ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕 作:ULTRA-7
マベちゃんの番外編はもう一話ほどおつきあいください、でもその前にアダルト版早く書かねば!!
「マーベラス!! おい!!」
「嫌!! 嫌っ!! 待って……私を置いて行かないでぇ…!!」
マーベラスAQLは延々と叫び続ける、その目からは涙が零れ落ち、首を振り続けパニック状態となってしまっていた。
真司は必死に声をかけるもマーベラスAQLは全く応答できない、その間にも炎は勢いを増し、二人を飲み込もうとうねりを上げた。
炎に囲まれ更にはモンスターの軍団、万事休すとはまさにこの事、真司は舌打ちをして悪態をつく。
彼も今現在進行形でパニックになってしまっているのだが、自分の顔を両手でバンッ! と叩き深呼吸して落ち着かせる。
「まずは…ここからどうにかして逃げなきゃ…! どうすれば…」
先ほどの行為で少しは落ち着きを取り戻したものの、この現状を打破できる方法が見つかった訳ではない。
再びパニックになりそうになる真司、だが今そうなってしまっては自分も、そしてマーベラスAQLも助からない。
焦り、苛立つ…それでも今この状況下で冷静でいないといけない。
再び深呼吸する真司、そして目を鋭くして周りを見渡した。
(炎で囲まれていて身動きは取れない、そしてモンスターの大群…正直言って脱出は難しい。それに今のマーベラスはパニック状態になって冷静な判断事態ができない、八方塞がりかよ!? クソッ!!)
額から汗が流れて地面に落ちる、こうしてる間にも自分達の身に危機が迫っている事は明白だった。
マーベラスAQLのパニック状態も激しさを増していく、歯を食いしばり頭を働かせても解決策が見つからず沈黙するしか出来ない。
(どうする……どうすればここから脱出できるんだ!? どうしたらいい、どうしたら……ん? 待てよ……そうだ!)
何か閃いたのか真司は来ていた服の上着をマーベラスAQLに被せる、そして未だに頭を抱えて振り続ける彼女を真司は抱えて立ち上がった。
所謂お姫様抱っこの状態だ、普通なら恥ずかしがるところだが何分この状況、そんな
事など言っていられない。
真司は深呼吸してマーベラスAQLを抱えている手の力を強くする、そして…
「っし! それじゃあ…行くぞ!!」
力いっぱい地面を蹴り、炎の中へと飛び込んで行った。
* * *
「う、うぁ…」
ここは何処?ぼんやりして見えるけど何かの鍾乳洞みたい……洞窟? 私は一体どうなったの? 私、確か…
「あ…」
そうだ、私…真司くんに怒鳴り散らしちゃって、そしてどう声かけたらいいかわからなくて…そしたら周りに炎が立ち込めてモンスターが…
二人が…二人…っ!
「あ…ああっ…!」
嫌、嫌ぁ…! 二人がいなくなっちゃう!? このままじゃ助けられない、このままじゃ手を伸ばせられない!? 戻らなきゃ…早く戻って二人を助けなきゃ…っ!!
行かないで!! 私を置いて今ないで!! お願い!! 一人にしないでぇ…
「嫌っ、一人は嫌!? 待って!? 行かないでぇええええっ!!!」
怖い…怖いっ!
いなくなる恐怖、二人を失う恐怖が私の心を掻き乱した。
乗り越えたはずのあの思いが再び私の記憶から蘇って来た。
ただ暴れた、泣き喚いた、叫び続けた、そんな時誰かが私を抱きしめたの。
力強く…震える私を離さない様に。
一体誰が…その答えはすぐにわかった。
「マーベラス落ち着けっ!? 大丈夫だ、お前を一人にしないから!!」
「あ…真司…くん?」
真司くんだった、真司くんが私を抱きしめていた。
背中を擦ってくれて、声をかけてもらった私は次第に落ち着きを取り戻していった。
「私…私は…」
「大丈夫か? どこか痛いところとかないか?」
「え…? あ、うん、大丈夫…」
「なら、一先ずよかった…ふう」
安堵のため息をつく真司くん、どうにかして声を振り絞れた私は真司くんにお礼を言おうと再び声をかけようとした。
だけど今の真司くんの姿を見て疑問に思う事があった、彼の服の所々には何故か焼け焦げたような跡があったから。
「真司くん、それ…」
「え? ああ、さっき思いっきり炎の中に突っ込んだから服が少し焼け焦げたかな? でもいい方法が浮かんだからそれを試したらどうにか…え?」
真司くんの言葉を聞くや否や、私は真司くんの胸に飛び込んだ。
真司くんはそれを見て慌てているのか焦ったような声を漏らす、でもそんな事は今の私にとってはどうでもいい事だった。
「ま、マーベラス? どうしたんだよ?」
「真司くん、ごめんなさい! 私があの時混乱しちゃったから…そのせいで真司くんがこんなに…ごめんなさい…ごめんなさい!!」
涙を流しながら何度も謝る、ごめんなさい、ごめんなさいと何回も。
私のせいでまた誰かが傷ついた、私を友達と思ってくれている人が傷ついた…こんな思いはもう二度と味わいたくなかったのにッ!! 何で…何で肝心な時に私
はダメなのッ!?
