ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕 作:ULTRA-7
シリアス展開になってきました、捕まった女神たち。そして真司の決断とは…
挿入歌『Nobody's Perfect』
ネプテューヌSide
「貴女は一体何者なの…?」
拘束され身動きが取れない中、私は女性の名前を問いただした。女性は不敵に笑いながら
も自分の名前を高らかに叫ぶ。
「私の名はマジェコンヌ、四人の小娘が支配する世界に混沌と言う福音をもたらすものさ
。ふふふ…あーっはっはっ…「そして、おいらはワレチュー!ネズミ界ナンバースリーの
マスコットっちゅ!」…あ?」
女性が話してる間にネズミ、ワレチューが割って入ってきた。…シリアスな雰囲気が台無し
だと思うわ…
「ネズミ…いいところで邪魔をするな!」
「何を言うっちゅか!ラステイション洞窟とリーンボックスの海底にあったアンチクリス
タルを掘り出したのはおいらっちゅよ!」
「ふん…私がプラネテューヌの森で一つ目を見つけた時に始まったのだ!ルウィーの教会
から盗むという大仕事をやったのも私ではないか!」
喧嘩が勃発する、中がいいのか悪いのか…だけど話を聞いたベールが何か思い出したよう
にブランに話しかける。
「ブラン…あの石のこと…」
「ああ…知ってる、厳重に保管していたが誘拐騒ぎの後行方不明になっていた…」
どうやらブランはこの石のことを知っていたみたい、でもまさかこんなことになってしま
うなんて…
「教えてくださっていれば…」
「しょうがねえだろ!こんなにいくつもあるなんて知らなかったんだよ!」
ベールの言葉にブランが怒りの声を上げた、確かに誰もこんなことになってしまうなんて
想像つかなかったのかもしれない。完全に私たちの油断だわ…
だがその時だった、私の身体から力がまた抜ける。これは!?
「ねぷう!?へ、変身が…」
変身が解けちゃった!?それに私たちだけじゃなくみんなも次々変身が解けていく!?
「ふはは!言ったはずだ、結界の中にいる限りお前たちは力を失っていくと…」
「うあ!?」
「くう…」
「なんて…こと」
このままじゃ本当にまずい!?どうにかしないと…でもどうすればいいか全然分かんない
よ~!!
「おねえちゃああああああああああああん!!」
「ネプギア!?」
声のする方へ向いてみるとそこにはネプギアが…あいちゃんが…そして…
「ネプテューヌ!!ノワール!!ブラン!!ベル姉!!」
どうしてここに真司もいるの?…そっか、心配してきてくれたんだ…なんだか嬉しいけど
今のこの状態じゃ素直に喜べないよ…
そんなことを思ってる時に三人の背後からモンスターが!?危ない!!
「ネプギア!立って!!ここから逃げるわよ!!」
「でも…お姉ちゃんが!!」
「ネプギア!今の状態じゃ何もできない!!今は逃げるんだ!!アイエフ!!」
「わかってるわ!!」
ネプギアをどうにかして立ち上がらせあいちゃんと真司はネプギアを連れて逃げ出した、
一先ずは安心かも。だけど…
真司が最後に私たちを見た時の表情がとても苦しそうだった、あの時私たちが出発する前
に見せた表情と同じ…あんな表情をさせるためにモンスター討伐しにきたわけじゃないの
に…真司、ごめんね…
「逃げられるっちゅよ?」
「構わん、まだ変身できぬ女神の妹など…ん?なんだ?この反応は…」
するとまじぇ…ま…あ~もう!言いにくい!!マザコングでいいや!マザコングが懐から
何かを取り出す、レーダー?のようなものかな?
「この反応…前に私が作ったCD-ROMのデータ反応が…」
CD-ROM?ん?なんかその言葉に引っかかる、どこかでこの言葉を聞いたような気が…
―――あ
真司…真司がこの世界に来た原因が謎のCD-ROMを起動させたからだって言ってた!
