【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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台風で大変なことになっていますね。
私も下手したら明日出勤して会社の対応するかもしれません。
皆様の無事を祈っております。

それでは63話どうぞ。


63. 世界連合

始まりがあるものには全て、終わりがある。

イギリス魔法界の魔法使いたちの苦悩も。

ホグワーツに集う抵抗者たちの奮起も。

そして、全てを支配できると思い込んでいた闇の帝王の愉悦も。

 

 

終わりの始まりは唐突にやってくる。

 

 

イギリス魔法界に過去最大の衝撃が襲った。

アメリカ、フランスやドイツなどヨーロッパ諸国、北欧や中東にアフリカ、中国、日本、南米……。

世界中の魔法界、魔法使いの政府を持つ国が連合を創り一斉にイギリス魔法界に宣戦布告をしてきたのだ。

布告内容は今のイギリス魔法界は世界の平和と安定を著しく脅かす恐れがあるということ、そして今の政権、すなわち闇の一派の排除をおこなわない限り全力で世界全ての魔法界がそれを実行するというものだ。

戦力とは数、たった一国とその他世界の全てでは戦力差を比較するのも馬鹿らしいほどだ。

その情報が老若男女問わず、善悪問わず一斉にイギリス中の魔法使いの元に羊皮紙の形で届けられた。

手段は分からないが、既に人々の場所さえ把握されている。

 

色々と分からないことばかりだが、これから起きることは分かる。

かつてない規模の戦いが始まるのだ。

 

いや違う、もはや戦いとは言えぬそれは虐殺だ。

魔法使いたちは恐れおののいた。このまま闇の帝王に屈したままであれば仲間とみなされ共に排除されるだけかもしれない。

国外に逃げるべきか、ホグワーツならば安全ではないか、闇の帝王ならばこの事態もどうにかしてしまうのか、ただただ時が過ぎるのを待つべきか。

様々な考えが人々の間を駆け巡り、親族や友人同士で話し続けるが答えは出ない。

逃げ始めた者もいるがなぜか国外に姿くらましは出来ず、イギリス全島は既に包囲されているという情報も次々聞こえてきた。

闇の帝王側からの指示も命令も何もない。

 

混乱が最高潮になったタイミングをもって世界連合から次の布告が人々に届けられた。

 

『杖を捨て、指定した場所・時間に来れば無理やり従わされていた被害者としてイギリス国外で保護を約束する。

同一の指定場所・時間の者以外に情報を話した場合、記憶からこれらの情報は消去される。

また、指定場所・時間以外からの国外への逃亡はヴォルデモートの仲間と認定する。

 

以下のリストに名があるものはどのようなことがあろうと国外逃亡は認めない。

 

最後に、我々は敵には一切の容赦はしない。』

 

これを受け取った魔法使いたちはほとんどが覚悟を決めた。

今のイギリス魔法界でもいずれは少しでもマグルの血が入っていると思われるだけで良くて奴隷、最悪死が待っている。

純血であろうと闇の帝王の機嫌しだいでどうなるか分かったものではない。

ならば、ここは逃げるべきだ。死ぬかもしれないが少なくとも今よりはマシだと思いたい。

 

イギリスから続々と魔法使いが消え始めた。

 

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闇の帝王はかつてない危機を感じていた。

学生時代にダンブルドアに監視されていた時や憎い赤子(ハリー・ポッター)に魂だけの惨めな姿に貶められた時でさえここまでの危機感を感じたことはなかった。

 

不死を実現したこの身はやがて世界の全てを支配するつもりではいた。

だが、それは長い時をかけてゆっくり確実に実現する予定であった。

それがどうして世界の全てが一斉に敵に回る?

