ここから原作だと暗い雰囲気になっていきますが、原作ほどそうはならないようにしていきたいですね。
それでは44話どうぞ。
期末試験も終わり、リリアン・リンリーの四年目のホグワーツ生活も後僅かで終わりだ。
「はぁ……。」
普段であれば休みの間にどうやってハーマイオニーやハーレム、他の女の子と楽しもうかと計画している時期なのだが、楽しい話し合いの代わりにリリの口から出てくるのは溜息だ。
それも仕方がない。ホグワーツを包む暗い雰囲気がそうさせるのだ。
栄えある優勝者はイレギュラーな代表のハリー・ポッターだ。
別にこれだけであったなら大きな問題ではない。
問題なのは優勝したハリーが行方不明になったかと思えば、しばらくしてボロボロになって現れたこと。
そしてそのハリー・ポッターの口から出た言葉なのだ。
「ヴォルデモートが帰ってきた! あいつが蘇ったんだ!」
ハリー・ポッターの叫びは決してソノーラスを使っていたわけではない。
周囲の喧噪を考えればかき消されてもおかしくは無かった。
だが、魔法使いたちはその言葉……ヴォルデモートという恐怖そのものと言える名を決して聞き漏らすことはなかった。
一瞬前までの観客の話し声も、教師や魔法省役人のあわただしい動きも何もかも停止していた。
そして次の瞬間から徐々にざわめきが拡大していった。
「おい……。ハリーが何か言ってるぞ……。」
「例のあの人が? 嘘だ!」
「でも見ろよ! あんなにボロボロだ!」
「いやっ! いやあぁあああぁぁあぁ!」
一度始まった恐怖と混乱は次から次へと隣に、周囲に、伝播していく。
魔法省役人もホグワーツ教師も混乱を収めるのに必死だ。
「戻りましょう、リリ。」
マグル生まれということもあって一番冷静であったハーマイオニーが混乱する場から離れるためリリの手を取って歩き出す。
それに残りのメンバーも続く。
心の安定に影響していたリリがこの場から離れたことで徐々に会場の女たちの混乱度は高まっていった。
ハーマイオニーもそれは予見していたが、何よりも大事なのはリリであるので罪悪感を無視をして進んでいった。
「ここまでくればいいかしら。とりあえずまだ誰も戻ってないみたいね。」
集まったのはリリのホームでもあるグリフィンドール寮の談話室だ。
ハーマイオニーが確認したようにまだ誰も戻ってきてはいない。
緊急時ということもあるし、そもそも他寮の談話室に入ってはいけないというルールなどというものは存在しないのでここにダフネたちがいても問題はない。
一息ついたところでジニーとダフネが抱き着いてきた。
普段はそこまで積極的ではないダフネもすがるようにリリに抱き着いている。
二人とも震えていた。
ヴォルデモートという名はそれだけ魔法界に恐怖を植え付けていたのだ。
「大丈夫。大丈夫よ。」
唯一の年下のジニーの頭を撫でながら、ダフネをもっと力を入れて抱き寄せる。
リリの呪い魅力を感じて幾分か落ち着いたのか震えが止まってくれた。
パチル姉妹もその後お願いして結局ハーレム全員がリリの回復ハグを受けることに。
その後は戻ってきた生徒たちを順番に抱いて落ち着かせる。
その日はリリハーレムとグリフィンドール女子は全員が談話室でリリの周りに集まって眠ることになった。
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次の日からしばらくは授業も休講となった。
だが、生徒は馬鹿ではない。
本当は教師が慌ただしく出ては戻っていることに気付いている。
日刊預言者新聞や魔法省からは闇の帝王が復活したという情報は何一つない。
だが、あの場にいた全員は聞いてしまったのだ。
それにハリー・ポッターから話を聞くことを禁止していたりと、あの時の発言が嘘では無いと言っているも同然であった。
そんないつもと違ったホグワーツに不安がっている生徒だったが、更に闇の魔術に対する防衛術の教師であり、凄腕の闇祓いでもあったマッド・アイ・ムーディがいないことも影響していた。
あのマッド・アイは偽物で実は
だが、リリにとってはそんな噂や、それどころかヴォルデモートの復活も重要ではなかった。
問題なのは女の子から笑顔が消えてしまっていることだ。
いつもは自分がいればそれだけで笑顔になってくれる女の子たち。
それがあの時、ハリー・ポッターの口からあのどうでもいい名前が出てから心から笑顔を向けてくれる女の子の数が減ったのだ。表面上は楽しそうにいてくれるのだが、どこか心の中で何かを溜めている、そんな感じなのだ。
愛すべき女の子の不安も取り除けない自分に嫌気がさした。周りの空気が悪いのも合わさってため息が増えるというものだ。
「はぁ……。」
またもや口から漏れる溜息。
隣に座るハーマイオニーが頭を撫でてくる。子供に対する行いじゃないかと思ったが気持ちいいのでそのまま受け入れる。
「リリ、そんなに気にしないの。皆が不安に感じているのは本当だけどそれ以上にリリがいるおかげでその不安が大分緩和されているのよ。」
うんうんと周りが頷いている。だが、大分ではダメなのだ。全部が良いのだ。
それでも根本的な解決をするにはリリには力も知恵も足りなかった。
そうして学年末のパーティーが行われるまでそれは変わらなかった。
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学年末パーティーは
豪華な食事に、羽目を外すウィーズリー双子、それでもどこか一抹の影が全体にあった。
恒例のデザートタイムも終えてダンブルドアが立ち上がった。
皆いつも以上に偉大な魔法使いから告げられる言葉を待っていた。
「皆よく食べ飲んだかの?