もしかして何か関係があるのかな…
拘束されている中私は不安と疑問で頭がいっぱいになった。
ネプテューヌSide END
―――――
「アイエフ!!モンスターは!!」
「大丈夫!!追ってきてないみたいだわ!!」
なんとか撒いた感じか?どうにかして逃げられた…だが、結局ネプテューヌたちは助け
られずじまいだ…
「お姉ちゃん…」
「ネプギア…」
どう声をかけたらいいかわからない、今のネプギアはそれくらい悲しい表情をしていた
のだ。かくいう俺もかなり沈んでいる、ネプテューヌたちが捕まってしまったことでも。
俺が何もできなかったことについても…
「…」
「アイエフ?」
アイエフはその場で黙りこくって何か考えているようだった、気になった俺はアイエフ
に声をかけてみた。
「真司?どうかした?」
「いやさ、何か考え事でもしてるのかなって思って気になって」
「…さっきあの女の話が聞こえてね、アンチクリスタルがどうとかって。もしかしたら
何か関係があるんじゃないかって思ってね…」
あんな遠くからよく聞こえたもんだ…でも、アンチクリスタル…一体なんなんだ?
考えても答えは出てこない、沈んだ気持ちの中俺たちは教会へ急いだ。
◇
「一体…どういうことなんですか、アイエフさん?」
俺たちはなんとか逃げ延びみんなの下へと帰ってこれた、…正直言って悔しい。
みんなが捕まっていて俺はあそこにいたのに何もできなかった、何一つ…
アイエフはイストワールさんに連絡を取り現状を報告する、たぶん僅かに聞こえたあの
ワードのことだろう。
「よくはわからないんですが…アンチクリスタルがどうとか、たぶんそれがネプ子たち
の力を奪っているんです」
「アンチクリスタル?」
俺ももう一度考えてみたが全然わからない、アンチと言うからにはなにかしらに対して
の反作用があるんだろう。俺にはそれくらいしかわからん…
「イストワール様、調べていただけますか?」
「もちろんです!でも…三日かかりますよ?」
「いやいや…もう少し早くお願いしますよ、イストワールさん…」
三日はかかりすぎてしまうでしょう…冗談なのか本気なのかわからんが…
「やってみます、では…ネプギアさんたちはプラネテューヌに戻ってきてください。ユニ
さんたちもお国に戻られた方がいいと思います、それでは…」
イストワールさんの回線が切れる、戻ってきた方がいい?…それはできない!
「ふう…そう言うわけだから…」
「待って!!」
アイエフが話し出そうとする、たぶん俺たちに国に戻った方がいいと言うつもりなのだろ
う。だけどそれにいち早くユニちゃんが待ったをかけた。
「帰れって言われて大人しく帰れるわけないでしょ!もっとちゃんと説明して!!」
「いつものお姉ちゃんなら悪者なんか一発なのに!!」
「お姉ちゃん…死んじゃうの…?」
ロムちゃんもラムちゃんも不安そうだ、それに優しく…だけど戸惑いと焦りを見せながら
コンパはなだめようとした。
「き、きっと大丈夫です!女神様がそう簡単にやられるわけ…」
「でも!力が奪われたってさっき…!」
「…ごめんなさい」
その時ネプギアがゆっくりと、沈んだ声で話し出した。ごめんなさい?なんでネプギアが
謝るんだ?
「なんでネプギアが謝るんだよ、別にネプギアが何かしたわけじゃないだろ?」
「ううん…買い物の時拾った石、あれがきっとアンチクリスタルだったんです…」
買い物の時拾った石?確かネプギアが力が受けたみたいになったって…まさかその石の影
響でそうなってしまったのか?