 

「わ、我が君! 我々はどうしたら……!」

「逃げましょう! 一度身を隠すのです、期を窺うのです!」

 

下僕どもが狼狽え弱腰な事を言いだしている。

危機感から来るいら立ちを死に変えて打ち出す。

二つの屍が出来上がると他の者は黙り込んだ。

静かになった場で必死に考えをめぐらす。

逃げる気はない、負ける気もない。

だが、自分が死ぬことはないだろうがどうやっても妙案は浮かんでこなかった。

 

(なぜ全てが敵に回った? 何か理由があるはずだ。それさえ分かればバラバラになった世界に手を打てるはずだ。)

 

帝王が熟考する間に死喰い人(デスイーター)の中でも混乱は広がっていた。

 

「俺は死にたくない! 死んだら全部お終いなんだぞ!」

「私は楽しくやりたいだけ! こんな負け戦はゴメンよ!」

 

このまま玉砕するつもりは無いと投降しようとする一派。

 

「負け戦は認める。このままでは勝ち目はゼロだ。」

「だが、偉大な我が君ならいずれはこの状況を打開するはずだ。」

「ああ、だからこそ今は逃げて時を待つべきだ。」

 

逃げて力を貯め時がくるのを待つべきと主張する一派。

 

「まったく腑抜けた軟弱者ばかり……。」

「我が君の命にだけ従っていれば良いのだ!」

「あの方が敵を殺せと命じれば殺し! 死ねと言われれば死ぬのが我らだ!」

 

そして最も忠実で過激な敵と戦おうという一派だ。

同じ陣営なのに緊張が高まり一触即発の状態だ。

こんなことしている間に事態は動き続けていた。

 

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抵抗者(レジスタンス)が集まるホグワーツにも当然世界連合からの布告は来ている。

ホグワーツの保護魔法でも不安であれば国外に逃げることも選択肢だ。

流石の闇の帝王と言えど世界全てを相手に勝てるわけが無いと、抵抗者たちの中では安堵が広がっていた。

 

その一方で困惑もあった。

不死鳥の騎士団やスクリムジョール率いる魔法省の生き残りは集まって会議をしていた。

もちろん議題はこれからについて。

ついこの前までは戦況は絶望的だった。

それが急に何もかもが変わっている。

 

その中でただ一人、余裕をもって動じていない人物がいる。

魔法省の高官のドローレス・アンブリッジだ。

ロザリンド・リンリーを連れてきたのも、安全で安心だと自信を持って言ったのも、戦争がすぐに終わると断言したのも、全て彼女が連れてきたロザリンド・リンリーだ。

 

もはやこの一連の流れにこの女が関わっていないと考えることは出来ない。

疑問も方法も何もかも分からない。

会議に参加していいた全員が自分に視線を向けているというのに優雅に紅茶を楽しんでいるアンブリッジ。

ゆっくりとティーカップを置き口を開けた。

 

「さて、そろそろ隠す必要もないでしょう。全てをお話しましょうか。」

 

アンブリッジは話を始めた。

 

「何から話しましょうか……。そうですね事の始まりは私がホグワーツを卒業した時。

その時代は闇の帝王の絶頂期でした。魔法省に就職したての若輩者にはどうすることもできないまさに暗黒の時代。そしてそんなものは我が主に、リンリーにとっても悪いことだと確信を持ちました。いくら我が主と闇の帝王が女に手を出さないと盟約を結ぼうといずれは反故されるに決まっている。いずれは女も主も悉く酷いことになると直感しました。

 

……でもそれはハリー・ポッターが闇の帝王を退けたことで終わりました。

ですが、私は全てが終わったとは思えませんでしたの。

 

私は考えました。考えて考え抜きました。

どうすれば、主の平穏を守れるか。

その答えが今のこの状況です。

 

……皆様はこの世の魔法使いの半分が女であると知っていますか?

真に理解していますか? 世界の半分はリンリーが支配できると理解していますか?

