【完結】魔法界に百合の花が咲く   作:藍多

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今回で本作も最終回。
前作よりも色々と思うがままに妄想を書き連ねてきましたがここまで来れました。

それではエピローグどうぞ。


エピローグ

2008年9月1日 キングス・クロス駅九と四分の三番線

毎年のこの日はホグワーツの子供たちで賑やかになる。

友人との再会を喜ぶ在校生と新たな環境に不安と期待でいっぱいの新入生たち。

そして見守る親たちは子供たちとの別れを惜しんだり旧友との再会を祝っている。

 

そこに音もなくある一団が姿あらわしをしてきた。

その集団を認識した時、老年の駅員は思った。

『ああ……また新たな混沌の7年間が始まったのか……。』と。

 

ホームにいるほとんどの魔法使いが一斉にその一団に視線を向けていた。

メイド姿の女がいきなり現れたのもそうだが、何より現職にして初のマグル出身の魔法大臣のハーマイオニー・リンリーが現れたのだから注目しないのが無理だというものだ。

だが、女たちはメイドや魔法大臣より……何物にも代えられない魅力を持った中心の女と少女に目が釘付けになっていた。

 

「わぁ……! 女の子がいっぱい! あの子カワイイ! あっちの子はカッコイイ! どうしましょう最高です! 母様! 私行きます!」

 

その少女、ヴィオラ・リンリーは注目されていることなど気にも留めず、さっそく近くの女の子から手当たり次第に声をかけてスキンシップ(ハグ)をしていっている。

された方もそのハグで骨抜きにされあっという間に少女の虜である。

 

「我が娘ながら手が速い……。と言うか私よりママの方に似ているよねぇ。」

「あら、リリだってそう変わらなかった気がするけど?」

 

少女の母親のリリアン・リンリーの言葉に生みの親のハーマイオニーのツッコミが入る。

周りの女たちがうんうんと頷く。過去のリンリーハーレムがその言葉を聞いていたらほとんどの世代のリンリーも大差ないという結論に達することだろう。

リリやハーマイオニー、ハーレムたちが見守る中、次世代のリンリーである愛娘ヴィオラはピタリと止まり一人の少女を見つめていた。今までの勢いはどこへやら、初めての感覚に戸惑っているようだ。

数秒深呼吸してから目標の少女に意を決して話しかける。

 

「ね、ねぇ? あなたも新入生ですか?」

 

「ん? ああ、そうね。あなたも?」

 

「ええ! 一緒のコンパートメントになってくれませんか!?」

 

「もちろん喜んで。両親も来れなくて一人で不安だった中、こんなかわいい娘とご一緒できるなんて幸運ね。私、レイ。レイ・クラーク、よろしくね。」

 

「私はヴィオラ・リンリーです! これからよろしくお願いします!」

 

ファーストコンタクトの結果は上々の様で相手もただ魅了されているだけではないようで盲目的ではなくヴィオラのことを良く見ていると両母は感じていた。二人は短い交流ですぐに距離が縮まっていっていた。

 

「あらあら、早速運命の娘が見つかったみたいね。あの子を見つけてから他の娘に見向きもしないからリリやお母様のようにハーレムタイプじゃないのかしらね。」

 

「二人が心を通わせられるならなんだっていいわ。重要なのは二人がどう感じ、どう想うかよ。私たちのようにね。」

 

愛娘(ヴィオラ)とその恋人候補(レイ)を見ながらリリは懐かしむ。

かつては自分も隣にいる最愛の人とあのように始まったのかと。

その時から自分は隣にいる女は決めていた。運命とは出会った瞬間から魂で理解できるのだ。

 

「あの子の娘が、次のリンリーができたら……私たちも旅立ちの時ねぇ。」

 

あまり知られてはいないがリンリー家の寿命は一般的な魔法使いと比べて短い。魔法使いは魔法薬などもあって年齢が百を超えるのも珍しくない。それとは逆にリンリーは自分の孫が生まれてしばらくしたらこの世界から旅立つのだ。

