本年もよろしくお願いいたします。
それでは30話どうぞ。
クリスマス休暇が明けて1994年になった。
休暇中は女子たちとクリスマスパーティーを楽しんだり、新年を皆で祝ったりと楽しい時間を共有したが、それ以外にリリにとってはある課題があった。
それは守護霊の呪文である。
図書館で調べたりして詳細は分かったが、いざ実践してみるとなかなかうまくできない。
上級生でも扱える生徒はほとんどおらず結局、杖先からわずかな霞が出る程度にしか進展していない。
魔法が決して得意な方ではないリリだからそうなのではなくハーマイオニーやパドマ、上級生のクラウディアでさえあまり変わらない結果である。
これがリリにとってクリスマス休暇の唯一の心残りである。
(こんなのじゃ皆を護れない……。)
リリが悩んでいても時間は過ぎていく。休暇が明けて授業が始まりしばらくした時、ふと噂でハリー・ポッターがルーピン先生と守護霊の呪文について特別授業をしているというのが耳に入った。
善は急げと言う。次の闇の魔術に対する防衛術の授業が終わった途端、リリはルーピンの前に行きに頭を下げていた。
それにはルーピンは困惑するしかできない。
女子生徒はリリに頭を下げさせるルーピンに怒りと困惑の視線を向けている。
男子たちはあのリリアン・リンリーに頭を下げさせる男としてルーピンの株が急上昇である。
「ルーピン先生、お願いがあります。」
「え!? いやいやとりあえず頭を上げてくれ。このままじゃ視線だけで殺されてしまうよ。」
混乱する場を何とか治めようとするルーピン。
ひとまずリリをどうにかして話を聞くことにする。
「先生! 私に守護霊の呪文を教えてください! あんな奴らに私の皆が幸せを奪われるなんて嫌なんです。」
熱意が伝わって来るかの様な真っ直ぐな視線。
こんな目をされてお願いされてしまっては相手がリンリーであろうと教師として断るわけにはいかない。
というか断ったら女子から闇討ちされそうな気がする。
「分かったよ。日程や場所は後日調整するからちょっと待っててね。」
後日、土曜日に空いている部屋でルーピンによる守護霊の呪文の特別授業をすることが決まった。
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その次の土曜日。
ルーピンが空き教室で待っていると参加者がやって来た。
リリアン・リンリーだけかと思ったらそのハーレムまでも参加だとは予想外だった。
同じく守護霊の呪文の特別授業を受けているハリーとは別時間にしたのは正解だったとルーピンは確信した。
「よく来たね皆。守護霊の呪文を教わりたいってことだけど概要ぐらいは知っているってことでいいのかな?」
「はい。
代表してハーマイオニーが答える。
「うん、その通りだね。知識があるなら後は実践で覚えるしかない。本当は
特別授業はまずはルーピンが手本を見せアドバイスをする。
ルーピンの創り出した守護霊は……ただの霞だった。
「この状態はしっかりと幸福を心に思い浮かべていないとなる。ここまでだったら大抵の魔法使いならできるようになる。この次のステップが難しいんだ。」
次にルーピンが呪文を唱えると杖の先から白銀の狼が現れた。教室内をぐるりと一周してルーピンの元に戻って消える。
これには参加者全員が驚いてそれを見ていた。
「完全に使いこなすとこのようにちゃんと守護霊は形をとって現れる。私なんかより熟練者だと守護霊に伝言を託すなんて使い方をできるようになる。さて、ここに至るまでのアドバイスだはね、落ち着いてしっかりと守護霊に集中することだ。心が乱れてはどんな魔法使いもこれを使いこなすことは出来ない。次に、自分にとって幸せが何かをしっかりとイメージすることだ。魔法は心の在り方で思った以上に変わってくる。呪文を唱える前にしっかりと心を調整するのが大事になってくるよ。」
それを聞いてリリは考える。自分の幸せとは何か。
女の子に囲まれていること? ハーレムの皆? ハーマイオニー?
