【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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毎日投稿している作者様は凄いですよね。
書き溜めて予約投稿だったら解るんですけどそうでないなら到底真似できないです。

環境が優しい精神と時の部屋が欲しい……。

それでは58話どうぞ。


58. 新人歓迎

ドラコ・マルフォイ堕ちる。

その噂、いや真実は即座にホグワーツ中に駆け巡った。

女子たちにとっては新しいリリの仲間が増えた喜ばしいことだが、男子にとっては違う。

たとえ男であっても女にされてしまえばリリアン・リンリーには逆らえない。

その事実がドラコ・マルフォイという実例をもって証明されたのだ。

ちなみにスリザリン男子たちは希望の星であったドラコがリンリーに屈したと知って断トツのショックを受けていた。他の寮も男のシンボルを潰されれば|ああなる未来が待っていると知って恐怖している。

男たちはより恐怖を込めて、怒りを買わないように、関わらないようにリリアン・リンリーとさらなる距離を取るようになった。

 

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女子たちはちょっとした祝賀ムードだった。

ドラコが女としての自分を認めてリリの元に来たことでほぼ全てのホグワーツ女生徒は一つになった。

リリと距離があったり片手の指で足りるほどだが男子と関係を持っている女子もいるが極僅かである。

リリとしてはそういうのはもったいないと思っているが、本人の想いを蔑ろにしてまで無理やり魅了(呪い)で惹きつけるのは違うというスタンスだ。

……ロザリンドならば無理やりにでも全ホグワーツの女子を自らの手中に収めただろうと容易に想像ができた。

 

ともあれドラコがこっちに来た記念でちょっとしたパーティーを開催することを学校側に提案することにした。

男子生徒や教師の一部からはこの非常時に、などと言う意見も出たが最近は暗い話題ばかりで楽しむ心を忘れているように感じているということもあってダンブルドアやマクゴナガルの許可も得てパーッと騒ごうということになった。

 

今回のパーティーはホグワーツだけでなくホグズミード村も全面協力だ。

ホグズミード村への訪問もいつ何時襲われるかもしれないということから今年は禁止にされていたので今回の事で久々にホグズミードの商品を楽しめると大いに賛成されることになった。

ホグズミード村としても貴重な収入源であるホグワーツ生徒の訪問が途絶えていたので今回の依頼で少しは活気が戻ると大助かりだ。

 

言うまでもないことであるが、パーティーは男女別だ。

そもそも男子は寮同士の険悪な雰囲気がいつも以上なため男子は各寮の談話室で行い、女子だけが大広間での盛大なパーティーだ。

入ったばかりの一年生の中には文句を言いたい気持ちもあるが、上級生になるほど男子のこんな扱いはいつもの事なので慣れっこになっていた。

 

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「さて、パーティーで楽しい気持ちになる前に気になることは片付けてしまいましょうか。」

 

パーティーに行く前に話があるということで、ドラコはリリハーレムと一緒に空き教室に来ていた。

ハーマイオニー、ダフネとパドマがドラコをここに呼んだのだ。

ドラコはこれからナニをされるのかと怯えている。

リリは信頼からか特に何をするのか聞いてはいないし心配もしていない。

ジニーは新たな女、しかも特殊な相手ということで警戒をし、パーバティは怯えるドラコを見てゾクゾクと新たな感覚に目覚めようとしていた。

 

「ドラコ・マルフォイ、あなたに聞きたいことがあるの。現状とこれからの作戦とやらについてね。」

「まぁまぁ、ハーマイオニー。ドラコもそんな態度じゃ怯えっぱなしよ。」

「とりあえず、リリに危害が及ぶのかどうかだけ話してちょうだい。」

 

ハーマイオニーやパドマはリリへの安全面からドラコの関係することについて全部知りたがっていたのだ。ダフネももちろんそうなのだが、一応は二人のストッパーとしての役割で円滑に情報を話してもらうためにいる。

 

「は、話すよ。ダンブルドアが言うには……。」

 

