ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕 作:ULTRA-7
前後編分けようと思ったんですけどなんか踏ん切りつかなかったのでやめました、今回結構長いです。
いよいよぷるるん女神化!そしてマジェさんと和解?楽しんでいってください!
「それじゃあ改めて自己紹介~、あたしは~女神のプルルート~、よろしくね~?」
プラネテューヌ教会の一室、ここで俺達はプルルートがこの世界にきた記念としてパーティを開いていた。
俺にネプテューヌにネプギアにアイエフにコンパ、ピーシェにイストワールさんに相棒、マーベラスがテーブルに座っている。
そこでコンパが一人立ち上がり、グラスを掲げた。
「プラネテューヌの新しい女神様、ぷるちゃんに乾杯するです!」
「ちょっと待った!!」
「んう?」
「ネプテューヌ?」
コンパが乾杯の音頭を取るが…ネプテューヌがそれに待ったをかけた。
どうしたと言うんだろう?
「こんぱ! それじゃあ私がぷるるんに女神の座を奪われたみたいじゃない!」
「え? でもぷるちゃんもプラネテューヌの女神様です」
「プラネテューヌはプラネテューヌでも別のプラネテューヌだから! そこんとこよろしく!!」
ネプテューヌの言動がわからないという方に説明、今この場にいる女神、プルルートはこの次元の女神じゃない、別の次元から来たプラネテューヌの女神なんだ。
まさか別次元から女神が来るなんて思わなかったけど。
「別の次元のプルちゃんも相変わらずだね」
「そういえばマーベラスはプルルートの事知ってるんだったっけ?」
それもまた別の次元のプルルートらしいのだがものすごくややこしいと感じる、でもまあ今はその事は置いておくことにしよう、うん。
「えへへ~、真くんも改めてよろしくね~」
「おう、俺の方こそよろしくな」
ぽやぽや笑顔のプルルート、ラステイションの一件からすぐに打ち解けて仲良くなれた。
俺の事は真くんと呼んでくれている、それにしても柔らかい物腰と雰囲気、女神化したらどうなるんだ?
「変身もできるんですか?」
「できるよ~、でもあんまり変身しないようにって。みんなから言われてるんだ~」
「…? 何で?」
みんなとはプルルート達の仲間の女神達の事なんだろうな、でも何故プルルートの女神化をするなと言う必要があるのだろうか? う~ん…考えてもわからねぇ。
「う~ん? どうしてかな~?」
「あ、あはは…
プルルート本人もわからない様子、そして何故かマーベラスは苦笑い、ま、別に今わからなくて困ることじゃないから別にいいか。
「はむ! ん~♪あ…」
プルルート達とやり取りをしている間にピーシェは黙々と食べ進めていた様だ、自分が食べていたステーキが無くなると少ししゅんとなるピーシェ、だが横のネプテューヌの皿に目をつけるとそのまま素早くネプテューヌのステーキに狙いを定めて喰らいつく!
「わぁ!? ちょっとピー子!!」
「ぴぃおにくたべる!!」
ネプテューヌが気がつきピーシェとの肉の奪い合いが、今回ばかりはネプテューヌは悪くない、俺はピーシェを少し小突いて叱った。
「こーれピーシェ、それはネプテューヌのものだろ? 自分のものは食べ終わったんだからそれでお終い、ピーシェだって自分のものが盗られたら嫌じゃないか?」
「うう…うん…」
「な? ちゃんとネプテューヌに謝ろう?」
「はい…ねぷてぬ、ごめんなさい…」
ピーシェはネプテューヌに頭を下げて謝る、ネプテューヌの方も笑ってピーシェの頭を撫でながら許してくれた様だ。
うんうん、素直に謝るのはとてもいい事、ピーシェもちゃんと理解してくれた様で何よりだ。
「よしよし、よく謝ったな、偉いぞ。そんなピーシェにはご褒美に…はい、あ~ん」
「わはぁ♪ あ~ん♪ むぐむぐ…おにーひゃん、ありがほ~♪」
ご褒美としてステーキの一切れをピーシェに進呈、笑顔で頬張りながら幸せそうに口を動かすピーシェ、何だかんだで俺も甘いのかもしれないがちゃんとできた子にはそれなりに褒めてご褒美も上げないとな。
「「「「「「………」」」」」」
「んぁ? みんな、どうしたんだよ?」
すると何故かみんなが目をパチクリさせて俺の方へ向いていた、どうしてこうなったか俺にはよくわからなかったけど…
そんな疑問を最初に口を開いたアイエフが解決してくれた。
「真司の一連の動作を見てたらね、本当に優しいなって思ってね? お兄さんらしいというか、父親らしいというか」
「そうか? でもまあ子供は割と好きな方かも、ルウィーの孤児院でもよくみんなと遊んだし」
「真司さんが好かれやすいというのもあるのかもしれませんね、とても優しいし面倒見がいいのいいとこ尽くめですから」
「それは褒め過ぎですよ、イストワールさん」
照れながら頭を掻く、俺もみんなも心なしかよく笑った。
でもそう思われるのは悪くない、ちょっとこそばゆいけどとても嬉しい気分だ。
『真司、それは誇ってもいいと思うぞ?」
「そうそう! 謙遜することないよ、はぁ…真司との間にもできる子供ともこんな感じに接したりするのかな~?」
「ぶっ!? い、いきなり生々しいこと言うの止めろよ!?」
思わず吹き出してしまった、それより俺ネプテューヌとはまだ一回しかヤッて…何を考えてるんだ俺は!?
「むぅ…お兄ちゃん、私にはまだ何もしてない…」
「私もだよぅ…」
「うぐぅ!? す、すみません…」
膨れっ面になり俺を睨むネプギアにマーベラス、みんなとお付き合いをしているが全員とバランスよく接したりするのは難しい、それは俺が選んだことだから仕方がない。 これからはちゃんと平等に過ごせるように俺自身が努力しないと…
「まあ頑張りなさい、私は応援しかできないけど」
「いや、それだけで十分だよ。ありがとうな、アイエフ」
「真司さん…えへへ、私も頑張るです!」
「え? あ、ああ…頑張れ?」
アイエフに応援されて元気が出た、それと何故かコンパが自分も頑張る宣言、今自分で成し遂げようとしてる事でもあるのか?とりあえず頑張れとの一言、それを聞いたコンパはとてもニコニコ笑顔になっていた。
「ふふん、本妻である私はいつでも真司に甘え…」
「ねぷてぬ!」
「ん? ピー子?」
「これ、あげる!」
ドヤ顔で自分が本妻だとアピールするネプテューヌ、そんなネプテューヌにピーシェが自分の皿にあるものを差し出した、たぶん先ほどのお詫びのつもりなんだと思う。
でもそれを見たネプテューヌの顔はみるみるうちに青ざめていく、それも当然、だって差し出されたそれとは…
「ぎゃぁぁぁっ!? なすぅぅぅぅっ!? 近づけないで!? 私茄子嫌いなのぉぉぉっ!?」
そう、茄子です。
ネプテューヌは茄子が大の苦手、それ以外にもピーマンやら人参やら、結構子供じみたところがある。
「ネプ子、偶には食べてみたら? 今日は我ながらおいしくできたのよ?」
「やだよ茄子なんて!! あの匂いだけで力が出なくなっちゃうんだから!!」
「そこまでかよ…」
まあ人には好き嫌いはあるけどさ、俺は茄子好きだぞ? うん。
「でも茄子が食べれないなんてもったいない、焼き茄子、煮浸し、天ぷらに味噌炒め、茄子のおいしい食べ方いっぱいあるのに」
「そうそう、人生の三分の一は損してるわよ?」
「嫌いなものは嫌いなの!! そういう真司は嫌いなものないの!?」
「俺? んー…ない!」
きっぱり断言、そこにネプテューヌが食って掛かる。
「そんなはずな~い!! 誰にだって好き嫌いはあるもん!!」
「あっはっは、ネプテューヌはバカだな。俺が好き嫌いなんてしてみろよ? そうなろうものならさ、…生活なんてできませんでしたから…」
「「あー…」」
「え? え? 何この空気? こんぱとあいちゃんは何か知ってそうな雰囲気だし!?」
「真司、生活費の大半を家賃とか光熱費に回してたから…この世界で漸くましな食べ物にありつけたって言ってたわね」
「食べられる草とか見つけて生活していたって言ってたです…」
はい、お二人の説明の通り、アルバイト生活の日々でそのほとんどを家賃やらに回していたおかげで少ない少ない。
え? それでも食費に回すくらいのお金はあるだろうって? 特撮玩具を買うために使い切ったわ!! わっはっは! すみません、胸張って言えることじゃなかったです…
「「「「え~っと、ごめんなさい?」」」」
『真司…』
「いや、別に憐みの目をしなくていいから。こうやって今ちゃんとまともな食生活を送れているから、寧ろありがとうございます」
ぶっちゃけ今日まで生きてこれたのは貴女達のおかげです、これには本当に感謝、衣食住を保証してくれたからこそ今の俺があります、いや本当に。
「こほん、とにかくネプテューヌさん。好き嫌いをしては女神として国民に示しがって…あば、あばばばばば!? あばばばばばばばばば!?」
「イストワールさん!?」
いきなりイストワールさんが変な声を出して震えだした、まるで携帯のバイブレーション機能みたいに、何がどうしてこうなった!?
