これから移動で大変だぜ!
日間ランキングに載ったようでいきなりお気に入り数とUAが跳ね上がってビックリです。
それでは4話どうぞ。
1991年9月1日。
キングス・クロス駅9と4分の3番線。
毎年この日、ここからホグワーツに向けて数多くの子供たちが旅立つ。
特に新入生はこれからのホグワーツ生活に対して希望と期待そしてちょっぴりの不安を混ぜた気持ちで紅い蒸気機関車を見上げ家族との別れをしていた。
しかし、今年はいつもと少し様子が違っていた。
いつもは愛する子供を蒸気機関車が見えなくなるまで見送っていた父親は簡単な挨拶だけで逃げるようにホームから去っていく。
男子生徒は我先にとコンパートメントを確保し窓を開けることさえしない。
逆に母親と女子生徒はある一団を遠巻きにそして食い入るように見ていた。
周りの女性からの視線を集める一団、もちろんロザリンドとリリアンを中心とした女性たちだ。
リリのホグワーツへの旅立ちを前に両親とメイドたちが別れの挨拶をしている。
「リリ、ホグワーツはいいぞ! どの寮にも良い娘が必ずいる!」
「ロザリンドは少し黙っていてください。良く聞いてくださいリリ。パートナー探しももちろん重要ですが、勉学も大切です。それ以外にも色々と学ぶことは多いでしょう。頑張りなさい。」
両親に続きメイドたちもそれぞれアドバイスを告げていく。
「ハッフルパフになったら皆優しいですよ。」 メイが自身が所属していた寮について言う。
「私が所属していたスリザリンは嫌われものでした。ですが、お嬢様なら問題ないでしょう。一応スリザリンに所属したらそのあたりは注意した方が良いかと。魔法薬についてはスリザリンの寮監が詳しいので利用するのが良いでしょう。」 リディアは寮間の溝について注意を促す。
「勉強していて損はありません。賢いことで繋がる縁もあるでしょう。何かあれば私がアドバイスをいたします。」 アンは勉強について支援を約束する。
「力はないよりある方が良い。最低限の力はあるべき。お嬢様の身だけでなく将来の伴侶を護る力をつけてください。」 キャロルは警護担当らしい助言をする。
「ううぅぅうううう~~! お“じょう”ざま“~!」
「ありがとう! ママ、お母様、皆! 行ってきます!」
最後に皆に熱いキスとハグをして一番最後に蒸気機関車に乗り込む。
扉が閉まるまで別れを惜しんだ。
そしてとうとう蒸気機関車はホグワーツに向けて出発した。
「行っちゃったな。」
「ええ。次に会えるのはクリスマスですね。」
「うううううう……。お嬢様……!」
「いつまでも泣いてんな!」
「そうですよ。帰りますよ。」
レーナはこの後無茶苦茶慰められた。
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蒸気機関車に最後に乗り込んだリリはコンパートメントを探していた。
どこに入るか悩んでいるが、男がいなくて女の子がいるところならばどこでもいいかなとは思っていた。
とりあえず自身の直感に従ってコンパートメントを決めて扉を開けた。
そこでリリアン・リンリーは運命に出会った。
コンパートメント内には少女が一人だけで本を読んでいた。
少女は栗色のくせっけの髪を持ったちょっと出っ歯な女の子であった。
リリが扉を開けたことで本から顔を上げこちらを見て固まっている。
目が合った。
その瞬間、リリは股間と子宮にかつてない衝撃が走るのを感じていた。
幼き日に聞いた
『ママ! ママはどうやってお母様がお嫁さんだって思ったの?』
『ん~? そうだぁ……。色んな娘と付き合ったり寝たりしたけど……一目見て一発で股間が疼いたのはレイラだけだったなぁ……。母さんや先祖たちの話じゃ生涯の伴侶は股間か子宮が疼いてこの女を孕ませたい、この女の子を産みたいって思った相手が運命の人らしいぞ。』
そこまで言ってレイラに頭を叩かれるロザリンド。
『いくらリンリー家の娘だとしても孕むだの股間だの子宮だの、そこまで言うには幼すぎです。もう少し大人になってからにしてください。』
『ええ~? 別にいいじゃん。とにかく運命の人と会ったら体が教えてくれるはずさ!』
(ママはああ言っていたけどこれはマズいわ! お腹とアソコが疼いてヤバいわ。それに……なんだか顔も熱くなっている気がする。これが一目惚れ、恋なの?)
扉の前でもじもじしながらしばらく立っていてもコンパートメント内の少女からは何も声をかけられない。しばらくしてようやく少しは落ち着いたリリは恐る恐る声をかける。
「あの、ええと。ここ空いてるかしら? できれば一緒にいたいのだけれど……。」
その問いかけにようやく少女は反応を返した。
「あ、ええ! どうぞどうぞ! ゆ、ゆっくりしていってね!」
ぎこちない返事だが一緒にいられると分かるとリリはそれだけで嬉しくなった。
笑顔でコンパートメント内に足を踏み入れた。
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ハーマイオニー・グレンジャーは興奮していた。
ホグワーツからの入学案内を手にしてからずっとだ。
初めて魔法を見ることができた。
魔法使いの街で見たことが無いものを見れた。
そしていよいよホグワーツに向けて列車が発車してますます気分が高まる。
これからホグワーツではどんなことを学ぶのだろう? それを考えるだけでワクワクしてくる。もう全ての教科書は暗記してしまったし、他にも色んな魔法界の本も読みこんでしまった。それでももう一度確かめるように教科書を開いた。
読み始めてすぐにコンパートメントの扉が開かれた。
そこには天使が立っていた。
比喩でも何でもなくハーマイオニーにはそこにいる存在が天使のように思えた。
(かわいい……。)
今まで頭にあったホグワーツや魔法についてなど吹き飛んでその少女を見ていた。
しばらく見つめ合っていると声をかけてきた。
その声もまたハーマイオニーの心を震わす。
(なにこれ声までかわいい。え? このコンパートメントに? これ夢かしら?)
