設定が盛られたり、恋愛で面白おかしく成ったりとかしたんだろうか。
それだとここまでヒットもせず消えていくような気もしますが。
それでは41話どうぞ。
第一課題が終わりリリは選手たちがいる控室の前でフラーが出てくるのを待っていた。
中では第二課題の説明でもされているのかなかなか出て来てくれない。
しばらく待ってようやく選手たちが出てきた。
初めにハリー・ポッターが疲れた顔で、その次にセドリックが同様に疲れた顔をしてこそはいるが満足気な顔でもあった。その次はクラムだが前二人と違って体力に差があるのか疲れは見せていない。
ホグワーツの二人はリリを認識すると足早に去っていったが、クラムは男にしては変であった。何かに期待したかのような顔で少し離れたところでリリの方を見ているのだ。
そんなクラムは既に意識の外にあるので気が付いていないリリは最後の一人であるフラーが出てくるのを待つ。
「あら? 待っててくれたの?」
「ええ! 一位おめでとう! すごかったわ! 踊るように炎を避けるなんて本当に妖精みたいね!」
リリからの直球の褒めはフラーにとっては正直に予想以上の効果だった。
今まで男も女も自分に向ける賛辞は必ず裏があったのだ。
だが、目の前の小さな女神は自分の全てを嘘偽りなく褒めてくれている。
例え自分の順位がビリでも変わらないだろう。
改めて感じる目の前の少女からの真っ直ぐな眼差し。
気が付けば腕が開き、胸の中にはリリがいた。
抱きしめられているリリは何も言わずに抱きしめ返す。
そんな光景を見ていたクラムは「これもいい……。」と静かに涙を流していた。
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次の第二課題が始まるまでまたしばらくの時間が空く。
それまでに代表選手たちは与えられたヒントを解き明かすことで第二課題に備えるのだ。
それも一般生徒であるリリ達には何の関係もない。
朝起きて、ハーマイオニーとイチャイチャ。
朝食食べて、女の子とイチャイチャ。
授業の合間にパーバティとキス。
昼食でクラウディアと食べさせ合い。
図書室でパドマに膝枕される。
夕食はジニーが猫になる。
休日は誰かとデート。
いつもの通りのリンリーがいるホグワーツである。
しいて言えば女の子の中にフラーがいて、遠巻きにクラムの姿がよく見かけることぐらいであろう。
そんなホグワーツに激震が走った。
『クリスマスダンスパーティー開催のお知らせ』
このような見出しの張り出しが各寮談話室や大広間などの掲示板に張り出されていたのだ。
伝統ではこのダンスパーティーは男女のペア、代表選手が必ず最初に踊る、などの決めごとがあった。
それでもリンリーという存在がいる以上は男女ペアで限定したところでほぼ全ての女子がリリの元に殺到するのは目に見えている。
それなのでダンスパーティーは異性、同性問わず、どころかペアの入れ替えさえ自由というルールと言っていいのか分からないルールが取り決められた。
当然のように女子たちは自分がリリをリードする、あるいはリードされている光景を思い浮かべて脳内麻薬がドバドバである。
ちょっとイキすぎている者はダンス中のちょっとしたアレなハプニングやその後に起きるもはや想像ではなく妄想をして鼻血を垂らしている。
「で? リリはどうするの?」
周りからのいつも以上の熱視線を浴びながらも平然としたリリにハーマイオニーは尋ねる。
答えは分かり切ってはいるが一応正妻として聞かざるを得ないのだ。
「もちろん女の子全員……いいえ訂正。ホグワーツにいる女性全員と踊りたいわね。」
ハーマイオニーやハーレムは当然として。
ホグワーツの生徒、ボーバトンの生徒、そしてマダム・マクシームまで含めた全員と踊るのが当日の目標である。
だが、リリは一人しかいない。対してホグワーツにいる女性は200人を超えている。
一人当たり一分としてもダンスパーティーは終了してしまうだろう。
つまり、選ばれた者しかリリとは踊ることができないのである。
