【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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今回で3章終了となります。

現在絶賛インフルエンザ発症中なのでこの話までは投稿できましたが
来週はちょっとだめかもしれませんね。

それでは33話どうぞ。


33. ハーレム三年目

キャロルはリリ達を連れて医務室に姿あらわしをした。

突然現れたリリ達にマダム・ポンフリーは驚くがキャロルが事情を説明すると無駄のない動きでジニーの診察に入った。

 

「それでは私はあの下種どもの事を伝えて参ります。念のためここから動かないように。」

 

そう言い退出すると同時に多重に防御結界と感知魔法を医務室に施した。

向かうは校長室。一刻も速くダンブルドアに伝えた方が良いだろうとの判断だ。

ホグワーツ内での姿現しが可能なキャロルだが、校長室に直接、またはその付近ともなると不可能ではないが難しい。失敗するリスクを冒すぐらいならば足を使って走った方が速い。

 

その日、ホグワーツに生徒の間をすり抜けながら猛スピードで走るメイドという不思議が新たに追加されたのだった。

 

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「失礼します。」

 

校長室でダンブルドアが副校長であるマクゴナガルや各寮の寮監の教師達と来年度行うとあるイベントについて話し合っていると聞き覚えのある声と共に女性が入ってきた。

校長室にいる全員が驚いた。女がメイド服をその身に纏っているからというのもあるがそれは最大の要因ではない。

かつてホグワーツに在籍していた時にロザリンド・リンリーの最強の護衛だった、ある意味ロザリンドよりも問題児であったからだ。

 

「キャロル・フォードではないですか! どうしてホグワーツに?」

 

皆の総意を代表としてマクゴナガルが尋ねるが返ってきた答えは更なる驚愕をこの場にもたらした。

 

「シリウス・ブラックおよびその仲間を捕らえました。場所は「なんだと!? どこだ!?」……湖のそばに埋めてあります。迅速な処分をお願いします。」

 

セブルス・スネイプは誰よりも速く校長室から飛び出ていった。

一瞬遅れてダンブルドアがフリットウィックにスネイプの後を追うように、マクゴナガルとスプラウトには生徒たちやホグワーツ全体の混乱を抑えるように指示を出し、自らは魔法省へと迅速な連絡を取るため動き出す。

 

キャロルは伝えることはもう無くなったので愛すべきリリお嬢様の元へ戻る。

 

「待つのじゃ。」

 

それを止めたのはダンブルドアであった。

 

「君からも詳しく話を聞きたい。いつどうやってここに来たのか、どういった経緯で今回のようなことになったのか。わしらには知る必要があると思うのじゃが。」

 

「お断りします。そんな些事よりもリリお嬢様の方が遥かに優先度が高いので。」

 

無言で閉められる扉を見ながらダンブルドアは10年以上前と同じようなことがあったことを思いだした。

闇の帝王の全盛期、不死鳥の騎士団を率いて対抗していたが僅かな戦力でも欲しい、彼女が必要だった。

キャロル・フォードという魔法使いはどちらの陣営にとっても魅力な戦力だったのだ。

もちろんダンブルドアも自ら出向いてキャロルを勧誘した。

だが、返ってきたのは断るというただ一言のみ。

結局はリンリーの一族そのものを味方に付けなければならないという大前提があったのだ。

その前提自体、どの陣営にも不可能な事柄であるのだ。

 

無理だったものを後悔しても意味がない。

ダンブルドアはこれから起こるであろう魔法省や世間とのやり取りに頭を切り替えて行動を再開した。

 

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シリウス・ブラックとリーマス・ルーピンは杖を取り上げられ、縄で縛られたうえで魔法による更なる拘束がされるという状態で空き教室に閉じ込められていた。

ルーピンはこれから訪れる最悪の未来を想像して蒼白を通り越して色のない顔をしていた。

逃げようにもその手段も力もない。すでに諦めきっていた。

 

対してブラックは体を動かし続け少しもこの場から逃げることを諦めていなかった。

絶望的な場所、アズカバンで10年以上も耐えて耐えて耐えきった先にこのチャンスが巡ってきたのだ。

この程度で諦めるような精神はとうに捨て去っている。

 

とは言えそれは精神面での話。

どうやっても二人がこの場から逃げることは不可能である。

他に協力者でもいない限りは。

 

 

二人がいる空き教室の扉が開かれた。

裁判など無しにとうとう刑の執行かと覚悟を決めたルーピンと、もがき続けるブラックの前に現れたのは今世紀最高の魔法使い、恩師でもあるホグワーツ校長、アルバス・ダンブルドアであった。

 

「……久しいの、シリウス。それに残念じゃ。」

 

「ダ、ダンブルドア先生待って、待ってください!」

「聞いてくれ! あいつが、ピーターが!!」

 