「大丈夫ですか!? イストワール様!?」
『イストワール殿!?』
「祟り!! 茄子の祟りだよ!?」
「ネプちゃんそれ違うよ!?」
騒ぎ出す俺達、こうしてる間にもイストワールさんは変な声を出して震え続けていた。
「…………」
「チュ、チュ~…」
だが俺達は気づかなかった、教会の外に潜む二つの陰の存在に――
* * *
場所は変わってシェアクリスタルの間――
「ふう、先ほどは失礼しました。別次元から着信を受けるなんて初めてだったもので、マニュアルを見て対応するのに時間がかかってしまって」
先ほどの変な声や震えも止まり、イストワールはいつもの調子を取り戻していた。
そして今彼女が話しかけている人物、その姿はイストワールを幼くしたような容姿
の持ち主だった。
彼女はどうやら別次元、つまりプルルートの世界のイストワールみたいだ。
『こちらこそ、突然電話してすみませんm(--)mうちのプルルートさんがお世話になっています』
丁寧に挨拶を返す別次元のイストワール、何故か顔文字が浮かび出ているのは仕様だろうか?
「…何だか小っちゃいですね」
『あ! 小っちゃいからって馬鹿にしないでくださいね!! プルルートさんをそちら
の次元に送ったのだって私なんですから!(>_<)』
イストワールの一言で別次元のイストワールを怒らせてしまった様だ、さすがにバツが悪くなり苦笑いを浮かべるイストワール、とりあえず話題を変えることに…
『イストワール殿』
「ドラゴニック・ハートさん?」
するとシェアクリスタルの間にドラゴニック・ハートが入ってきた、イストワールの傍へと寄ると少し心配そうな声で話しかける。
『身体の具合はどうだ? 少し心配になったから見に来たのだが…』
「ご心配、痛み入ります。でもこの通り大丈夫ですので、ありがとうございます」
『こちらの方は…? (゜o゜)』
どうやら別次元のイストワールはドラゴニック・ハートのことが気になる様子、そんな彼女にイストワールは彼を紹介した。
「このお方は聖龍神ドラゴニック・ハート、かつてゲイムギョウ界を滅びの運命から救った神様なのです」
『紹介に与ったドラゴニック・ハートだ。お初にお目にかかる、別次元のイストワール殿』
『はわわ!? こ、こちらこそです!Σ(゜□゜)』
少し慌てた様子で挨拶を交わす別次元のイストワール、世界を救った神が目の前にいるのだから当然と言えば当然だ。
『この様な方がいらっしゃるなんて、これならすぐにでも異変を解決できるかもしれないです…』
「異変、とは?」
別次元のイストワールの言葉にイストワールが聞き返す、そして徐に別次元のイストワールは口を開いた。
『実はですですね、こちらの次元からそちらの次元へ大きなエネルギー転移が確認
されたんです』
――――――――
「なるほど、そのエネルギーの存在を突き止める。そしてその存在を連れ戻すのがプルルートがこの次元に来た理由なんだ」
「うん、そうなの~」
プルルートにこの次元に来た理由をあらかた聞いた俺、しかも世界を巻き込むレベルだから驚いた。
それほど大きな存在なんて…考えられるのならネプテューヌみたいな女神の様な存在とかそんな感じのとか? まさかとは思うけど。
「でも~、どんな存在かは全然わからないの~。それに~、わかるのはこの世界の変化を早めに察知する事だっていーすんが言ってた~」
「それはそれで厄介だな…」
存在のことがわかればこちらから行動できるのに、でも贅沢は言ってられない、その存在がこの世界に来たということだけわかっただけでもめっけもんだ。
「その存在、すぐに見つかるように俺も協力する。一緒に頑張ろう、プルルート」
「ありがと~、真くん~♪」
「これからよろs「ぴぃぱぁあああんち!!」「ねぷげらぁぁぁぁっ!?」…はあ…」
ネプテューヌがピーシェにぴぃぱんちを喰らう、俺は思わず頭を抱えてしまった。
「ネプちゃん、大丈夫?」
「こ、これが大丈夫に見える…?」
「お前さっきもピーシェと喧嘩してただろ? ねぷのプリンの取り合いでさ」
ネプテューヌの傍でしゃがみ込む俺が一言、おおぅと唸りながらネプテューヌは俺を見上げる。
「お前も懲りないよな、もう少し大人の余裕を身につけないと。このままじゃ身体が持たないぞ? うん」
「それとこれとは話が別だよぅ! それと最近真司が冷たい気がする!! もっと本妻に愛情プリーズ!!」
「まずは愛情持たれるようにお前自身も努力することをお勧めする」
イチャイチャも節度を持ってやらないとな、お前のためを思って言ってる事なんだぞ? ネプテューヌよ。
「そうね、少なくとも自分の仕事を片付ける事くらいはしてもらわないと」
「真司さんの手を煩わしちゃ、メッ! ですよ?」
「あいちゃんとこんぱが真司側についた!?」
ネプテューヌの絶叫に俺たちは笑う、こうして歓迎会が開かれた夜が過ぎて行くのだった。
* * *
「と、いうわけで。何か変わったことがあったら早めに報告をお願いしたいのですが…」
イストワールさんが俺達に丁寧に説明をする、それは昨日プルルートに聞いた事とほぼ同じ様な内容だった。説明してくれるのは非常にありがたいことなのだが…
「ピーシェちゃん返して~!」
「きゃはははははは!」
「ちくちくちく~♪」
「おりゃあああああああ!!!」
「また見事に聞いてない組が…」
『いるな…』
「「「ですよねぇ…」」」
思わず苦笑い、結構大切な内容だって言うのにもう…
「みなさん、聞いてますか?」
「あ、はい! いーすんさん、すみませ…ピーシェちゃ~ん!!」
「変わった事があったらでしょ? 今のとこないよ~?」
「って、何も見に行ってないじゃないですか!!」
全くもってその通り、このゲームへの情熱を少しでも仕事に活かせたらと思うと…ネプギアはピーシェとのおいかけっこが続き、プルルートはマイペースにぬいぐるみ作り。 ちなみにぬいぐるみ作りは彼女の趣味だそうだ、女の子らしくて可愛い。
「イストワール様、私がパトロールしてきますから」
「それじゃあ俺も」
「私も行くよ、人手は多い方がいいし」
「アイエフさん、真司さん、マーベラスAQLさん、すみません…よろしくお願いします」
頭を下げるイストワールさん、お気持ちお察ししますよ…
「あ、コンパ今から仕事よね? バイクの後ろ乗ってく?」
「ふぇ? あ、えっと…」
アイエフの言葉にコンパはふと俺の方を見た、…? どうかしたのだろうか? 何か困ってるような表情してるけど…
「コンパ? どうかしたのか?」
「え? あ、なんでもないです! あいちゃん、よろしくお願いするです!」
「え、ええ…それじゃあまた」
部屋を出ていくアイエフとコンパ、さっきのコンパの様子が気になるけど…とりあえず今はパトロールに行くとしよう。
「それじゃあイストワールさん、俺も行ってきますね? ネプテューヌ、俺がいない間もちゃんと仕事するんだぞ?」
「はーい♪ わかってるよ~♪」
「相棒、念のためネプテューヌの見張り頼むわ…」
『了解した、真司も気をつけて』
あの様子じゃ絶対仕事はしないだろうとわかりきっているから相棒をネプテューヌに付けておく事にした。
イストワールさんに負担をかけさせる訳にはいくまい…
「そんじゃ行きますか。マーベラス、よかったら一緒に行くか? 俺移動がバイクだし。後ろに乗ってく?」
「本当!? 行く行く!」
俺の言葉に飛びつくマーベラス、最近マーベラスともあまり関わり合いがなかったから丁度いい機会だと思うし。一人より二人ってな。
「マベちゃんずるい! 私も…」
「『仕事、しましょうね?』」
「ね、ねぷぃ…」