ただ謝るしか出来ない、悔しくて唇を噛み、真司くんの服を掴んだ指先には自然と力が入る。
涙が止まらなくて視界がぼやけてしまう、私には謝る事以外に何も考えられなかった。
「ごめんなさい…! ごめんなさいッ!!」
「お、おい!? 俺は大丈夫だから! さっきだって炎をどうにか防いで脱出する事が出来たんだ、炎のたてがみを纏ったら防げるんじゃないかと思ったら案の定、少し熱かったけどほとんど火傷せずに済んだわけだし、な?」
そう言って笑いながら真司くんは私の頭を撫でた、でも私自身はこれではいお終いとは思っていない。
確かに私達は助かった、でもそれは結果論でしかない、あの時私が昔の事を思い出しさえしなければもっと良い方法であの場から脱出出来たかもしれない、真司くんに火傷を負わせることもなかった筈なのに…っ!
自分自身に腹が立った、あの時何も出来なかった、あの日の様に何も出来なかったから…
「とりあえずさ、お互い無事だったんだからよしとしよう?」
「何で…」
「…マーベラス?」
「何で真司くんは私の事責めないの? どうして笑いかけてくれるの? 私があの時混乱しなかったら絶対にこんな目には合わなかったのにッ!! どうして!? どうしてッ!?」
思わず……叫んでいた。
助けてくれた真司くんに対してそれは筋違いだと心の中ではわかっているけど、私の言葉は止まらなかった…
「私が、私があの時ちゃんとしていればこんな事にならなかったのにッ! そしたら真司くんだって…二人だってッ!!!」
「二人……? マーベラス、さっきもそうだけど二人がどうとか言ってたよな? うなされてた時も同じ様な事言ってた、その二人って言うのは一体何なんだ?」
「え…? あっ!? そ、それは…」
叫んだ勢いで出してしまった言葉にハッとなり口元を手で覆った。
……このまま話してしまえば真司くんだって今の私のこの状態に納得がいくかもしれない、だけど…それを私が拒んでいた。
昔のあの事を思い出したくない、今この瞬間もあの時の事を思い出してしまったせいで震えが止まらない、怖がり過ぎたせいで吐き気さえ催しているほどなのだから……
怖い、怖い…その思いが私の口を動かす事を許さなかった。
声が出ない、どうすればいいのかがわからない、そのせいで頭の中がグチャグチャになって目から涙が零れてくる。
私は顔を俯せにして沈黙する事しか出来なかった…でもそんな時、ポンッと私の頭の上に温かい何かがのしかかる。
それは、真司くんの手の平だった。
「え…?」
「悪い、マーベラス。もしかしたら酷な事を聞いちゃったか? すごく辛そうな顔してるから…」
「え、えっと…」
「無理して喋らなくてもいいんだ、でももし話してくれたなら俺も少しだけでもマーベラスの力になれたらなって思ったんだ。マーベラスは俺のことすごく助けてくれたから、俺もマーベラスのこと助けたいって。お節介かもしれないけど…」
真司くんは私の頭を優しく撫でてくれた、心なしか安心する、怖いと思っていた気持ちも少しずつだけど薄らいできた。
……まだ怖い気持ちは無くならないけれど。
「あり、がとう…そう言ってくれるだけでも嬉しいよ?」
「まだ辛そうだけど、これ以上は何も聞かないよ。そんなことしたらマーベラスの心に土足で踏み込むのと同じだから、でももし頼りたくなったら遠慮なく言ってくれ、少しだけでも力になるぜ?」
「…何で? 何でそこまで私を心配してくれるの? 私、真司くんに酷い事をたくさん言ったのに…」