ドラコは知っていることを全て隠さず話した。

それを聞いたハーマイオニーはこの作戦ならばリリに危害が無いと判断した。

 

「まぁ、大丈夫かしらね。それじゃあ、聞くこと聞いたからパーティーに行きましょうか。

これからよろしくね、ドラコ。」

 

「え!? それだけ?」

 

「何が?」

 

「いや、もっと男だったのがどうとか……。スリザリン生がとか、そういうことは無いのかなって……。」

 

「リリが信頼しているからあなた自身に対しては特にないわね。その周りからの影響だけが気がかりだっただけよ。もうあなたもリリに魅せられているんだから仲間よ。」

 

「あ! ま待って!」

 

部屋から出ようとするハーマイオニーを引き留めるドラコ。

ハーマイオニーが振り向くと頭を下げるドラコの姿があった。

 

「グレンジャー……。あの時、あんな言葉を言ってごめん、ごめんなさい!」

 

「……もういいわよ。さっきも言ったように仲間なんだから。でもその謝罪はしっかり受け取っておくわ。そしてもうこれっきりにして、これからは仲良くしましょう?」

「そうそう。ドラコも最初は慣れないだろうけど女として楽しんでいきましょう。」

 

ハーマイオニーはドラコの事を許し、ダフネもこれからについて一緒に過ごす仲間として歓迎している。

 

ドラコは自分が女になった原因でもある発言を受けたハーマイオニーから許され、少し胸が軽くなった。

もう男には戻れない、女として生きる。

そういう覚悟を決めたドラコの手をリリが優しく包み、外に向かって引っ張っていく。

 

「さぁ、行きましょうドラコ。今日はあなたが主役でもあるんだから笑顔! 笑顔!」

 

「……そうよね。もう楽しむしかないわね!」

 

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パーティーは盛り上がった。

大広間はリリの希望でいつもの長テーブルは撤去されて、立食形式でのパーティーだ。

そもそも、リリはあの寮ごとに分かれる長テーブルにはずっと不満があったのだ。

あれでは寮別になって色んな女子の組み合わせで楽しむことができないのだ。

 

追加の希望でホグワーツ外からの参加も許可が下りていた。

こんな時だからと、リリを求めて訪れる卒業生がそれなりにいる。それでも普段から連絡を取り合っている親密度が高い者たちだけだ。やはり距離と接する時間が空くと少しは魅了(呪い)が薄まってしまうらしい。

 

「はぁい、リリ! はるばるフランスから来てあげたわよ! 嬉しい? ねぇ嬉しいわよね!?」

「お姉さまはしゃぎ過ぎです。招待してくださってありがとうございます。でもフラーお姉さまは私のです。」

 

国外からもデラクール姉妹が参加である。と言ってもガブリエルは姉にくっついてきただけである。

 

「リリちゃ~ん! うう……本物だぁ……。」

「ク、クラウディア……。胸に潰される……。あ、でもなんか気持ち良くなって……。」

 

もちろん、ハーレムの一員のクラウディアもその中にいた。

久々(三日ぶり)の本物のリリに抱きしめた格好のまま数分間動かなくなっていた。

 

リリに惹かれたもの以外にも多くの魔法使いやそれ以外が参加していた。

ホグズミードからはマダム・ロスメルタがバタービールを樽で持ってきて、料理も屋敷しもべ妖精が張り切る。特に雌の屋敷しもべ妖精の働きぶりは同じ屋敷しもべ妖精の雄が引くレベルであった。

料理に、お菓子、ダンスに、音楽、そしてこっそり卒業生が持ってきた酒。

 

ドラコもスリザリンだけでなくグリフィンドールの女子からも受け入れられ分け隔てなく歓迎された。

これにはドラコの目から涙が溢れてしまうことになったが、最後は皆笑顔で楽しむことができた。

その光景を見ていたパーティーの羽目を外し過ぎないように監督のマクゴナガルは女子限定だが寮が一体となったことで静かに涙していた。

寮の垣根を越えて笑顔で一体となれる。これこそがホグワーツ創始者の求めていた光景ではないか。

 

