第6話、スタートです!
今俺は胸倉をつかまれている。ここから相手をつぶすにはこれだな。
「ほら、さっさとかかって来いよ、なぁ!」
「ビビッてんのか?あ?」
外野もうるさくて仕方がない。
「遠慮なしで良いんだな。ならば...」
俺は思い切り膝を蹴り上げる。俺の予想通り相手の急所に当たる。
「グッ!」
相手は倒れかかる。その倒れてきた相手の腹にもう一発膝を入れる。
「おら!」
「ウグッ!」
俺はとどめに顎にアッパーを打ち込む。
「グハッ!」
俺の技が見事に決まり、相手は地面に倒れ込んだ。
「嘘だろ...あの網走さんがこんな奴の蹴りなんかで倒れるなんて...いや、お前、男の急所に蹴りを入れるのはないだろ!」
いや、遠慮をするなと言ってきたのはそちら側だと思うんだが...
「遠慮をするなって言ったのはそっちだろ。俺はそれに従っただけだ。」
「暗黙の了解ってもんがあるだろ!」
「うるさいなぁ。そっちが遠慮なしでやれって言うからこうしただけだろ!いちゃもんつけてんじゃねえよ!」
「ヒィ!」
流石にイライラしてきたので少し怒鳴る。
「そしてさぁ、あんたらもうこういう事やめろよ。うっとうしいから。それに最近の高校生ってこんなもんまで平気でもってるんだぜ?」
そう言って学校で使う用途で買った新しいハサミを取り出す。そうして倒れたやつの首元に刃先を突き付ける。
「ヒィ!」
「ほら、あぶねえだろ。今俺がお前の首に向けて思いっきり刺したら、お前、死ぬぞ。」
「は、はい!」
「二度とこんな事すんじゃねえ。分かったな。」
「はい。」
聞こえないなぁ
「分かったんなら返事しろ!」
「はい!」
やべ、やってしまった。前空手やってた時のスイッチが入ってしまった。少し冷静になろう。
「とにかく、こんなことは二度とするな。迷惑だ。」
「はい!分かりました!」
少しはこれで懲りてくれればいいんだがな。ということを思いながら後ろを見ると桜内が地面に座っていた。
「…何してんの?」
「あ、いや、別に何もしてないよ...」
何故こいつは逃げていないんだ。全く。
「お前何で逃げなかったの?」
「あ、いや、腰が抜けちゃって。あはははは...」
どうやら腰を抜かしたらしい。ババアかお前は。
「邪魔だっつったのに。はぁ、立てるか?」
一応手を差し伸べる。
「助けてくれて、あ、ありがとう...」
「いらないよ、そんな上っ面だけの言葉。」
「えっ...」
えっ、じゃねえわ。なんだえっ、って。
「えっじゃねえよ。どうせ感謝なんて表面上の言葉なんだからいらないって言ってんの。」
「あ、はい...」
一応倒した奴の取り巻きどもにも声をかけておく。
「お前らももうこんな事二度とすんじゃねえぞ。」
『はい!』
ようやく終わった。と思ったらいきなり疲れがどっと押し寄せてきた。早く家に帰って飯食って寝たい。
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梨子Side
お夕飯の買い物を終えた後だった。あの不良の人達に絡まれたのは。正直怖かった。誰か人がいたら助けてほしかった。でもこの辺りは人通りが少ない様だった。だんだん不良たちの口調が荒ぶってきた。もうダメなのかと思った。ただ、その時だった。彼が来てくれたのは。彼、土井君は颯爽と私の前に現れた。そして不良の一番強そうな人を蹴り2発とアッパーで倒した。しかも彼はあの不良たちをしっかりとまとめあげてしまった。すごいと思った。これまでの印象がガラリと変わる。前まではただ怖いと思っていただけだった。でも、少しだけ、かっこいいとも思った。こんな地味な私に気を配って、助けてくれる人なんて東京にいた時には出会えなかった。そんなことを考えていると、土井君が話しかけてくる。
「…何してんの?」
そう聞かれたので何もしていないと伝える。続けて彼は、逃げなかった理由を尋ねてきた。まぁ、腰を抜かしちゃっただけなんだけれど。しっかりとそう伝えると土井君はそんな私に手を差し伸べてくれた。きっと立てってことなんだろう。土井君に立たせてもらった私は感謝を伝える。
「助けてくれて、あ、ありがとう...」
しかし、彼から返ってきたのは驚きの言葉だった。
「いらないよ。そんな上っ面だけの言葉。」
「えっ...」
正直、信じられなかった。ありがとうって言って上っ面だけの言葉だからいらないなんて言われたのは初めてだった。彼はさっきの言葉を繰り返す。やはり怖いかも。そうすると土井君が話しかけてきた。
「なぁ、お前、帰るんだろ。危ないし、またこいつらみたいな馬鹿どもに絡まれるといけないから俺のチャリの後ろ乗れよ。」
「あ、うん。じゃあ、お言葉に甘えて、乗せてもらうね。」
彼は本当に分からない。怖かったり、かっこよかったり、優しかったり。確かにとても無愛想だけど、でも...帰りの自転車で色々聞いてみよう。
梨子Side End
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