【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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もうすぐ4月。
組織も新体制になったり、新人が入ってきたりと忙しい季節になりますね。
色々と頑張らねば。

それでは42話どうぞ。


42. 第二課題

クリスマスダンスパーティーの後は休暇になる。

ボーバトンとダームストラングの代表たちは一時的に戻ることになるそうだ。

その際にリリはフラーから一緒に来ないかと熱烈に誘われたが流石に家族と過ごしたいと言って断った。むしろ逆にフラーの方がこっちに来ないかと誘ったのだが、ハーレムメンバーがハーレムの一員にならないのならダメと言い、フラーもできるなら二人っきりが良いと言うので残念ながら実現しなかった。

 

休暇はリンリーの屋敷でいつもの様にハーレムやメイドたちと甘く蕩けるような時間を楽しんだ。

三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)やフラーのことなど話題は今年も多くあったが、ロザリンドはフラーについて興味を示していた。

 

「いやぁ~ヴィーラか~。あいつらプライドが高くてなかなか手強いんだよな。リリも頑張れよ。」

 

そんな事を言うロザリンドはレイラに叩かれた。

そして休暇が終わり年も明けていつもの日常が再開する。

ボーバトンとダームストラングも休暇終了と同時に再びの来訪だ。

今回はホグワーツ生全員での出迎えを行っておらず、各自が自由である。

リリはボーバトンの方だけを出迎えることにした。当然である。

そして相変わらずサイズ感が狂いそうになる天馬に引かれた馬車が到着する。

扉が開かれて飛び出してきたのは銀髪をなびかせながら疾走するフラー・デラクールであった。

 

「リリ! 久しぶり会いたかったわ。」

 

「はぁい、フラー。調子はどう?」

 

「リリを見た瞬間から絶好調よ。」

 

実際馬車から飛び降りたフラーは一直線にリリへと走って来ていた。

これで不調であるということなどできない。

 

二校の再来訪ということで今日はちょっとしたパーティーが催されることになった。

とはいってもちょっと豪華な食事になる程度でハロウィンやクリスマスの様にはならない。

それでも娯楽に飢えている子供にとってはちょっとしたイベントでも盛り上がるもの。

それを教師たちも理解しているのか少しぐらいは羽目を外すのを大目に見ていた。

 

リリもその空気を楽しみながらハーマイオニーとパーバティを両隣りに侍らせ食事に舌つづみを打っていた。そこに近づくのはもちろんフラー・デラクール。

ホグワーツでの暗黙の了解になっているハーマイオニー>ハーレム>その他の女子という優先度などお構いなしにリリとの食事をするために来たのだ。

もちろん両隣りはがっちりガードされているため真ん前に座ろうとするがそこにいるのはジニー・ウィーズリーである。

 

「ちょっと退いてくれないかしら?」

 

「嫌です! ここは私の席です! 変わりたかったらお姉さまに選ばれてからにしなさい!」

 

「まぁ、怖い。いいわ、今日はあなたの隣で我慢してあげる。でも油断していると私がお姉さまに選ばれるどころか逆に私に魅了されちゃうかもね?」

 

「ふふん! そろそろお姉さまに陥落させられそうになっているのに強気ですね。」

 

「なっ何言ってるのかしら? 逆よ逆!」

 

「それも違います! フラーお姉さまは私が魅了するんです!」

 

更に加わったフラーの妹ガブリエルの存在で一気にリリの周りが騒がしくなる。

何だかんだとジニーもフラーもそしてガブリエルも本当に嫌い合っているわけではないので決して険悪な雰囲気になるわけではない。

普段はリリのハーレムは全員がお互いを尊重して穏やかな空気であるが、たまにはこんな刺激的なのもいいかもしれないとリリは思っている。

 

賑やかな雰囲気のままパーティーは終わりに近づいていく。

ふとリリはフラーに気になったことを聞いてみた。

 

「そう言えば対抗試合の第二課題ってどんなものなの?」

 

「あ、それ私も気になるわ。」 「私も。」 学術的な好奇心が旺盛なハーマイオニーとパドマがそれに便乗して聞いてくる。

 

