【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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2週間ぶりの更新です。
活動報告にも書きましたが、台風のせいで色々大変でした。
とりあえずは仕事場も何とか元に戻ってはいるので一安心です。

台風の被害が一秒でも早く戻ることを祈っています。

それでは60話どうぞ。


60. 激戦 そして

運命の日がやって来た。

この夜の戦いが魔法界の未来を決める。

 

「さぁ……ドラコ。さっさと開きな。」

 

ベラトリックスは甥? 姪? であるドラコに攻め入る先であるホグワーツに繋がるキャビネット棚を開けるように促した。

どうせ、扉の先はホグワーツではないが敵がいることには変わらない。

こいつ(ドラコ)は転移先で逃げるだろうし、突撃するのはアレらとマグルどもだ。

自分は残った美味しい敵を倒してご主人様に褒めてもらうのだ。

 

「くふふ……。」

 

思わず笑いが漏れる。ああ、楽しみだ。

これから起こるショーが本当に楽しみだ。

 

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不死鳥の騎士団と闇祓いの精鋭が陣を組んで待ち構えている。

盾の呪文(プロテゴ)と同等の効果を持った魔法具を装備し、陣の前には罠が設置されている。

そんな彼らの前方には一つぽつんとキャビネット棚が置かれている。

 

何でもないようなそのキャビネット棚を前にして歴戦の魔法使いたちは緊張の面持ちだ。

そのキャビネット棚の扉が開いた時が戦い始まりを告げる。

 

「! 来たぞ!」

 

扉が開く。飛び出してきたのはシルバーブロンドの少女ドラコ・マルフォイ。

即座にリンリー家のメイドのキャロルが回収して戦闘域を離脱する。

残ったのは開かれたキャビネット棚のみ。

次に現れるのは仮面を被った闇の魔法使い、死喰い人(デスイーター)だ。

……そのはずだった。

 

「な、なんだ!?」

「これは……。」

 

驚くのも無理はなかった。

敵が来るはずだったキャビネット棚が突如として巨大化したのだ。

巨大な扉はそれ相応に意味を成す。人間用に作られたキャビネット棚を潜り抜けられぬその存在の為だ。

巨人が戦場に現れた。

 

「ごぉおおおおおおおお!」

 

人の姿をしたその獣たちは咆哮をあげ突撃してくる。

防御の陣も、罠も、魔法も多少の足止めにしかならず、全て無駄だというように蹴散らされた。

 

混乱する場に声が響く。

 

「各自散開後、あらかじめ決められた場所に集合! 巨人に対し連携して各個撃破に当たれ!」

 

魔法大臣、そして闇祓い局長でもあったルーファス・スクリムジョールだ。

その声でいくらか落ち着きを取り戻した闇祓い達が態勢を立て直しにかかる。

 

だが、敵の追撃が来た。

 

巨人の次は人の波だった。

騎士団や闇祓い目掛けて一心不乱に、隣を走っていた仲間たちが巨人の足裏の紅い染みになろうがお構いなしに一直線に突撃してくる。

魔法での迎撃に対して防御もせずただやられるだけ、それでも数が数だ。

闇祓いの何人かががっちり抑え込まれ、そのまま諸共巨人に圧殺された。

 

「ダ、ダンブルドア! こいつらマグルだ! 服従されたただのマグルだ!」

 

キングズリーが叫ぶ。事実、現れた人の波は全てマグルだった。

それでも魔法使いとマグル、その差は魔法の有無だ。肉体的には変わるものではない。

肉弾戦になってしまえば、組み敷かれてしまってはどうすることもできない。

 

「おのれ、トム! ここまで非道な手を使うとは……! じゃが、まずはこうじゃ!」

 

ダンブルドアが巨大化したキャビネット棚を破壊した。

敵が死喰い人(デスイーター)を送り込む気が無いようならば転移先に敵の拠点ではないのだろう。こちらから攻め込む利点が無いのならばあるだけ無駄だ。

これでとりあえずの増援はなくなった。

 

「次はこうじゃ。」

 

大量の水を創り出し、放出する。もちろん味方には当てないように。

抵抗できぬマグル(操り人形)たちはそれで無効化される。

後は厄介な巨人だけだ。

 

