原作キャラが行方不明だしハリーもいないも同然。
これ原作がハリー・ポッターか……?
今更ですね。
それでは70話どうぞ。
季節は移り行きすっかり冬に。
ホグワーツは雪に覆われ、まだまだお子様な低学年男子が雪だるまを作ったりしている。
ホグワーツ城の中では何本かクリスマスツリーが準備されている。
平和になって初めてのクリスマス。いまだに色々な事情で帰れない生徒のために学校として盛大に、それこそ卒業生や不死鳥の騎士団も呼んでのパーティーをする計画らしい。
今は亡き前校長のダンブルドアに平和な世界を見せたいという思いもある。
もっとも、平和になったからこそ家族と幸せに過ごしたいというのが大半なのでホグワーツに残るのは極僅か、メインは卒業生たちの同窓会の方だ。
リリは当然ハーレムと一緒にリンリー邸に戻る予定である。
そしてあっという間にクリスマス休暇へと突入した。
ホグズミード駅からキングス・クロス駅へと向かう紅い蒸気機関車に乗り込むリリとハーレム一行。
コンパートメントをいつもの様に嫁と愛人でいっぱいにして蒸気機関車に揺られてゆったりロンドンまでの旅路を楽しむ。
途中で休暇中の別れを惜しむ女子生徒が何人もやって来る。軽くおしゃべりをしたりスキンシップを取って女子たちはリリ分を充填していく。
ドラコ・マルフォイもその中の一人にいた。
ドラコへの熱い抱擁を終えたリリは今の状況を軽く聞いてみた。
「ドラコは大丈夫? なんだか貴族は大変みたいだし。卒業したらどうするの?」
「まぁ、マルフォイ家はしぶといから大丈夫……らしい。父上はどうにかするつもりらしいけど、もうそういう時代じゃないからね。私はまっとうにどこかしらで働くよ。
……卒業しても気が向いたら会ってもらってもいい?」
「遠慮なんかしないでよ。いつでも来ていいんだから。」
リンリーにとっては女と言うだけで大事なものだ。断ることなんてありえない。
そう伝えるとドラコは笑顔で自分のコンパートメントに戻っていった。
その後はハーレムの時間ということでコンパートメント内はお菓子に今後について話したりと盛り上がる。
特にメンバーそれぞれのリリと過ごした一日について話し合うとお互いのデート内容などで自分だったらこうするという意見交換であったり羨ましがったりと過去最高に大盛り上がりだ。
順番がまだのハーマイオニーだけは話題に入れず小さな疎外感を感じてはいたが、その間ずっとリリが抱きしめてくれたので役得だ。それに気づいた残りのメンバーも話題がデートからリリの抱き心地、抱きしめられた時の感触に移っていった。
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キングス・クロス駅の九と四分の三番線では次期メイド長予定のクラウディアがお出迎えだ。服装はメイド服。ロザリンドのメイドたちとはデザインが違うがこれは主の趣味の差とメイドが誰のものかをちゃんと主張するための処置だ。
これからのためということで護衛役の引継ぎを兼ねて一人でこの場を任されている。
実はこっそりと姿を消したキャロルが見守っているが知らされていない。
姿を隠しているのは空間系の魔法の応用である。最早何でもありかと思われかねない。
「リリちゃ~ん!」
「クラウディア!」
久々の、とはいっても1週間程度だが、再会で抱きあう二人。
クラウディアのハグは力のかけ具合も絶妙で苦しさは一欠けらもない。
暖かく安心感からこのままずっと身を委ねていたくなる。ハーレム一の包容力でハグも一番上手い。正直
周りの女子生徒からの羨ましそうな目が集中してきたのでハーマイオニーが咳払いして現実に引き戻す。
「コホン! はい、続きは帰ってからね。クラウディアが付き添い姿くらましをするの?」
「そうよ~。もうキャロルさんのお墨付きをもらってるんだからね~。」
そう言ってリリを抱きしめたまま全員に触れるように言う。
「それじゃあ、しゅっぱ~つ!」
姿くらまし特有の音もたてずに一瞬でリンリー邸の目の前に移動した。
「はい到着! それじゃ~つ・づ・き!」
再びリリに抱き着くクラウディア。そのまま抱き上げて屋敷に入っていく。
今まで学生のメンバーと比べて接する時間が格段に減っているのでこうなるのもしょうがない。リリ一日自由権もクラウディアに限っては期間を延長することでバランスをとっている。
リリはさっさと荷物を整理して部屋着に着替えてリリハーレムが集まる大部屋へと足早に進む。
クラウディアにお土産話として色々とホグワーツでの出来事を話し、クラウディアはメイドとしての仕事について話し返す。
その間ずっとリリはクラウディアの膝の上で髪を梳かれたり、撫でられたりしている。
腰に回された腕のこそばゆさ、膝から感じる体温、何より後頭部を包み込む豊満な胸の柔らかさ。これらから得られる安らぎは他のメンバーには誰にも真似できない。
磨きがかかった包容力と母性の塊でリリは安心しきっていた。
優しさに溺れるように眠るのも当然であった。
