この間は凄く暖かったのに。
それでは35話どうぞ。
英国で開催されたクィディッチワールドカップの決勝戦は最後の最後で大きな問題が発生してしまった。おかげで英国魔法省は他国からの非難されっぱなしである。
決勝の試合終了までは良かった。あのまま何事もなければ素晴らしい大会だったという印象だけを残して終わっていただろう。
それをぶち壊した馬鹿どもがいたのだ。
例のあの人が全盛期だった頃にその信奉者だった者たちだ。
ほとんどはアズカバンへと幽閉されたが、中には
その裏には純血筆頭である聖28一族が多かったことから金や権力による強引な手で魔法省と裏取引した結果の自由を獲得した者も多い。
どういった者だろうと共通しているのはマグルを下に見ている根っからの純血主義者ということだろう。
今回のバカ騒ぎも被害にあったのはキャンプ場の管理者だったマグルだけである。
それだけなら純血主義者が
それで終わってはくれなかった。
騒ぎとは別に夜空に闇の印が打ち上げられたのだ。
闇の印は例のあの人のシンボル、誰かを殺すという誓いでもある。
言い訳、嘘、金、権力、そんなもので自由を手にした軟弱な
闇の印を使えるのは
このことは日刊預言者新聞に連日報じられ、毎日嫌な噂で魔法界のどこもかしこもいっぱいである。イギリス魔法省も対応でてんやわんやである。
今年はそれだけでなく大きなイベントが控えているというのに。
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リリアン・リンリーとそのハーレムの少女たちはホグワーツ特急内のコンパートメントでゆったりとホグワーツまでの旅を楽しんでいる。
リリ達にとってはクィディッチワールドカップの出来事は噂や新聞でしか知らない出来事なのでいまいち実感がわかない。
キャロルの魔法ですぐにリンリー邸に戻ったのは良かった。
まぁ、世間がどれだけ騒ごうがホグワーツで楽しい時間を過ごせることには変わりはない。
今年はどんなことがあるのかワクワクしている。
4年目になってもそれは変わることない。
ホグズミード駅に到着していつもの様に馬車に揺られてホグワーツ城に到着。
門をくぐって、大広間で新入生の組み分け儀式を眺める。
新たにやって来た初々しい娘たちはカワイイものだ。
組み分けも終わって宴が始まる。周りの話題にはちらほらとクィディッチワールドカップであるようだ。
リリが自分たちもそこにいたことを話すと女子たちが一斉に詰め寄って来る。
リリの事を心配したり、
特に3年以上一緒にいる4年生以上の反応は過激である。
「心配してくれてありがとう。でも、私は皆が怒った顔や心配そうな顔をするより笑顔でいてくれる方がいいわ。」
「リリ……。」 「リリちゃん。」 「そうね、私たちもリリが笑顔でいた方が幸せだもんね。」
やはり1年の始まりの宴なのだ。辛気臭い話なんかなしにして笑顔で楽しくしなくては台無しだ。
美味しい料理にデザートまでしっかり堪能して後は毎年恒例の校長の話で終わりだろう。
そう皆が思っているタイミングで図ったかのようにダンブルドアが立ち上がった。
「皆よく食べ、よく飲んだことじゃろう。さていくつか知らせる事柄がある。今年はちょっとしたサプライズ付きじゃ。」
悪戯グッズなどの持ち込み禁止の品、危険な禁じられた森への立ち入り禁止、守られているかは別としてこれらは毎年のことだ。
だが次にダンブルドアの口から出た言葉はほとんどの生徒に衝撃を与えた。
「さて、これから伝える内容は皆にとって非常に残念になるじゃろう。今年のクィディッチ大会は中止することとなった。」
大広間に男子も女子も関係なくどよめきが上がる。中には叫んで立ち上がる生徒もいる。前年卒業したクィディッチ狂いで有名なグリフィンドールのオリバー・ウッドがいなくてよかったと、男子に興味がないリリまでも含めたグリフィンドールの生徒全員が思った。
ブーイングまで飛び交う大広間が静かになるまで待ってからダンブルドアは続きを話し出す。
「なぜクィディッチが取りやめるのか? 説明をしなければ納得してくれんじゃろう。答えはの、10月から今学期の終わりまであるイベントが続くからじゃ。クィディッチにも劣らぬほど皆が楽しむであろうとわしは確信しておる。」
ダンブルドアは大広間を見渡し、ほとんどの生徒が注目しているのを確認して発表する。