遥か昔に掛けられた魅了の呪いが長い年月、世代を超えて魂に受け継がれてきたリンリーとはもはや肉体を持った魔法(呪い)そのものと言える存在である。魔法(呪い)が本体ともいえる。

発現する魅了(呪い)の強弱には差はあるとはいえ確実にその力は受け継がれていく。次々世代のリンリーが誕生すれば徐々に子と孫に力が移り、肉体が限界を迎え徐々に存在が魔法そのものに純化していく。そして愛する女と共にこの世とは別の場所に旅立つのだ。そしてそこで歴代のリンリーと共に永遠に愛に囲まれて生きるのだ。

 

最初期のリンリーはここまで生物とかけ離れた存在ではなく普通に生命として死ぬ存在であった。

しかし死による別れさせも拒否し、長年の研究と最愛の女たちと別れたくないという強い想いによりリンリーが得た秘奥がその肉体を捨てての魂だけでの旅立ちである。

 

ちなみにリリの母ロザリンドは歴代最高の驚異的な力で未だに人の姿を保っているがいずれは肉体を捨てリンリーと女だけの世界に愛する人と旅立つだろう。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「行ってきまーす!」

 

愛娘(ヴィオラ)が元気いっぱいにコンパートメントの窓から身を乗り出して手を振っている。

リリとハーマイオニー達もそれに応え、見えなくなるまでお互いに手を振り続けた。

やがて蒸気機関車の紅色も見えなくなる。

愛娘を見送ったリリとハーレムたちは屋敷に戻る。今日はヴィオラの見送りのために皆休みを取っていた。

 

「ヴィオラが卒業するまで7年かぁ……。長いようで短いのかな。」

 

「あっという間よ。だから今のうちにできることをいっぱいしましょう?」

 

ハーマイオニーを筆頭にハーレムたちがリリを取り囲む。

皆が思い思いの方法でリリを愛で、また愛でられる。

日も高いうちからというのに娘の目が無くなって自重する必要が無くなって久しぶりに大ハッスルである。

 

 

リリとハーレム全員が寝ても十分すぎる大きさのベッドの上でリリを中心に集まり一塊になっている。

この愛する人に囲まれた状態がリリは好きだった。

それも後7年もしたら感じられなくなるのかもしれないのは残念である。

肉体を捨てると感覚も大分変化するらしいので今のうちにいっぱい楽しむべしという先祖からの情報があったのだ。

リリはリンリーに生まれたことから自身の先についても本能で理解している。いずれ自分も先祖たちと同じようになる。それについては何の恐怖も後悔もない。

 

(でも……。)

 

ふと疑問と恐れが出てきた。娘の恋人候補が現れて明確な未来が想像できて弱気になってしまったのかもしれない。

 

「……みんなは……平気?」

 

「? 何が?」

 

「その、肉体を捨てることとか、後7年ぐらいかもしれないってこととか。」

 

「いまさら?」

パーバティは呆れていた。

 

「何も問題はないでしょう?」

パドマは何が疑問なのかもわかっていない。

 

「ぎゅ~」

クラウディアは抱きしめることで返事とした。

 

「ずっと一緒よ。そんなの分かり切っているでしょう?」

ダフネはあえて口にするまでも無いといった感じだ。

 

「ずっとお姉さまと一緒にいられるとか何物にも代えられない至上の栄誉です!」

ジニーの顔には最大級の喜びが現れていた。

 

「リリ。私たちはあなたを愛している。あなたも私たちを愛している。それは永遠に。

それに肉体とか時間とか関係ないわ。それに拒否するならこうして一緒にいないわよ。

愛しているわ、リリ。」

 

「うん、ちょっと弱気になってた! だから……もっと愛を注いで? もっと愛を感じましょう?」

 

「もう……。明日も休みにしなくちゃね。」

 

全員は再び愛を確かめ合い始めた。

 

リリアン・リンリーとそのハーレムはこれからも愛し合っていくだろう。

肉体が無くなろうと、この世界の全ての人間が忘れようと、世界が滅びようとも。

こことは別の何物にも邪魔されない遠い彼方で。

永遠に。




これにて完結です!
基本週一投稿で何とかやってこれました。

リリとハーマイオニーの娘は原作の孫世代と時期がずれています。
まぁしょうがないですね。
そんでもってすぐに運命の人に出会う。ヴィオラはハーレムよりは一途に一人だけになるかも。それでもある程度は女の子から求められたらやっちゃったり?

