ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕 作:ULTRA-7
どうにか一話だけ書けました…後は夜勤明けの休み中に書けたらいいなと思っています。
本編更新しろ? 改稿もしろって? …本当にすいません!?
でもその前にその2にお正月、バレンタインもあるからなぁ…
本編更新&改稿はゆっくりさせていただきたく存じ上げます。
イストワールさんから日用品の買い出しを頼まれた俺。
相棒と一緒に街へ出かけて頼まれたものを購入し、のんびりと教会への帰路に立っていた。
ふぅ…今日は冷え込むなー、吐いた息が白い湯気みたいに立ち込めてるよ。この吐いた息で昔ゴジラの真似とかしたよな、誰だってそうする筈…え? 俺だけだって? うそーん…
「いやーまさにクリスマスって感じだな」
買い物袋を抱えていた俺は呟いた。
…決して話を逸らした訳ではない。
街を見渡すとサンタクロースの格好をして呼び込みをしている人達が目立ってるし、イルミネーションに彩られたツリーがたくさんある。そして何より行きかう人達の笑顔、まさにクリスマスシーズン真っ盛りって感じだ。
「今更だけどもうクリスマスになるのか、この世界に来てそれくらい時間が経ったって事なんだよな」
『そうだな、長い様であっと言う間の出来事だったと言う事か…』
でも本当にあっと言う間の出来事だったんだな。ネプテューヌ達と出会ったのは結構前の話なのに、まるで昨日の事の様に感じる。
思えばこの世界に来て本当にいろんな事が起こったなぁ…ネプテューヌ達と出会った事はもちろんの事、一回死んだと思ったら生き返って、この世界の危機に直面して、そしたらまさか俺が仮面ライダーになってしまうなんて…本当に驚きの連続だったよ。
だけど悪い事ばっかりじゃなかったな。ネプテューヌ達と恋人になれた事が一番大きいと思うけど…今ままで彼女がいなかった俺がまさか8人と恋人関係になれるなんて誰が想像つく? 俺だって思わなかったよ!? すまん、少し取り乱した…ただ、そうなれたのは本当に嬉しいと思う。
ただコンパの事だけは今のところ保留にさせてもらっている。ネプテューヌ達と付き合っている手前、そう簡単に恋人を増やそうと思わないし、そうしたら真剣に俺を好きになってくれたみんなに申し訳が立たない。
もちろんコンパが真剣だと言う事は理解している。だからこそすぐに、『じゃあ付き合おう』とは言えなかった。だけどコンパは…
『いつか絶対に振り向かせて見せるです! だから今は…お友達から始めるです』
そう言って俺に笑いかけてくれた。本当に天使みたいな子だよコンパは…
『真司? どうしたんだ? 急に黙りこくって』
「え? いや、別に」
一人で考え事をしていたところに相棒が声をかけてきて、俺は少し笑いながら相棒に返事を返した。
それにしてもクリスマス…か。今までは家族以外とはあんまり過ごしてなかったっけ? 一人暮らしになってからはそれこそ一人で…グスン、結構寂しく過ごしてました。
でも今年はネプテューヌ達と一緒に過ごせるかと思うと何だか嬉しい、自然と笑いが込み上げてくる。
「なあ、相棒」
『ん? どうかしたのか?』
「クリスマス、楽しみだな」
『…ああ、そうだな』
相棒も俺の気持ちを察してくれたのか、俺に同意する様に穏やかな声で返事を返した。
みんなと過ごすクリスマスは楽しいんだろうな。いや、絶対に楽しいに決まってるさ。
心の中でそう思いながら、俺は歩く速度を早くして教会へ向かった。
…帰ったらクリスマスをどう過ごすか計画を立てよう。
* * *
「イストワールさん、今戻りました」
教会の中の一室。
ネプテューヌ達がいる執務室のドアを開いて中に入り、イストワールさんに戻って来た事を伝えると、フヨフヨと飛びながらイストワールさんが俺がいる方へ飛んで来た。
「真司さんお帰りなさい。いきなりお買い物を頼んで申し訳ありません」
「いいですって、今日は特にやる事が無かったですし。頼まれたもの、何処に置いておけばいいですか?」
買ってきたものを机の上に置いてイストワールさんに話しかけた。その時ふと横に目を向ける、そこには何故か机に突っ伏しているネプテューヌの姿が。
…? どうかしたのか?
