第3の人生は冒険者   作:紫蒼慧悟

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時間が空いてしまい申し訳ない。
仕事クビになったり、就活したりとイイロイロあったんです。

という訳で最新話を投稿です。


報告

 ダンジョンの5階層。その外れにて、静寂が訪れていた。

 一人は、気まずそうな雰囲気をしている金髪の剣士。もう一人は頭から大量の血を被った少年。つまり俺だ。

 血生臭い。これに尽きる。

 というか、そんなことよりも剣が折れてる。

 俺がいつも使っている剣はヘファイストス様に整備を頼んでいるので、「そこらにあるの貸してあげる。適当に持っていきなさい」と言われたので、重さと長さが似通った適当な剣を持ってきた。つまりはこれはヘファイストス・ファミリアの一級品である。

 確実に借金だ。しかも数千万規模の。下手すれば億単位だぞ?どうすんだよこれ?

 

 「あの、大丈夫ですか……」

 「大丈夫なわけないだろ。人の武器折りやがって……」

 

 獲物の横取りはまあいい。俺が血を被ったのも嫌だけどいいとしよう。だが、武器を折るのは頂けない。

 人の物を壊しちゃいけないって教わらなかったのか?全く、親は何をしているんだ!!

 立ち上がり、半ばから折れた刃先を拾いに行く。俺の歩いた後には赤い足跡が……

 すっごいテンション下がる。水を被るよりも不快なべとべと感。歩くとヌッチョヌッチョするこの感覚は二度と味わいたくない。早くシャワー浴びたい。

 

 「ご、ごめんなさい……」

 「弁償してくれるんなら、いいけど?」

 「わ、わかりました」

 

 何故どもってるのかは知らないが、言質は貰った。値段も見ずに実用性重視で選んだから俺もこの剣の値段は知らない。

 斬られたのは3分の1ほどだ。刀身は残り3分の2ほど残っているので、割と問題なく戦闘は出来る。ぶっちゃけた話、斬撃を飛ばせば距離とか関係ないからな。

 だが、刀身を斬られた以上無茶は出来ない。更に損傷して俺にまで請求がいく真似をするつもりはない。零細ファミリアであるうち(ヘスティア・ファミリア)としては可能な限り出費を抑えないと神様が借金しそうで困る。

 

 「おい、アイズ。そっちは終わった……って、なんだそのトマト野郎は?」

 「あ、ベートさん……」

 「なんか増えた」

 

 考え事をしながら金髪剣士(仮称)の下へ戻ろうとすると、剣士が来た方向から現れたのは犬耳と尻尾を生やした男。ヒューマンではなく獣人の一種だろう。犬人(シアンスロープ)狼人(ウェアウルフ)のどちらかだろう。

 俺はげんなりした表情で、新たに現れた男を見やる。籠手に脚甲をしているということは格闘主体の戦闘スタイルか?

 格闘主体の相手は少しやりにくいんだよな。懐に入られたら打つ手がかなり限られてくるので、近づかれる前に仕留めるのが俺の方針だったりする。

 というかトマト野郎って……。もう少しネーミングセンスはないのか?まあ、わかりやすいけど。

 

 「はぁ……」

 

 溜息も吐きたくなるほどテンションが下がっているのがわかる。というか、この血まみれの姿をどうにかしたい。具体的に言うとシャワーが浴びたい。

 面倒ごとに巻き込まれるのも嫌なので、二人から踵を返して今日の稼ぎを切り上げる。

 背後から声を掛けられるが全て無視した。一々反応するのも面倒だし、足早にダンジョンからオラリオへと抜け出る。

 バベル一階のメインホールからギルド直営のシャワールームで体中にべったりと纏わりついていたミノタウロスの血を洗い流す。

 冷たい水が頭の上から降りかかり、一糸纏わっていない体を満遍なく濡らしていく。先ほどまで下がっていたテンションも通常時まで回復した気がする。多分、サッパリしたからだと思うが。

 着替えを済ませ、魔石の換金をしにギルドへと向かう。今日はあまり稼ぎがよろしくない。朝早くからダンジョンに潜り、先ほど出てきたのが大体昼過ぎ。いつもの半分も居なかったのと、ミノタウロス騒ぎでいつもの4分の1もない。

 

 

 

 

 

 

 

 案の上だった。俺の予想通り、今日の稼ぎは2万ヴァリスポッチだ。いつもだったら7万ほどいってるはずなんだがな。

 小さく、誰にも聞こえないほど小さなため息を吐きつつ、ギルドを後にする。

 後ろから見覚えのあるギルド職員の声がするが、今日は気分じゃないので無視を決め込む。キャンキャンと五月蠅いが、子犬が威嚇していると思えば微笑ましいものだ。

 ギルドから出て、一番最初に向かうのは神ヘファイストスのところだ。借り物をぶっ壊されたので報告をしないといけない。

 決してこっちに借金が来ないように先手を打っておこうとか、そんな魂胆は微塵もない。

 いつもは大体混雑しているこの道も今の時間ならある程度は空いているようで、店まではスイスイと止まることもなく向かえた。

 いつも通り店の扉を潜り、来店を示す鈴の音と共に店内へと入る。なぜかこの店だけは空いている。というか今まで俺以外の客を見たことがない。

 今日は工房にもおらず、他の店舗にでも行っているだろう神ヘファイストスを待って店の中を見て回る。

 店内の剣を見て回ると、俺が借りた剣の場所へとたどり着いた。

 

 「あ、この剣一億ヴァリスだ……」

 

 ロキ・ファミリアの借金がものすごいことになりそうだと確信した瞬間だったが、他人事だしどうでもいいやと直ぐに俺の頭から飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神ヘファイストスに事情を説明した後のやり取りはこんな感じだった。

 

 「は?折られた?」

 「はい。ちゃんと弁償してくれると言質を取りました。」

 「どこのファミリア?」

 「ロキ・ファミリアです」

 「あの絶壁がぁぁぁぁぁぁあ!!」

 

 いやー怖かったわー

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