厄介と言うが巨人は魔法使いにとって天敵ともいえる恐怖の存在だ。

性格は粗野で野蛮で同族の殺し合いの頻度も高い。魔法使いとのコミュニケーションをとることも難しい。

だが、そんな事よりも魔法使いにとっては魔法を弾くという点が恐怖なのだ。

5メートルを超える魔法が効かぬ巨体が迫って来るのはそれだけで絶望的になる。

 

だが、ここに集った魔法使いは精鋭たちだ。

一人が囮となって引き付け、別の者が目を潰す。そして残りが大質量の岩などで押しつぶし、そして悪霊の火で死ぬまで焼き尽くす。

もちろん簡単ではない。それでも一体一体確実に仕留めていった。

 

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一時間後。

あちこち荒れ果てた戦場痕に生き残った者たちが集まっていた。

 

「損害は?」

 

「闇祓いは7名が死亡、13名が重傷です。残りは軽傷や疲労だけで戦闘は可能です! 」

 

闇祓いは半数ほどが戦闘不能となってしまった。不死鳥の騎士団は流石で死亡者はいない。それでも重傷者はゼロではない。

 

「手ひどくやられたものだ。各自警戒を怠るな!」

 

「了かあっ……。」

 

返事は永遠に途切れた。

突如飛来した緑の閃光がその者の命を奪い去った。

それだけではない。彼らの上空には闇の印が打ち上げられていた。

巨人やマグルに紛れていた数人の死喰い人(デスイーター)が姿を隠し打ち上げたのだ。

それを目印に続々と敵が姿現しをしてくる。場はまたもや混戦になってしまった。

 

「さて、疲れた獲物をサクッと狩ってしまおうか。」

 

敵の最前列には子供が、それも不死鳥の騎士団にとっては見慣れた最悪の相手がいた。

 

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疲弊した騎士団たちに死喰い人(デスイーター)が襲い掛かる。迎え撃つ騎士団と闇祓いたちは先の戦いで疲弊しているが、一進一退の戦いが続く。

爆発が、怒号が、悲鳴が戦場と言う名の楽曲を奏でる。

時間が経過するごとに夜の静けさが戻って来る。それは両陣営の命が次々と失われていくことを意味していた。

 

「はぁははははは!」

 

そんな中でハリー・ポッターの姿をしたそれは笑いながら敵に死の呪文(アバダケダブラ)を放つ。

躊躇も葛藤もなく、ただただ楽しそうに敵を殺していった。

 

「ハリー! 目を覚ますんだ!」

 

その姿を見ていられなかったアーサー・ウィーズリーがハリーの前に進む。

もう、息子同然だった子供のそんな姿は見たくなかった。

一縷の望みをもって説得しようとするが、それをあざ笑うかのように死の閃光が胸を貫く。

 

「愚かなり。姿形に捕らわれるような純血は不要だ。」

 

「もうやめてくれ! ハリー!」

 

「ん? そいつはいったい誰の事だ?」

 

ルーピンは人を、それも父親同然に慕っていたアーサーを殺したというのに顔一つ変えぬ親友の息子の姿を認めたくなかった。

ハリーの姿を見た瞬間からあれほど燃えていた憎しみの炎が消えていった。あるのは後悔と憐憫。

ハリーを殺したら自分も死ぬ。

ルーピンは躊躇なく禁じられた死の呪文(アバダケダブラ)を放とうと構える。

 

「止めて! ルーピン先生! 助けて!」

 

演技だ。そう、演技のはずだ。

目の前にいるハリー・ポッターは敵、もう魂ごと殺されたんだ!

そう思っても一瞬止まってしまう。

ジェームズとリリーが抱きかかえた赤ん坊の姿、短い時間だが教師として接した時のジェームズそっくりの姿。そんな思い出が邪魔をした。

 

「ああ、あなたは最高の先生だ。」

 

その隙に胸を死が通過していった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「さて、そろそろあなたを殺しておきましょうか? ダンブルドア校長先生。」

 

周りに転がる死体に目を向けることもせずハリー・ポッターの姿の闇の帝王の分け身は最大の障害を見据えた。

 

「ハリー、いやトム。 ここでその体を返してもらう!」

 

「どうぞ。やれるものならな!」

 

史上最高の魔法使いと史上最悪の魔法使いの一騎打ちが始まった。

一流の魔法使いと比較しても呪文一つとっても速度も威力も桁違い。

そんな魔法が縦横無尽に行き交う。

 