そして唐突に出てきた設定。
とは言え作者的には最初からこれは考えていました。
リンリーが死別を許すか?→じゃあ死後も一緒?→あの世には男もいるだろうし女だけの理想郷を創りそう→魂だけで選ばれた女と永遠に存在!
こんな感じ。
リリの祖母やそのパートナーなどが一切出て来てないのもそのせい。
旅立ちのイメージはスターウォーズのフォースの一体化。
死後の世界でもないので輪廻転生もないし、現世が滅んでも関係なし。
たまに現世に観光がてら戻るリンリーもいたり。現世側はリンリー以外認識できませんが。

次に各キャラクターのその後など。

〇リリアン・リンリー
基本的にリンリー邸に引きこもって愛に囲まれた生活。たまにフラッと女のところにお出かけ。
多分一番変わらないし成長もしなかったキャラだと思う。

〇ハーマイオニー・リンリー
魔法大臣に就任。色んな意味で魔法界では知らぬ存在がいないすごい人に。
相変わらずリリの一番の()

〇ヴィオラ・リンリー
リリとハーマイオニーの愛娘。
魅力は平均的。ハーマイオニーのおかげか勤勉な性格に。
それでも女の娘に対してはやはりリンリー家といったところ。

〇パーバティ・パチル
相変わらずメイドで屋敷を明るくしている。
そして技量は流石に一人前になった。先輩メイドたちも安心である。

〇パドマ・パチル
ハーマイオニーに次いで有名になったのが彼女。
どこかの変な眼を持った研究家ほどではないが色々と画期的な発明をしている。

〇クラウディア・エンジェル
最強のメイド長へと進化。もちろん戦闘力以外の母性等も。
ヴィオラにハグ癖ができてしまったのは彼女のせい。

〇ダフネ・グリーングラス
メイドというよりは裏方全般。ある意味アンブリッジの後釜。
忙しさではハーマイオニーに次ぐ。

〇ジニー・ウィーズリー
働く選択をした彼女の就職先は魔法省である。
ハーマイオニーの部下として色々と働いている。
といっても相変わらず暴走するので屋敷にいることが多いのだが。


〇ロザリンド・リンリー
一応健在。だがそろそろ限界。
なので屋敷から別荘に移って残り静かに過ごしている。

〇レイラ・リンリー
ロザリンドとどんな時も離れず一緒にいる。

〇ロザリンドのメイド
後輩も育って色々な整備も済んだ。もう旅立ちの準備は万端である。

〇ドラコ・マルフォイ
イギリス魔法貴族というかつての聖28一族をまとめた筆頭。
といってもかつての腐敗はなくあくまで魔法族の歴史を纏める存在ぐらい。
今でもたまにリリから愛してもらっている。

〇ドローレス・アンブリッジ
彼女はその功績からロザリンドと共に旅立つことも許されていた。
だが、彼女はそれを拒んだ。
彼女はこの世に残って命ある限り次代、その次、そのまた次のリンリーのために
働き続けることを決めていたのだ。

〇ホグワーツ教師陣
大きな変化なし。スネイプが生き残っているぐらいかな?
学校そのものとしては寮が廃止になっているし、一番悲惨なのは存在意義がなくなった組み分け帽子かも。
ちなみにリリのペットだったドラゴンはリンリーの屋敷で番竜。
バジリスクはヴィオラの気配を感じて冬眠から復活。

〇ハリー・ポッター
体内のお辞儀魂と対話し、和解。そしてともにこの世から安らかに去っていった。

こんなところですかね。
2作目ですけれど、無事完結できてほっとしています。
妄想に妄想を重ねた話に付き合っていただいて感謝しています。

次にどんな話を書くかは活動報告をあげようと思います。

それではここまで本当にありがとうございました!

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