今回の話を投稿時には映画のレイトショーで
ゴジラ キング・オブ・モンスターズを見ていると思います。
正直公開初日に見たかったけどどうしても時間が取れなかった。
……全然ハリー・ポッター関係ねぇな。
それでは50話どうぞ。
1995年度のホグワーツが始まって数カ月が過ぎようとしていた。
今年は昨年のような大きなイベントや脱獄囚や秘密の部屋などの事件も起きておらず平和な日常が流れていた。
だが、その裏では不死鳥の騎士団、闇の帝王、魔法省と言った様々な陣営の思惑が錯綜し、蠢いていた。
ホグワーツ校長室。そこに集まった者たちは各々が手に入れた情報の交換を行っていた。
集ったのは四人。
部屋の主であるアルバス・ダンブルドア。
副校長にして不死鳥の騎士団の団員でもあるミネルバ・マクゴナガル。
騎士団所属かつ闇の陣営にもスパイとして潜り込んでいるセブルス・スネイプ。
そして魔法省がスパイとして送り込んだことになっている闇の魔術に対する防衛術の教師のドローレス・アンブリッジ。
「それでは、まず私から。魔法省に動きがありました。どうやらファッジは相当に焦っているようですわ。ホグワーツ高等尋問官なる頓珍漢な役職を私に与えて徹底的に粗を探すつもりの様です。それと噂では私の他にも幾人か派遣を検討しているとか。これに対しては私の方でこちらの協力者が潜り込めるように調整しておきます。
他、独自の情報源からでは闇の陣営は様々な方法で力を蓄えているとか。
闇の種族、魔法具、古の呪文、などなど。
それと何かしらを探しているような動きもあるそうです。
私からは以上になります。」
アンブリッジが言い終わると他の三人はこの女が味方で良かったと思っていた。
情報とは力だ。
闇の勢力と比較すれば危険度は低いとはいえ妨害をされれば何かの拍子で、どんな原因でこちらが不利になるか分からない。そんな相手の情報を入手できるのだ、助けにならないわけがない。
それに独自の情報源という騎士団でさえ難しい情報を手に入れられるのだから非常に強力な味方だ。
「それでは次は我輩が。闇の陣営に対する情報はほぼ間違いないかと。闇の帝王は今は潜んで力を蓄えつつ、
「最後にわたくしからの報告です。騎士団員が闇の勢力との接触した回数は前回の戦争時と比較にならない程少ないままです。今は各地の異常など地道な調査を続けています。
それと……。例の二人についてですが、やはり信用しきれないという声が多いです。」
ダンブルドアは三人の報告を聞いてしばし考えを巡らせる。
「ふむ……。ミネルバよ、今の情報を騎士団員に伝達しておくれ。それとわしはあの二人の事は信じておる。皆にも今一度そう伝えて欲しい。今は皆が一つにならねば。
セブルス、そんな渋い顔を戦ではくれんか。お主には引き続きあやつの信を得るように行動を心がけてほしい。
アンブリッジ先生も今までと同じように注意深くお願いします。」
「ダンブルドア校長は闇の帝王が探しているモノに心当たりはございますの。」
アンブリッジの鋭い目がダンブルドアを見る。
釣られてマクゴナガルとスネイプもどうなのかと尋ねるように見えてくる。
「……可能性の段階じゃが、いくつか予想をしておる。
じゃが、これはそうやすやすと話して良いものでもない。
アンブリッジ先生、秘密裏で良いので魔法省の警備を強化することは可能かの?」
「なるほど。闇の帝王の狙いは魔法省内部にあるかもしれないと。分かりました、できる範囲でやってみますわ。他には何かございますか?」
特に他に特筆することはなく、ダンブルドアを除いた3人はそれぞれやるべきことを成すために校長室から退室していった。
ダンブルドアはアンブリッジ達が退室した後も一人思案を続ける。
不死鳥の騎士団は今のところは人的被害もなく、10数年前の戦争時とは比較にならないくらい平和だ。
だが、任務が全てうまくいっているわけではない。
闇の勢力に先手を打って巨人や人狼を引き込めないかと交渉しているが成果はでていない。
ハグリッドの巨人の説得は失敗だった。異父弟のグロウプのみが着いてきたがある意味厄介事が増えただけだ。
人狼の方はまだ交渉が続けられているだけ希望があるが、ルーピン個人についてはよろしくない。
半分狂乱状態のシリウスと合わせて騎士団の中でさえ半信半疑なのだから仕方がない。
(やはりもう少しゆっくりと情報を皆につたえるべきじゃったかのぉ……。)