色んな想いが現れ思考が混沌としてくる。
一つ深呼吸して頭を空っぽにしよう、そして最初に幸せをイメージして出てきたものが自分の幸福の形なのだ。
脳裏に現れたのはハーマイオニー・グレンジャーと一緒にいる自分の姿だった。
その光景を思い浮かべたままリリは呪文を口にする。
「
リリの杖からは今までの消えそうな霞ではなく確かな実体が出現していた。
くしゃくしゃな髪、少女の身体、色こそ違えどそれは確かに
守護霊はリリのそばに寄り添いまるで守っているかのようだ。
「これは……驚いたな。」
ルーピンだけでなくここにいる全員が驚いていた。
まさか一回で成功するとは誰も思っていなかった。
「あ……、消えちゃった。」
守護霊はすぐに消えてしまった。それでも確かな実体を出現させるなど驚異的な事だ。
リリ以外はルーピンに指導されながら徐々に霞は濃くなっていき確かな上達を感じられる結果になっていった。
隔週で行われるこの特別授業以外ではクィディッチや宿題などあるが平和で脱獄囚が侵入することも、
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三度目のホグズミード訪問の日がやって来た。
生徒たちは軽やかな足取りでホグズミードへと向かっている。
しかしそこにはリリアン・リンリーと今日のデート相手であるジニーとハーマイオニーの姿はなかった。
楽しそうな女子たちの列を見ながらリリは隣にいる二人に聞く。
「本当にいいの?」
「ええ。むしろこっちの方がいいわ。」
「お姉さまと二人っきり、誰もいない……。ふふふ。最高です。」
この本来の趣旨に反した行動は二人による提案だった。
ホグズミードにはまだまだ行く機会がある。前二回のデートで目ぼしいところは大体回ってしまっただろうし同じようなデートはつまらない。
そこで考えた二人はあえて生徒が殆どいない校内デートを計画したのだ。
「それで、どんなことで楽しませてくれるの?」
「はいっ! まずは私から!」
ジニーが勢いよく取り出したのは漫画本だった。
日本出身の友達から借りた物の様で内容は……学校内での先輩後輩の少女二人の恋愛ものだった。
「マグルってすごいですね。正直文化面では魔法使いは遥かに遅れていると言わざるを得ないと思います。」
マグルというより日本がおかしいのだがツッコミを入れ事ができる存在はここにはいない。
「今回は今までにないシチュエーションのプレイを楽しみたいと思います! 具体的にはこの本のようにお姉さま……いえ先輩にしてもらいたいんです!」
流石ハーレム一の上級者変態である。
リリもその漫画を読んで気に入ったのか嬉々として空き教室へと向かっていった。
ちなみにちゃんと人払いの結界をマクゴナガル先生に張ってもらっているので誰かが間違えて入ってくる心配はない。
それこそ教師でもない限りは。
今までにない時間をたっぷりと楽しんだリリはジニーを教室に残してハーマイオニーが指定した場所に急ぐ。ジニーはダウンしているのが、しばらくしたら復活するだろう。
ハーマイオニーが待っていたのは8階の石壁の前だった。
本当に何もなく、ただの壁があるだけだ。
「? ハーミー? ここで何するの?」
「ふふ、まぁ見てて。」
そう言うとハーマイオニーは石壁の前で3往復する。
すると今までは無かった扉が急に現れた。
ビックリするリリにハーマイオニーは得意げだ。
「驚いた? 中に入ったらもっと驚くわよ。」
中に入るとそこは……予想に反して普通だった。
キングサイズのベッドが一つといくつかの棚があるだけだ。
「ここね、何でもそろう部屋なの。今は私がリリとゆっくり過ごしたいって思ったからこんな部屋になったけどね。」
リリは棚を見て回る。中には色んなお菓子や本、アクセサリーなどなど。
その棚の一つを見た時、リリは固まってしまった。
中は媚薬と書かれた瓶や
「ハ、ハーミー……。コレって……。」
ベッドの上で待機していたハーマイオニーは顔を赤くさせながらこっちを潤んだ目で見ていた。
「リリ……。今日はゆっくりと明日の朝まで、ね?」
愛する彼女がこういうのだ。リリアン・リンリーは覚悟を決めた。
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私が教師になってから数カ月が経過した。
色々なことがあった。ああ、本当に色々なことが。
良いことばかりではないが楽しいことは多い。
授業をするのは新鮮だし、ハリーに一対一で守護霊について教えられるなんて思っても見なかった。
それにリンリー家の子とも特別授業をするなんて思っても見なかった。
去年の私に言っても信じてもらえないことばかりだな。
……悪いことも、もちろんあった。
シリウスがまさか
やはりハリーが狙いなのだろうか。頭が痛くなる。
頭痛の種はそれ以外にもある。シリウスの一件があってから露骨にセブルスからの敵意が増している。どうやらシリウス侵入の手引きを私がしたと思っているようだ。
嫌われているとは知っていたが、狼人間について授業で教えることまでとは思わなかった。
脱狼薬を煎じてくれているから強く言えないが流石に厳しく言うか……無理かな。
今日も良いことと悪いことがあった。
ハリーが私たち四人が創った忍びの地図を持っていたのだ。
ジェームズの息子のハリーがそれを持っているのに運命を感じたが、セブルスにそれを見られたのは良くなかった。
過去のことを思いだした彼がまた私に嫌がらせしてくるのではないかと今から胃が痛い。
とりあえず忍びの地図は言いくるめて没収して手元にあるのでハリーに害がないようにしたのだけでも良しとしよう。
それにしても久しぶりにこの地図を眺めるなぁ。
創った当初は四人でこれを眺めて先生やフィルチがどんな動きをするか観察しまくったけ。
…………なんだこれは……?
なぜこの名がここにある!?
どういうことだ!?
そんな、まさか……。
シリウス! シリウスに会わねば……!
クリスマス休暇終了。
リリは独自に守護霊の呪文を習得するという目標を立ててましたが、やはり生徒たちだけでは無理でした。
そんなわけで、ルーピン先生にお願い。
リリとしてはハーマイオニー達を護るためならルーピンに頭を下げるぐらいどうってことない。
それでも周りは驚愕。これによってルーピンの女子好感度は低下し、男子高感度は急上昇。
そして始まった守護霊の呪文の特別授業。
ルーピンのアドバイスは本に書かれているような幸せを思い浮かべるというものより具体的だったのでリリは成功したということで。
まね妖怪も、守護霊もハーマイオニーなんで本物も合わせればそれだけでハーマイオニーハーレムが作れるという夢仕様。
三度目のホグズミード、ジニー&ハーマイオニー回。
敢えてホグズミードではなくほぼ無人のホグワーツでのデート。
ジニーは特殊シチュエーションプレイ。
ハーマイオニーは必要の部屋でやってみたかったプレイ。
ジニーは元々ですが、ハーマイオニーも色々とたまってたのでたまにはこんなことがしたいという欲望が爆発した感じです。
ルーピン先生は忍びの地図をハリー経由で入手。
それで眺めていたらある名前を目にして……。
その名前を目に出来たのは本作ではクルックシャンクスがいないことの影響です。
それでは次回お楽しみに。