【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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暑い日が続いていますね。
アイスを食べる頻度も増えるのと同じぐらい辛いものも食べたくなってきます。

それでは55話どうぞ。


55. 希少種

1996年9月1日 キングス・クロス駅 九と四分の三番線

毎年この日のここはホグワーツへ向かう子供とその親でごった返しているのが常であった。

しかし、今年はそうはならなかった。

闇の帝王が復活した影響は当然のようにここにも表れていた。

マグル生まれや魔法使いの血が薄い者たちは安全のためホグワーツ行きの紅い蒸気機関車に乗ることさえ禁じられている。

過去に魔法省の管理下にあったはずの吸魂鬼(ディメンター)が列車を止めて侵入してきたことがあったのだ。今の魔法省の制御下を離れた、いや闇の陣営の手先となった吸魂鬼(ディメンター)がいつ襲って来るとも限らない。

列車には幾人かの闇祓いが乗車しているが、どうなるかは未知数だ。

特に狙われるであろうマグル生まれなどは新学期が始まる前から付き添い姿くらましなどでホグワーツに移動済みだ。

 

それ以外にも本当にホグワーツが安全かと疑った親たちが雲隠れや一族全員で海外逃亡するなどしていることもあって、列車はいつもの半分以下、コンパートメントも選び放題であるが全く嬉しくもない。

 

そして当然のことながらホグワーツへと来られなくなった生徒は全員が男子だ。

女子はどのよう様な危険があろうともリリアン・リンリーと同じ空間、同じ時間を過ごせるホグワーツには戻ると決めていたのだ。

中には反対する親の制止を振り切って独力でホグワーツにたどり着いた猛者もいる。

命を失うかもしれないのに、いやそれ以上の悲惨なことになるかもしれないのに、そんな事を思考から失わせてしまうだけの魅了と言う名の呪いがリンリーにはある。

それを知らない新入生は幸福でもあり、また不幸でもあると言えるだろう。

 

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動き始めた列車の中でリリとその嫁、愛人たちはいつもの様にゆったりと過ごしていた。

今年は色々あって人数が少ないので女の子たちとの再会の喜びはホームで済ませてきた。

後はホグワーツまでの旅を楽しむだけ……そう思っていた。

 

「あの……すいません! お楽しみのところ申し訳ありません!」

 

コンパートメントの扉を開けてやって来たのは下級生のレイブンクロー生であった。

 

「どうしたの? 何かあった? それとも……もっとして欲しい?」

 

「ひぃあぅ……。そ、それはまた今度に……。その、要件なんですが、リリアン先輩とグレンジャーさん、グリーングラスさんの三人にこれを渡してほしいと言われまして。」

 

リリの魅力に顔を赤くしながらも耐えた少女が渡してきたのは招待状であった。

 

「なにこれ? 誰からだろう?」

 

「宛名はホラス・スラグホーンね。確か魔法薬の本で名前を見たことがあった気がするわ。」

 

「私も家にいた時に会ったことがあったはず。多分今年の新しい先生じゃないかしら。で、どうするのリリ? 行くの?」

 

「むむむ……。」

 

ハーマイオニーとダフネの話からすればそこそこ有名な多分新しい先生だ。

名前からして恐らく男。今更教師に対しての態度なんかを気にもしないリリだ。

突っぱねてしまおうかとも思ったのだが、ママ(ロザリンド)の言葉が思い出される。

 

『男でもたまには希少な奴がいるもんだ。スラグホーンって言う爺さんがその筆頭だな。

世界中の女と知り合うのに役に立ってくれたよ。』

 

ママの様に世界中の女性と知り合いになれるというのなら非常に魅力にあふれることだ。

でも、男だ。

しばらく悩み続けるリリ。

 

(私一人だったら絶対行かない。けどハーミーやダフネも一緒。招待状には同伴は何人でもOKなんてことも書いてあるし。でも~あ~。)

 

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蒸気機関車の前方部の広めのコンパートメント

教師や監督生たち用の豪華仕様だ。

その内の一つで、ホラス・スラグホーン主催の軽い立食パーティーが催されていた。

有力な貴族や著名人の子供、それに成績優秀者などのスラグホーンの目に留まった者たちだ。

そこに追加で招待客がやって来る。

リリを中心としたハーレムである。

呼び出されていた男子たちはまさかリンリーが男の誘いに乗ると思いもしていなかったので油断していた。一瞬で楽しそうだった顔が暗く落ち込む。

 

「ほっほう! こりゃ嬉しい! ダメで当然と思っての誘いだったがまさか来てくれるとは!」

 

そんな男たちの中で唯一主催者のホラス・スラグホーンは嫌悪ではなく喜びでリリ達を迎え入れた。

 

「どうも。」

 

「ああ、こちらこそよく来てくれた。ふむ……。呪いの感じはロザリンドよりは弱いかな?

