメントの扉に手をかける。
だが、そこで動きが止まった。
動きが止まったのは何もジニーだけではない。
コンパートメントにいる全員が動くことができないでいる。
いきなり真冬になったかのように気温が下がり、凍えるような冷気が室内を満たす。
全員がガタガタと震えるが、それは寒さのせいではない。
怖いのだ。
得体の知れない恐怖が沸き上がる、いや扉の向こう側に立っている。
「いや……。」
リリがそう呟く。それだけでここにいる女たちは憤怒した。
最愛の人を怖がらせる存在が、敵がそこにいる。変わらず体は恐怖に震え、心も恐怖に屈してしまいそうになるが、それを上回る怒りが体を動かした。
ハーマイオニーがリリを抱きしめ安心させようとし、残りのハーレムが二人を囲って盾となろうとする。
扉の向こうの何かが腐った死体の手としか言いようがないもので開けようとする。
全員が覚悟を決める。
「
たった一つの呪文で恐怖は去っていった。
同時に温度も元に戻り、緊張が解け全員が座り込んだ。
「大丈夫かい?」
コンパートメントの扉を開けてリリハーレムに声をかけたのは……みすぼらしい格好の男だった。
「あー……。もしかしてリンリー家の子かな? うん、とりあえずもう大丈夫だ。チョコレートを食べると良い。」
皆に特大の板チョコを渡して去っていく。
今まで見た中で一番頼りになる男性だなと凍える心でそう感じたリリ。
言われた通りチョコレートを食べると冷え切った身体が熱を取り戻す。
しばらくして列車は動き出した。
列車全体から先程までの冷気と恐怖が去ってはいたが、それでもリリのいるコンパートメントはリリを中心にみんなが抱きしめ合って一塊になっていた。
まるで先ほどまでの事を忘れようとするかのように。
そんな中でリリは考えていた。
(さっきの男の人……。あの人が使っていた呪文、それを唱えた後、あのナニかがいなくなって元に戻った。私もあの呪文を覚えなくっちゃ。もう一度あんなことになったら皆に護ってもらうんじゃなくて、私が皆を護らなくっちゃ!)
護られるだけなんて嫌だ、私が皆を護らなくてはと考えるリリ。
そんな思いを乗せ列車はホグズミード駅に到着する。
こうして予想外の展開を迎えながらリリアン・リンリーの三年目のホグワーツが始まった。
いつものホグワーツへの出発。
翻訳のガード魔ンは最初見た時のインパクトが凄くて忘れませんでした。
リリと触れ合える人を選定するためのリリ杯が行われていました。
何だかんだと言っても結局はリリに気に入られた人が選ばれたんですけどね。
リリの中ではハーマイオニーやハーレムは特別だけどそれ以外の女の事もキャッキャウフフしたいのです。
でもハーレムたちは出来れば自分たちだけを見て欲しい。
なのでハーレムたちはより女を高めるための努力を欠かさないし、リリもそれを受けてより大きな愛を与えようと頑張る。
吸魂鬼襲来。
吸魂鬼には性別が無いということでリンリーの力は無力です。
ルーピン登場
学生時代にロザリンドを知っているのでリンリーの恐怖は理解しているのでリリがリンリー家の子供だと看破。
リリにとっては頼りになると思った男は初めて。でも惚れるなんて展開は絶対にない。
そして守護霊の呪文を取得したいと思うように。
ちなみにハーマイオニー達も同じようなことを思っています。
それでは次回お楽しみ。