「もちろんお主たちには聞きたいことが山ほどある。だが時間は限られている。そこでこれじゃ。」

 

ダンブルドアは記憶を見ることができる憂いの篩を持ってきていた。

 

「これでお主たちの記憶を見る。改竄があればすぐに気が付けるはずじゃ。真実をわしに見せてくれ。」

 

二人から必要な部分のみを取り出した記憶を即座にダンブルドアは体験した。

 

秘密の守り人、ピーターの裏切り、追走、更なる裏切りと冤罪、脱獄、親友との再会、そして真実。

追い詰める、キャロルの登場、再びの逃亡。

 

シリウス・ブラックが投獄される前から今日起こった出来事までの10年以上の時間の要点を僅かな時間で体験したダンブルドア。

即座には信じられることではない。だが無視できぬことも多い。

それにこれを完全に否定することもできない。

だが、時間はない。

 

しばらく考えた結果、ダンブルドアは一つの結論を出す。

 

「……分かった。お主たちを信じよう。」

 

「先生……!」

「ダンブルドア! じゃあ、この縄を解いてくれ! 今すぐにでもあいつを追いかけねば!」

 

「時間がない。もうすぐファッジが直々に吸魂鬼(ディメンター)を連れてくるじゃろう。もちろん吸魂鬼(ディメンター)の接吻の為じゃろうな。このまま逃げたら……わしが逃がしたと疑われる、それくらいは承知の上じゃ。すぐに逃げて身を隠すのじゃ。」

 

「先生! 私は……!」

 

「ありがとうございます……! いくぞ! リーマス!」

 

ダンブルドアはこれが正しかったと言い聞かせながら窓から逃げていく二人を見ていた。

これからファッジや世間から厳しい声が来るだろうと覚悟を決めた。

 

(その前にセブルスが荒れそうじゃのぉ……。)

 

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その日の夕方。

脱獄囚シリウス・ブラックと協力者であったホグワーツ教師リーマス・ルーピンが捕縛されたという情報が魔法界に日刊預言者新聞の号外として大々的に報じられた。

魔法省が今までの失態を挽回しようと即座に情報を広めた結果であったが、結果としては逆効果であった。

ホグワーツが吸魂鬼(ディメンター)の接吻の刑に処する前にまたしても逃げられるという失態を犯したのだ。

これには魔法省だけでなく、ホグワーツひいては校長であるダンブルドアへの批判と不信感が魔法使いたちの間で高まることになった。

不信感で言えば魔法大臣であるファッジは自らの失脚の可能性を増したという理由で表立って批判こそしていないが、ダンブルドアに対しての信頼はほぼ無くなっている。

杖まで奪って拘束した相手が逃げられるものなのか? しかもダンブルドアという最高峰の魔法使いがいるというのに。 そんな思いを抱くのは当然であった。

 

魔法省とホグワーツに対する不信感と同時に逃げおおせたシリウス・ブラックとリーマス・ルーピンのことを魔法使いたちは恐怖した。

杖も無しにアズカバンだけでなく安全だと言われていたホグワーツでさえ侵入し逃げることができる。更に片方は狼人間だというのだ。

これによって世間からの狼人間に対する風当たりが強くなる結果となってしまった。

 

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当然ホグワーツの生徒たちも困惑と恐怖を感じていた。

再度の凶悪犯の侵入と取り逃がし。更には信頼していた優しく頼りがいがあったリーマス・ルーピンが協力者だったのだ。

中には人間不信になる生徒まで出てしまっている。

 

 

そんな中で一番ショックを感じていたのはハリー・ポッターだ。

父親の友人で自分の事を気にかけてくれていたルーピン。

だが、それも今になって思えば両親を裏切ってヴォルデモートに殺される原因となったシリウス・ブラックと協力して自分の事を殺すための芝居だったとしか思えない。

 

(ブラックもルーピンも僕の事を殺そうとしていたんだ。それにブラックだけじゃなくてルーピンも父さんと母さんの事をあいつに売ったんじゃないのか? あの二人さえいなければ……。あいつらさえいなければ! 僕は両親と一緒に! あんなダーズリーの家で嫌な思いもしないで幸せだったのに!)