「初めまして。私はリリアン・リンリー。今年入学するの。リリって呼んで?」
「わ、私はハーマイオニー・グレンジャー。」
「じゃあ、ハーミーね。ハーミーも新入生なのかしら?」
「ええ、そうなの。えっとリリアンと「リリ。」一緒、え?」
「リリって呼んで。ね?」
(ああもう! 上目遣いだなんて反則よ! このまま……あれ、なんで私?)
ハーマイオニー・グレンジャーの生来の生真面目な精神がすんでのところで堕ちるのを食い止めた。それでもリリアンの魅力にかなりやられており心は乱れっぱなしであったが。
「……リリ。これでいいかしら?」
「ええ! もちろん! ハーミーは勉強家なのね。私はそんなに本なんて読めないわ。」
「本を読んで知らないことを学べることは楽しいわよ。それにホグワーツではもっと色々と学べるはずよ。」
「私はもっとハーミーの事も知りたいわ。それに私の事も知って欲しい……。」
隣のすぐ近くに座りじりじりと距離を詰めながらそんなことを言ってくるリリ。
ハーマイオニーの常識はどんどんと崩れていく。頭の中はカワイイやいい香りなんてことでいっぱいだ。
「ホ、ホグワーツに着いてからね! それよりリリはどの寮がいいかしら? 私はレイブンクローかグリフィンドールに興味があるの。」
「う~ん、そうねぇ……。可愛い子が多いところが良いんだけどね。」
「もっと真剣に考えなきゃだめよ!」
そんな感じでリリが誘惑しハーマイオニーが耐えるという時間が過ぎていく。
蒸気機関車の旅路も半分を過ぎお昼の時間になった。
互いに持ってきていたお弁当を食べ始める。
「ハーミーのお弁当ってあまり見ないものが多いのね。もしかしてマグル生まれ?」
「ええ。そういうリリは魔法界出身なの?」
「お母様はマグル出身だけどね。ねぇ、そのおかず一つちょうだい? 私の方も一つあげるから。」
「いいけど。っ!?」
リリは餌を待つひな鳥の様に口を開けている。どうやらハーマイオニーが食べさせてくれるのを待っているようだ。
フォークでおかずを指してリリの口に入れる。リリはそれを頬張り美味しそうにする。
ハーマイオニーはリリが食べ終わった後のフォークを凝視している。
「はい、私の番。あーん。」
リリも同様にフォークでおかずを差し出してくる。何も考えないようにしながらそれを口で受け取るハーマイオニー。そのおかずは今まで味わったことの無い味がした。
その後も表面上は談笑しながらの食事を続けるがハーマイオニーの頭はパニック寸前だった。
(私の唾液が付いたフォークがリリの口に、リリの唾液が付いたフォークが私の口に! 唾液交換! ひ、卑猥だわ! これはキス!? いえ、それ以上!? お、おおおおお、女の子同士だし普通よね!? って普通じゃないわよ!)
ギリギリ理性を保つハーマイオニー。リリは平然としているがハーマイオニーとの行動一つ一つに普段以上の幸福を感じていた。
食事も終えたころ車内移動販売がやってきた。
「お菓子はいかがお嬢さん方。あらあら! 可愛い子ね! おばさん、サービスしちゃうわ!」
ハーマイオニーは初めての魔法界のお菓子に驚いたり感動したりしているのを見てリリも嬉しくなる。
ホグワーツまで後一時間ほどまでの距離に来た時二人がいるコンパートメントがノックされた。
返事をすると上級生と思われる女の子が扉を開いてきた。
「あー……えーと変なんだけどね。このコンパートメントの事がずっと気になってて……。うん。突撃してよかった。こんなかわいい子がいるなんて!」
それからは怒涛の勢いだった。
最初に訪れた女生徒からの話が伝わったのか次から次へとリリたちがいるコンパートメントに女子が訪問してくるのだ。
それも面識がある子は一人もいない。皆一様にここを気になっていて切っ掛けを待っていたようなのだ。
リリは来訪する女子全てに握手やハグといったスキンシップをしていった。
その様子を見ているハーマイオニーは不機嫌になっていった。
(何よ! 嬉しそうにして。私と二人でいるよりいいのかしら。わ、私だって抱きしめたり、膝の上にのせて撫でたり……。だ、ダメダメ! そんな事友達にすることじゃないわ!)
「あ、そろそろ制服に着替えなきゃ。」
「へぁ!? 私外に出てるね!」
「何言っているのよ、女同士でしょ?一緒に着替えましょうよ。」
ホグワーツに到着するまでの時間悶々とした気持ちのままのハーマイオニーであった。
ヒロイン、ハーマイオニーとの邂逅回でした。
恋愛描写が難しい……。
そしてこの物語でもハリーやロンのセリフが現在無し。
まぁ、物語都合上仕方がないですね。
それでは次回お楽しみに。