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そしてパーティーも終わりお楽しみの夜の時間だ。

ドラコ・マルフォイにとってはある意味本番でもある。

酒に酔った卒業生のお姉さまたちから強引にリリと一緒にベッドにダイブさせられたのだ。

曰く、

 

『若いうちにリリちゃんに愛してもらわない女子が存在してはならない!』とか

『学生時代の特権!』だとか無茶苦茶言っていた。

 

ちなみに、ハーマイオニーやハーレム、その他の女子は誰も何も言えなかった。

ホグワーツで最も淫らで爛れた生活をしているという自覚はある。

低学年はともかくリリとの付き合いの長い女子は大抵がリリと経験済みなのだ。

ドラコだけ省いてしまうのは今回のパーティーの趣旨に反する。

 

ということでドラコとリリは今、ベッドの上で向かい合って座っていた。

リリは余裕をもってドラコを見て、ドラコは真っ赤になって唸っていた。

 

(いくら女になったからって、受け入れたからっていきなり!? そもそも女同士ってどうするんだ!? いやリンリーだから何か変なのか!? というか男のままでもこういう場合どうするのが正解なんだ!?)

 

ドラコ大混乱。

そうこうしているうちに我慢限界のリリがいつの間にか近づいて目の前にいる。

 

「ドラコ、いい?」

 

魅力と混乱で思考停止したままつい、頷いていた。

ドラコ・マルフォイ、女を知り、真の意味で女となった夜だった。

 

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リリ達ホグワーツ女子が楽しむその裏では闇との戦いは続いている。

その夜も闇の拠点が不死鳥の騎士団に強襲されていた。

そこは拠点と言っても監獄扱いに近いところであった。

死喰い人(デスイーター)達もまさかここが襲われるとは思っておらず、あっという間に制圧された。

 

檻の中にいるのは主にミスを犯して帝王の不評を買った者たちだ。

そういったものも立派な情報源になる。生き残った者は次々と連行されて魔法省によって服従された後次の作戦の役にたってもらうことになる。

 

その中にルシウス・マルフォイと妻のナルシッサがいた。

二人は魔法省ではなく、不死鳥の騎士団の拠点へと連れられて行く。

跡地には擬装用の死体も用意するという他とは違う対応だ。

 

「……私たちをどうするのかね?」

 

自分を連れて行く、犬猿の仲のアーサー・ウィーズリーに聞く。

 

「ダンブルドアの命令だ。お前を保護する。……子供に感謝するんだな。死喰い人(デスイーター)だって子供には愛情ぐらいあるだろう。」

 

それでルシウスはドラコの取った行動を察した。

ドラコがどういうことになっているかは嫌みな看守係に聞かされていた。

そんな子供がこうして自分たちを助けてくれている。

ドラコの安否が不安やら嬉しいやら複雑だが、とりあえず生き抜くことを誓う。




ドラ娘歓迎会でした。

男子、特にスリザリン生は男を差別しない美少女が連れて行かれてショック。

ハーマイオニー達ドラコを尋問。
ドラコは集団でヤラれるとビクビクしていた。
とはいってもドラコに対して思うところは特になくその周りの環境がリリに悪影響を及ぼさないかの確認だけでした。
そしてドラコはハーマイオニーに謝罪。
これでわだかまりは完全になしに。

そしてパーティー。
魅了は距離と時間が離れると減衰するので少しずつ学生の時のいい思い出ぐらいになっている女子が増えていく。
それでも結構な数がリリを求めて学校に来ていた。
ちなみに魅了が弱いリンリーだと卒業後はハーレム以外はいない閉鎖的な感じの時も。
ロザリンドは歴代最高最悪なので世界中に影響力が残るママという最悪な結果に。

そしてドラコは大人になりましたとさ。

ついでにマルフォイ夫妻救出。

それでは次回お楽しみに。

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