思わず思ったことを口にした。
真司くんに辛く当たったのに、罵倒を浴びせてしまったのにそれでも声をかけてくれた、力になる、その言葉だけでも今の私には十分すぎるくらいなのに、それ以上に彼は私の事を心配してくれた事に。
すると真司くんは頬を人差し指で掻きながら上目使い気味になり、う~んとしばらく考え込んだ後、彼の口が開いた。
「心配するさ、友達なんだもん。確かに俺にたくさん怒って叫んだけど、それは俺の配慮が足りなかったことが原因だし…」
「そ、それは…」
「それにさ、あの言葉全部マーベラスの本音だろ? どんな事を考えていたかはわからないけど…マーベラスの本気の言葉、すっごく胸に沁みたぜ? 痛いほどな。だから尚更心配になったんだ、マーベラスは本当に笑顔で明るくて、見てるこっちが元気になりそうなくらい。その笑顔が無くなっちゃいそうで…怖かった」
「………」
「あー…そんな理由だよ。完全に俺の勝手だけど…気を悪くしたのなら謝る、ごめん」
嗚呼…この人は、何でこんなに優しいのだろう? 何でこんなに親身になって声をかけてくれるのだろう?
彼の言葉の一つ一つが胸に沁みる、自分の弱さを曝け出したいと思わせてくれる。
そうか、これが…
(ベール様が言っていた事。誰かのために必死になって、助けを求めてる人には手を差し伸べてくれる…これが、真司くんの強さ…)
「ま、マーベラス!? な、何で泣いて…」
真司くんの言葉で私はハッとなる、気がつけば私は泣いていた、でも今度は悲しいからとか苦しいからとかじゃない、嬉しかったから…
純粋に私の事を見て心配してくれた、真司くんのその思いがとても嬉しかったから、そんな優しさが堪らなく嬉しくて…
真司くんの優しいところ、二人にそっくりだ…私の大好きだったあの二人と、本当に…
「ご、ごめん! やっぱり俺何か気に障ること言ったのか!? ああもう! 俺って何でこうデリカシーにかける事しか…」
「ううん、違うよ真司くん…ありがとう、私の事いっぱい心配してくれて」
「え?あ、ああ…そんな事ないけど」
慌てふためいた後、真司くんはキョトンとした表情になって頬を指で掻いた、その一連の動作が面白くって思わずクスって笑っちゃった。
真司くんには、話した方がいいかな? ううん、聞いてもらいたい。私が何であんなに混乱する事になっちゃったのか、私の過去に何があったのかを。
ちゃんと、聞いてもらいたい……
「真司くん、少し…お話ししてもいい?」
「え? 話って…」
「真司くんには知っておいてもらいたいの、私の過去の事。その時何があったのかを…」
私の言葉に真司くんは息を飲む、その様子を見た私はゆっくりと深呼吸をして語りだした。
―――――数年前
「やっ! はぁっ!!」
「はっ! せいっ!!」
激しくぶつかり合う刀と足技。その衝撃で火花が散り、金属音が辺りに響き渡る。
私ことマーベラスエンターテイメントは仲間の一人と剣術の稽古をしていた、その仲間とは…
「マーベラス! 読みが甘いぜ!!」
「まだだよ! AQ姉!!」
AQインタラクティブ、忍びの先輩で私はAQ姉って呼んでる。
活発で男勝りの姉御肌って言った方がわかりやすいと思う、でもセクハラ好きなのが玉に瑕…
でも格闘術は目を張るものがある、足技と剣術を組み合わせた独自の戦い方には隙がなく正直私じゃまず敵いっこない、そう思うほどAQ姉の実力は凄まじいものだった。
でも私にも意地がある! 今日こそ絶対に一本取りたい!!