「知りたい? なら今日は一緒にお風呂に行きましょうか。」

 

「へ?」

 

「はぁああ!? どういうこと!? まさかお姉さまとあんなことやこんなことを!?」

「だめですだめです! フラーお姉さまの裸体はガブリエルだけのものですぅぅぅ!」

 

騒ぐ妹コンビをなだめながらフラーから詳細を聞くがはぐらされてしまった。

流石に一対一では何かあるかもしれないということでハーレム全員(+ガブリエル)でフラーと裸の付き合いをすることになった。

 

ちなみにこの会話が聞こえていた某クィディッチワールドカップMVPは実に良い笑顔で鼻血を出していた。

 

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パーティーも終わりリリたちはホグワーツの監督生やクィディッチキャプテンだけが使用できる大浴場に来ていた。

普段はあまり気にしていないがクラウディアがハッフルパフの監督生であるのでここを自由に使うことができるのだ。

 

今脱衣所には九人の少女が裸を晒している。

同性ということもあるし、裸を見られるということを通り過ぎて色々とやっているがやはり若干の羞恥はある。ただ二人、リリとフラーだけは堂々と恥ずかしげもなく見せつけるようにして裸体を晒している。

 

「さぁて……リリ? その綺麗な金髪を私が隅々まで手入れしてあげるわ。ふふふ……。」

 

ジニーやガブリエルが色々と言ってきそうだが鼻血と血涙を流しながらぐっと耐えている。

リリの髪や体を誰が洗うのか、またリリに誰が洗ってもらうのか。

それを決めたのは運。すなわちじゃんけんであった。

結果はこうだ。

髪はフラーが、体はダフネが、そしてリリによって洗われるのはクラウディアだ。

まずはフラーが髪を洗ってくれる。

丁寧に、優しく、それでいて自分もリリの極上の髪の質感を楽しむ。

その黄金の髪はまるでフェリックス・フェリシス(幸運薬)を微細に編み込んだ糸のようだ。

触れているだけで下腹部に熱が帯びる。

 

「はぁ……。綺麗ね。」 

 

つい言葉が口から出てしまった。

リリは聞こえていなかったのか反応はない。

自分は無意識にそんな言葉が出てしまうほど目の前の少女に入れ込んでいると認識してしまったが、それでもまだこの少女の気持ちを全部自分に向けさせることは諦めていない。

とりあえずはサービスでもしてあげよう。

 

「仕上げよ。」

 

最後に泡を流してあげると髪に想いを込めて口づけする。

自分のありったけの想いでリリの心が自分に向くことを祈って。

 

 

次はダフネによる体の洗いだ。

 

「えっと……ダフネ。んっこれじゃあ……はぁ、我慢できなくなっちゃうよぉ……。」

 

リリとダフネは体をこれ以上なく密着させていた。

ダフネはスポンジやタオルではなく魔法で体中を泡だらけにしてその身を使ってリリを清めていた。

リリの後ろから手で体中を弄り、足を絡め、胸を含めた体全体でリリを抱くように洗う。

 

「リリ……気持ちいい……? 私は気持ちいいわよ。ほら……もっと楽にして?」

 

いつになく積極的にしかも二人きり出ない空間でダフネがこんなことをするのは非常に珍しい。

だが、触れられはするが体を洗われるだけでそれ以上はされずリリとしてはお預けを喰らったも同然だ。

最後に泡とそれ以外の液を洗い流された時に、ダフネがこっそりリリに耳打ちした。

 

「今日は私の所に来てね……。」

 

浴場の高温だけの理由でなく体が火照てしまうリリであった。

 

 

なんだか体力を使ったリリはそれでもハーレムの主として女の子を疎かにすることなどできるわけがないのでクラウディアの事を全力で磨いた。

先ほどの弄ばれた鬱憤もあったので必要以上にその豊満な胸を触りながら洗った気がするが気のせいだ。

 

「リリちゃん、今日は乱暴ね。でも……そんなリリちゃんも好きよ。」

 

そんな事を言われてしまってはますます熱が入ってしまう。

時折クラウディアの嬌声が浴場に響くがハーレムたちは気にせず、フラーが羨ましそうにし、ガブリエルだけは流石にあわあわと赤くなっていた。

 