イストワールさんと相棒の威圧に負けたネプテューヌ、俺は少し笑いながらみんなに手を振り部屋を出た。
――――――――
現在アイエフとコンパはバイクで移動中だ、パトロールのついでにアイエフはコンパの勤めている病院へ向かっていた。
「…………」
「コンパ?」
コンパは何やら上の空、少し落ち込み気味で下を向いていた。
それが気になったのかアイエフはコンパに声を掛ける、それに反応したコンパは慌てて顔を上げた。
「ふぇ!? あ、あいちゃん!? どうしたです!?」
「すごい慌てっぷりね、どうしたの? 何かボーッとしてたみたいだったけど?」
「え、えっと…その…」
「………本当は真司に送ってもらいたかった?」
「ふぇ!?」
アイエフの言葉にコンパは声を上げる、どうやら図星だったみたいだ。
慌てふためきあわあわするコンパ、そんなコンパを見たアイエフは溜息をついて少し笑っていた。
「な、なななななななんで!? あいちゃん!?」
「私はコンパの親友よ? コンパの気持ちに私が気づかないと思った?」
「へぅ…」
「真司の事、好きになったのね?」
「……はい」
観念した様子で頷くコンパ、その頬は少し赤くなっている、今アイエフの目はとても優しい、まさに親友を思う優しい目だ。
「本当に、真司ってば罪作りな男よね。ネプ子達女神様だけじゃなくアイドルに忍者、挙句の果てはコンパまで。どれだけフラグを立てているんだか…」
「でもそれと同じくらい優しいです、とっても、とっても…そんな真司さんだからねぷねぷ達は好きになったです、それに私も」
「そうね、違いないわ」
バイクを巧みに運転して会話を続ける、吹き抜ける風が優しく二人を撫でるのを感じた。
「あいちゃんはどうなんですか? 真司さんの事好きです?」
「うぇ!? わ、私!? そ、そうねぇ…好きか嫌いかと言われれば好きだけど、コンパ
達が持っている様な好きではないわ。どちらかというと友達としての好きの方が合ってると思う」
「そうですか…
アイエフの言葉を聞きつつコンパは小さな声で呟く、コンパの言う通りアイエフもい
つそうなるのやら…そう思わずにはいられない今日この頃である。
「…なんだか今日は工事が多いわね」
ふと言葉を漏らすアイエフ。さっきから工事の影響で別の道を走らざるをえない、こ
れで五つ目だ。
「ごめんね? 遅くなって…」
「大丈夫です、あいちゃんのせいじゃないですから」
コンパに謝り再びバイクを走らせる、そして道の角を曲がったその時…
「っ!? 何!?」
周りに立ち込める霧の様なものが立ち込め、アイエフは慌てて急ブレーキを掛けてバイクを停止させる、そして急いで自分の口元を塞いだ。
この霧を吸いこんだらマズイとアイエフが判断したのだろう。
「コンパ! 息を止めて!!」
「ふにゅぅ…」
だが時既に遅し、コンパは霧を吸い込んだらしく気絶してしまった。
アイエフも意識が朦朧とし始めていた、その時二人に近づく二つの影が…
「あっさり引っかかったなぁ…?」
「あ、アンタまさか!? …っくぅ…」
影の一人に気づきアイエフは声を上げる、だが限界が来たのかアイエフは気絶してし
まった。
そんなアイエフを見てにやりと口元を吊り上げる人物、その人物は女性であった…
* * *
「ここも異常無しっと、まあ異変なんてそうそう見つかるもんじゃないしなぁ…」
パトロールして早一時間程、でもイストワールさんが言う様な異変は見つからなかった。
本当なそんな事が無い方が一番いいんだけど俺がいるこの世界やプルルートの世界にとって重要なことなんだからそうも言っていられない、目を光らせ異常がないかを再度確認、ほんの小さな事でも見逃す訳にはいかない。
「………」
「マーベラス?」
俯いてだんまりになっているマーベラスに声をかけた、実はさっきからずっとこんな調子なんだよ、普段ならはしゃいだり飛びついて来たりするのに…何か元気がない。
「どうかした? 何か悩み事?」
「真司くん、ちょっとね。大いなる存在の事について…」
「何か気になる事でも?」
プルルートやイストワールさんの言っていた大いなる存在の事で悩んでいたみたいだ、心当たりがあるとか?
「前の次元の事思い出しちゃって、真司くんに言ったよね? ピーシェちゃんの事」
「おう、確か女神様だったんだよな?」
無理やりされたと言う事には怒りが込み上げてきたけど、それでも今は幸せに過ごし
ているらしい、でもそれと今のマーベラスにどう関係しているんだ?
「もしかしたら存在がピーシェちゃんなのかなって」
「ピーシェが? でも今ここにいるピーシェは女神様じゃないよな?」
「でも確証がない、本人は知らなくても潜在的に女神様の力が宿っている可能性だって否定できないもん。それにアイエフやコンパを知っていた事も気がかりだし…そういう事を見逃しちゃって前の次元では…」
「そっか…」
その事はあまり気にしてなかったけど言われてみれば確かにそうかもしれない、それにマーベラスはピーシェの事を知っている数少ない人物の一人、その言葉には説得力がある。
「とりあえず気には止めておこう、今度はそうならないようにさ。あの子の笑顔を守る
意味でも…」
「…うん! そうだね!」
「そうそう、やっぱりマーベラスには笑顔が…「ピリリリリリ!」あれ? 誰からだ?」
Nギアから着信音が聞こえる、俺はチェイサーを一旦道の脇に止めて電話に出た、相手
は…ネプギアだ。
『お兄ちゃん! 大変なの!!』
「どうした? ネプギア?」
ものすごい慌てっぷりだ、でもそれほど重大な事があったと言う事だと思う。
鋭い目つきとなった俺はネプギアの返事を待つ…
『あ、アイエフさんが何者かに捕まったの!! 画像と場所があて先不明のメールで送られて…』
「何!? その場所は!?」
『今お兄ちゃんのNギアにもデータを送るよ! 私達もその場所に向かうからお兄ちゃ
んも来て!!』
「わかった!!」
着信を切る俺、するとNギアからメールが届く、そこにはアイエフが捕まった場所の地
図が記載されてあった。
「真司くん!」
「ああ、俺達も急ごう。しっかり捕まってろよ!!」
チェイサーのアクセルを上げて俺とマーベラスは走り出す。
でも一体誰がアイエフを…それにアイエフと一緒にいるコンパにも危険が及んでいるかもしれない、そんな不安を頭に抱えながら俺たちは現場へと急いだ。
――――――――
「う…」
見晴らしの良い草原、そこにアイエフが磔にされていた。
今まで気絶していたらしいのだが漸く目を覚ました様だ、目をゆっくり開けて状況を把握しようとするアイエフ、そして意識がはっきりしてきた。
だがその目の前には驚くべき人物が立っていたのだ。
「あ、アンタはマジェコンヌ!?」
「ふふふ…」
かつて真司を死の淵まで追いつめ、ネプテューヌを除く女神の力を奪いこの世界を崩壊寸前までに追いつめた人物…マジェコンヌがアイエフの目の前に立っていたのだ。
不敵な笑みを浮かべてアイエフを見つめるマジェコンヌ、緊迫した空気が二人を支配した。
「何でアンタがここに…」
「決まっているだろう? 復讐のためだ」
「復…讐…?」
アイエフの問いかけに答えるマジェコンヌ、マジェコンヌは拳をギリギリと握りしめて怒りを露わにしていた。
「私の計画を台無しにしてくれた女神、そしてあの小僧。仮面ライダーにもそうしたかかったが居場所はわからずじまい、だがまあいい…お前を人質に今は奴らだけでも復讐す
る! 仮面ライダーはその次だ、そして…」
指をある方向へと指すマジェコンヌ、その一帯には…畑?
「今の私には秘策がある! この茄子畑だ!!」
「…はぁ!?」
「茄子が女神の弱点という事は調査済みだ、この茄子畑でこの世の地獄を見せてやる!