それならあの時のネプテューヌたちが捕まっていたことも納得がいく。
そう考えてるとネプギアが震えだした、自分がしたことを後悔するかのように…
「どうしてあの時…目眩がしたのかってちゃんと考えていれば…お姉ちゃんたちに知らせ
ていれば…!!」
「ネプギア…だからお前が悪いわけjy「ネプギアのバカ!!」…ユニちゃん?」
ネプギアが後悔を口にしてる時、ユニちゃんが強い口調でネプギアに怒号を浴びせる。そ
れを聞いたネプギアはビクッと肩を震わせ顔を上げる、その眼には涙であふれていた。
「お姉ちゃんは…アタシのお姉ちゃんはすごく強いのに…あんたのせいで…」
「ユニちゃん…!」
「ネプギアが代わりに捕まればよかったのよ!!」
「ユニちゃん!!」
言ってしまった、ユニちゃんはネプギアに八つ当たるように自分の怒りをぶつけてしまっ
たのだ…俺は怒るようにユニちゃんの名前を叫んだ。
「っ!…!!」
ユニちゃんはその場から逃げるように走り出してしまう、そして…
「くっ…うう!!」
ネプギアもその場を飛び出してしまう、涙をあふれさせながら…
「ネプギア!!~~~~~~~っ!コンパ!アイエフ!悪い!!ユニちゃんの方頼む!」
「ちょっ!?真司!?」
「真司さん!?」
俺はネプギアの後を追いかけて行った…
―――――
「ハア…ハア…こ、ここにいた…」
教会の中を走り回り漸くネプギアを見つけることが出来た、バルコニーで一人顔を伏せ
泣いている…俺はそっと近づきネプギアに声をかけた。
「ネプギア、大丈夫か?」
「真司さん…私…」
俺に気が付いたのかゆっくり顔を上げ俺の方へ振り向く、顔は涙でくしゃくしゃだ…
「…ユニちゃんは今気持ちの整理ができてないだけだと思う、ネプギアが気に病む必要
はないよ」
「ううん…ユニちゃんの言う通りなんです、私のせいでお姉ちゃんが…みんなが…」
「ネプギア…」
相当参ってるようだった、ネプギアは真面目だ…だからこそ余計に考え込んでしまう。
でもネプテューヌたちが捕まってしまったのはネプギアのせいじゃない、それだけは言
えるはずだ。
「だったらさ、みんなを助け出そう?みんなで力を合わせればきっと…」
「そんなの…お姉ちゃんを…女神たちを捕まえた人を相手にどうすればいいっていうん
ですか!!ましてや私は女神化もできないのに!!」
「ね、ネプギア…」
ネプギアの口調に少し怖気づいてしまう、だけど俺はネプギアに話しかけるのを止めな
かった。
「確かにネプギアやユニちゃんたちは女神化できない、だけどそれでもみんな強いじゃ
ないか!それにアイエフやコンパだっている!俺だって戦う!!そうすればきっと…」
「勝手なこと…」
「え…」
「勝手なこと言わないで!!」
ネプギアが怒りの声を上げた、そして俺を睨み付ける…
「真司さんには私の気持ちはわからない…女神化できない私の気持ちが…あの時お姉ちゃん
を助けに行けなかった私の気持ちが!!」
「ネプギア…」
「女神じゃないくせに…なんの力もないくせに!!」
「っ!?あ…」
なんの力もない…ネプギアの言葉が今の俺に鋭く突き刺さる、そしてネプギアの方は…
「っ!?…っ!!」
俺に言った言葉にハッとしたのか目を見開き、目を伏せその場を走り去ってしまった。俺
はただそこで立っているしかできなかった…
◇
一方その頃――
「あ~もう!退屈~!!ゲームやりたい!!」
すっかり元の調子が戻ったネプテューヌ、だけどゲームって…それを聞いたノワールと
ブランは呆れてため息をついた。
「ネプテューヌ…貴女ねえ…」
「私たち捕まっているのよ…?」
「はあ…せめて四女神オンラインのチャットだけでも…ギルドのみんなと待ち合わせし
ていますのに…」
「ベールまで…」
「ネトゲ廃人もこういう時は心強いね!よ~し!!思い切って要求してみよう!」
そして大きく息を吸いネプテューヌはマジェコンヌを呼んだ。