更にアンブリッジとスネイプの二人からもたらされた情報、二つの角度から得られた情報からやはりヴォルデモートが必死になってまで、しかも秘密裏に何かを探している。
このことから例の運命を決めた予言であると確信する。
(やはり世界を救うにはハリーの力が必要になる。しかしどうしたものか……。)
運命に選ばれた子。英雄となるべき男の子。ハリー・ポッター。
そのハリーだがアンブリッジ主催の特別実習にも参加せず、閉心術の授業もさぼりがちになっている。
元々スネイプとは相性がいいとは決して言えないが、今回はそのスネイプからも心配されるレベルで明らかに精神状態が悪い。決してスネイプが悪いわけではない。
無理もないことかもしれない。
劣悪な環境で育ち、ホグワーツでは最初こそ生き残った男の子としてもてはやされたが、今ではただの一生徒だ。
ダンブルドアが思い描いたような活躍をすることもできず、それなのに困難だけが彼に襲い掛かる。
去年は最初の内は嘘つき呼ばわりだ。この時のハリーの精神状態は酷かった。
更には両親の仇の復活と悪いことばかり重なる。
誤解を完全に解かずにシリウスとルーピンに引き合わせたのも失敗だった。
ダンブルドアがいくら説明しようともその心から疑念と憎しみを消すことは出来なかった。
二人と出会った当初は呪いを放つほどだった。
両親の死の原因を作った
ダンブルドアが説得しても効く耳を持たない。
(世界はままならぬ……。おちおちゆっくりする時間も無いとはの。)
ダンブルドアはこれからについて計画を練るが嫌な予感を払しょくすることがどうしてもできなかった。
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業務と任務を片付けてドローレス・アンブリッジはピンク一色の自室に戻ってきた。
今日も激務、そして明日も、明後日も続くだろう。
それで構わない。
あの方とその愛娘を守れるならば自身の疲労など、どうということはない。
やりがいがありすぎて日々が充実しつくしている。
心は毎日高ぶっているが、それでも体はどうしても疲れが溜まる。
体力回復と夢見を良くする魔法薬を飲んでベッドに入る。
(夢の中で……あの方と会えますように……。)
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夢を見ている。
まだ私が幼かった時の光景が目の前に広がる。私の住んでいた家、家族。
魔法省魔法ビル管理部という大して高くない役職に甘んじていた父。
マグルの母。
そしてスクイブの弟。
両親は毎日のように喧嘩三昧。
貧乏であったから満腹の経験なんて皆無。
弟のせいでからかわれる毎日、容姿のこともあって当然友達なんていなかった。
辛かった。でも憧れのホグワーツに入学すれば何かが変わるのだと信じていた。
憧れだったホグワーツに本当の私の居場所は無かった。
私はスリザリンに選ばれた。
聖28一族や純血、貴族のお金持ちが多く集まるスリザリン。
そんなところでは貧乏、穢れた血が入った半純血、親族からスクイブが出た家系なんてものは汚物同然だったのだ。
私は自分を偽ることしか道が無かった。
私は純血。
私は貧乏ではない。
家族は全員立派な魔法使い。
虚偽だけが積み重なっていく。
魔法使いの娘である私がホグワーツに行ってしまったことで魔法が使えない母と弟はマグルの世界へと嬉々として行ってしまった。
私の嘘を現実が後押しするように、私の家族は魔法使いの父だけになった。
嘘を守るために、私は歪んでいく。
批判的、攻撃的、差別的に。
グリフィンドールを批判し、マグル生まれを攻撃し、穢れた血と差別する。
スリザリンでは一応の場所を得ることができた。
それでも仲間とも呼べず友、恋人などとてもとても……。
夢見たホグワーツは所詮夢でしかないのだと諦めて4年の時が過ぎていた。
その次の年、私は光を見た。
夢の中でさえその少女は光り輝いていた。
私、いえホグワーツにいる全ての女はそう感じていた、確信していた。
本当に光を放っているわけではない。だがこの目が、体が、細胞の一つ一つがあの少女からの光を感じていた。
その光輝く少女と目が合った。
醜いこの顔だ。きっと目を逸らされるに決まっている。
でも……そんなことは起きなかった。
可憐な少女と妖艶な美女と神聖な女神を合わせて三乗したような笑顔を向けて下さったのだ!