「ねぷ~………」
「ネプテューヌ? どうかしたのか? また仕事サボってお小言でも喰らったのか?」
机の上に顔を押し付けながら項垂れているネプテューヌに、俺は半分からかいながら話しかけた。
どうせいつもみたいにイストワールさんに叱られてこうなってしまったんだろう。心の中でそう思いながら。
だけどネプテューヌは俺の言葉に全く反応しなかった。ただ沈黙するだけ…
あ、あれ? おかしいな? もしかして結構真面目に悩んでるのか?
冗談交じりのあの言葉はまずかったかなと内心思いながら、俺はネプテューヌにどう声をかけようかと考えた。
だがその時、ネプテューヌがプルプルと震えだし、小さい声で何かを呟いた。
「………だ」
「え?」
「クリスマスなんて大っ嫌いだぁぁあっ!!」
「おわっ!?」
何かを呟いたかと思いきや、顔をいきなりガバッと起こして憤慨するネプテューヌ。身体も起こして、両腕を天井高く突き上げる様に上げてジタバタしている。おまけに涙目…
でもそれ以上に気になったのがネプテューヌが言っていた『クリスマスなんて大っ嫌い』。…何でなんだ?
「どうしたんだよ? いきなりそんな事を言うなんて…ネプテューヌらしくないぞ?」
ネプテューヌはこう言ったイベントは喜ぶものだと思ってたのに、本当にらしくないと思った。
普段ならこう……
『クリスマスだぁぁぁぁあっ!! ケーキでお祝い! みんなとパーティゲーム!!』
…とか絶対言いだしそう。
そんな事を思っている間に、頬を膨らましながら俺の方を向いて近づいて来るネプテューヌ。すると涙目のまま、俺の胸をポカポカと叩いてきた。
痛い、地味に痛い。
「うわぁぁぁあん!! だって、だって…!このクリスマスの時期になったら…」
「なったら?」
「クエストが…仕事が…超絶山積みになるんだよぉぉぉおっ!!」
「……え?」
クエストと仕事が山積み? でもそれって…
「…いつも通りじゃないか?」
『ああ、確かに』
「ねぷっ!? 真司にはともかくドラちゃんに言われた!?」
だってなぁ…今まで散々クエストや仕事をサボっていたところを見て来たからさ。今更山積みになったー! とか言われたとしてもいまいちピンとこない。
うん、本当に今まで通りだと思う。
「もう! いつも通りじゃないんだよ!! 本当に山積みなんだよ!?」
「つってもなぁ…」
「残念ながらその通りなんだよ、お兄ちゃん……」
「え? …ネプギア!?」
後ろからも何故かげんなりとした声が聞こえてきた。振り向くとそこには、ものすごく深い溜息を吐き出しながら、沈んだ表情をしたネプギアが。
うわぁ…いかにも幸せが逃げてしまいそうな感じじゃないか。ネプギアがこんな表情をするなんて…
『ど、どうしたのだネプギア。そんな暗い顔をして、いつもの君らしくないぞ?』
「そうだぜネプギア。一体どうしたって言うんだ?」
「……お姉ちゃんが言ってたクエストと仕事の事だよ」
「『…え?』」
ネプギアの言葉に、俺と相棒は一緒に顔を揃えて見返した。
クエストと仕事って…でもそんなのはいつもの事じゃないのか? ネプテューヌが今までサボった分の付けが来た…と言う訳じゃないのか? うーむ、でもネプギアがそこまでの顔をするんだからよっぽど…なのか?