「お~い!ちょっと~!ねえってば!いるんでしょ?マザコング!!」
「誰がマザコングか!!マジェコンヌだ!!マジェコンヌ!!」
思いっきり名前間違えてるし…
「え~っと…マジレンジャー?」
「マジしか合っとらんじゃないか!!それになんなんだそれは!!」
「ネプテューヌ…なんなのよ、その名前…」
「真司が好きな特撮ヒーローの名前なんだって」
こんな状態でふざけるのも彼女のスキルと言うべきなのか…
「じゃあマジえもん!退屈だからさ~何か出してよ、退屈で死にそう!」
そしてマイペースなネプテューヌ。
だがマジェコンヌはそんなネプテューヌの言動をものともせず不敵に笑い口を開いた。
「ふん!どの道お前たちの命は今、終焉を迎えている」
「あれ?否定しなかったよ?あの人の名前マジえもんでいいのかな?」
「知らないわよ…」
「おいコラ!聞いているのか!人がせっかく死刑宣告してやったというのに!!」
ノワールは呆れてものも言えないようだ、だが命の終焉とはいったい…
「足元を見るがいい」
ネプテューヌたち下を見る、するとそこにはなにか…黒く何か不気味な水たまりのよ
うなものが少しずつ溜まっているのが見えた。
「な、なにこれ…」
「不気味ですわ…」
「これも…アンチクリスタルの…」
「それはやがて、お前たちを苦しめ死に至らしめるだろう…残された僅かな時間を楽
しむがいい、くくく…」
ネプテューヌたちへの危機は刻一刻と迫っていた…
―――――
ネプギアSide
私は今どこを走ってるかわからない、教会の中だというのはわかる…
走ってる理由、私は最低なことをした…真司さんに八つ当たるように怒りの言葉をぶ
つけてしまった…それから逃げるように、真司さんの前から逃げたかった…
そして言ってはいけないことも…
――女神じゃないくせに…なんの力もないくせに!!
なんで私あんなこと言っちゃったんだろう…真司さんは私のこと心配して追いかけて
きてくれたのに!!
本当に…本当に私は最低だ…
さすがに走りつかれて柱に背中を預けてへたり込んでしまう、そしたらまた悲しい気
持ちがこみ上げてきた。
お姉ちゃんが捕まったこと、真司さんにあんなこと言っちゃったこと…私が暗い気持
ちになるには十分すぎるものだった…
「うう…ああ…私…ごめんなさい…ごめんなさい…」
泣いて謝るしかできない…でもその言葉は誰にも届かない、やるせなくて…泣き叫び
たくて…私…どうしたら…
「ネプギアちゃん…」
「ぐす…え?ロムちゃん?」
声をかけられた、誰かと思って顔を上げるとそこにはロムちゃんが…ロムちゃんだけ
じゃない、ラムちゃんと…ユニちゃんもいる。
「ほら、早く!」
「わかってるわよ!」
ユニちゃん、私のところに来るのに躊躇してる。その眼には涙の跡が見えた…
「仲直り…しよ?」
ロムちゃんとラムちゃんは私の手とユニちゃんの手を握り合わせる、ユニちゃんはお
ずおずしながら…だけどゆっくりと口を開く。
「言い…過ぎちゃった…ごめん…ね」
「ユニちゃん…」
「わかってるの…ネプギアのせいじゃないの…わかってるのに!」
「…気持ち、わかるから」
謝り少しホッとした表情を見せたユニちゃん、私もそう…真司さんに八つ当たりして
しまったからその気持ちはよくわかる…
私はちゃんと謝れていない…その思いが私の中で少しずつ、だけど確実に大きくなっ
て行くのがわかった。
―――――
「お姉ちゃんより強い人なんて…いないと思ってた、お姉ちゃんがいる限り何があっ
ても大丈夫って…」
少し落ち着いた後私たちは話をした、ユニちゃんの気持ち、私も同じだよ…私だって
そう思ってた、お姉ちゃんは強い…だから誰にだって負けるはずないって。
「私だって同じだよ…私はお姉ちゃんがいないと何にも出来なくって…今だって何を
すればいいか…」
「それなら簡単じゃない!」
ラムちゃんがピョンと座っていた場所から飛び降り私たちの前に出る、簡単って?
