【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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ハリー・ポッターの二次創作を書いてはいますが
原作からしてハリーの人生ってかなり辛いものですよね。
正直私だったら耐えられる気がしない。
そういう意味では主人公の素質(補正)を持っているんでしょうね。

それでは39話どうぞ。


39. 悲劇な四人目

「ハリー・ポッター……。」

 

ダンブルドアの口からあり得ない名前が告げられる。

存在しないはずの四人目。しかも未成年だ。おまけに魔法界では知らぬものはいないであろうハリー・ポッターときた。これでは騒ぎにならないはずがない。

大広間のざわめきは今までの比ではなく、生徒教師例外なく皆一様にハリー・ポッターに視線を注いでいる。

 

「ハリー・ポッター! 前へ!」

 

ダンブルドアが再び名を呼び我に返ったハリーは他の三人が入っていった部屋に急ぐ。

それに続いて各校長やバーテミウス・クラウチ、ルード・バグマン、教師たちが入っていく。

その後に残された生徒たちの憶測や妄想を止める者など誰もいない。

 

残された生徒の内スリザリン生はグリフィンドールからあり得ない代表が選ばれたのが面白くないのかハリーの批判を大声で叫ぶ。

普段はグリフィンドール寄りの立場が多いハッフルパフ生らは自分たちの寮から選ばれた代表のセドリックがいるにも関わらず選ばれたハリーの事が認められないのかスリザリンに同調する。いやむしろスリザリンよりも強く非難している。

グリフィンドール生も事態が事態だけに強く反論することもできず、困惑することしかできない。

唯一、レイブンクロー生だけは未成年がどうやってダンブルドアの年齢線を突破できたのかとういう方向で考えを巡らせており寮間の諍いなど気にもしていなかった。

これらはほとんど男子生徒だけでヒートアップしており、女子に関してはそもそも四人目が出ようが男だったことでそこまで重視していない。

ただ単に何かしらの事故でも起こったのか程度の認識だ。

 

ボーバトンとダームストラングはホグワーツが不正をしたのだと騒いでいる。

大広間は少しのきっかけで暴動でも起きてしまうかのような雰囲気だ。

そこにマクゴナガルが部屋から戻ってきた。

 

「ホグワーツの生徒たちは寮に戻りなさい。監督生! 引率は任せました! ボーバトンとダームストラングからお越しの方たちもそれぞれ馬車と帆船に戻るようにとマダム・マクシームとカルカロフ校長からの伝言です!」

 

リリがグリフィンドールの寮に戻っても男子の興奮は治まるはずもなく未だにあれこれと話している。

それを傍目に立候補していた娘たちが残念そうにしていたのでリリは慰めている。

そこに話題のハリー・ポッターが戻ってきた。

急いで自室に戻ろうとしていたが、男子たちはそれを許すはずもなくあっという間に囲まれる。

 

「なぁなぁ! どうやったんだ!?」

「すっげぇな! 四人目だぜ!」

「まぁまぁ、皆落ち着け。」 「それではスーパーでミラクルな四人目となったハリー・ポッター選手のインタビューと参りましょう!」

 

騒ぐ男子を纏めてウィーズリー双子がハリーを男子の前に立たせて次々に質問をする。

どうやって名前を入れたのか? 年齢線はどうしたのか? 今後の意気込みは? 優勝賞金は何に使う? 注目のライバルは?

それに対してハリーは何も答えなかった。ただ段々と顔が険しく歪んでいくだけだ。

何も答えぬハリーに腹を立てた誰かが言った。

 

「どうせダンブルドアかマクゴナガルあたりの贔屓だろ? クィディッチの時みたいにさ! なにせ英雄の生き残った男の子だからな!」

 

「黙れ!!」

 

男子はおろか騒ぎに無関心だった女子たちでさえ驚きハリーに注目する。

それだけの声量と怒気が声にはあった。

 

「僕はやっていない、やっていない! なんで誰も信じないんだ! どうして僕がこんな目に合うんだ! なんでどうして!」

 