「はぁ…さすがにあの量は無いと思うよぉ…」
「な、何かよくわからないけどさ。俺も手伝うしパパッと終わらせて…」
「そう言う訳にもいかないんですよ、真司さん」
「イストワールさん?」
元気づけようとネプギアに声をかけた時、イストワールさんが横から割って入って来た。
イストワールさんも、頬に手を当てて溜息をついている。
「どう言う事ですか? 俺が手伝っても終わらないくらいの量なんですか?」
「ええ…そうなんですよ。特にこのクリスマスの時期から年末にかけてなんですが…」
「…?」
『イストワール殿、詳しくお聞かせ願えないだろうか?』
相棒がイストワールさんに質問する。
気になるな、この時期にクエストと仕事が増える理由。しかも俺が手伝っても終わらない量なんて、とてもじゃないけど半端な量じゃ無い筈だし…
相棒と俺が見つめる中、イストワールさんはコホンと咳払いをして話し始めた。
「この時期になるとイベント用の食材や機材の確保、年末年始のために下準備をする企業が数多くあるのです。それらを運搬、採取するために護衛をつけたり代わりに行ってもらったりするクエストが依頼されるのですが…その数があまりにも多くてギルドだけじゃ追い付かないのです」
「それで女神様にも手伝ってもらおうと言う事なんですか…でもそれにしたってネプテューヌとネプギアがここまでの顔をするほど仕事が来るとは思えないんですけど…」
「女神の皆さんの方が安心して任せられると言うのも一つの理由です。それにその準備の中には女神に関わるものも多数あるので、女神がクエストに参加する事によって教会まで報告すると言う手間が省けるのです」
『なるほどな…』
「なんとまぁ…」
確かに企業にとってはこの上なく安心だし、確実な方法だと思うけど…ネプテューヌ達は堪ったもんじゃないぞ? …あれ? 達…って。
「もしかしてこれって全ての国にも?」
「はい、そうなんです…」
嘘だろ!? って事はノワールもブランもベル姉も、ユニちゃんも下手したらロムちゃんもラムちゃんもこれに駆り出されると言う事なのか!? これはちょっと…いや、かなり酷くないか?
「そのクエストとか仕事って減らしたりとかは出来ないんですか?」
「そうしたいのは山々なんです。私達もこれには頭を悩ませているんですが…国民を守る立場上、減らしてくれと言える筈もなく…すいません、私達の力不足です…」
ものすごく申し訳なさそうに謝って来たイストワールさん。そうされると、何だか自分が悪い事をした様に思ってしまう。
うう…良心が痛むぜ…
「仕方ないよいーすん。こればっかりはねー…」
「そうですよ、いーすんさんが気に病む事はないです。こう言った依頼を受けるのも、私達女神の務めなんですから」
「ネプテューヌさん、ネプギアさん…」
「……ネプテューヌがまともな事を言った…だと?」
「ちょっとそれどう言う意味!?」
いやだって、普段だったら…『こんなに仕事をさせるなんて労働基準法違反だぁぁぁあっ!! 訴えてやるぅぅぅうっ!!』ってな事を絶対に言うと思うのに。
でも確かにネプテューヌやネプギアの言う通り、イストワールさんが悪い訳じゃない、イストワールさんだってどうにかしようとしていたんだから。
でもそうすると、ネプテューヌ達はクリスマスもお正月もちゃんと過ごせないって事…何だよな? …それってなんだかな…
「そう言う事だから、この時期は特に忙しくなるの! わかってくれた?」
「あ、ああ…うん」
「さってと、それじゃあその仕事に備えて…今からガッツリゲームをやりこむとしますか!」
「ネプテューヌさん! それとこれとは話が別ですよ!!」
何かまぁ…平常通りに動いているネプテューヌ。そしてそれを叱りつけるイストワールさん。横ではネプギアが苦笑いして二人を見つめていた。
俺も同じ様に笑ったけど…でも何か心の中がもやもやした。
二人はもちろん、他のみんなもクリスマスをちゃんと過ごせていないとわかった。確かにクエストも仕事も大事、国民のみんなの事を考えるのは女神の責務だろう。だけど…クリスマスはみんなでする祝い事だろ? それを例え女神だとしても祝う事が出来ないって、何だか悲しいじゃないか…
ネプテューヌが騒いでいる中、俺は心の中のもやもやが晴れる事はなかった。
* * *
クリスマスまで残り一週間ほど経った。