「私たちが助ければいいのよ!」
「私も…お姉ちゃんたち…助けたい」
二人の言葉に真司さんの言葉が脳裏に浮かんだ、真司さんが言ってたことと同じこ
とをロムちゃんとラムちゃんが言ってたから…
「でも…私たち変身できないし…」
「だったら!変身できるようになればいいじゃない!!」
「やり方…覚える…!」
変身できるようになる…正直言って無謀じゃないかと思った、なるようになるため
にはどうすればいいか全然分からない。
そんな私たちに…
「私に…できるのかな…」
「…お姉ちゃんが言ってた」
不安な心持の中、ユニちゃんはつぶやく。
「アタシが変身できないのは…自分の心にリミッターをかけてるからだって…」
「心の…リミッター…」
「例えば…何かを怖がってるとかそう言うことよ」
怖がっている?私が何かを…考えてみたけどパッと思いつくものが見つからない。
「私…モンスター怖い…」
「うん…私も…」
「じゃあ!みんなで特訓してモンスターが怖くなくなればいいのよ!」
ラムちゃんが元気に叫んだ、こんな時ラムちゃんのような子の言葉を聞くと不思議
と元気が湧いてくる。
決心は…ついた。
「うん!そうかも!!」
「…うん!」
私たちはベールさんの部屋に向かう、ゲームのあの機能を今こそ使う時だと…
真司さん、ごめんなさい…後で必ず謝ります、だから…
今は私に時間をください…
ネプギアSide END
◇
「…」
一人ベランダで佇む。なんの力もないくせに…か、確かにそうかもなあ…
ネプギアの言葉が頭の中で何回も繰り返される、そして俺の心に突き刺さった。
「情けねえ…本当に…!」
確かに俺は少しはまともに戦えるようになってきた、だけど…それだけだ。結局
俺は何一つ力になれない…なんの力もないのと一緒だ。
「…真司」
「アイエフ…?」
声をかけられ振り向くとそこにはアイエフが少ししんみりした様子で立っていた。
俺はゆっくりとアイエフの方へ歩み寄る。
「どうしたんだ?」
「…ネプギアのこと」
「ネプギア?」
ネプギアがどうし…ああ、もしかしてあの話を聞いたのか。もしくはネプギア本人
に話しされた、そんなところだろう。
「あの子のこと悪く思わないであげてね?今でも真司にあんなこと言ったの後悔し
てるみたいだから…」
「ああ、わかってる。だけどネプギアが言った通りなんだよ」
バルコニーの塀に寄りかかりながら俺は話しを続けた。
「実際のところ確かに俺は前に比べたらましに戦えるようにはなったと思う、だけ
ど結局俺はみんなより弱いんだ。そんな俺がネプギアにみんなと一緒に頑張ればと
か…無神経過ぎた」
「そんなこと…」
「気持ちをわかってたつもりだった、だけどそうじゃなかった…むしろネプギアを
傷つけることになってしまった…俺は最低なやつだよ」
みんなと一緒に頑張る、だけどそれは俺がみんなを頼りにしてしまってること…
心のどこかで俺はネプテューヌたちがいなくてもネプギアたちがいると思ってしま
っていたのだと思う、結局俺はみんなを頼りにしないと…みんながいないと何もで
きない臆病者だ。
「真司…」
「悪い、変に暗く話しちゃったな。そう言えばネプギアたちは?」
「…今戦闘の訓練をしてるわ、ネプ子たちを助けたい一心で。変身できるように今
も頑張ってる」
「そうか…」
やっぱり強いな、みんなは…それに比べて俺は…いや、卑屈になっちゃいけない…
ネプギアが…ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんが頑張ってるんだ。俺もここで
頑張らないでどうする!だけど…今の俺に何ができる?俺にできること…
「でも、もう時間も限られてるわ」