アバダケダブラ(息絶えよ)!」

 

ハリーが死の呪文(アバダケダブラ)を的確に放つも、ダンブルドアは老人とは思えぬ身のこなしで紙一重で躱し敵を打倒すべく呪文を放つ。

ハリーは一瞬で姿をくらませダンブルドアの背後に現れる。

放たれるは蛇を模った悪霊の火。

対するダンブルドアは杖を振るうだけで地面を隆起させ大質量の塊を炎に向けて突撃させる。

蛇も食らいつくが質量差で押しつぶされる。

 

「くっ。やるではないかダンブルドア!」

 

「……おしゃべりじゃのぉトム。その肉体のせいかの?」

 

「黙れ!」

 

戦いは激しさを増し続く。

ダンブルドアがお返しとばかりに不死鳥を模した炎を放てばハリーは水の刃でダンブルドアごと切断しようとする。

呪文の応酬は周りを次々と破壊するほどだ。

 

だが、徐々に戦況の天秤は傾いていった。

周りでの死闘も終息しつつある。

気が付けばハリーを狙う呪文はダンブルドア以外のものも現れ始めた。

 

「っ!? おのれぇ!」

 

ハリーが周囲を見渡せば死喰い人(デスイーター)どもは捕らえられたり、殺されたりと無力化されていた。

殆どは逃げたようだったが、結果は敗北だった。

 

「まだだ! この俺様がいる限り! 負けはない!」

 

「いいやトム! これで終わりじゃ!」

 

いくら強くとも多勢に無勢。それにそのうち一人でさえ苦戦をしていたのだ。

追い詰められて地面に無様に転がり、杖を突きつけられるのは当然の結果だった。

 

「くそが! この俺様が……!」

 

こんなことは認められないと、死ぬことを受け入れられぬと最後まであがこうとするハリー。その時頭に直接自分の声が響いた。

 

(いいや、予定通りだ。いや予想以上にやってくれたよ。褒美だ俺様の為に死ぬが良い。今なら大勢の付き添いがいるぞ。)

 

「な、なにを!?」

 

ハリーの身体から黒い煙が噴出する。

ダンブルドアたちは距離を取ろうとするが、何かに阻まれ離れられない。

 

「おのれおのれおのれおのれぇ!ごのおでざまなぁぁ……。『さて、ダンブルドアよ。より完全な存在は一人で良い。死ね』

 

「皆! わしの後ろに!」

 

別人の声を出したかと思えば一気にハリーを中心に数メートルが闇で覆われた。

ダンブルドアは己の後ろに仲間を集めその闇に手を向ける。そしてそのまま闇に飲み込まれる。

闇が晴れた時には誰一人立っている者はいなかった。

そして中心のハリー・ポッターは姿を消していた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「くそが……。」

 

己の魔力を、魂を限界まで使った呪いの放出。

その放出時のわずかな隙をついてハリーは呪いから脱出していた。

それでも魔力も体力もゼロに等しい。今はただ、地面に横たわることしかできない。

 

「ああ……。でも……。流石は俺様の本体ということか……。」

 

ヴォルデモートは己の魂を7つに分けていた。

ヴォルデモートの不死の秘密。分霊箱(ホークラックス)

そして本体を合わせて魔法的に最も強い数字である7個を作っていた。

 

ヴォルデモートにとって、ハリー・ポッターを分霊箱(ホークラックス)にするのは想定外だったのだ。

宿敵、予言の敵を殺すために利用したが、7という数からはズレてしまった。

それにいつかはハリーが本体にとって代わろうと叛逆する可能性もあると考えていた。

倒れながらハリーは確かに自分ならばいつかはそうするだろうし、逆の立場ならこう使っているのも理解できた。自分自身のことだからこそ理解できる。

 

本体としては叛逆の恐れがある分身の始末、自身強化、そして敵の排除もできて一石三鳥だ。

本体の手際とヴォルデモート卿という存在の永遠を願って静かに消えようとしていた。

 

 

「おいおい死にかけじゃないか。」

 

そこに現れたのは予想もしていなかった人物だった。

 

「ロザリンド・リンリー……!」

 

「はいよ。」

 

「貴様……! 協定破棄だぞこれは!」

 