あの小僧にもな!!」
マジェコンヌの言葉にアイエフは頭が痛くなる、こんな間抜けな考えしかできないものなのだと思うと…
アイエフはキッと目を鋭くさせ、マジェコンヌを睨みつけた。
「そんな事しても無駄よ! ネプ子や真司がアンタなんかに負けるもんですか!! アンタみたいなおばさんにね!!」
「黙れ! 小娘が!!」
するとあるものを取り出すマジェコンヌ、それは紫の物体…茄子? それをアイエフの口元に近づけると…
「ぐっ!? んむぅ…!? んん…!? んじゅる…!?」
「ふふ…全部食え、残さず食え? 人生の三分の一を損するぞ…?」
茄子を口にねじ込んだ、抵抗するがマジェコンヌに成すがままにされてしまうアイエフ、生の茄子を口にねじ込まれるのは辛い…
「ぐっ…げほ! な、何するのよ!! この年増!!」
「うるさい!」
「うぁん!? んん…!? んんん!? んん~!?」
「ほ~れ、茄子の皮にはポリフェノールがいっぱいだぞぉ?」
涙目になり抵抗しても茄子は口にねじ込まれ続ける、そして茄子の全てがアイエフの中に入り込んだ。
舌なめずりをしてその様子を楽しむ様に見つめるマジェコンヌ、その時だ。
「止めなさい!!」
ネプテューヌ、ネプギア、プルルート、ドラゴニック・ハートが駆けつけた。それだけではない…
「アイエフ! 無事かって…お前マジェコンヌ!?」
真司とマーベラスAQLも到着した、真司に至ってはマジェコンヌを見て驚いている。かつての最大の敵が目の前に健在しているのだ、無理もない。
「来たな、女神! そして小僧!! 今日こそお前達を葬ってくれる!!」
「お望みならいくらでも戦ってあげるわ、とにかくあいちゃんを離し…うぐっ!?」
「ネプテューヌ! どうした!?」
ネプテューヌが急に口元を押さえて苦しみだしたのだ、何やら吐き気を感じている様だが…
「お姉ちゃん…まさかつわり!?」
「そんなになるまで真司くんとシたっていうの!?」
「「何でそうなる!?」」
『お前達…はぁ…』
ネプギアとマーベラスAQLの言動に思わずネプテューヌと真司のダブルツッコみ、それを見ていたドラゴニック・ハートは溜息をついていた。
とりあえずいつも通り緊張感がない…
「茄子の匂いのせいでこうなってるだけだから!! うぷっ…声を張り上げたら余計に気持ち悪く…うぇ…」
「ふん、今頃気づいたか? お前の弱点を突くためにこの農園を買い占めたのだ! ここがお前の墓場となる!!」
「………は?」
その言葉を聞いて唖然となる真司、思わず顔が引きつっていた。
「ちょっ、お前何そんな間抜けな作戦考えてんの!? お前馬鹿なの!? 俺こんな奴に殺されかけたの!? もうちょっとマシな作戦はなかったのかよぉぉぉっ!?」
そしてこの絶叫っぷりである、そりゃあ死闘を繰り広げた相手がこんな作戦を考えるなんて…ねぇ?
みなさんだって気持ちはわかるでしょ?
「うるさい! あの女神を倒したら今度はお前、その次は仮面ライダーだ!! 貴様にも引導を渡してやるから覚悟しろ!!」
「ふざけないで! 貴女のせいで真司がどれだけ酷い目にあったか…引導を渡すのは私達
の方よ!! こんな茄子の匂いなんかで私の戦力が落ちるなんて思わない事ね!!」
マジェコンヌの言葉に怒りを覚えるネプテューヌ。
自分の愛する人を死の淵にまで追いやった彼女の事がよほど許せなかったとみえる、ネプテューヌは拳をギリギリと握りしめて、歯を食いしばりながらマジェコンヌを睨みつけていた。
「ね、ねぷちゃ~ん…痛いよ~」
「え? あ、ごめんなさい! ぷるるん…」
どうやらプルルートの手を無意識に強く握っていたみたいだ、プルルートが痛みで苦悶の表情を浮かべ声を出した、慌てて謝罪して掴んでいる手の力を緩めるネプテューヌ、その隙をマジェコンヌは見逃さなかった。
にやりと不敵に笑い手にしているのは籠、何か入っている様だが…
「ふふ…いでよ! 我が紫の僕!!」
籠の中身をマジェコンヌが放り投げる、その正体は…茄子? だが何故茄子を? 誰しもがそう思うであろう、だがその茄子が空中に放たれたかと思うと…
「な、何あれ!?」
「茄子のモンスター!?」
突如モンスターとなりネプテューヌ達に襲い掛かってきた! モンスターの名はナスライダー、その集団が武器を構えて迫る。
「ヒッ!?」
ナスライダーを見たネプテューヌは悲鳴を上げた。
今更だとは思うがネプテューヌにとって茄子は最大の天敵、例えモンスターであっても同じ事、女神化した状態でも苦手なものは苦手なのだ。
そのせいで身体の力が一気に抜けてしまう、するといきなり女神化が解けてしまった。
「うっ!? くぅ!?」
「うわぁ!?」
「へぅ~!?」
『三人とも!?』
女神化が解けてしまった事でネプテューヌは飛行が不可能となってしまった、そのせいで女神化したネプギアが、ネプテューヌとプルルートの二人を一人で支えなければならなくなってしまったのだ。
必死に耐えるネプギア、だがそれも限界に近づき二人の手を離してしまう。
「あっ!?」
「「わぁぁぁぁぁぁっ!?」」
「ネプテューヌ! プルルート!! くっ!!」
落下していくネプテューヌとプルルート、このままでは二人が地面に激突してしまう、そうはさせまいと二人の下へ駆け出す真司、その間にもネプテューヌとプルルートが地面に激突しそうになっていた。
届け、届け! そう思いながら真司は走り抜ける。
「お姉ちゃん! プルルートさん!! お兄ちゃん!?」
「ネプちゃん! プルちゃん!! 真司くん!!」
『真司!! くっ!!』
土煙が立ち込め鳴り響いた激突音、ネプギア達はネプテューヌ達の安否を心配して声を出す、晴れてゆく土煙、そこには…
「いつつ…ふ、二人とも無事かぁ…?」
「し、真司!? うん…大丈夫!」
「ふ、ふぇ~…」
ネプテューヌとプルルートを抱きかかえて倒れている真司の姿が現れた。
どうにかして二人を助けらてたみたいで胸を撫で下ろす、真司は今、安堵の息を漏らしていた。
「とりあえず、二人とも怪我はないよな?」
「真司のおかげだよ、ありがとう」
「ほぇ~…」
「プルルート?」
二人の無事を確かめた真司、だがプルルートは何故かボーッとしていた。
目をパチクリとさせて真司を見つめる、その表情は普段の彼女のポヤポヤした雰囲気と相まって可愛らしい。
「えへへ~、前に真くんに助けてもらった時の事思い出したの~。あの時は何も言わなかったけど~、あたし男の子とこうやって触れ合うの初めてだったんだ~」
「あー…えっと、嫌だった?」
「ううん、そんなことないよ~。真くんはすごく温かくて~、何だか落ち着くの~♪」
「へ、へぇ…」
割と緊迫していた空気だった筈がプルルートのポヤポヤした雰囲気で一気に和んでしまう、その場の空気をいい意味で破壊する、プルルートのすごいところだ。
「和んでいる暇が…あるのか?」
すると唐突に聞こえてきたマジェコンヌの声、ハッとなり振り向くと目の前にはナスライダーの大軍が迫ってきた。
「きゃぁぁぁっ!?」
「ちぃっ!?」
ネプテューヌの絶叫が響く、真司は舌打ちをしてナスライダー達を睨みつけていた。
* * *
時を同じくして――
「う…あれ? ここは何処です?」
眠っていたコンパが漸く目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。
見晴らしの良いのどかな場所、一人ポツンと佇んでいる…と思ったのだが。
「オイラとコンパちゃん、二人だけの場所っちゅ…」
「……ネズミさん?」
コンパの隣には自称ネズミ界ナンバースリーのマスコットことワレチューが背を向けてモジモジながら座っていた。キョトンとした表情でコンパはワレチューを見つめる、ワレチューは俯きながら話を続けた。
「コンパちゃんに会いたい一心で地獄の底から這い戻ってきたっちゅよ…」
「え? 地獄の何処です?」
ワレチューの言葉の意味がわからないのか首を傾げるコンパ、その仕草が彼女のふわふわした雰囲気と合わさって尚の事可愛く見えた。
「今日こそは、この心の内をコンパちゃんに…」
「んう?」
「オイラ気づいたっちゅよ、愛する人がいなければ何をしても空しいだけっちゅ、だから…」
頬を赤くして振り向くワレチュー、コンパは相変わらずキョトンとした表情を彼に向けていた。
そんなコンパにワレチューは…
「こ、こ、コンパちゅわぁぁぁぁぁあん!!」
「ね、ネズミさん!?」
思いっきり飛び上がったかと思うと、コンパに飛びついてきたのだった。
――――――――
「茄子怖い!? 茄子ストップ!?」
「やだ~、もう~」
現在茄子モンスターに絶賛手を焼いている俺達。思いのほか数も多く、手強くも思う。
「ったく! きりがないぞ!!」
「真司くん!! またそっちに行ったよ!!」
「だぁっ!! くそ!!」
ネプテューヌ達の援護に行きたいけどモンスターが邪魔で近づけない、しかも俺が相棒に接近する事も出来ない、変身出来たらこの場のモンスターを一掃できるって言うのに!