「えいっ! やぁっ!!」
「お? おおっ!! 中々やるじゃん!」
AQ姉の足甲を刀で薙ぎ払い、そのまま大きく振りかぶって追撃する。
AQ姉はそれを見越したのかバック転で綺麗に円を描くように躱し、再び体制を立て直す。
その口元はつり上がり、鼻を親指で擦りながら笑った。
「やるなあ、マーベラス。アタイの攻撃を弾けるようになったか!」
「いつまでも未熟なままじゃ追い付けないからね!」
「言うね~! でも、まだまだ甘いぜ!!」
「へっ? うわわわっ!?」
AQ姉が叫ぶや否や、ジャンプした後の飛び蹴りを私にお見舞いしてきた。
私は慌ててその場から離れるけどAQ姉は容赦ない、着地した後すぐに体勢を立て直し、回し蹴りを放つ。
それを慌てて避けても今度は刀で迎撃してくる、刀を縦に振り降ろし横に薙ぐ、私は避ける事に集中し過ぎて体勢を立て直せない。
「どうした! このままじゃ負けちゃうぜ?」
「うわっ!? わわっ!? きゃん!?」
AQ姉の足技をどうにかして躱し続ける私、でもそれがいけなかった、足元
が疎かになってしまっていたの。
今戦っている場所は平地なのだけど石ころも結構ゴロゴロとしている場所、私はその石の一つに踵を引っかけて転んでしまう。
尻餅をつきながらも、どうにかして立ち上がろうとしたんだけど…時すでに遅し、AQ姉の刀が私の目の前に突き付けられる。
そして満面の笑みを浮かべたAQ姉は…
「へへ! これでアタイの勝ちだな!!」
「うう…参りました…」
勝利宣言を私に向かって放つとブイサイン、ハアッ…とため息をつく私。
あーあ、負けちゃった…今日こそは一本取れると思ったのに。
「まだまだ修行不足ってところだな、こんなことじゃまだまだアタイには勝てないぜー?」
「むぅううううう! 次こそは絶対に勝つもん!!」
「あはは! まあせいぜい楽しみにしてるぜ?」
頬を膨らまして怒る私を、AQ姉はカラカラと笑いながら流す。
その笑い方がひじょーに腹が立つのは私だけでしょうか…? ぜぇえったい!! 次こそは勝ってみせるんだから!!
「はいはい、二人とも。熱くなるのはいいけど、そこまでにしておきなさいね?」
「お、ライブウェア」
「ライブさん」
手をパンパンと叩いてその場を収める人が一人、私達のところへとやって来た。
この人の名前はライブウェアさん、AQ姉とは同期の人で私のもう一人の先輩、クールで大人びててすっごく強いの! AQ姉と戦ったらどっちが勝のかな?
「AQさん、そんなに荒々しく戦っては体力が持ちませんよ? 戦いと言うのはもっとこう…」
「へいへい、お説教はいいよ。それにアタイはこの戦い方の方が合ってるんだ、今更変えられっかよ」
「はぁ…まったく貴女って人はもう…」
呆れてため息をつくライブさん、心中お察しします…そう思いながら私は苦笑いを浮かべて二人を見つめていた。
「それはそうとマーベラスさん。先ほどの戦い、拝見していましたよ? 剣捌きは上達していましたね」
「は、はい! ありがとうござい…「ですが、ちょっとしたことで動揺する事はあまり感心しませんね。忍びたるもの常に冷静に、ですよ?」は、はいぃ…」
まさかのお叱り、うう…ライブさんは手厳しい、自分にも他人にも厳しくと言うのが彼女のモットーなのです。
だけど優しい人でもある、困ったことがあったらすぐに助けてくれたり、わからないところがあったら私にもわかりやすく説明してくれる。
まるでお姉ちゃんの様な人、だから嫌いになんてならない。
AQ姉もライブさんも、二人ともすっごく大好きな家族の様な人達。
かけがえのない仲間…
「マーベラスさん? 何を笑っているんですか?」
「ふぇ? あ、私笑ってました?」
ライブさんの言葉を聞いて、思わず両手を顔に当てて目をパチクリとさせた。
気づかない間に笑ってたの?私……指摘された事に恥ずかしい気持ちが込み上げてくるのがわかる、顔が段々と熱くなってくるのを感じた。
それを見ていたAQ姉はニヤニヤと笑いながら私の方を向いて来る、…何なのもう。
「なんだなんだ~? お説教されて喜ぶなんて、マーベラスお前ってマゾっ気でも入ってたのか?」
「なっ!? ち、違うもん!! そんなんじゃないもん!!」
AQ姉の言葉に声を張り上げる私。マゾってなんなのマゾって!! 私弄られたりお叱りされて嬉しいなんて思わないもん!! 私はノーマルだよ!?