リリも頭ではそれを理解しているが、本能として全員と踊りたいと願っている。
「ふふん。リリは代表選手、つまり選ばれた私とだけ踊ればいいわ!」
そこに現れたのはいつも通りに自信満々のフラーであった。
周りもすっかり慣れてしまったのか「はいはい」といった感じでスルーをする。
とは言えフラーの言う選ばれた者だけがリリと踊れるというのは当然な流れだ。
ということで正妻たるハーマイオニーが全員を纏めるため立ち上がった。
「
これには大広間も大盛り上がりである。男子は逆に女子と踊る機会が無いと絶望だ。
食事も切り上げて早速ダンスの練習をするために走り出す娘も出始める。
こうは言ってもリリに選ばれたハーマイオニーやハーレムは必然としてリリと踊れると皆が確信していた。
「ふふふん! 私はボーバトンの代表だからそれだけで決定ね! ところでリリ? あなたダンスの経験は?」
「あ……。」
頭の中では既にハーマイオニーや他の女の子と華麗に踊っている自分を妄想していたが、フラーの一言で現実に引き戻される。
リリには踊った経験など皆無であったのだ。
「ハーミー! どうしよう!?」
「はいはい、落ち着いて。とは言え私も経験がないのよね。皆はどう?」
「私たちはないわね。」 「一般家庭だしね。」
「私も経験ないわ~。」
「すいませんお姉さま!」
「一応はあるわ。」
唯一の経験者のダフネに皆が期待の目を向ける。
「一応貴族の家系だったから何回かは習ったっていう程度よ。それに他の聖28一族に上手い人がいるんじゃないかしら。」
その日からリリたちは授業終わりにダフネの指導でダンスの練習に取り組むようになった。
その他の生徒もそれぞれが必死に練習している。
それでも経験者と未経験者では雲泥の差であり日がたつにつれダンス代表は絞られていった。
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「はい、そこまで。」
ダフネの声で各自の動きが止まる。
リリたちは今日も練習である。だが、ちょっとダンスの経験があるという程度のダフネの指導では限界があると感じ始めていた。
特にダフネは自身も上手いと思っているわけではなかった。
それでもパンジーやミリセントなどの他の聖28一族の女子の中ではましな方ではあったのだ。
「う~ん……。形にはなっているけど、リリは納得してないわね?」
「もちろん。女の子の前でみっともない格好は嫌だものね。」
「でも私の教えじゃこれくらいが限界だと思うのよね。さて、どうするか。……あっ!」
ダフネはそこで思い出した。自分が知っている聖28一族の中で最もダンスが上手かった人物を。なぜ、思いつかなかったかと言えばその人物がダンスをしていた時は女の子ではなかったからだ。
リリはその情報を聞くとスリザリンの談話室に向かっていった。
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ドラコ・マルフォイは談話室で静かに本を読んでいた。
本は良い。一人で静かに過ごすには最適だ。
こうしていれば余計な干渉はないのだ。
ドラコが少女に成ってから丸二年が経過していた。家族や友人との関係やこの体にも一応は慣れたが、それでもたまに一人で静かにしたい時がある。
「ド~ラ~コ! ダンス教えて!」
そんな静かな時間は台無しにされる。よりによってこんなことになった原因によってである。
「リンリー! いったい何なのよ……何なんだ!」
本を閉じ声の主、リリアン・リンリーに向き直る。とっさに女言葉が出てしまった気がするが気のせいだ。
「ダフネからドラコがダンスが上手いって聞いたから。教えて?」
隠すことなく溜息を吐き出す。スリザリンでも女子たちがダンスの猛特訓をしているのは知っていたし、パンジーやミリセントからの頼みもあったが自分には関係ないと断っていた。
しかし、この少女の場合そう簡単にはいかないだろう。