「アイエフ?どういうことだ?」
「これを見て」
アイエフの言葉に疑問を持つ、だがアイエフに携帯端末を見せられた時その疑問が
すぐに消えた。そこには拘束され身動きが通れないネプテューヌたちの画像が映し
出されていたからだ。
「これが間もなく全ての国に公表されてしまうことになる、そうなるとネプ子たち
のシェアが一気に無くなってしまうことになるわ」
「そう…か」
そうなってしまったら元もこうもない、一刻も早くネプテューヌたちを助けに行か
ないと取り返しがつかないことになってしまう。
「救出は今夜決行するわ、真司は危ないからプラネテューヌに…」
「帰れと?このまま何もせずに?…悪いけどそれだけは断固お断りだ」
「だけど!!真司は…」
「みなまで言うな…わかってる」
アイエフが何かを言おうとした時俺はそれを手で遮った、一体何を言おうとしたの
かわかってしまったから。
「俺は足手まとい、救出作戦に俺を構っている暇はない…そうだよな?」
「あ…ご、ごめんなさい…そんなつもりじゃ…」
「わかってるよ、アイエフ。心配してくれてるんだよな?ありがとう…」
アイエフのことだからオブラートに包んで話してから帰ってもらいたかったんだろ
う、俺の身を案じて…俺のことを心配してくれるからこそ。本当に優しいやつだ…
「だけど俺だってみんなの仲間だ、このまま帰って指をくわえて待ってるなんてこ
と絶対にしたくない。俺は…俺ができる精一杯のことをしたい」
「真司…」
「アイエフ…ちょっと、用意してもらいたいものがあるんだ」
「え?」
アイエフが少し戸惑った表情を見せた、俺にできること…今考え着いたこと…
正直言って俺ができるのはこれ位しかないよな…
みんな、俺なりの決断ってやつを見ていてくれ。
この後部屋に戻ってルウィーにいたあのレポーターがいてみんなと戦闘訓練をして
いたのを見て驚いたのは別の話だ。
俺を見た瞬間逃げ帰ったけどな…
―――――
ピチャン…
アンチエナジーがまた少しずつしたたり落ちる、ネプテューヌたちが拘束されてど
れ程の時間が経ったのだろうか…
「ずいぶん溜まってきたわね…」
「あれに飲み込まれたらどうなってしまうのでしょう…」
「こんなことなら対策を研究しておくんだったわ…私は自分から遠ざけることしか…」
不安と後悔の会話が飛び交う、だがそんな時でもネプテューヌは明るく元気な声で
みんなに話しかけた。
「まあみんな、元気出そうよ!今んとこ無事なわけだし、まだまだ希望はあるって!」
「貴女の前向きさって嫌いじゃないけど…こういう時にはさすがにうっとおしいわ」
「現実逃避ね…」
ノワールとブランは呆れてしまう、それでもネプテューヌは喋るのを止めない。
「だってわざわざ希望がないと言うよりはさ」
「可能性のない楽観だって役に立たないわよ」
「可能性ならありますわよ」
「ねぷ?」
今度はベールが話し出す。彼女が言う可能性、それは…
「いるじゃありませんか、貴女方の妹が…そして真ちゃんが」
ベールを除く三人は少し驚いた様子で見つめる、そしてまずノワールが口を開いた。
「ユニ?あの子はまだ私抜きで戦ったことさえないのよ?それに…真司だってまだ
ちゃんと戦えるわけじゃないはずよ、筋はいいけど…」
「ロムもラムも…私が守ってあげなきゃいけない歳だわ…」
「ネプギアだって…しっかりしてるようで甘えん坊だし、無理じゃないかな…真司
だって…」
妹たちには危険だと、まだ無理だと言い張るネプテューヌたち。だがそれをベール
は柔らかく、優しく不定した。
「それは貴女方のエゴではなくて?あの子たちは…確かに可愛らしい、私だってい