龍神剣を振いながら籠手を使い魔法で焼く、この動作をさっきから繰り返してるばかりだ、せめてネプテューヌの傍にいられたら…
『ネプギア! ここは私に任せてネプテューヌ達を!!』
「はい! お姉ちゃん! プルルートさん!!」
相棒がネプギアに群がっていた茄子モンスターに火球を浴びせて援護に回る、その間にネプギアはネプテューヌ達のいる場所へと一気に駆け抜けた、けれどモンスターは次々に群れを成してネプギアを妨害してきた。
「どいて!! この!!」
切っても切ってもきりがない、その間にもネプテューヌとプルルートはモンスターに襲われる、俺も早く援護に行きたいがモンスターが俺の行く手を阻む、何て面倒な!!
「ネプ子! しっかりして!! おばさんの魔力でできたモンスターなんて蹴散らして!!」
「まぁだ懲りぬようだなぁ?」
「うぐぅ!?」
アイエフはネプテューヌに一喝、だがそこにマジェコンヌがアイエフの口に目掛けて茄子をねじ込んだ。
何故に茄子をとも思ったのだが、生の茄子を食わされるのは正直言って辛い、しかもそれを何度も何度も繰り返す、はっきり言ってしまえば拷問だ。
「アイエフ!! この!!」
「アイエフさん!!」
一通りモンスターを蹴散らしたネプギアは空高く飛び立ちアイエフの下へと急行した、後少しで彼女へ辿り着く、だがマジェコンヌがそれを許すはずもなく…
「フッ…そぉら!!」
「っ!? くっ…!!」
茄子の入った籠を再び放り投げる、するとまたあのモンスターが大量に出現した、またも行く手を阻まれるネプギア、しかも今度はネプギア自身も囲まれてしまった。
「ネプギア!! とぉりゃあああああああ!!」
空を見上げネプギアの危機を察知するネプテューヌ、ネプギアの援護に向かおう自分を追ってきたモンスターを太刀で全て薙ぎ払った。
だがそれがまずかった…
「ううっ!? 茄子臭がすぷらっしゅ…!?」
茄子の匂いで吐き気を感じるネプテューヌ、だが相手はまだまだ無限に増殖してくる、またまた逃げるしかなくなってしまったネプテューヌはその場を全力で走り抜けた。
「このままじゃまずい!! どうにかしないと…」
俺は龍神剣でモンスターを薙ぎ払いながらぼやく、マーベラスも善戦してくれるが一向に数が減らない。
まさに万事休す…本当にまずい!
「くそっ!! …ん? プルルート?」
ふとプルルートの方へ目行く、顔を俯かせて一歩もそこから動こうとしない。
怖いから動けない…と言う訳ではなさそうだ、見たところ震えている様子も見当たらない、でも何か異様な空気か漂う様な…
「ま、まずい…プルちゃん…」
「マーベラス?」
するとマーベラスが顔を真っ青にして震えだした、その様子は完全に何かに怯えている、その相手はどうやらプルルートの様だけど…
「どうしたんだ? 一体何をそんなに怯えてるんだ?」
「プルちゃんがマジ切れしてる、女神化しちゃうよぉ…」
「え? 女神化したらダメなのか?」
マーベラスの言葉に疑問を感じた、ここでプルルートが女神化してくれれば戦力増強は間違いない筈なのに。
それ以前に何で女神化していなかったのかが気になるところだけど、だが俺のその一言にマーベラスが食って掛かった。
「真司くんはプルちゃんの女神化した姿を見た事ないから言えるんだよ!! あれもう女神じゃなくて…うう、思い出しただけで寒気が…」
「えー…そこまで?」
俺がそうぼやいた時だった…巨大な音が辺り一面に響き渡る、思わず目を見開いてしまった。
音がした方向へ視線を向けるとそこには未だに黙りこくっているプルルートが、でも俺の目の行き着く先はそこじゃない、彼女の足元であった。
「く、クレーターができてる…」
どう考えても尋常な力じゃできないような凹み、クレーターがプルルートの足元に完成していた。
するとプルルートがゆっくりと顔を上げる、俺は思わず息を飲んでしまった。
「なんか~…むかつく~…」
「いっ!?」
するとプルルートは自分の足元にある人形を、たぶん自分で作成したものだろうか?それを思いっきり踏みつけてギリギリと踏みにじったのだ。
それを何度も何度も、思わず引いてしまうほどに。
「なんで~アイエフちゃんを~、そこまで~いじめるのかな~?」
「ひぅっ!?」
「ねぷぅ!?」
その声を聞いた瞬間、ゾクッ!? と背筋が凍った、手も震えて鳥肌も立ち、額からは冷や汗が流れっ放しになってしまう。
この場にいるものを怯えさせるほどの威圧感、ン・ダクバ・ゼバにも匹敵するのでは? と思うのは俺だけ、だろうなぁ…それくらい怖いと感じた。
「ひ、人質を私の好きにして何が悪い!!」
「そういう事言うんだ~…じゃあ…」
マジェコンヌの言葉がトリガーとなり、プルルートの身体が輝きだす。
どうやら女神化を開始した様だ、ただこの時隣にいたマーベラスは青ざめていた顔を更に青くした。
まるでこの世の終わりの様な、絶望的な表情を浮かべて…
「あ、あはは…完全に詰んだかも、マジェコンヌ…」
「そ、そこまで?」
「見たらわかると思うけど、ね…?」
再びプルルートに視線を移す、プルルートから輝きが消えて女神化した姿を現した。
だが俺は我が目を疑った――
「あたしも好きな様にさせてもらおうかしら、ねぇ?」
「…………ゑ?」
姿を現したのはどう考えてもボンテージを着ている素敵なお姉さま、俺は自分の目をゴシゴシ擦って再確認、見間違いではない様だけど…
「なあ、マーベラス? プルルートは何処行った?」
「真司くん、現実を見て。あれがプルちゃんの女神化した姿だよ…」
「………はぁぁぁぁぁっ!?」
いやだってあれどう考えても別人じゃん!? 明らかに変身じゃなくてチェンジだぞ!? 別物だぞ!? 思わず目を見開く、あれが女神化したプルルートなのか…マーベラスが言った事が解った気がする…ネプテューヌにネプギア、相棒も固まってるし…だけど…
「変貌し過ぎにもほどがある…」
「あらぁ? 真くん、どうしたのぉ? あたしをまじまじと見てぇ?」
「……ナンデモナイデスヨー」
渇いた笑い顔を浮かべて一言。
口調まで完全に変わってますがな、ほわほわと女王様という明らかに違いがありすぎるギャップ、ただ笑うしかできなかった。
「貴様! 何者だ!!」
「あたしぃ? アイリスハートよ? でも覚えなくていいわ…」
マジェコンヌがプルルートに吠え掛かる。
プルルートの女神化した時の名前はアイリスハートって言うのか、何だか綺麗な響きだなと思ったけど今は口に出さないでおこう、それよりマジェコンヌの方だ。
マジェコンヌの言葉を聞いたプルルートは、剣をその手に出現させると一直線に突撃して切りかかった!