「何言ってんだか。いつかはこうなるってわかっていただろう?」

 

そして無造作に杖を向けられる。このまま死を覚悟をしたがこんな奴に殺されることには怒りが湧いてくる。

しかし、放たれた呪文は死ではなかった。

 

ルールサス(去勢)

 

想像絶する痛みが襲い掛かり男が死んでいく。

そして肉体も魂も変わっていくのを感じながら意識を手放したのだった。

 

 

 

「これでいいのか?」

 

「ええ、ええ! 流石は我が主。さて、後はこちらにお任せください。

ちょうど今、魔法省も落ちたようです。全ては順調ですね。」

 

「まぁ、面倒なのは任せるよ。私は帰って寝る。」

 

もちろん普通以外の意味も含めてである。

メイドに連れられて消える主を見送った女は呟く。

 

「さて、これからますます忙しくなるわね。正念場だわ。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

激闘の裏では。

任務をやり遂げたドラコがご褒美としてキャロルに連れた来られていた。

そこはホグワーツの寮、恐らくはグリフィンドールその一室。

 

「ここは……?」

 

「中で一晩楽しんでください。もちろん許可は得ております。それでは。」

 

それだけ言って姿を消すキャロル。

恐る恐る中に入ると中にはリリが一人だけで眠っていた。

 

(え!? なんで? ハーマイオニーやダフネたちは?)

 

疑問でいっぱいのドラコの前に羊皮紙が落ちてきた。

そこには今回のご褒美として一晩リリを独り占めしていいと言うことが書かれていた。

もちろんハーレムの許可済み。しかもドッキリとしてリリには秘密らしい。

 

ドキドキしながら寝ているリリに近づく。

可愛らしい寝顔に耳をとろかしそうな寝息。

更に近づく。目に映るのはリリの顔だけだ。

 

「触っても大丈夫かしら……?」

 

ツンとほっぺをつつく。その柔らかな感触は何に例えれば適切なのかいっぱいいっぱいになっているドラコには思い浮かばなかった。

 

「ううん……ドラコ……。」

 

(わ、私の名前を!?)

 

眠ったままとは言えハーマイオニーやハーレム以外の名がリリの口から出た。

それだけでドラコの理性は崩れようとしていた。

息もつい荒くなってしまう。

流石にリリも瞼を開いた。

 

「んん~ドラコ? ……寂しくなっちゃった? おいで。」

 

寝ぼけたまま手を引っ張ってベッドに引き込んでくるリリ。

ドラコは抵抗することなくそのままリリに包まれて眠れない夜を過ごすことになった。




作戦開始。

騎士団側はきっちり対策をして万全で迎え撃てるつもりでした。
それでもお辞儀側が予想を超える攻撃に。
巨人やマグルについて騎士団側がお辞儀より戦力としてちゃんと見てなかったことが予想外となった原因ですかね。
お辞儀はマグルなんかを軽蔑しているけどちゃんと色々と利用できるように考えてはいるという設定。

それでもどうにか撃退。追加の死喰い人達も撃破。
被害は在れど勝敗という点では騎士団側の勝利。

ハリーが参戦したことで騎士団側に結構な被害がでた。
流石に油断するようなのは少数だけどそれでも十分。

お辞儀ハリーを生贄にダンブルドアにダメージ!
お辞儀としては今回の作戦で
いつかは叛逆するかもしれない余分な分霊箱の排除
戦争が終わったら処分する巨人族を特攻兵器に利用。
巨人も暴れられて満足なので暴れる場を提供するという約束だったけど騙していないからOKだろ?
ついでに敵に損害を与えられればよし。
更に本命ではないので戦力の被害は少ない。
いいことずくめ。これではスパイしたスネイプが無能だと感じるかもしれないけれど
実はスネイプの事も疑っていたのでもう一人スパイを送り込んでいたのでした。
その辺は次回辺りに。

そしてハリーはロザリンドによって……。この辺りは最終決戦で出番が。

ドラコにはご褒美。
リリがドラコの名を呼んだのは偶然ではなく指の感触からドラコを感じたから。
ベッドに引き込まれたのに何もしないとはまだまだねとハーレムたちに思われた。
まぁ、まだ積極的にドラコから求めたりは出来ない段階なんで。

それでは次回お楽しみに。
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