つまでもあのままでいてほしいと思っていますわ。でも…そんな思いがあの子たち
を変身できない可愛い妹のままでいさせてるのかもしれない、そうは思いませんこ
と?」
「ベール…」
「それに…」
「?」
ベールはさらに言葉を続けた。
「真ちゃんだってそう、あの子は確かにちゃんと戦えないのかもしれない。ずっと
戦いとは無縁の世界にいたんですもの、だけど…それでも必死に誰かのためにどん
なに強大な相手でも立ち向かっていく…貴女方もそれはご存じのはずでしょう?」
「「「あ…」」」
その言葉を聞いた三人は思い出す、真司が自分たちのために頑張ってきたことを…
それと同時に頬が赤く染まる、胸の奥も温かくなるのを感じた。
「だからこそ私は真ちゃんも信じているのですわ、なにせ私が愛した殿方であると
ともに弟なんですのよ?私の自慢であり、誇りですわ」
「そうね…真司のあの思いに私もすごく助けられた」
「真司は強いわ…力じゃなくて、心が…」
「そんなんだから私たち好きになったんだもんね、私たちが真司を信じないでどう
すんのって話だったよ!」
その場の空気が明るくなる、好きな人の話でこれだけの空間が作れるのだ。愛とは
偉大である、だがその時…
「来たっちゅ、案の定女神の妹が仲間を連れて戻ってきたみたいっちゅよ?」
ネプギアたちが来た、ネプテューヌたちを救うために…
「ふん、あんな者たちに何ができる。ここにたどり着くことすら敵うまい…そうは
思わないか?くくく…」
ネプテューヌたちはマジェコンヌを見据えた、その眼に不安の色はない…あるのは
希望のみだった。
◇
ついに来た、俺たちは今ズーネ地区の…ネプテューヌたちが捕われている場所へと
着いた。心なしか緊張する、それはそうだ…なんたってこれにはネプテューヌたち
の命がかかっているのだから。
「ギアちゃんたち、まだ変身もできないのに…」
「女神が失敗しても妹が頑張れば国民は納得するでしょ、その方がシェアのダメー
ジは少ないはずだわ」
「そうですけど…」
「それにね…私も信じたいの、ネプギアたちならってね」
アイエフがゆっくりと、銃を構えネプギアたちの下へ歩み寄った。ネプギアたちも
互いにそれぞれの武器を握りしめ気合いを入れる。
「準備はいい?」
「うん!」
「「うん!!」」
四人ともすごい気迫だ、俺にもそれが伝わってくる。だけど…今はこの子たちを戦
わせるわけにはいかない、俺はゆっくりとネプギアたちの前に歩み出た。
「真司さん?」
「あ…っ…」
「お兄ちゃん?」
「お兄ちゃん…?」
「アイエフ、頼んだものは用意してくれたか?」
「え、ええ…一応、だけど…こんなの何に使うのよ?ただの閃光弾よ?」
アイエフに頼んで用意してもらったもの、それは閃光弾。これでいい…ここから俺
の戦いが始まるんだ、俺が決断した戦いが…
「みんな、よく聞いてくれ。ここから先、行くのは俺一人だけだ」
「え…な、何言ってるのよ!!こんな時に冗談なんて…」
「アイエフ、悪いが冗談じゃない。俺は本気だ」
真剣に、俺はアイエフを見据えた。だがそれを聞いて黙っているほどネプギアたち
は大人しくない。
「真司さん!?そんなの危険です!!あそこには大量のモンスターの群れが待ち構
えているんですよ!!」
「そうです!!そこにたった一人で行こうとするなんて…死ににいくようなものじゃ
ないですか!!」
「お兄ちゃん!!そんなのダメだよ!!」
「お兄ちゃん…!止めて…!」
「みんな…」
ネプギアたちは必死で俺を止めようとしてくれた、本当に思いやりがあって優しい
子たちばかりだ…だけどこればかりは譲れない、これは俺のけじめ…決断だから。
「そうです!!ギアちゃんたちの言う通りです!!真司さんがそんなことする必要