だが、顔立ちは幼い頃のロザリンドとレイラに似ているな。」

 

「ママとお母様の事を知っているの? それに私を避けない男なんて珍しい。」

 

「ああ、君たちは確かに怖い。正直に言うと今も怖いよ。ロザリンドにもホグワーツ在籍時には手を焼かされたものだ。

でもね、あれはあれで魔法界に必要な人材と直感したのだよ。

私は人に刺激を、影響を与える人間が大好きなんだ。そしてそこに私が少しでも関われば直良し。そういう意味ではあれ以上に人に影響する者はおらんだろう。実は今でも繋がりは在ったりするんだよ?

これを機に君とも是非お近づきになりたいね!

まぁ、今回のところは短い時間だがパーティーを楽しんでくれたまえ!」

 

その後はせっかくなので女の子たちと楽しむことにした。

貴族関係者が多いこと、つまりスリザリン出身者が多かったが、大多数が親に愛想をつかして闇とは無縁の女子たちだ。男子については闇に堕ちようがどうでもいい。

そんな中、色んな意味でどっちとも言えない女の子が一人で窓から移り行く景色を見ながら憂鬱そうにしていた。

聖二十八一族のマルフォイ家、その一人娘になったドラコだ。

明らかに元気なさそうだったのでリリと同じスリザリンのダフネが元気づけに近づく

 

「ドーラーコ! 元気ないわね。どうかした?」

 

「おおかたマルフォイ家で何かあったんでしょ? あなたも大変ねぇ。」

 

窓を見ていたドラコがリリ達の方に向く。

邪険にされるなりすると思ったが、暗い顔のままリリに「やぁ……久しぶり。」なんて言うだけでまた景色を見るだけになってしまった。

これはホグワーツに着いたらもっと癒さないと、とリリは決意した。

 

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ホグワーツに到着後は毎年のように大広間にて組み分けの儀式。新入生は人数が若干減ったので活気に欠ける。

組み分け帽子の歌も去年と同じで注意を促すものへと変わったままだ。毎年の歌の微妙な違いを楽しみにしていた生徒はこれには残念に思っている。

宴の後のダンブルドアの忠告も暗い話が多い。いつもの朗らかでどこか茶目っ気のある校長の話も気を引き締めたどこか悲壮感すら漂う雰囲気では大広間全体まで暗くなるのも仕方が無いのかもしれない。

 

「さて、色々話したが諸君の本業は学ぶことじゃ。その学びに必要な新しい先生を紹介しよう。」

 

列車内での情報が伝わっていたのか知っている生徒が多かったホラス・スラグホーンは魔法薬学の担当。

そして昨年までその魔法薬学を教えていたセブルス・スネイプは何と闇の魔術に対する防衛術を教えることになった。

ついに念願の科目を教えられるということで明らかに喜色を顔面から隠すこともしていないスネイプにグリフィンドールからため息が漏れる。

スネイプは既知ということで挨拶は無かったが、スラグホーンから新任の挨拶となった。

 

「ほっほう! 私が紹介にあずかった。ホラス・スラグホーンだ。

またこうしてホグワーツに戻って若人を導くことになるとは、長生きするものだ。

ダンブルドアが言ったように今は大変な時期だ。だが、それも長続きはしないだろう。

それを確信しているのでこうしてここに戻って来ているわけだ。

学生の諸君らは何も気にせず勉強に力を注いで将来を華やかにして欲しい。それに私がその輝かしい将来の為になっていると嬉しい。以上!」

 

そしてその後は各寮に分かれて就寝だ。

ただ、リリだけは先にホグワーツに来てキングス・クロス駅で触れ合えなかった女の子とイチャイチャ楽しむので時間を取られて寝る時間が遅くなってしまった。

もちろん後悔なんてあるわけないが。

 

こうしてリリアン・リンリー6年目のホグワーツがスタートした。




ホグワーツ6年目開始!

スラグホーンにはリンリーの呪いが効いていないわけではないのです。
ただそれ以上に彼女たちに対してその影響力を見てみたいという欲が勝っているだけ。
もちろん全力で呪いを当てられたら逃げたりはします。その後はしれっと戻ってきますが。

ドラコは原作と似たような立ち位置に。ただ、女体化したことで運命は変わってくる予定。

そしてダンブルドアは今作では健在。
ハリーがああなったので色々と慎重になったので指輪の誘惑には打ち勝ちました。

それでは次回お楽しみに。
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