「身体に刻み込んであげるからぁ!」
「うぐぁぁぁぁぁっ!?」
プルルートの攻撃により空中高く投げ出されたマジェコンヌ、そこに追撃を仕掛ける様に飛び立つプルルート、まさに一部の隙もなかった。
プルルートってかなり強い…
「もしかしてぇ、見た目の割には淡白なタイプぅ?」
「ヒッ!?」
剣をそのまま振りおろしマジェコンヌは地面に叩き付けられる、攻撃の余波が俺達にも伝わって来た。
ビリビリと身体を伝う衝撃、女神じゃないマジェコンヌには相当堪えた筈だ。
「うう…ヒッ!?」
「無駄に年食ってないとこをぉ、見せてほしいわぁ…ねぇ!」
「うぐっ!? ああっ!?」
だがそこに追い打ちをかけるかのごとくの連続ラッシュ、マジェコンヌは成す術なく攻撃を受ける一方だ。
心なしかプルルートの表情が嬉しそうに見えるのは俺だけじゃない筈、だけど…
「何かいい気がしない…」
「真司くん?」
心の中で何かとっかかりがあるような感じ、目の前で攻撃されているのはあのマジェコンヌ、俺を一度は殺しかけてネプテューヌ達の命を弄んだ張本人だ。
普通ならいい気味だと思う、だけど無防備な彼女が攻撃されるのを見つめる度にもやもやした感情が俺の心を掻き乱す、このままでいいのか? このまま黙って見ているだけでいいのか?と…
「真司! あっちはぷるるんに任せよう!!」
「…っ! ネプテューヌ?」
もやもやした思いに耽っているとネプテューヌから声がかかった、ハッとして振り返るとネプテューヌがすでに女神化を完了させた後だった。
自信の剣を構えて戦闘態勢を取るネプテューヌ、俺も慌てて龍神剣を構えた。
「ネプギアはあいちゃんを! 私は茄子共をやっつけるわ!! 真司とマベちゃん、ドラちゃんも手伝って!!」
「うん!!」
「おっけー!!」
『了解した!』
「お、おう…」
「…? 真司?」
俺の曖昧な返事に反応したのかネプテューヌが不思議そうに俺を見つめてきた、いけない、今は戦闘中だ、余計な感情はこの際置いておこう。
俺は自分の顔をパンッ! と叩く、よし…大丈夫だ。
「それじゃあ、さっさと片付けましょうか!!」
各々自分の成すべき事をするために、動き出した。
* * *
「そぉれ!」
「うぐぁぁぁぁっ!?」
プルルートの攻撃により地面にめり込むマジェコンヌ、彼女は息も絶え絶えだがプルルートは余裕綽々と言ったところだ、そんなプルルートは溜息をつきつまらなさそうな声で呟いた。
「もうちょっと楽しめるかと思ったのに、所詮は負け犬ねぇ?」
「ぬぅ…! 油断しただけだ!! お前の存在を知っていれば…」
「負け犬って言い訳ばぁっかりするのよねぇ? キャンキャンキャンキャン耳障り、これ以上やっても絶頂いけそうにないしぃ? 止めさしちゃおうかしら?」
「ぷるるん、それは貴女には譲れないわ」
「ネプちゃん?」
不敵な笑みを浮かべ剣を振りかざそうとしたプルルートにネプテューヌがそれを手で制止させた、今のネプテューヌからは凄まじい怒りのオーラが滲み出ている、そしてその怒りの視線の先にはマジェコンヌが、彼女を見据えたネプテューヌは拳を握りしめる。
「今度こそ償ってもらうわ、真司にした事、そしてよりにもよって茄子を戦いに持ち込んだ事! その全てをね!!」
「あらぁ、ネプちゃんったらやる気満々ねぇ?思わず興奮しちゃうじゃなぁい♪」
「お姉ちゃんだけじゃありません!」
ネプギア、そしてマーベラスAQLも駆けつける、二人もまた怒りの視線をマジェコンヌに向けていた。
思わず後ずさりするマジェコンヌ、それほどまでに三人の怒りが凄まじかった。
「お兄ちゃんにした仕打ち、侮辱した事、忘れたとは言わせない!」
「この世界にどれだけの事をしたのかも!」
「くっ…」
「覚悟はいいわね? マジェコンヌ!!」
ネプテューヌは剣を握りしめ、そのまま一気にマジェコンヌ目掛けて切りかかった!不意にマジェコンヌは目を閉じる、自分の最後を悟ったのか力なく笑みを浮かべていた。
だが――
「…え?」
「……?」
いくら待ってもマジェコンヌに衝撃が伝わってこない、痛みすらない、恐る恐る目を開けるマジェコンヌ、その目線の先には…
「な、に…?」
「ネプテューヌ! ちょっと待ってくれ!!」
自身を庇い、攻撃を受け止めた真司の姿が目に移ったのだ。
――――――――
圧倒的、と言った方がいいだろうか? 私は新たな女神であるアイリスハートと言う奴に成す術もなく打ちのめされた、まさかの誤算、私ともあろう者が完全に油断していた。
折角女神の弱点を見つけたと思ったらこの様だ、私は肝心なところでミスをしてしまう、前も、この前の時も…
世界征服、思えば完全に無謀な野望だったのかもしれない、そのために女神の研究やアンチクリスタルの発見、試行錯誤はしてきたのだがな。
今思えばその労力を別の方向に向けたらよかったのかもしれない…だがそれももう遅い、私は後戻りできないところまで来てしまったのだから。
目の前には現在進行形で私に切りかかってくる紫の女神が、完全に怒りを私に向けているのが分かる。
それも当然か、あの女神にとって…いや、女神全員にとって大切なあの男を散々甚振ったのだからなぁ…
(私の野望もここまで、か…)
万策尽きたと言うのにこの冷静さ、思わず惚れ惚れしてしまうよ、最後の最後にこんなくだらない事を思うとは、私も焼きが回ったな…
目を閉じる、こうなったら一思いに切られよう、そうなれば少しは楽になれる…
(…? 痛みが来ない?)
幾ら待っても切りつけられる痛みが来ない、何故だ? 最後の最後に私はあの女神どもに情けをかけられたと言うのか? それはそれで腹ただしい、あいつらにそんな事をされるくらいなら自分で死を選ぶ! だが、その可能性は限りなく低い筈だ。
恐る恐る私は目を開ける、そして目の前にいたのは…
「ネプテューヌ! ちょっと待ってくれ!!」
あの男だ、名前は加賀美真司、だったか? そいつが紫の女神の攻撃を受け止めていた、まるで私を庇うかの様に。
「真司!? 何をしてるの!? マジェコンヌは貴方を!!」
「それは重々承知だ! だけどもうこいつは何の抵抗も出来ない、そんな相手に更に追い打ちをかける様な事は出来ないよ…」
「でもお兄ちゃん!!」
意味が解らない、何故こいつは私を庇っているのかが。
そして同時に腹も立つ、今まで散々痛めつけた相手だぞ? そんな相手を何故庇う必要がある? 同情でもしているつもりなのか? 沸々と込み上げる怒り、同情など私のプライドが許さなかった。
「貴様、同情のつもりか! そんな事されても嬉しくもなんともない!!それなら一思
いに殺せばいいだろう!? それともお前は私がしてきた事を忘れたと言うのか!!」
「マジェコンヌ…!!」
私の言葉に紫の女神の表情がさらに険しくなった、歯を食いしばり今にも襲い掛かってきそうだ。
その気迫に縮こまってしまう、だがそんな私にアイツが話しかけてきた。
「お前がやってきた事は忘れてない、ネプテューヌ達の命を弄んだことも俺を殺しかけた事も全部覚えてる。正直腸が煮えくり返った事も何度もあったさ」
「だったら何故!! 私を庇う!!」
「聞き分けのないおばさんねぇ? やっぱり一度徹底的に痛めつけた方がいいんじゃないかしらぁ?」
「ヒッ!?」
アイリスハートが再び剣を振りかぶろうとする、私は思わず悲鳴を上げてしまった。 だがアイツはそれを手で制止させたのだ。
「何よぉ真くん、あたしの邪魔をするのぉ?」
「プルルート、悪いけどここは引いてくれ。俺はマジェコンヌと話がしたいんだ」
加賀美真司はまたもやアイリスハートを制止させる、真剣な目をして、私と話をしたいと言いながら。
何故だ、何故私なんかと話をしたがる? 疑問は募るばかりだった。
「え~? どうしようかしらねぇ?」
「プルルート」
「う…、わ、わかったわよぉ」
アイリスハートは自分の蛇腹剣を手の平でペチペチと叩きながら考える素振りを見せた、だが加賀美真司はたった一声でアイリスハートを威圧して下がらせた。
まさか私をあそこまで痛めつけたアイリスハート…この男、本当に何者だと言うんだ!?
そして再びアイツは私の方へ向きを変えると、ゆっくりと私に近づいてくる。
私は恐怖した、女神をも威圧させるこの男に、そして私の目線の先にまで近づいたと思うと腕を高く上げた、一体何をされる…
「……ッ」
「………ふっ!」
ああ…そうか、こいつが女神を静止させたのはこいつ自身が私に止めを刺したかったからなのか…それなら納得がいく。
これで漸く全てが終わる…
「~~~~~~~~~っ!? つぅ~~~~!?」
「っし、これでよし」
頭を抱えて悶える、こいつは私に何をした? 拳骨!? そ、それだけ…ふざけているのか!?