それから先は組み分けの儀式も料理の味も何も覚えていない。
気が付いたら自分の部屋のベッドの上で翌朝になっていた。大体の女子たちは同じことを経験したようだが。
次の日からホグワーツの支配者はその少女、ロザリンド・リンリーとなった。
女はほとんど彼女の愛に溺れ、男たちは近寄ることもできない。
私はそのどちらでもなかった。
嘘で固めたこれまで、そしてカエルのような醜い容姿。最初に笑いかけられたのも目の錯覚だったのかもしれない。そう思うと怖くて遠くから見つめることしかできないでいた。
どこかで彼女と幸せな日々を過ごせるなんて夢を見ながら日々が過ぎていった。
そんなある日、先輩たちから呼び出された。
この人たちは名家の出だ。断ることもできず空き教室に連れて行かれた。
自分の嘘がついにバレたのかとビクビクしていたが、教室に近づくにつれ訳も分からず幸福な気分になっていく。
一人で入るように言われ恐る恐る入る。
そこにはロザリンド・リンリーが待っていた。
「よく来たな。会いたかったぞ。」
「え。ええ? ……。あ、あのえっと! ど、どういう……?」
混乱した。当然だ。彼女と一対一で会えるなんて言う名誉を貰える人間なんてほんの一握りぐらいだ。その筆頭のレイラなんて止められなければ今頃禁呪が100ダースは放たれていただろう。
「ん? お前、私の事ずっと見てただろう? なんで近づかないのか気になってな。」
「ど、どうしてなんで気づいて……。」
「当たり前だろ。女の視線は1000までなら同時に感じ分けられるぞ。それでどうしてだ?」
そう言いながら一歩一歩近づいてくる。体は言うことを聞かず足がピクリとも動かない。
黙っていると目の前に女神がいた。
そして抱きしめられる。
「ほら、話せ。何か理由があるんだろう? 全部吐いてしまえ。私はどんな女でも愛してやる。」
限界だった。限界だった。げんかいだった!
年下の少女に秘密も隠してきた想いも何もかもぶちまけていた。
あの方は黙って抱きしめ続けてくれた。
「スッキリしたか?」
「はい……。すいません……。」
全てを終えて恥ずかしくなってきた。
逃げようとも考えたが、今の心地よさが逃げる意識を奪っている。
「まったく血筋やら金やらマグルやら顔やら……。そんなことで女から距離を取られていたなんて私もまだまだだな。」
ふっと息を吐いてロザリンド様は私の顔をしっかり見て言った。
「胸を張れ。貧乏がどうした。マグルの血? そんなの私にだって入っている。女は女であるだけで素晴らしいんだ。何も臆することなんて無い。何か文句がある奴がいるなら私が許さん。」
「でも私、あなたみたいに美しくない! こんなカエル見たいな……。」
「あ~ごちゃごちゃうるせぇ!」
ロザリンド様の顔が一気に近づいて夢だというのに血圧が上がって夢から覚めてしまうところだった。
そのまま私の口が蓋をされる。
「私からのプレゼントだ。もっと自信をもって励めば追加もありだ。次はこそこそしてないで堂々と私の前に来いよな。」
ロザリンド様は呆けた私を残してすたすたと教室を後にしてしまった。
この瞬間から私は生まれ変わった。
その日から秘密を隠さず堂々と生きるようになった。
勉学に励み、ありとあらゆる技能を学び、あの方の力になるため力をつけていった。
ホグワーツの生活も白黒の薄暗いものからカラフルで楽しいものに激変した。
魔法薬のおかげで夢でその楽しい青春を何度も繰り返してみている。
卒業後に魔法省に入ってからもそれは変わらない。
今ではロザリンド様の愛人たちを管理運営を任される立場にもなったし、魔法省内部にも私の手が広く回っている。
そのおかげで愛をいただく機会も何度も得ることができた。
正妻やハーレムの一員になることはなかったが、それでもあの方の恥にならないような生き方をしている自信はある。
今回の件、ホグワーツへの就任も直々に名指しで愛娘の為にと依頼されたのだ。
誇らしい。ああ、私は幸せだ。
あの方に出会って、運命が変わった。
いや違う。あの方に出会う運命だったのだ。
……そろそろ目が覚める。
過去の楽しい時間は名残惜しいが現実のロザリンド様のためにも頑張らねば。
リリが一切出ない回でした。
アンブリッジが仲間としているので魔法省の対応をしない分原作より騎士団は動きやすいし、情報も集まっている。
ダンブルドアはこの時点でお辞儀は予言を求めていると確信。
でも肝心のハリーが大変なことに。
原作ではペティグリューが目の前に現れたからすぐにシリウスを信じましたけど、
今作ではペティグリューはいないしルーピンにも裏切られたと思ったまま
更には活躍もしてないでストレスだけがたまる一方。
他にも要因はあるのですが、和解の難易度はルナティックです。
そしてアンブリッジ過去回。
途中までは原作アンブリッジコースでしたけど、ロザリンドの
もはや洗脳とか人格改変レベル。
本人が幸せならばいいのかな? それに原作よりも結末も良くなるのは確定だろうし。
それでは次回お楽しみに。
6/8追記
次回投稿は6月最終週ぐらいになると思います。
詳しくは活動報告に記載しています。