「あはは! マーベラスは弄りがいがあるよなぁ!!」
「弄るなぁ~!!」
「悪い悪い。そうだよなー、マーベラスが弄られて嬉しいと思うのは…ここだよな!!」
「え? ひゃん!?」
AQ姉に怒りながら叫ぶ私、その時何やらAQ姉の目が怪しく光るのが見えた。
背後に回り込み口元をつり上げる。
……私の胸を鷲掴みにしながら。
「ほらほら、ええんか~? ここがええんか~?」
「ひゃうん!? え、AQ姉!? やめっ!?あん…」
「いやぁ~、マーベラスの胸は大きさも最高で触り心地も弾力もいいよなぁ~! ほれほれ~!!」
「んぁ!? や、やめ…!?」
次第に甘い声が出てくる私、AQ姉はそれを見て楽しみながら私の胸を揉みしだいていく。
て、抵抗できないよぉ…力が抜けちゃう様なこの感じ、ああ…何だかもう…
「こら、AQさん!! いい加減にしなさい!」
「へぶっ!?」
「は、はひぁ~…」
ライブさんがAQ姉の頭に思いっきりチョップ! AQ姉の変な叫び声と共に私は開放された。
よかった、あのままだったら私変な扉を開きそうだったよ…
「いつつ~…ったくよ~、叩くこたないだろ?ただのスキンシップだろまったく」
「それにしても限度があります! 貴女には節操と言うものが…」
「はっは~ん…さてはライブウェア、お前も混ぜてほしいんだろそうなんだろ? そう言ってくれりゃ寂しい思いをさせなかったのに~」
「へ? な、なななな何を言っているのですか!? 私は別に…」
ニヤニヤと笑うAQ姉、そしてAQ姉の言葉にライブさんはあわあわとしながら慌て出す、だけど私は見逃さなかった、AQ姉が不敵な笑い顔を浮かべているところを。
するとAQ姉の手がワキワキと動き出す、そしてライブさんの背後に回り込むと同時に…
「うりゃ!」
「ひゃぁあああああああああっ!?」
私同様、胸を鷲掴みに!? 羞恥に顔を赤くするライブさん、身を捩って抵抗するがなすがままになっちゃってるよ!? その時のAQ姉の表情ときたらもう素晴らしい笑顔、この人はもう…
「いやぁ~! ライブウェアの胸もさいっこうだよなぁ~!」
「ちょっとAQさん!? いい加減にし…んぁ、はぁんっ~~~っ!! マーベラスさん!! 見てないで助けてください!!」
「え? あ、は、はい!! AQ姉!! もうその辺で…」
私はAQ姉を止めに入る、豪快に笑うAQ姉に涙目になって助けを求めるライブさん、そんなやり取りが面白くってちょっと笑っちゃった。
こんな日がずっと続けばいいのに、この時の私はそう思った…
* * *
「任務…ですか?」
「そうだ。ライブウェア、AQインタラクティブ、そしてマーベラスエンターテイメント、お前達三人に任務を申し付ける」
私とAQ姉達は忍育成機関の先生に呼び出された、私達に課せられた任務、緊張しながら先生の言葉に耳を傾ける。
「そうだ、三人にはこの場所から北東にあるダンジョンに向かってもらいモンスターの討伐を行ってもらう。そしてそのダンジョンにしかない鉱石を入手してもらいたいのだ、やってもらえるか?」
「了解しました。その任務、謹んでお受けいたします」
「頼む。だが油断はするな、最近悪忍による任務妨害が多数報告されている。くれぐれも用心するように」
「「「はっ!」」」
先生の最後の言葉を聞いた私達はその場から素早く立ち去る。
悪忍の妨害、気になるけど今は目の前の任務に集中しなきゃ、そう思いながら私は自分の胸の前で拳を握りした…
――――――――
「っらぁ!!」
「はぁ!!」
「やぁっ!!」
辿り着いたダンジョンで、まず私達はモンスターの討伐に入った。
ここのダンジョンのモンスターたち全部が火属性、属性さえわかっていれば対処はしやすいし油断さえしなければまず負けない、私達は水属性の忍法を駆使して確実にモンスターを倒していった。
「はっ! なんだ、拍子抜けだな。このままだったらすぐに任務達成だろうな」
「AQさん、最後まで油断せずにですよ? 先生の言葉をもう忘れたのですか?」
「へいへい、わかってますよっと!」
そう言いながらAQ姉は刀でモンスターを薙ぎ払い、自慢の足技で止めを刺しに行く。 ライブさんも居合の構えを取り一気に引き抜くと、その場にいたモンスターが全滅した。
二人ともやっぱりすごいなぁ…
「マーベラス、惚けてないでお前も動けよっと!」
「あ、ご、ごめん!てや!!」
いけないいけない! 二人の戦いを見てたらボーっとしちゃってた、今は私だって戦ってるんだ! 負けてられない!!
