HDDの曹操になったんだけど、ここは型月世界のようだ。 作:シオンズ
簡単に言ってしまえば、俺は転生者、という奴らしかった。
とある田舎村で生まれ育ち、ある日俺は、これがただの転生ではないと知った。
何故なら俺の容姿が、ハイスクールD×Dの曹操を若くした姿だったからだ。
でもそれだけではまだ確信はなかった。
だが、そこからは早かった。
ほんの好奇心で聖槍を出せるかな? と思ってみれば出せてしまい、その結果、親に売られたり殺されかけたりもした。
しかし、そうなると必然的に身体能力は上がり、槍術、体術なんかも格段に使えるようになっている。
俺が曹操本人だというのなら、この才能も分かるが、俺自身は前世は普通の学生だ。どう考えてもおかしい。
しかも原作の曹操は完全にテクニックタイプ。
強い奴の攻撃は、一撃貰えばOUTになるほどの紙耐久だ。
なのに俺の身体は、人間とは思えないほど、それこそ赤龍帝の鎧だとかそれぐらいまでの強度を、戦えば戦うほど得てしまっているのだ。
そしていつのまにか、俺は曹操として、一人の人間としてどこまで高みに登れるか気になっていた。
だから俺は決めた。
原作みたく英雄派を作ろうと。
勿論、テロリストにはならない。
神器使いを優先的に保護して、俺のように鍛え上げる。
そうすれば三大勢力と交渉でもして、人間の安全をなるべく保証する事ができる。
それに後々、公式に全種族が戦える事が出来るのだから、わざわざテロリストになる必要はない、というわけだ。
仲間を見つける、その為に俺は世界を回った。
ありとあらゆる国、地域を回り、紛争にも介入した事もあった。
色々と出会い、別れを繰り返し、見た事がありそうな人とも出会い、足の悪い少女を直したり、呪われた男を直したりと、気付けば着々と実力が上がり、旅に出る前とは比べものにならないぐらいに強くなった頃、俺は何かおかしい事に気付いた。
原作キャラいなくね、と。
見た事がありそうな人はいたが、全部別人か違う人。
そもそも悪魔、堕天使、天使どころか異形の存在すら殆どいなかった。
いても雑魚、聖槍の力を使わず、単なる技術で倒せた。
それが例え、吸血鬼じみた生物やや幻想的な存在でも同じだった。
振るうべき相手がいない力ほど、虚しいものはなかった。
俺は、ヴァーリ・ルシファーや兵藤一誠といった、強く、それでいて信念があり、正々堂々戦えるライバルが欲しかった。
全力を出してもずっと戦えるような、そんな相手を俺は渇望していた。
そんな戦いが出来たなら、俺は、死んでもよかった。
勿論、死にたがりではない。
ただ、それぐらい満足出来る戦いが出来たなら、俺は幸せなのだ。
なのに、そんな存在はいなかった。
だって駒王町すら無かったのだから。
なら、俺は何なのだ。
来たるべき時に備え、いづれ出来るライバルの為に得たこの力は!
一体何の為に使えばいいのだ!
俺にテロリストになれと⁉︎
ふざけるな⁉︎ 俺はそんなものになりたい訳じゃない!
そんなのは俺じゃない!
そもそも、この10年ほどの修行の旅で神器使いは誰もいなかった!
聖書の神が死んでいるのか、生きているのかさえ分からない!
なら俺は、どうして聖槍を持っている⁉︎
こんな世界で、一体何の意味があるというんだ!
そしてそんな思いを抱えたまま、旅を続ける内にある情報が耳に入った。
あと少しで聖杯大戦が行われると。
そこで気づく。
この世界は、型月世界なのだと。
そうなれば色々と説明がつく。
吸血鬼は死徒とか言う生物で、幻想的な生物はもろ、幻想種なのだと。
よく振り返れば、確かに魔法、いや魔術を使える奴もいた。
ただハイスクールD×Dの魔法の方が印象強く、その時は弱い、としか思ってなかった。
色々な事を考え、俺は一つの結論にたどり着いた。
聖杯大戦に参加すれば、合法的に英霊と戦えるのだと。
ならどうするか、聖杯大戦ならば、ユグドミレニアも協会側もどちらも黒。
どっちのリーダーが勝っても、良いことはない。
なら第三陣営として、やるしかない。
しかし俺は精々、こちらの魔術については魔力が多いだけの魔術使いも良いとこだ。
槍で戦う俺は、回復系統しか基本的にやっていない。
まず参加資格が無いのだ。
ユグドミレニアには参加できない。協会ともパイプはない。
なら、事前に奪うしかない。
奪う奴は原作にあまり関係ない者、そうなればただ一人が浮かぶ。
ジャック・ザ・リッパーを呼ぶ男、相良豹馬。
こいつなら殆ど問題はなかった。
その他にも色々と手を回し、情報を集め、ついに相良豹馬を見つけたところ、召喚しようとしているのが見えた。
1回目の召喚はミスするのが分かっていた俺は、2回目の召喚の為に側にいる女を刺す時に介入し、令呪を奪い、記憶を消した。
記憶を消した理由は、記憶があればあの女を殺し、俺を追って来るかもしれなかったからだ。そうなると非常に厄介だ。
原作を離れすぎると、結末が変わってしまう。
それは流石に困る。
故に消したという事だ。
そして俺の召喚する枠はアサシン。
勿論、ジャック・ザ・リッパーは呼び出さない。
俺が呼ぶのは、安パイのハサン・サッバーハだ。
変なものを呼ぶより、確実に平和なハサンを呼ぶ方がいい。
基本戦うのは俺の役目なので、俺に出来ない隠密行動が出来るハサンがいいと思ったわけだ。
なるべく百貌のハサンが好ましい。
確か、最大八十人ほどに分身出来るのであれば、そうそう死ぬことはないだろう。
相性がいいだろう。
その為の魔法陣を描き、槍を左手に持ち、とりあえず召喚の詠唱を述べる。
素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
手向ける色は黒。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する
告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!
さっきは百貌がベストといったが余りに関係はないな。
どうせ戦わないのだから。
魔法陣から光が溢れて眩しくなり、俺はつい手で目を隠す。
しかしその想いは高揚している。
さぁ! 一体何が出て来るのだろうか⁉︎
そんな少しの期待を胸に魔法陣から現れる存在を見る。
全体的な色は黒、つまり確実にハサン!
よく見ると服の色が黒で、肌は浅黒い、髪はショートカットの紫色、骸骨の仮面、つまり......!
ん⁉︎ ショートカット⁉︎ てことは、もしや静謐⁉︎
俺がぼおっとしてる間に、目の前の彼女は仮面を外し、俺の唇を奪う。
その瞬間、俺の身体は! 本能は! 訴えていた!
これから訪れる、死の危機を!