……さて、皆が聞きたいのはこんなことでは無かろう。
ハッキリ言ってしまおう。
ヴォルデモート卿は復活した。これは事実じゃ。」
最初、大広間の全員は声を出すことができなかった。
しばらくしてようやくダンブルドアの言葉を認識し、脳が理解を始めてから行動を起こす。
周りに聞き間違いではないのかと、すがる思いで確認し合う。
その後にようやく嘘ではなかったと理解し始める。
恐怖と動揺から奇声を発する者、声すら出せず固まり続ける者、祈る者、隣の生徒と色々と推論を話す者。大広間は静寂から一転混沌に包まれる。
ダンブルドアは静かにその混沌が治まるのを待った。
ひとまずの落ち着きを取り戻した全員が次のダンブルドアの言葉を聞き漏らさないと真剣に見る。
「魔法省はこの件を認めようとはせんじゃろう。これから魔法省はわしの事を嘘つきの狂った老人とでも言うことだろう。
だが、それでもわしの言うことは真実ということを知っていて欲しい。
そして何よりも大事なのは団結することじゃ。
これから魔法界は困難に直面する。だからこそ我々が手を取り合って立ち向かう必要がある。家族、恋人、仲間……。代えがたい者との絆は大きな力になる。」
リリはそれを聞いてハーマイオニーの手を優しく、しっかりと握る。
ハーマイオニーもそれに応えて握り返してくる。
それほどの力が湧いてくる気がする。
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翌日。
ダームストラングは校長のカルカロフが行方不明になっているため代表としてクラムが率いている。世界的スター選手の姿を最後まで見るため熱心なクィディッチファンが見送りに集まっている。
リリたちの姿は勿論ない。最後までリリ達とダームストラングは接することはなかった。
それでもクラムは
そしてボーバトンの巨大な馬車と天馬はいつでも出発できる状態になっている。
最後に残った一人が乗り込めば準備完了だ。
その最後の一人にしてボーバトン代表選手のフラー・デラクールは遠い異国の地で出会った初めて愛することができた少女と抱き合い熱烈な口づけを交わしていた。
「ぷはぁ……。」
たっぷりとお互いを味わい名残惜しそうに口を離す。
互いの口の間には二人の少女の唾液が混ざり合った液体の橋ができている。
「また来るわ。すぐにね。それまでにもっと魅力的になっているから今度こそ私だけに魅了されるが良いわ。」
「楽しみに待っているわ。ハーレムはいつでも歓迎だからね。」
もう一度お互いの存在を確かめ合うように抱擁し合う。
ボーバトン校長マダム・マクシームが割り込むまでそれは続いた。
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ロンドンに向かう紅い蒸気機関車のコンパートメント内でいつもの様にリリとハーレムは集まっていた。
去年までのリラックスしたゆるくも甘い空間はそこには無かった。
闇の帝王の復活。それはリリハーレムにも必ず影響が及んでくるだろう。
この夏休みは二人の母親とメイドたちともしっかり今後を話す必要があると感じていた。
その前にハーレムともしっかり話し合うことにしたのだ。
これから何が必要なのか、どう行動するのか、
その全ては女の子の幸せのために。
そしてもうすぐキングス・クロス駅に到着する時刻になってリリはハーレムを一人ずつ見て、いつも思っていることを改めて言葉にした。
「ハーマイオニー。」 「ええ。」
「パーバティ。」 「うん。」
「パドマ。」 「ん。」
「クラウディア。」 「はい。」
「ダフネ。」 「ええ。」
「ジニー。」 「はいっ!」
「みんなの事は絶対守る。リリアン・リンリーの名に懸けて。」
「私たちもリリの事を守る。何があろうとね。一緒に幸せになりましょう。」
ハーマイオニーが正妻として皆の言葉を代表する。
そしてみんなが笑顔でリリを抱きしめた。
そして闇が動き出そうとしている。
それでもリリアン・リンリーは愛すべき女たちとなら何も怖くは無かった。
こうしてリリアン・リンリーのハーレム生活四年目が終了した。
4章終了!
お辞儀復活でホグワーツ全体は暗い雰囲気に。
それでもリリがいるし、セドリックも死んでいないので原作よりはマシ。
ハリーの周りはほぼ原作と同じ。
去年のルーピンに続き今年のムーディで二年連続ハリー視点では教師に裏切られたことで周囲に対する不信感がさらに増大。
リリは闇の脅威に対して女を守るために決意。
ハーレムは勿論それに付いていく。
次回予告!
魔法界に暗い闇が迫っていた。
それはホグワーツも例外ではない。
だが! ここに一人の立ち向かう女性の姿が!
無能な上司! まともじゃない職場! 強大な闇の帝王!
そんなモノ知ったことじゃない!
いつだって女は命がけ! そう、この命はあの方のためにと既にに誓っている!
「だから、安心して女の子同士でイチャイチャしてね。」
次回 5章 不死鳥の騎士団に女はいらない
それでは次回お楽しみに。
※次回は男たちの舞台裏みたいなのを書く予定。予定は未定で確定ではないですが。