断れば何をされるか分からないし、受けても自分の中の何かが失われる気しかしない。
しばらく頭の中の天秤がぐらぐらと揺れていたが結論が出た。
「はぁ~…………。わかった。但し! 一日だけ!」
「ありがとう、ドラコ!」
抱き着こうとしたリリの腕は空を切った。
この行動を予測していたドラコが回避したためだ。
「む~なんで避けるのよ!」
「当然だね。」
その後、リリが諦めるまで抱き着きと回避が続けられ、男も女も周りが羨ましそうに見ていた。女子は当然リリとじゃれつく(ように見える)ドラコに対して。
男子はドラコとあんな風に接せるリリを羨んだ。ドラコは美少女でリリに対しても惚れ込んでいないため男子人気は日に日に上がっているのだ。
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1994年12月25日 クリスマスダンスパーティー当日。
リリが纏うダンスローブはメイドの一人、メイによる特性品だ。
リリの魅力を引いだすためだけに作られた一品。
その効果はいつも以上に女の視線を釘づけにしている。
周りにいるハーマイオニーやハーレムもそれと相乗するように仕立てられた最高級のダンスローブを着ている。
大広間は豪華に飾り付けられ中央にダンスホール、そしてその周りには望んだ料理が出てくる金の皿が乗ったテーブルがある。
「綺麗ね。それでこそリリよ。」
「フラーもいつも以上に輝いているわ。」
伝統では
いるのだが、男三人は結局パートナーを見つけることは出来ずフラーだけが全員の前で踊りを披露することになった。もちろんパートナーはリリである。
年上であるフラーがリリの手を引き中央に進む。
音楽が流れ二人が踊りだす。
ヴィーラの血を引く人外の美貌を持つフラーと魅了という名の呪いを振りまくリリ。
その二人が踊ることで相乗効果が発揮され会場の全員が男女問わず眼を離すことができなくなっていた。
そしてダンスをしている二人は目の前の女しか見えていない。
「ふふ。いっぱい練習したみたいね。もっと上げられるわよ。ついて来られる?」
「ちょっときついわ。でも、もう少しこうしていたい。」
「私はずっとでもいいのに。」
二人が踊り終わるとハーレムや寮から選ばれた女の事代わる代わる踊るリリ。
一周した時には体力が限界に近く待っていたハーマイオニーの膝で充電することになる。
リリがダウンしている間は女の子たちが楽しそうに踊り、好きに食べて飲みパーティーは盛り上がる。
男子たちは踊ることはせずひたすら食事を楽しむことに専念することにしているようだ。
というか先生たちに許可を取って各寮に金の皿を持って帰ってそっちで男だけのバカ騒ぎをするらしい。
「お疲れ様リリ。はい甘いスイーツよ。あ~ん。」
「あ~。ん、美味しい。」
ハーマイオニーの膝の上で体力を回復させながらごろごろする。いい香りがする。
周りを見るとちらちらとまだリリと踊りたそうにしている。
「よっし! 嫁パワーも充填できたし頑張って来るわ!」
リンリー家の者として女の子が求めるのならば断わる理由など無いのだ!
第一課題直後からスタート。
改めてリリに堕ちているフラー。
本人は認めないでしょうけどかなりの依存度。
そして二人を見てご満悦のワールドカップMVP選手。
ダンスパーティーは男女ペアの制限撤廃。
どころかペア入れ替えも自由。
リリのハーレムに入っていない女子同士で何だかんだと目覚めて同性カップルがいたりするヤバいホグワーツなのであった。
ダンスの練習。
日本人にはなじみはないけど海外だとダンスって経験があったりするのだろうか?
そして久々登場のドラコちゃん。まだ堕ちてないですよ。
ファンクラブは寮の壁を越えて着実に増員中。
ダンスパーティーは他の代表は誰もペア無し。しょうがないね。
クラムだけは女子ペア同士のパーティー会場が
この後もリリと皆楽しく踊って選ばれなかった子も何だかんだと出来るだけ時間の許す限り踊ることができました。
それでは次回お楽しみに。