「お前は本当にふざけているのか!? お前なんかに情けをかけられるくらいなら…」
「あのさぁ…」
目の前のこいつはしゃがみこむと、私の目線の先に顔を近づけてきた。
こいつの表情からは怒りが見えない、憎しみすらも感じられなかった、そんな事を思っているとこいつはゆっくりと私に話しかけて来たのだ。
「もうさ、傷つけ合ったりするのは止めにしないか? そんなんじゃさ、お前も疲れる
だろ? マジェコンヌ?」
「……は?」
思いもよらぬ一言、思考が全然回らない、目の前のこの男が何を考えているのか、何で私にこんな事を言うのか…
「お前にされたことは忘れたわけじゃない、これはさっきも言ったよな? でもさ、それを思ってお前を仮に傷つけたとしてもあの時の事が帳消しになる訳でもない。やられたからやり返して、やり返したからまたやり返して…正直空しいだけだと俺は思う」
「でも真司!!」
「ネプテューヌ、お前の思っている事は否定しない、たぶん誰しもそう思うに決まってる、だからこそマジェコンヌを消しちゃいけないんだ。こいつにはちゃんと生きて今までの事を償う義務がある」
「そんな事を思っていていいのか…?」
私の声にこの場にいる全員が反応した。
別段奥の手があるわけではない、しいて言うなら悪足掻き、と言った方が正しい。
私は強がりながらも不敵に笑う…
「私をここで逃がせば、またいずれお前達を襲いに来るやもしれんのだぞ? それに関してはどうも思わないのか?」
「その時は俺たちが全力でお前を止める、お前を倒す力が今の俺たちにはあるのだから。できればそうならないでほしいけどさ、それに…」
ポンッとこいつは私の頭の上に手を置く、いきなり何を!?
「どうせだったら仲良くなった方がいい、お前の償いも含めてさ」
「な、何!?」
「だってそうだろ? 傷つけ合うより一緒に笑い合って仲良くする、その方が絶対に楽しいぜ?」
「な、な…!? くっ…!」
笑いながら私に話しかける、思わず恥ずかしくなり目を逸らした。
何でこの男の言葉は私の心を掻き乱す!? こいつにはそんな力があるとでも言うのか!?
「真司、私は…」
「踏ん切りがつかない、だろ? わかってるさ、俺だって自分で何言ってるんだろうって思う。でもさ、俺はネプテューヌやみんながマジェコンヌのために手を汚すところは見たくない。それにマジェコンヌがみんなに滅多打ちになるのを見ても気分が悪いしな、だったら俺は全員で笑い合える選択をするよ。例えそれがみんなに嫌われるかもしれない事になっても」
「……貴方の事を嫌いになるなんてありえないってわかってるくせに」
紫の女神は溜息をつく、この男…真司はそれを微笑みながら見つめていた。
「悪い、少しズルかったか?」
「本当にね、でもおかげで冷静になれたかも」
「それは何よりだ」
紫の女神は私に近づく、確かに先ほどより怒気が少ない様な気がしないでもない、剣を私の足元に突き立て、口を開く。
「マジェコンヌ、もし貴女がこのまま何もせず、この世界に対しての償いをするのであれば私からは何もしないわ。好きに生きるといい、でももし仮にまたこの世界を脅かす事があるのなら…私は貴女をこの手で、倒す」
「………またお前達に対抗する力を身に付けるかもしれないぞ?」
「その時はその時よ、私たち女神と真司が貴女を倒す。真司もさっき同じ事を言ってたでしょ?」
「………完敗だ」
腹をくくった、このまま抵抗してもどうせこいつらの勝ちは目に見えている。
それに、何かどっと疲れたよ…
「とりあえず解決したってことでいいんだよな? ネプギア、アイエフは?」
「え? あ、うん。この通り無事だよ、今ちょっと気絶しちゃってるけど」
「よかった…」
「…お前は本当に何者なんだ?」
「ん? マジェコンヌ?」
思わず声をかける、女神を威圧する事もあれば言葉で女神の心を落ち着かせて説得
する。
前の戦いでは私を追い詰めるまでに戦い抜いていた、この男の力は計り知れない…本当にただの人間なのか?
「本当にただの人間なのか? お前は一体…」
「ただの人間だよ俺は、龍神様の力を受け継いだ、ね」
「龍神様?」
「それよりさ、これで一応は解決したんだ。お前もちゃんと償いしていかないとだめだからな? そうじゃないと俺が頑張った意味ないし」
すると再びこの男は私に近づき頭に手を置く、またもや込み上げてくる恥ずかしさ、今私の顔は真っ赤に染まっているに違いない。
「ま、またお前は!?」
「まあ頑張れよ、償いってのは大変だけどさ。そのためだったら俺はいくらでも協力するぜ? マジェコンヌ」
「な、なななななななななな!?」
恥ずかしさで頭がいっぱいになる、何でこの男は人の心の中にずかずかと入ってくるんだ!? 何で私に優しい言葉を投げかけてくれるんだ…チッ! もう知らん!! 私はこの男、真司の視線を避けるのに精一杯だった。
――――――――
とりあえず解決はしたのかな? このまま何事もなく終わってよかったと思うよ。
幸いアイエフにも怪我はなく今は眠っている、ただ口にあれだけの茄子をぶち込まれたかと思うと…同情するなぁ…
「真司…」
「お兄ちゃん…」
「真司くん…」
「ん? ネプテューヌ達何ってどわぁ!?」
振り向くとどう考えても黒いオーラを発しているネプテューヌとネプギア、そしてマ
ーベラスが。
今俺はものすごく冷や汗を掻いている、心なしか寒気もしてくるぞ!?
「真司、あれどう考えてもマジェコンヌにフラグ立たせたわよね?」
「ふ、フラグ!? 何でそうなる!?」
「でもマジェコンヌ、顔赤くして悶えてるし…」
いやいやいや、それだけで絶対にそうなっているわけがない、だってマジェコンヌは今まで敵同士だったんだぜ? この一連の会話でどうやったらそうなるに至るんだ。
「恥ずかしがってるだけだろ!? マジェコンヌも何とか言ってくれよ!?」
「し、知らん!!」
「えー…」
「あたしもぉ、この高ぶりを真くんに止められちゃったからぁ。責任とってもらいたいのよねぇ?」
「うぇい!?」
まさかの味方無し、三人ともジト目で俺を見つめて来るし!? プルルートも素敵な笑顔で俺を見つめて来るし!? 何か別の話題はないのか!? 別の…あれ? そう言えば…
「アイエフと一緒にコンパもいたよな? コンパはどうしたんだ?」
『そういえば…彼女はアイエフと一緒に居た筈だ』
辺りを見渡してもコンパらしき人影が見当たらない、俺はマジェコンヌに詰め寄った。
「マジェコンヌ! お前コンパ…アイエフと一緒に居た女の子を何処へやったんだ!?」
「え…あ、そ、それならネズミが…」
マジェコンヌがそう言ったその時だった…
「私は…真司さんの事が大好きなんです!」
「「「「…は?」」」」
いきなり聞こえてきた大声、まぎれもなくコンパの声だったのだが…俺の耳がおかしく
なければ俺への告白の声だった。
――――――――
飛びついたワレチューはコンパにのしかかってる、彼女との距離は目と鼻の先だ。
ワレチューの顔は真っ赤に染まり息も荒い、心臓もバクバクと脈打っているのがわかる、今彼はコンパに人生最大の告白をしようとしているのだ。
「コンパちゃん! 運命のチューをするっちゅ! チュー…」
かなり端折り過ぎ、ワレチューはコンパにキスしようとする。
そんなワレチューにコンパは…
「ネズミさん、ネズミさんはもう悪い人じゃないです?」
「ちゅッ!?」
「私、悪い人は…嫌、です…」
目に涙を溜めて訴える、その表情と声にハッと我に返ったワレチュー。
ワレチューは動揺しながら、再びコンパに話かけた。
「そ、それじゃあオイラが悪いやつじゃなかったら…」
「それでも…私はネズミさんの気持ちには応えられないです…」
「ちゅッ!? そ、それはどう言うことっちゅか!?」
動揺再び、自分の思いに応えられないと言うコンパの言葉に反応せずにはいられなか
った様だ。
何故応えられない? その疑問が彼の頭を駆け巡った。
