HDDの曹操になったんだけど、ここは型月世界のようだ。 作:シオンズ
唇を奪われた。
それも美女にだ。
俺も男、美女にキスされたのならば内心嬉しいものだ。
しかし、問題はする相手にあった。
ただの美女ではなく、彼女は高確率で静謐のハサンであった。
彼女の特質は、簡単に言ってしまえば毒。
その身は毒の塊であり、爪、肌、体液さえも猛毒であり、数々の命を奪い去った能力でもある。
そんな猛毒の塊であるような彼女と、粘膜接触すれば、ぶっちゃけ死ぬ。
俺にも多少の毒耐性があるが、そんなものは直ぐに超えられる。
ならばどうするか?
答えは簡単。あれを使うしかない。
正直アレは、あんまり使いたくない。
制限があるし、安全に使うには1日に二、三回しか出来ない技だ。
しかしこの状況は、もはや四の五の言ってる場合ではない!
俺は彼女から離れ、聖槍を両手に持ち替え掲げ、呪文を唱える!
「槍よ、神を射抜く真なる聖槍よ! コフッ! 我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの間を抉れ! なっ、汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ!」
途中立っていられず、座り込むが問題ない。
それに毒のせいで少々アレだが、多分大丈夫だろう!
そして詠唱を終えると、俺の身体と槍は光り輝き始まる。
それと同時に、さっきまで身体を襲っていた痛みなんかがなくなってくる。
どうやら今回は、完全なる耐毒耐性と毒の解除のようだ。
危ない、完全に死ぬとこだった。
前に毒を持つやつと戦って置いて本当に良かった!
そのおかげで少しばかり耐性がついていたのか、少しは時間を稼ぐことができた。
しかし、俺もうっかりしていた。
原作の曹操レベルだ。
いや、でも流石に瞬間で殺しに来るとは思わなかった。
って、ん?
なんか目の前の静謐のハサンが俺に抱きついてきた。
そのせいで俺は後ろに倒れこんでしまった。
というか、まだ殺したいのかよ⁉︎
と俺が内心そう思っていると、静謐は急に泣き始めてしまった。
ん? ん? ん?
俺には既によく分からん状況だ。
どういう事だ? そう目の前の静謐のハサンに聞こうとした時、すすり泣きしながらも声を出し、俺に何かを言い始める。
「見つけた。私に触れても死なない人」
......あったね。そんな設定。
聖杯の望みとかも、触れても死なない人だっけ?
もはや完全なる毒耐性をつけた俺は、その条件に確かにピッタリだ。
これが結果オーライというやつか......
ていうかこの数分で色々とうっかりしすぎだろ。
自分でも心配になってきたよ......
いや、それよりもまずはこの状況だ。
俺は自分の身体から静謐のハサンを剥がす。
なんで、ちょっと残念みたいな顔してるんだよ.........
「とりあえず、君が俺のサーヴァント、という事で良いのかな?」
「はっ、はい!」
なんか凄く喜んでるんだが。
無表情ながらも、俺でも分かるくらいだ。
美女は表情が分かりやすい、と言うのは本当らしい。
「なら、早速だが真名を教えてくれないか? ハサンだというのは分かってはいるんだが、どういう事が出来るのかはそれぞれ違うのだろう?」
本当は分かっているが、それだと色々と不審点があるのであえて聞くことにする。
「私は......静謐のハサンです。先程の通りに、私の全ては......毒素で出来ています」
静謐のハサンは、先程とはまた違った顔、そう悲しそうな顔で答える。
どうやら先程の事を曲がりなりにも気にしているようだ。
俺としては、それくらいの事ならば結果的に生きているのなら、別に怒ったりはしない。
多分一度死んで転生したからか、生きていれば良いや、なんて心の底では思っていたりするのだろう。
「先程の事は気にするな。それよりも開催地でもあるルーマニアに、明日向かうぞ。ルーマニアに行けば何が起こるか分からない。気を引き締めておけ」
「はっ、はい!」
うん、まぁ、良いだろう。さっさとルーマニアに行く支度をするか。
明日には飛行機に乗る予定だし、今日は英気を養うためにも、早めに寝よう。