眼に涙を貯めながら、延々となんでどうしてと繰り返すハリー。

 

「お、おい……ハリー? 大丈夫か?」

「うるさいうるさいうるさい! 黙れ黙れ黙れ! もう嫌だぁああ!」

 

近くにいたロンが声をかける。

しかしハリーは罵倒し泣き叫んで自室に走っていってしまった。

後には何とも言えない重苦しい空気だけが残った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

次の日からハリー・ポッターに対しての興味と非難の日が始まった。

しかしそれは二日と持たなかった。

一日目、ハリーは相手がスリザリンであろうと、ハッフルパフであろうと誰であろうと何かを言われるたびに暴言を吐いて回っていた。挙句の果てには監督生や、教師であるスネイプにすら掴みかかっていた。大量の減点などお構いなしである。

最終的には杖を抜いてスリザリンの一団に呪いを放とうとして失神させられ医務室へと送られた。

 

二日目はあまりの狂乱ぶりにスリザリンでさえ距離を置くものが多くいたが、相変わらず一部の生徒からの嫌がらせは続いた。

しかし前日と打って変わってハリーは全くの無反応。

何を言われても、何をされても見向きもしない。

 

この二日間のあまりのハリーの異様さに周囲は白けるどころか不気味に思ってしまい何もできなくなっていた。

皮肉なことにこんなに追い詰められているということはハリーの四人目の選出はハリーが望んだことでは無いという考えが段々と浸透してきていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そんな男子たちのことなど気にも留めないリリはある約束の為に玄関ホールにいた。

今日は休日。時間は午前10時5分前。

リリは人を待っていた。もちろん相手は女の子。目的ももちろんデートである。

波乱の代表選考の翌日、朝食の為に大広間に向かうリリたちの前にボーバトンの代表に選ばれたフラー・デラクールが待っていた。

 

「約束通りデートよ! 次の休日の午前10時に玄関ホールで待ち合わせよ! デートプランは任せるわ!」 ドヤ顔での宣言である。

 

「もちろん。楽しみにしていてね。」

 

周りの女子は反対したいが、リリが了承してしまっては意見することもできない。

ちなみにフラーは朝食は別の場所で食べていた。何でも、デートまでに極力会わない方が盛り上がるんじゃないかなということらしい。

 

そしてデート開始の10時ピッタリにリリに声がかけられる。

しかし、その言葉はありきたりな『おはよう』や『待った?』なんてものではなかった。

 

「そこの女! お姉さまは渡さないわよ!」

 

「はい?」

 

いきなりの言葉にリリは訳も分からず声の方を向く。

そこに立っていたのはフラーに負けず劣らずの美少女であった。フラーを数年幼くしたらこのような少女になると思わせる美しさだった。

 

「お姉さまの事は私が世界で一番愛しているの! なので! 今日のデートはあなたの妄想よ! いいかしら!? 分かった「止めなさい!」

 

そこに現れるは完璧に仕上げてきたフラー・デラクールであった。

ホグワーツにやって来た時のような魔法使いのローブではなくしっかりとおしゃれな恰好である。頭のてっぺんからつま先にいたるまで心を込めているのが解る。

 

「ああ! お姉さま……。美しい。」

 

「ガブリエル。今日はこの子とデートだからあなたはお留守番!」

「でも!」 「約束破ったら一週間口を利かないからね。」 「はうっあっ!」

 

フラーの妹というガブリエルはその場で硬直し、顔を色々淑女としてお見せできない程歪めながら葛藤してやっと頷いた。

 

「はぁ……。ごめんなさいねリリ。それじゃあ、デートを楽しみましょうか。」

 

「妹さんはいいの?」

 

「良いの。ちょっと甘やかしたせいで姉というより一人の女として見られているのよねぇ……。」

 

「ふむ……。姉妹……。そう言うのもありなのね。」

 

「それはともかく、エスコートお願いね?」

 