「私には、好きな人が…愛している人がいます。私は…私は!!」
コンパは目を瞑る、自分の想いを、その心を思い出しながら。
そして再び目を開くと、意を決して叫びだした。
「私は…真司さんの事が大好きなんです!」
「ちゅ、ちゅぅううう!? こ、コンパちゃんにす、好きな人がいた…ちゅぅううう!?」
その場で石になるワレチュー、今彼の告白は無駄となりまさにハートブレイクと言
わんばかりの衝撃が駆け巡った。
完全敗北、今のワレチューにはその言葉がよく合っている。
「ネズミ風情がぁ、汚い下水管を這い回るしか能のないくせに…可愛いコンパちゃんを汚そうとなんてねぇ?」
そのワレチューを尻尾からヒョイッと掴み持ち上げる人物、プルルートことアイリスハートが妖艶な笑みでワレチューを見つめていた。
「お仕置きをとも思ったんだけどねぇ? どうやらその必要なしって感じかしらぁ? それ以上にきっつい事をされた様だし、ねぇ?」
「ふぇ?」
コンパを見つめるプルルート、あどけない表情をして顔を傾げていた。自覚がないのも困り様だ…
「それにぃ? あっちの方も何だか愉快なことになってるのよねぇ?」
「え?」
プルルートの視線の先、そこには…
「真司!!話してもらうわよ!! いつコンパにフラグを立てたのか!!」
「何の事かわかんねぇよ!? うわっ!? ちょ!? ネプギア!? ビーム出すのは止めろ!!」
「あの時だよね!! コンパさんを助けたあの時だよね!! 何でお兄ちゃんはそうやって女の人を堕としていくの!?」
「だぁかぁらぁああああああ!! 俺だってそのつもりはって!? マーベラスは何でそんな暗器ばっか!? 殺す気か!?」
「一度…そうなったらわかるかもね!!」
「ちょお!? マジで勘弁…ぎゃぁぁぁぁっ!?」
絶賛攻撃の嵐を掻い潜っている真司、そして攻撃を止めないネプテューヌ達ラヴァーズ。
その様子を見てプルルートは面白そうに笑い、コンパは苦笑いしていた。何は主あれ、これで誘拐事件の幕は降ろされたのだった…
* * *
「マジで茄子農家になる気っちゅか? 世界征服は諦めたっちゅか?」
太陽サンサン、とてものどかな空気の中でワレチューはぼやく。
その間にもマジェコンヌはせっせと茄子をもぎ取っていた、額には大粒の汗を浮かべながら。
「ああ、少し疲れたよ。今回の作戦のために有り金をはたいたからな、ここより他に行く場所もない。それに…今後どうやってこの世界に償うかも考えないといけない、アイツとの約束だからな」
「アイツ…加賀美真司の事っちゅか?」
「まあな…」
茄子をもぎ取っていた手を休め、その手で額の汗を拭う。
ホッと一息ついたマジェコンヌは、青い空をただ見つめていた。
「癪だがアイツに救われた命だ、それくらいしなければ私のプライドが許さん」
「本当にそれだけっちゅかねぇ…」
「何か言ったか?」
「何にもないっちゅよ」
マジェコンヌの言葉にそっぽを向くワレチュー、自分のプライドのために真司との約束を守る、ワレチューには本当にそれだけか少し疑問に思った様だ。
彼女の心の内は彼女にしかわからない、下手に検索しない方が得策だろう。
「ま、とりあえず他にもやる事もないっちゅからねぇ」
「…手伝ってくれるのか?」
「時給はきっちり貰うっちゅよ?」
「…ふふっ、ああ」
思わず笑みが零れる、マジェコンヌが初めて見せた本当の笑顔、今までの中でずっと綺麗で、輝いている。
今彼女は本当の意味で生きていると実感しているのだ。
「不思議だな、初めて生きていると実感できるよ」
そんな思いに耽っている時――
「マジェさぁぁぁぁあん!! 匿ってぇぇぇぇぇっ!!」
「は? か、加賀美真司?」
真司が必死になって走りながらマジェコンヌの名前を叫んでいた、彼女の下に辿り着
くや否や泣きそうになりながら彼女に懇願する、その姿には思わず誰もがドン引きしそうだ。
「ま、マジェさん…マジで匿って!? このままじゃ俺絶対に殺される!?」
「いきなり何だ!? それよかそのマジェさんは止めろ!」
「いいじゃん! マジェコンヌなんて言いにくい!!」
真司はあの一件以来マジェコンヌの事をマジェさんと呼んでいる、その方が呼びやすいからだそうだ。
マジェコンヌ自身は嫌々と言っているが…実のところそこまで嫌がっていない。
「はぁ…それより何で匿ってなどと…」
「それは…き、来たぁぁぁぁぁっ!?」
「来た? …ヒィッ!?」
真司の目線の先、マジェコンヌの目前には女神がいた。
ノワールが、ブランが、ベールが、鬼の様な形相で…しかもいかにも殺しにかからんとする殺気を放ち武器を構えていたのだ。
「真司ぃぃぃぃい…何処に行ったのぉぉぉぉお?」
「コンパの事はまだいい…だがよぉ、よりにもよって何でマジェコンヌなんかとぉぉお!!」
「一度徹底的に教育し直す必要がありますわねぇ? ウフ、ウフフフフ…」
「い、一体こいつらに何が…」
思わず後ずさりするマジェコンヌ、全身に冷や汗を掻き悪寒が走る、それほどに
まで三人の殺気が強かったのだ。
何故そんな殺気を放つまでに至ったのか? その理由はすぐに明かされる事になる。
「みんなにマジェさんとの事を話したんだよ…そしたらネプテューヌの奴がマジェさんに俺がフラグ立たせたなんて変な事言いやがって…」
そう、ネプテューヌがマジェコンヌの事を話したからだ。
その話を聞いた瞬間三人の目からはハイライトが消えたと言う、正直言うとかなり怖い、涙目になりながら真司はマジェコンヌの後ろに隠れた。
幸いにもまだ真司は見つかっていない、このまま逃げ通せるか…
「女神の皆様~! 加賀美真司はここにいるっちゅよ~!」
「うぉい!? ワレチュー!? お前何やってくれてるの!?」
「ふん、お前の事は気に食わないっちゅよ! 愛しのコンパちゃんを奪っておいてからに…一度天誅を受けるといいっちゅ!!」
「それ思いっきり私情!?」
そうは問屋が卸さない展開となってしまった、ワレチューが真司の居場所を思いっきり暴露してしまったからだ。
その言葉が耳に入ったのか、ノワール達はゆらりと真司達がいる方向へ首を回した。
「「「みぃつけたぁ…」」」
「「ヒィッ!?」」
思わず抱き合う真司とマジェコンヌ、そのせいでノワール達の殺気に拍車がかかり、額には青筋を浮かべてピクピクとしていた。
「そう、もうそこまでの関係になったのね?」
「私達の目の前で抱き合うたぁいい度胸してるよなぁ?」
「一度しめておかないといけないのかしら?」
「ま、待って三人とも!? これは誤解だ!? 冷静になって話し合おう!!」
「三人? 四人の間違いじゃないの? お兄ちゃん?」
おや? この声は…
「げぇっ!? ユニちゃん!?」
「違うよユニ様、五人だよ? フフフ…」
もしかして…
「ふぁ、5pb.!?」
真司の背後、そこにはユニと5pb.がハイライトなしの目で見つめていた。
正直何処のホラー映画だよと思うくらいの…
「初め聞いた時はまさかねと思ったんだけどね? こんなところ見せつけられちゃったらねぇ? どうしてくれようかしら?」
「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ…」
「と、とりあえずそのX・M・Bとギターを降ろしてくれませんか?」
「「却下♡」」
ものすごく素敵な笑顔で断られました、それに乗じてノワール、ブラン、ベールも各々の武器を振り上げ最高の笑顔を二人に向けてくる。
どう考えても詰んだ…その一言に尽きる。
「真司、覚悟できてるわよね?」
「マジェコンヌ、てめぇもなぁ?」
「それじゃあ始めましょうか? 本当の再教育と言うものを…」
「「い、いやぁぁぁぁぁぁっ!?」」
生きているって本当に素晴らしい、その想いを噛みしめていたのにまさかの悲劇。
今この茄子畑には真司とマジェコンヌ、二人の尊い命の叫びが木霊していったのだった。
次回、「ぷるるんくえすと!」ぷるるんと真司の二人っきり!