 

ハリーの様子は見るからに殺気立っており親友のロナルド・ウィーズリーでさえ声をかけるのを戸惑うほどの様子であった。

夏休みに入るまでそれは収まることはなく、ハリーは距離を置かれるようになっていった。

 

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一方のリリ達とはと言うと、大きな変化はない。

ルーピンが協力者というのは少しショックだがそこまで騒ぐほどの事ではない。

それに休みに入るまでは護衛としてキャロルがリリのそばにいることになったのだ。

あっという間に苦も無くあの二人を撃退したキャロルがそばにいるのだ。

闇の帝王でも現れなければ安心できない方がおかしいぐらいだ。

 

残りの僅かな時間をリリたちは普通に過ごしていた。

そして今年度のホグワーツでの最後の日がやって来た。

いつもの様に休み前の最後の宴が催される。

それでも例年に比べていくらか活気に欠ける。中にはダンブルドアや教員の方を疑惑の目で見ている生徒までいる。

それでもこれが終わって休みに入ってしまえば長期休暇、すなわちリリアン・リンリーと触れ合える時間が減ってしまうのだ。女子たちは最後のリリ分を摂取しようとこの時間を楽しむことに専念することにした。

 

 

そしてホグワーツからロンドンに向かういつもの紅い蒸気機関車。

コンパートメント内はキャロルも加わり8人という大所帯だが、キャロルが空間魔法を使ってコンパートメントを広げたことで狭苦しい思いをせず帰りの旅を楽しんでいる。

 

「ありがとうキャロル。でもずっとこっちにいたけどお母様たちの警護は大丈夫だったの?」

 

「もちろん抜かりはありません。リンリーの屋敷半径5㎞に許可のない侵入者があった場合即座に私が感知するようにしておりますので。」

 

改めてこの護衛メイドの実力がデタラメであると実感したリリ達だった。

あの襲撃の後、勉強家のハーマイオニーを筆頭に色々と聞いてみたのだが、どれもこれ

も凄すぎる魔法で正直に言えば参考にすらならないものだった。

 

「来年はキャロルの出番がないような一年になればいいなぁ……。」

 

リリがポツリと呟く。

去年の秘密の部屋と言い、今回の脱獄囚と言い、また4年生になっても何か起こるのではないかと不安になってしまったのだ。

 

「大丈夫よ、リリ。私たちがそんな不安なんか吹き飛ばしてあげる。」

 

そう言いながらハーマイオニーや他のメンバーに抱きしめられ愛でられまくるリリ。

そんな幸せ状態では漠然とした不安など言葉通りどっかに飛んで行ってしまった。

来年もこの幸せが続くように願いながらリリアン・リンリーの3年目のホグワーツは終了したのであった。




メイドの過去話

キャロル・フォードは最強の女魔法使いだ。
それと同時に落ちこぼれだった。

学生時代から魔法は失敗するし、魔法薬は壊滅、魔法生物にも嫌われ、とてもじゃないが優秀な生徒ではなかった。
だが、ロザリンド・リンリーはそんな彼女を蔑むことなく愛をくれた。
ロザリンドを護りたいというただ一つの望みから猛勉強するも相変わらず魔法は上達しない。
それでもあきらめなかったキャロルはある分野の魔法と出会った。

それが空間系の魔法。
物を転移させる、姿現し、空間拡張、その他諸々。
空間に対する魔法においてのみまるで別人、他の追従を許さない才能を持っていた。
そして才能を奢ることなく研鑽を欠かさなかった。

気が付けばキャロル・フォードはロザリンド・リンリーの最高の盾として完成していた。もはや誰も彼女を馬鹿にすることなどできない程に。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

3章終了です。
キャロルは空間系にだけ才能を振り分けた感じのキャラです。
前回だとリリの危機を感知して即座にホグワーツに姿現し。
敵対者が逃げないように空間を閉ざす。
シリウスの呪文そのものをルーピンの真後ろに転移させて気絶させる。
投石も同様にどこかに飛ばす。
シリウスを空高く転移させる。
地面落下直前に硬い地面に置換。
こんな感じに戦ってました。

もちろん万能ではないです。
実力差がありすぎると転移の成功率は低下や抵抗されますし、
空間把握にも限界はあります。
ダンブルドアやお辞儀には経験の差もあってまず勝てません。
とは言え強いのは確かなのでどちらの陣営も欲しい人物です。

そんな感じなので先生たちも記憶に残っている。
それが更なる爆弾発言をすればダンブルドアもビックリ。
スネイプのみが憎しみから体が走り出したのでダンブルドアより速く動いていました。

シリウスとルーピンはダンブルドアに真実を話す。
憂いの篩は嘘の記憶だと判断できると思ったので真実を見極めるために使用。
真実薬はスネイプが持っているのみだったのでとても仕える状況じゃなかった。
逃がしたせいでファッジと世間からの信頼度は低下。

ついでにハリーがシリウスについて誤解したまま。
更にはルーピンに対しても憎しみを抱いてしまった。
これのせいで原作からの差異が大きくなっていきます。

世間や原作主人公が荒れていく中、リリたちはいつも通り。


次回予告!

荒れるクィディッチワールドカップ!

開催される三大魔法学校対抗試合!

ホグワーツにやって来るボーバトンとダームストラング!

そして代表選手に選ばれるボーバトンの美女!

え? ホグワーツが二人? ダームストラングはクィディッチのトッププロ?

そんな事はどうでもいいのだ。

第4章 炎のゴブレットは良い選出をした

乞うご期待!



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