はないはずです!!」
「コンパまで…ありがとう」
「お礼を言うくらいならそんな馬鹿げた真似をすぐに止めなさいよ!」
「…それはできない」
「なんで!!どうして!!」
アイエフが叫んだ、彼女だって俺の身を案じてくれている。気持ちは嬉しい、だけ
ど…俺はネプギアたちに近づき話を続けた。
「いいか?今回の作戦、要はネプギアたちだ。そのお前たちがあのモンスター相手
に体力を消耗させられたり傷つけられたりでもしたら元もこうもない」
「それと真司さんが一人で行くのとどう関係があるんですか…?」
「…俺がモンスターを陽動してなるべく多く引き付ける」
「っ!?」
案の定みんなは驚愕の表情を浮かべていた、まあわかってけど…
「十分にモンスターを引き付けられたことがわかったら俺がこの閃光弾で合図を送
る、みんなはその間ここで…」
「そんなの絶対ダメです!!」
「ネプギア…」
ネプギアの声が木霊する、あまりにも大きな声で叫び過ぎたのか肩で息をしていた。
そしておもむろに俺の腕を握り離そうとしなかった。
「そんなことしたら真司さんただじゃ済みません!!なんで…なんでそんなこと…」
「理由は一つ、俺は…この中で最も弱いからだ」
「っ!…あ…」
ネプギアはビクッと身体を振るわせて俺から離れた、たぶんあの時のことを思い出
したんだと思う。
「お兄ちゃんが弱いなんて誰も思わないよ!お兄ちゃんは強いよ!私とロムちゃん
を守ってくれたもん!!」
「ラムちゃん、ありがとう。だけどこれは事実なんだ、確かに俺は前と比べてだい
ぶましに戦えるようにはなったと思う。だけど…それでもここにいるみんなにはま
だ遠く及ばない、これは不定しようもないことなんだ」
「真司さん…」
「そんな俺だからこそこの役目が適任なんだよ、俺が先陣を切る…俺がモンスター
を陽動して引き付けなるべくみんなの体力が消耗しないようにする。俺ができるこ
とはそれくらいしかないから…」
ぶっつちゃけ情けないと思う…大の男がこんな小さな子たちに戦いを押し付けてし
まっていることに…不甲斐ない、だけどこれが今の俺にできる精一杯…だからこそ
全力でやりきると心に決めた。
「それでも…それでもダメです!!」
「ネプギア?」
「真司さん!私が言ったこと…気にしてるんですよね…だからこんなことしようと
思ったんでしょう…だったらw「ネプギア」…え?」
ネプギアを呼び止め徐に頬に触れる、ネプギアは戸惑いの表情を見せていたが俺は
構わず話を続けた。
「男の…男の仕事の八割は決断だ、そこから先はおまけみたいなもんだってな。俺
は例え無謀でも自分が決めたことをやりきるって決めたんだ、だからその先俺がど
うなろうと興味はない。これは俺が決めた覚悟…決断したことだから」
「真司…さん…」
「謝罪ならネプテューヌたちを助けた後にいくらでも聞くよ、だから…今はその話
はなしだ。いいな?」
「…はい」
「それと…」
「?」
「ごめんな、ネプギアたちにネプテューヌたちの救出を押し付けるような形になっ
てしまって…」
「っ!?真司さん…」
ネプギアから離れて俺はバイクに跨りヘルメットを被る、バイクにエンジンをかけ
出発の準備ができた。その時…
「三十分!!」
「アイエフ?」
アイエフが俺に話しかけてきた、三十分とは…?
「三十分、私たちが待つ時間よ。それ以上時間が経ったら私たちは動く!合図があ
ろうとなかろうと!だから…それまで絶対に持ち堪えて…生きて帰ってきなさい!」
「…おう!」
アイエフの言葉を胸に俺は走り出す、今ここに女神救出作戦が始まった。
次回もシリアス、そして真司に隠されたポテンシャルが…