そう思いながら私も二人に負けじと刀を振る、モンスターの弱点を一つ一つ突きながら確実に倒していった。
どう? 私だって負けないんだから!
「よし! このまま一気に抜けるぞ!!」
「わかりました、マーベラスさん!行きましょう!!」
「はい!!」
モンスターを粗方倒した後、私達は一気にその場を抜ける。
残りのモンスターはまた後で、まずはもう一つの任務内容である鉱石を取りに行かないと!
「グギュウウウッ!!!」
だけどモンスターの一体、火山ヤドカリが行く手を阻もうと迫ってくる。
でもそれも計算の内、私は懐に手を入れあるものを取り出した、忍者にとって必須のアイテム、煙幕だ。
それを地面に思いっきり投げつける、すると一瞬で辺り一面に煙が立ち込めて火山ヤドカリの視界を遮った。
叫び声が聞こえむやみやたらに攻撃を仕掛けてくる、でも私達はその時すでに攻撃の範囲外に逃げ遂せていた。
「はは! ここまで来れば一安心だな」
「うん、そうだね!」
「二人とも、行きますよ!」
再び駆け抜ける私達、モンスターも残り少ないし後は鉱石を見つけて残り少ないモンスターを倒すだけ、思いのほかすぐに任務を達成する事が出来そう。
だけど私は気が付かなかった。
「くくく…」
岩陰に隠れていた怪しい笑みを浮かべていた存在に――
* * *
「これが件の鉱石か、確かにここいらじゃないと手に入らないやつだよな」
ダンジョンの最深部に到達した私達、無事に鉱石を見つけられ、十分な量を確保することが出来た。
後は残り少ないモンスターの討伐だけとなる、後少しで任務達成だね!
「はぁ~…まあ妨害らしいものもなかったし、ちょっと拍子抜けだな」
「AQさん、そう言う事を言うものではありませんよ? こうして無事に任務を達成出来る方が一番なのですから」
ライブさんの言う通りだと思う、けど…実は私も少し拍子抜けだなと思ってたり…えへへ、でもあえて口には出さないでおこう。
……またお叱りは嫌だし。
「へいへいっと、んじゃま帰るとしますか?」
「そうだね、…あれ? あれは…」
目の前にモンスターが出現した、確かマグマボーイとマグマガールだった筈、いきなりモンスターが出て来て驚いたけど私達に倒せない敵じゃない。
「何でいきなり…でもまあ倒せない相手じゃないからいいけどよ」
「そうですね、気にはなりますが…ここは一気に!」
「AQ姉、ライブさん! ここは私が!!」
二人がモンスターに向かって行こうとしたけど、私はそれを手で遮った。
二人が手を煩わせるまでもない、私だけで十分! そう思ったからだ。
「マーベラスさん? ですが…」
「いいじゃないか、マーベラスが倒せない相手じゃないだろ? お言葉に甘えさせてもらおうぜ?」
「…それでは、お任せします」
「了解! てやぁああああああっ!」
私は刀を構えて一直線に走り出す。
そして握りしめた刀を縦に思いっきり振りぬこうとした、その時だ――
「え? うがぁっ!?」
「AQさんっ!? うぁっ!?」
「…え?」
後ろから大爆発の音が聞こえた、私は慌てて振り向く。
赤く燃える紅蓮の炎、立ち込める黒い煙、その中から出て来たのは…
「う、そ…AQ姉…ライブさんっ!!」
先の爆発で火傷を負ったAQ姉とライブさんだった――
次回で終わらせれるといいなぁ…