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色々あったが一通り洗い終えた全員は湯船に浸かっている。

フラーの手には第一課題で手に入れていた黄金の卵が持たれている。

その美しさと普通ではありえない黄金の卵の組み合わせは一つの芸術品の様だった。

 

「金の卵……第一課題の時のよね。何かが生まれるなんて安直なものじゃないだろうし……。何かしらね。」

「魔法具かしら? 何かが封じてあるとか。でもお風呂っていうのが解らないわ。」

 

ハーマイオニーとパドマが興味津々で卵を見ている。

 

「ま、とりあえずこれを聞いてもらってからかしらね。」

 

フラーが金の卵の蝶番を開ける。

途端にキーキーと不快な騒音が浴場に鳴り響く。

分かっていたフラーがすぐに閉じたのでほんの数秒だが、それでも耳が痛くなってしまう。

 

「じゃあ次はお風呂の中で聞いてみて。」

 

全員がお風呂に潜って先ほどと同じようにすると騒音が全く違って理解できる音になっていた。

 

探しにおいで 声を頼りに

地上じゃ歌は 歌えない

探しながらも 考えよう

われらが捕らえし 大切なもの

探す時間は 1時間

取り返すべし 大切なもの

1時間のその後は――もはや望みはありえない

遅すぎたなら そのものは もはや 二度とは戻らない

 

「ぷはっ。これが次の課題の内容なの?」

 

「そ。調べらたこの騒音って水中人(マーピープル)の言葉らしいのよ。多分次の課題は大切なものを水中から取り戻すんでしょうね。それも一時間で。ま、もう用意はしているからあとはゆったり心を落ち着かせて臨むだけよ。」

 

その後はもう用済みになった金の卵を調べるハーマイオニーとパドマ。

ジニーとガブリエルは何か話し合っている。

パチル姉妹はゆったりとくつろぎ、ダフネは今頃恥ずかしくなってきたのか顔がのぼせた以上に真っ赤だ。

クラウディアは胸に当たるリリの頭を幸せそうに撫でており、フラーが自分の胸と比較して負けないと呟いていた。

 

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第二課題の前日に迫った変身術の授業の終わりにリリはマクゴナガルに呼び出された。

リリだけでなくハーマイオニーとパーバティも一緒だ。

心当たりはないがとりあえずマクゴナガルについていくとそこにはハーレムメンバーが全員揃っていた。

 

「ミス・リンリーとあなた方に来てもらったのは三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)の第二課題について話しがあったからです。一から説明しましょう。」

 

マクゴナガルから聞いた第二課題の内容はフラーの金の卵の解読と同じだった。

そしてフラーの大切なものとしてリリが選ばれたということらしい。

 

「先生! それじゃあリリが湖に沈められるってことですか!?」

「お姉さまにそんなことさせられません! ましてあの人の大切な人なんて!」

 

ハーマイオニーとジニーが声を荒げる。他のメンバーも声こそ出していないが同じ思いでマクゴナガルを睨んでいた。

 

「話は最後まで聞きなさい。いいですか? もし最初に許可なくミス・リンリーを人質に使っていたらあなた達は暴走したでしょう。なのでミス・リンリーだけでなくあなた達を含めて許可を取るためにこうして集まってもらったのです。さて、ミス・リンリー。どうしますか?」

 

「先生、安全ですか? フラーも含めてです。」

 

「もちろんです。私たちが責任をもって選手と人質の安全を約束しましょう。」

 

ただ口から言っただけでは全員が納得するわけではないので第二課題のより詳細な内容や人質に施される魔法について確かめる。

そして、最終的にはリリの意志に委ねられた。その全てをよく考えてリリは結論を出した。

 

「では……やります。」

 

囚われの姫が選ばれた存在に助け出されるなど物語の様な経験をしてみたかったことと、マクゴナガルの真剣な目を信じたのだ。

ハーレムメンバーもリリに説得されては渋々ながらも納得するしかない。

もしもフラーが失敗したら即座に自分たちが助けに行くことを決め、全員が泡頭の呪文をたった一日でマスターしたという苦労して泡頭呪文を習得した代表選手が可哀そうなことになってしまった。

