ちょうど物語内でもクリスマスの話題を書けそうです。
それでは28話どうぞ。
ハロウィーンに起こったシリウス・ブラック侵入から一夜が明けた。
最悪の監獄から脱獄を果たしたブラックを見つけることはダンブルドアでさえできなかったようで誰一人痕跡を見つけられなかった。
それから一週間ほどは多くの生徒が不安そうにしながら日々を過ごしていた。
人間はどんな環境にでも慣れるというが、魔法使いでもそれは変わらないらしい。
殺人犯が出現した場所での生活でさえ時間が経ってしまえばそれは日常になってしまう。
リリ達も流石に身近に殺人鬼がいるかもしれない中では落ち着かない時もあったが、そういう時ほど誰かと一緒にいれば自然と心が回復するものだった。
むしろいつも以上に女子たちとくっついて行動できるいい機会だった。
侵入は一度だけ、目的は不明だし、被害にあったのも絵画一つだけ。
学校としても見回りや防衛魔法の強化をするぐらいで警戒態勢も徐々に緩めていった。
そして授業はまるで襲撃が無かったかのようにいつも通りに進んでいった。
しかし教師たちが関与しないところではグリフィンドール寮の入口だけは魔境のように防護されていた。もちろんリリの安全の為である。
全女子生徒総出での保護呪文、女ゴーストによる見回り、深夜のみスリザリンの怪物たるバジリスクによる徹底警護、おまけにグリフィンドール塔の外にはドラゴンが飛んでいるのである。
これではいかにシリウス・ブラックでも侵入は難しいであろう。
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侵入からしばらくしてからの闇の魔術に対する防衛術の授業でそれは起こった。
教室に入るとそこにはいつものルーピンの姿はなく、代わりに見慣れた、しかし場違いなセズルス・スネイプ教授の姿がそこにはあった。
「早く席に着くように。」
驚いて立ち止まっている生徒たちに短く言い放つスネイプ。
リリが代表としてスネイプに尋ねる。
「ルーピン先生はどうしたんですか?」
「……ルーピン先生は体調が悪い。よって代わりに我輩が授業を執り行う。これは校長の許可も取った正式なものだ。……他に聞きたいことが無いならさっそく授業を始める。教科書の390ページを開くのだ。」
指定されたページを開く。そこに記されていたのは……狼人間であった。
狼人間は危険で確かに闇の魔術に対する防衛術で取り扱うべき怪物であろう。しかし今までのルーピンの授業のペースで考えればこれを扱うには早すぎる。
「ルーピン先生はどのような内容を教えたのか記録に残していなかった。よって今回は我輩が諸君らに必要なものを教える。我々が今日学ぶのは……人狼である。」
生徒の戸惑いなど無視してスネイプは授業を開始する。
それに待ったをかけたのは勉学に対してはホグワーツ一の熱量を誇るハーマイオニーである。
「先生、これまで授業でやったのはボガート、カッパ、グリンデローです。それからこれからの予定ではヒンキーパンクです。」
「黙れミス・グレンジャー。今は私の授……。」
それ以上はリリからの圧で何も言えなくなるスネイプ。
だが、狼人間を授業で取り扱うことは絶対に止めず、羊皮紙5枚以上という特大のレポート作成の宿題のおまけ付きであった。
ハーマイオニーも最初の方は不満気であったが、授業が進むにつれより深刻な顔に代わっていった。
それを無視するなんてリリには出来るはずがなく次の授業への移動途中に聞いてみた。
「まだ、確証はないけど……。もしそうだとしたらリリに危険が及ぶかもしれない。ハッキリしたらダンブルドアに直訴するわ。それまでもうちょっと時間を頂戴。」
ハーマイオニーはそう言うと考え込んでしまった。こうなれば答えを出すまでそう簡単には話してくれないと経験則から分かっているのでそれ以上は追求しなかった。
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今年もクィディッチのシーズンがやって来た。
初戦はグリフィンドールとハッフルパフの試合だ。
天候は残念なことに酷い嵐である。
だが、嵐に負けないぐらい激しい情熱を燃やしている男がここに一人。
ホグワーツの誰もが認めるクィディッチ狂いのオリバー・ウッドである。
「俺は今年で卒業する。この意味が解るか? そうこれが最後だ。俺は優勝杯という最高の栄誉を持ったままここを卒業したい。去年はあと一歩の所でスリザリンに優勝杯を持って行かれた……。だが! 今年はそうはいかない!
ケイティ! アンジェリーナ! アリシア! 最高のチェイサーたちだ!
フレッド! ジョージ! この二人に敵うコンビネーションはプロでもいない!
ハリー! 抜群のシーカーだ!
そして俺!