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「あらあら~? 寝ちゃったわね~。」
自分の胸を枕にして眠るカワイイ主の寝顔を見てほっこりする。
安心してくれているのだろう。自分の愛がリリのためになっていると感じてうれしくなる。
リリもそれに応えて愛をくれる。もうたっぷりと。
ああ、なんて自分は幸せなんだろう。
こんな包容力と母性が爆発しているクラウディア・エンジェルだがその過去は暗いものだった。
彼女という存在は両親のは愛の無い結婚の結果であった。
どういった経緯で二人が結婚して
両親の間に愛が無ければ子供に愛があるはずもなし。
彼女に用意される衣食住のみ。そして必要があればそれ以上の金額のお金。ただそれだけだ。
ぬくもりや会話は全くと言っていいほどなし。必要なことを事務的に話すだけ。
クラウディアが一人で暮らしていける年齢になったと判断されたら、とうとう家にもいなくなった。
愛を与えてくれぬ両親だが、クラウディアは愛を求めた。だが、何をどうしても反応が返ってくることはなかった。
世間体を気にするからか、最低限の情はあるからなのか、自分専用の口座にお金だけは振り込まれていた。
ホグワーツに入学すると伝えても信じているのかどうかさえ分からない。
それが良い契機だったのか、もはや繋がりはなくなった。成人までに必要な金額が一気に振り込まれ連絡先も変えられた。クラウディアにマグルの世界での居場所はなくなったも同然になった。
それでも魔法界に来て良かったとは思えた。両親の事を知らないこの環境ならば今までの周りからの奇異の目や同情、差別……はあったかもしれないが今までと比べるとどうでもよかった。
友達もいっぱいできた。ハッフルパフ寮で周りに人がいる生活は楽しく暖かかった。間違いなく幸せであったと言える。
それでもその関係はあくまでも友人として。
確かに今までに比べれば天地の差がある。それは疑いようがない。
それでもクラウディアは愛が欲しかった。愛したかった。早くに成熟した体になった彼女と付き合いたいという男子は多くいたが、その裏に潜む劣情を感じて断り続けた。
誰かが自分を心から愛してくれる、そんな思いが強く成り続けて3年目のホグワーツ。
運命がやって来た。
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(一目見て運命の人だって確信、そこからはリリちゃんを全力で甘やかしたら気が付いたらハーレムの一員だもんね~。
何があるか分からないものね~。)
クラウディアはリリが眠っている間ずっとその寝顔を見ていた。
飽きない。
ジニーが目立つが、クラウディアも相当魅了されている。表面に出ないだけで別のベクトルでヤバいのだ。
次の日からのリリ自由権を使い始めたクラウディアとのリンリー邸の生活はダダ甘の一言。ひたすらにリリを甘やかして溺愛するという生活になった。
「はい、あ~ん。」
「あ~ん。料理また上手になったね。ハイお返し。あ~ん。」
食事一つとってもお互いに食べさせ合うというバカップルかよと言う状態だ。
普段だとハーマイオニーやダフネ辺りの厳しさでバランスをとっているが今回は自由権の行使と今回が最後ということでただただ甘やかされる生活が幕を開けた。
何をするにもクラウディアが甘やかしてくれるのでリリはそれに溺れるダメ人間が出来上がっていった。
「ああ~……。ダメ人間になる~。でもクラウディアが気持ちいいからしょうがないよね。
あ、次クッキーが良い。あ~……。」
「は~い。」
今もこうしてソファーで膝枕をされながら口にクッキーを運ばれるだけの存在に成っていた。ちなみに太りそうなものだが、夜の運動もあるので体型は維持できるのである。
「クラウディア、ぎゅー。」
「はいはい。ぎゅー!」
何だかリリが幼児退行をしているような気がする。
それに気づいてもあと数日なのだからと厳しさ担当組が我慢していた。
ジニーやパーバティは一緒に甘やかしたりリリと一緒に甘やかされたりしたいなんてことを考えてはいた。
そしてクリスマス休暇が終わりホグワーツに戻る日。
キングス・クロス駅九と四分の三番線ではリリがクラウディアに抱き着いて離れないという一悶着があった。
「う~クラウディア~一緒にいこう?」
「よしよし。でもここまでね~。卒業まで我慢我慢。」
「う~最後にこの柔らかさを全身に刻み込む!」
そう言うと顔を胸に埋めて揉んで深呼吸を始めた。
それを窒息しない程度に抱きしめて蒸気機関車の出発ギリギリまで二人は抱き合い続けていた。
クラウディア回でした。
オリキャラなので自由に過去の話が作れて楽と言えば楽。
実際にクラウディアの様な家庭が存在できるかは分かりませんがフィクションということで許して。
溜まりに溜まった愛の衝動がリリによって解き放たれた結果がコレ。
リンリーの呪いによってそれに近い状態に変異してたり。
仮にクラウディアが正妻の場合、周りのハーレムに働かせてリリはただひたすら溺れて他がおろそかになってしまう可能性もあったり。
それでは次回お楽しみに。