そのとき、突如として大広間の扉が音をたてて開いた。
扉から入ってきたのは黒いマント、長い杖に寄りかかっている男性であった。体がいくらか不自由なのか身体を大きく上下させながら大広間を教職員テーブルに向かって進んでいく。
「何あの人……。」
「知ってる?」
「あれは……。」
大広間の反応は様々だ。
リリが知っている女子に聞いたところ名はアラスター・ムーディ。
マッド-アイ・ムーディとも呼ばれる、数多くの闇の魔法使いを逮捕したということで有名な魔法使いだそうだ。なんでもアズカバンに投獄されている囚人の半数は彼が埋めたというのだから、その実力は凄まじいものがあるのだろう。
ムーディはダンブルドアと言葉を交わしたあとは空いていた席に座り、持参した酒瓶を傾けながら残っていた夕食をもそもそと食べていた。
「こほん、気を取り直して……今年、ホグワーツで、
「「ご冗談でしょう!」」
グリフィンドールの双子、フレッドとジョージの声が響く。大広間のほとんどの生徒がそれに反応して笑う。
ダンブルドアが詳しい説明を始める。
「その昔はボーバトン、ダームストラング、ホグワーツで共催して5年ごとに持ち回りで行っておった。だが、悲しいことに夥しい死者が出てしまい中止になってしまっていたのじゃ。だが、それぞれの学校の校長と魔法省の魔法ゲーム・スポーツ部と協力して今年、数世紀ぶりに再開されることが決まった。」
「立候補するぞ!」
どの寮からも代表への立候補の声が上がる。大半は男子だが、女子も少なからずいる。声を出さなかった者も自分が代表になって活躍する姿を思い浮かべている様子だ。
だがダンブルドアの次の一言は彼らに衝撃を与えた。
「今大会からは、参加選手に年齢制限を設ける。成人、つまり17歳になっておらん生徒では立候補は出来ないのじゃ。」
この宣言には大ブーイングが巻き起こった。特にギリギリ成人になっていない者は納得がいっていないようだ。一番激しいのはウィーズリーの双子だ。
ダンブルドアはそれを無視して説明を続ける。今までの競技では死傷者が多数出てしまったことから成人してないような未熟な魔法使いでは課題をこなすだけの実力が無いことから今回のような制限が付けられたようだ。
ダンブルドアの話が終わり各寮に戻る生徒。寮への道中話題はどうやったら未成年でも出場できるか、誰がどの寮から出場するのか、他校はどんななのか等々
クィディッチワールドカップでの暗い事件についてなんかはすっかり吹き飛んでいた。
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「クラウディアは出るの?」
グリフィンドールの談話室で女子の集まりの中心のリリがハーレムの一人のクラウディアに尋ねた。
「私たちの中じゃクラウディアだけが資格ありだもんね。でも正直羨ましくはないわね。」
それに同調して何人かがうんうんと頷く。
「私は興味ないわね~。そんなのに出たらリリちゃんと一緒の時間が減るもんね~。」
ギューッとリリに抱き着きながら当然のように言う。
クラウディアは6年生。リリとのホグワーツ生活も残すところあと今年を入れて2年。
余計なことに使う時間など無いのだ。
ちなみにハッフルパフのクラウディアがここにいるのはキャロルに師事したことによってホグワーツ内で姿現しができるようになったからである。
まだ完全な姿現しは不可能だが、魔法道具を使ってハッフルパフ寮とグリフィンドール寮の間を行き来するぐらいならばできるようになっていた。
「未成年の私たちは出ようにも出れないしね。今年はクィディッチの代わりに観戦を楽しみましょう。ま、私はボーバトンとダームストラングから来る代表候補たちの方が楽しみだわ。少しぐらい女の子がいると思うし。」
ボーバトン魔法アカデミーはフランス、ダームストラング専門学校は北欧にあるらしい。
ホグワーツでも他国の子供を受け入れているが、大半は英国の子だ。
この外国の2校が来るということは、ホグワーツにはいないタイプの女の子との出会いのチャンスである。
男子も女子も思いはそれぞれだが、今年のメインイベントである
ほぼ原作と同じ流れで三大魔法学校対抗試合のお知らせ。
女子たちは基本関心は無し。
但し中にはリリにかっこ良い姿を見せたいと出場を決心する娘も。
クラウディアはキャロルに師事したことでレベルアップ。
とは言え常識の範疇の能力。
それでは次回お楽しみに。