 

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とうとう第二課題の日がやってきた。

代表選手たちは湖のそばの待機場所に集合している。

観客たちも特製の観客席に詰めかけてすでに満員だ。

 

代表選手全員が準備は万全の様であり自信に満ちているが分かる。

その姿は今から水の中に入るために水着姿である。

まだ気温も低いため寒いが代表に選ばれた誇りからか堂々としている。

 

 

『さぁ、紳士淑女の皆さんお待たせいたしました。選手の準備が完了しましたので第二課題開始いたします。』

 

バグマンの杖から開始の合図の号砲が響く。

代表たちは一斉に湖に飛び込んだ。

 

 

そして20分もかからずにフラー・デラクールがリリアン・リンリーを腕に抱えて湖から姿を現した。

この速さには流石に三校長やクラウチ、バグマンも驚いている。

湖の中の要所要所に設置された観察用の魔法具からの映像ではまだ残り三人が人質の場所にたどり着いていないことがわかる。

あまりの速さに観客たちは状況がなかなか飲み込めなかったが、復活したバグマンのゴール宣言で一斉に歓声が爆発した。

その中でフラーは悠々とリリをお姫様抱っこの形でスタート地点まで歩いていく。

そんな様子を見て女たちは歓声ではなく妬みと羨ましさから出る怨念の声を上げる。

 

「ん、あぅ……。フラー?」

 

「おはよう、お姫様。気分はどう?」

 

「ん~悪くないわね。」

 

スタート地点に戻った二人は暖められたタオルで包まれ魔法で体の熱も取り戻していく。

ゆったり一緒のタオルに包まりながらぬくぬくと待っている。

残りの代表たちもフラーから大分遅れて順次人質を連れて戻ってきた。

ハリー、クラム、セドリックの順番だ。

 

『さぁさぁ! 全員が戻って来て得点も出そろったぞ! と、その前にデラクール嬢がなぜあんなに速かったか説明しておきましょう! カルカロフ校長から不正をしているんじゃないかとしつこかったからね! 水中人(マーピープル)の話では人質の性質で速く解放したい女と呪いを恐れた男の意見が一致してデラクール嬢の妨害が少なく、積極的に助けた結果だそうです。』

 

『それでは得点! 順番に発表だ!』

 

フラー・デラクール

マダム・マクシーム――10点

イゴール・カルカロフ――6点

アルバス・ダンブルドア――9点

ルード・バグマン――9点

バーテミウス・クラウチ――8点

合計42点

 

ハリー・ポッター

マダム・マクシーム――9点

イゴール・カルカロフ――7点

アルバス・ダンブルドア――9点

ルード・バグマン――8点

バーテミウス・クラウチ――8点

合計41点

 

ビクトール・クラム

マダム・マクシーム――8点

イゴール・カルカロフ――10点

アルバス・ダンブルドア――8点

ルード・バグマン――8点

バーテミウス・クラウチ――8点

合計42点

 

セドリック・ディゴリー

マダム・マクシーム――9点

イゴール・カルカロフ――6点

アルバス・ダンブルドア――8点

ルード・バグマン――8点

バーテミウス・クラウチ――8点

合計39点

 

この時点でフラー・デラクールが最も優勝に近い選手となった。




休暇からの再来訪、そしてお風呂に第二課題でした。

原作ではどうっだったか忘れましたけど休暇は二校は一旦帰ったという設定です。
ホグワーツに生徒がほとんどいないからそうなるはず。

第二課題の疑問からのお風呂回。
色々とリリは楽しみました。

そして第二課題。
リリが囚われのお姫様に。
水中人への配慮が足りなかったので女性はリリを助けるために、男はリリをさっさとどっかに言って欲しいためフラーに協力的でした。
これは運営側が水中人の事を大して考えてなかったせいでリンリー対策を怠った結果です。カルカロフ校長も激怒。

そしてフラーの途中退場が無いので原作のハリーの道徳的行動はないので得点に変化。

それでは次回お楽しみに。

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