更にはグリフィンドールには勝利の女神がいる!」
試合前の控室ではいつもの様にリリがチェイサー三人娘の応援に駆け付けていた。
もちろん男子たちには恐怖の呪いがかかっている。
ウィーズリーツインズはそもそもあまりリリに対して恐怖を抱いていない方であったし、この状況には慣れてしまっていた。
しかしハリーとウッドはそうではなかったが、今日は違っていた。
ウッドの熱意はリンリーの呪いを凌駕するほどであった。
リリとしてはまさか自分が男に女神と称される日が来るとは思っていなかったのでびっくりして固まっている。
それを無視してウッドの熱のこもった演説が続く。
会場への選手入場までそれは続けられた。
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『さぁ! 今年もやってまいりました寮対抗クィディッチトーナメント! 実況はお馴染みリー・ジョーダンがお送りします! 解説は勿論我らがグリフィンドール寮監マクゴナガル先生です! 今年の見所は去年優勝チームのスリザリンに他の寮がどこまで対抗するかというとこでしょう。おおっと選手が入場してきました!』
ウッドを筆頭に両チームの選手たちは雨でずぶ濡れになりながらも闘志を燃やしている。
そして試合が始まった。
観客席では生徒たちも雨でぐっしょりになりながらも応援をしている。
リリは過保護なまでに防水の呪文を施された雨具やその他の道具で濡れてはいないがこの悪天候ではなかなか試合をよく見ることができていない。
いつものリリの応援によるグリフィンドールチェイサーのやる気もこの悪天候では効果半減なのかそこまでの点差ではない。もちろんそれだけでなく新たなハッフルパフのキャプテンであるセドリック・ディゴリーの的確な指示で力量差を埋める連携を取っていることも大きな要因である。
30分も過ぎたころに一度タイム・アウトのホイッスルが聞こえてきた。流石にこの雨ではなかなか試合の要のスニッチを見つけられないようだ。
試合が再開し、各選手がそれぞれ飛び回る。
しばらくして試合が動いた。両チームのシーカーが急上昇をしたのだ。
観客たちもそれに気づき一気にヒートアップする。
その熱はしかし、すぐに霧散することになる。
ホグワーツ特急、ホグズミード訪問、そして今回。
三度感じた言い表せない恐怖。
競技場に今までの比にならないくらい、数百もの
リリたちハーレムはリリを中心に抱き合って心の安定を図る。
女子生徒たちはリリが近くにいることで奮起する。
だが、選手たちはそうはいかない。
一人の選手が箒から落ち、地面に向けて真っ逆さまに向かっていく。
ダンブルドアが地面との激突を防ぐと同時に杖から白銀の何かを出現させ
試合はハッフルパフの勝利で終わった。
スニッチに向かっていたシーカーで箒から落ちなかったセドリック・ディゴリーが勝利を手にしたのだ。
これには不服であったセドリックは再試合の申し出たが聞き入られることはなかった。
試合の結果が残念なことになったので試合終了後にチェイサーの三人を慰めに行くと悔しそうだったが、それ以上に次への決意を高め、リリが来てくれたことに対して高ぶっていたので一安心だ。
後日、改めて
見つかったのは守護霊の呪文。
数ある魔法の中で唯一
高度な呪文だろうが何だろうがこの呪文だけは絶対習得すると心に誓ったリリだった。
シリウス侵入後にダンブルドアが見つけられないことや魔法省がシリウスをずっと見つけられなかったり、原作7巻でハリー達を死喰い人が見つけられなかったりとハリポタ世界では探査系の魔法がいまいち発展してないのかなと感じましたね。
殺人鬼が侵入しても一時閉鎖にならないホグワーツ。
まぁ、生徒が石になっても授業がいつも通りなんで当然かな。
グリフィンドール寮入口がラストダンジョンに。
何重にもかけられた防御魔法、監視用のゴースト、ボスのバジリスク、外にはドラゴン。正直シリウスがもう一度突っ込んできたらデットエンドですね。
バジリスクはハリーが通訳して護衛を任せました。ハリーまたもや通訳で活躍。
スネイプの人狼授業は原作通り。本当に嫌がらせが好きな人だ。
そんでもってハーマイオニーが疑問を持つ。
まだ確証はないけど、ハッキリわかったらルーピンはサヨナラの可能性が高い。
クィディッチも原作同様。
ニンバス2000は哀れ木端微塵に。
リリ守護霊の呪文を習得する決意を固める。
それでは次回お楽しみに。
2018年12月22日追記
魔法界に百合の花が咲く次回29話はクリスマスの内容になると思うので
25日0時に投稿しようと思います。
なのでいつもの時間には投稿は無いと思います。よろしくお願いします。