差し出された手をリリが取って二人はデートに出発した。

それに膝をついて見送るガブリエル。

そんな彼女の肩をポンと叩くものがいた。

その無念を理解したジニー・ウィーズリーがそこにはいた。

ここに姉を慕う者の同盟が締結した。そして姉たちのストーキングを開始した。

 

 

リリのデートコースはホグワーツの観光というものだった。

大広間や各教室といった普段使う場所から始まり。

各寮の談話室を巡り、クィディッチ競技場や禁じられた森のそばに湖。

秘密の部屋でバジリスクを見せたり、大きく成長したドラゴンの背にのせて空を翔けたりと最後までホグワーツという場所を堪能させた。

 

いつも過ごしている場所でもこうして初めて訪れる人を案内するのはとても新鮮で楽しい時間であった。

フラーも談話室の違いに興味津々だったりバジリスクに恐る恐る触ったりドラゴンに載ってはしゃいだりといろんな顔を見せていた。

 

「あ~楽しかった! ドラゴンに毒蛇の王(バジリスク)まで見られるなんて思っても見なかったわ。とっても刺激的な一日だった。」

 

「楽しんでもらえて良かったわ。夕食はしもべ妖精に頼んでフラーの故郷の料理にしてあるわ。」

 

夕食も楽しんでデートも終わり。

それぞれの寮と馬車に戻る。デートのスタート地点の玄関ホールでお別れだ。

 

だが、フラーが繋いだ手を放してくれなかった。

 

「フラー?」

 

「リリアン……。今日は楽しかったわ。ええ、本当に。あなたは私の事を見てくれていた。私の事を考えてデートをしっかりと計画してくれたし、デート中もずっと私を見てくれていた。ねぇ、リリ。今日は私の部屋に泊まらない?

私、あなたが欲しいわ。あなただけが欲しい。私だけを見て欲しい。私もあなただけを見るわ。ダメ?」

 

リリは真っ直ぐ向けられた目を見る。

 

「だめ。私の一番はもう決まっているの。でもあなたを見ないわけじゃない。これからも仲良くしてね。」

 

「私だけのものにはなってくれないの……?」

 

「ええ。」

 

しばらく二人は無言で見つめ合う。

 

「……そう。それなら私の事だけしか見られないようにもっと高めなくちゃね。」

 

「それは無理だと思うわよ。」

 

「ふふん。私を誰だと思っているの? 手始めに三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)は優勝するから! 優勝杯をもってリリの所まで行くから待ってなさい!」

 

「楽しみにしてるわ。それじゃあ、またデートしましょう? おやすみなさい。」

 

「おやすみなさい。今度のデートは私がエスコートするからね。」

 

最後にキスをして二人は戻っていった。

 

フラーと別れて寮に戻る。

談話室ではフラーとのデートで何かされなかったか質問攻めだ。

もちろんあってもキスぐらいだったが。

 

自室に戻るとハーマイオニーが両手を広げて待っていた。

そこに飛び込んで抱きしめ合いながらベッドにダイブする。

 

「お帰りなさい。とりあえず上書きね。」

 

そのままキスをされる。

 

「私が一番っていうのは分かっているけど、嫉妬はしちゃうのよ。」

 

「ごめんなさい……。」

 

「いいわよ。知ってってこうしているんだから。」

 

その夜は更なる上書きをされたリリであった。

 




四人目に選ばれるハリー。
前書きでも書きましたが人生ハードモードだわ。

そんでもって本作では大した活躍もできてないし成功体験もほぼ0。
おまけに名付け親の事を憎んだままだし、ルーピンには裏切られたと思っているので
かなり心に余裕がありません。
余りの闇具合に原作と違ってロンは離れずしっかりと親友をしています。
ロンがいなかったら更にヤバいことに。

そんなハリーなど眼中にないリリはフラーとデート。
フラーの妹ガブリエルは本作ジニーの様な感じに。
フラーがあまりに溺愛したため脅威のシスコンに変貌。
年齢は分からなかったので本作だと代表としてきたのではなく姉を追いかけて無理を言って付いてきたという設定です。

それでは次回お楽しみに。
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