 

主の為に主の力を借りるのは本当に心苦しいものでした。

それでも主の為と頑張りました。

あらゆる国、組織の女を主が虜にする。そして私はそれを纏めあげる。もちろん私一人の力ではなく、多くの女性に助けられました。

体制を変え、人を変え、組織を作り、束ねる……。

その結果、国だけでなく世界の全てを動かすまでになりました。

この10年の主と私の成果が世界連合というものです。

 

後は闇の帝王が滅ぶのを待つだけです。純血主義が滅ぶのを見ているだけです。

例えどんなに強大な魔法使いと言えど所詮は一個人。

世界に、それを支配するリンリーに敵うはずが無いのです。

これは真理です。」

 

聞いていた誰も何も言えず唖然とするしかなかった。

簡単に言うが、世界の全てをまとめ上げるなど途方もないことだ。

ロザリンドは確かに女を魅了したかもしれない。だが、それだけだ。

後の全てはこの女がやったのだ。闇の帝王を滅ぼすだけに世界の全てを束ねたのだ。

 

皆の視線の先にはやり切った満足気な女の顔があった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

闇の陣営もホグワーツも、イギリス魔法界に生きる全ての魔法使いが激動を感じている裏で、次々に事態は急速に進行していた。

 

被害者を保護するという名目でイギリスに入り込んだ世界各国の魔法使いたちは、これを機に巨人族や吸魂鬼(ディメンター)、その他危険な闇の魔法生物が次々と駆逐していった。

もちろん損害はあるが、それでも数の差、そしてマグルの力さえ借りてイギリスの闇は少しづつ消えていった。

ドラゴンのような魔法薬など役に立つ存在でもなければそのまま絶滅させられてしまっていた。

 

淡々と魔法薬の材料を刻むがごとくイギリスの闇は解体されていった。




戦争終了秒読みです。

お辞儀は世界を支配するつもりでしたが、流石に一気に行けるほどとは思っていませんでしたので、まさか一気に世界の全てが攻めてくるとは予想外にもほどがあった。

下準備をずっと進めていたのでイギリス全土に布石として索敵であったり姿くらまし妨害であったりと準備していました。この辺は空間チート魔法使いなキャロルが手伝っています。

アンブリッジがずっと暗躍していました。それこそ10年単位で。
様々な国の重鎮になる、または出世すると思わしき女をロザリンドに引き合わせて虜にする。リンリーバフで女の力は確実に増すので成功はある程度約束される。
魅了が解けないように定期的に会わせる。
世界中の女たちのスケジュールを調整して連携させる。
国の中で力を得たら、その国がヴォルデモート排除に動くように仕込む。
国同士の連合ができるように密かに動くように誘導。
イギリス国内での行動のための組織だった連携の訓練と指示。
しかも、戦闘に参加させるのはロザリンドの意向もあって男主体。
その他にも色々とやってその結果できたのが世界連合。
もちろんお辞儀を滅ぼすことだけの結束でそれ以外には影響しないということにしてある。そうでもしないと今度はリンリーが敵だと思われてしまう。もちろん色々と対策はしている。

ハッキリ言ってアンブリッジが頑張りすぎです。もちろん補佐する女がいないわけではないけれど主体はアンブリッジ。
ロザリンドが引き合わせた女をどの程度気に入るかもわからない。
そもそも国同士の連携がどこまで上手くいくか分からない。
それでもやり切った結果がこれです。
ちなみにアズカバンが吹き飛んだのもアンブリッジが暗躍してた結果。

後はお辞儀が滅びるのを待つだけ。

主人公のリリが蚊帳の外? いいのです。リリは女の子とイチャイチャすればいいのだ。実際この騒動でも嫁や愛人たちと楽しんでいる。
アンブリッジもそう思って大人だけで解決するつもりでいた。
ロザリンドも子供に面倒は必要ないという思いもあったのでアンブリッジに協力していました。

なんかアンブリッジがチート主人公みたいだ。でも百合イチャイチャの為だから別にいいですよね。

それでは次回お楽しみに。

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