丁度その前の日くらいからかな? 教会の方も慌ただしくなってきて仕事やクエストが飛ぶ様にやって来たんだ。
俺も手伝ったんだけどやれどもやれども減ってこない、それどころかやった数の倍の仕事が増える始末…依頼者は女神を頼り過ぎだろう!? …俺が叫んだところでしょうがないんだけどな。
そうやって仕事をこなしていたら、イストワールさんからこの仕事の手伝いだけはしなくてもいと言われた。
どうしてなのか理由を聞くと、『せめて真司さんにはちゃんとゲイムギョウ界のクリスマスを過ごして欲しい、これはネプテューヌさん達も同意しています』だそうだ。
それでも俺は手伝おうとしたけど、ネプテューヌ達に強引に止められてしまった。
『いつも無茶するんだからこんな時くらいゆっくりしなさい!』と…プルルートには仕事を頼んでるくせに。それにいきなり休みをもらってもやる事ってないしなぁ…そんな事だったら仕事を手伝った方が絶対いいに決まってるんだけど、絶対にさせてくれないだろうし…
「はぁ…どうにかできないものかなぁ…」
「悩むのはいいが…何でお前はここにいるんだ!?」
「いいじゃんよ~マジェさん。今の教会の空気はピリピリしてるから居づらいんだよ」
悩んでる最中に、マジェさんに声をかけられた。
実は今、俺はマジェさんの茄子畑にいる。何処に行こうかと悩んでいるうちに自然とこっちに来てしまったんだ。まぁ話し相手も欲しかったから丁度いいと思う。
「それにしても性が出るよな、マジェさん。あの後からずっと茄子農業続けてるんだろ?」
「…妥当女神のためにここを買い占めたから資金が底を突いたんだ。それにこのまま残すのももったいないだろう? だったら茄子農業をするしかあるまい」
(ネプテューヌを倒すためにってのはわかってるんだけど…それだけでここを買い占めるマジェさんもマジェさんだよなぁ…)
さすが悪い事を考えてる人は違う…んな事はどうでもいいんだけど。
「そんな事より、どうにもお前の表情が優れんな? 何かあったのか?」
「え!? あ…あー…ま、まぁ…」
うわっ、ビックリした!? マジェさんがいきなり声をかけて、しかも俺の心を読んだ様に言うから焦ったじゃないか。
「お前でも悩む事があるのだな。あの時私に話しかけて来た時は楽天的に見えたのだがな」
「さらっと失礼な事言ってないか?」
「……気のせいだ」
そう言いながらそっぽを向くマジェさん。うん、全然説得力がないね。
俺は溜息をつきながら頬杖をつく。そして再び頭を抱えた。
…こんな事をしても何の解決にもならないってわかってるんだけどな。
「はぁ…」
「…えぇいっ! 一体何があった! 話くらい聞いてやるから一々辛気臭い溜息を吐くな!」
「………ほげっ!?」
い、今マジェさん何と言った? れ、れれれ冷静になれ、俺。さっきの言葉をよ~く思い返してみるんだ。
確か…
『…えぇいっ! 一体何があった! 話くらい聞いてやるから一々辛気臭い溜息を吐くな!』
…な、何だと!? ま、マジェさんが俺の話を聞いてくれるだと!? バカなっ!?
普段無愛想で愛想が無さそうな人なのに!? あ痛っ!?
「い、いきなり何するんだよ……」
「今思いっきり失礼な事を考えてただろう!」
心の中で思いっきり混乱して、バカみたいな発言を連呼していた俺。
それを察したかの様にマジェさんの拳が俺の脳天に思いっきり叩き付けられた。
これは痛い、本当に痛い…
「チッ…下らん事を考えてる様なら話を聞いてやらんぞ」
「わぁぁあっ!? ごめんなさいごめんなさい!? 何卒どうか話を聞いて下さい!?」
両腕を組みながら舌打ちをして、鋭い視線で睨みつけて来るマジェさんに対して全力の土下座をかます俺。傍から見ると何とも情けない光景だろうか…
一応相談に乗ってもらってるんだよな? 俺…
「まったく、何やってるっチュかお前らは…」
「…あれ? ワレチュー?」
横から声が聞こえてきた。
声の主はワレチュー、マジェさんの仲間で自称ネズミ界ナンバー2のマスコットキャラなんだとか。
ワレチューは頭を抱えながら深い溜息をつきながら、俺達に近づいて来た。
「何だネズミ。そっちの草むしりは終わったのか?」
「ついでに茄子の手入れもして来たっチュよ。後からちゃんとやってなかったってどやされたくはないっチュからね」
両手をパンパンと、土を払う様に叩きながらマジェさんに答えるワレチュー。その姿を見たら茄子農家が様になってるって感じだ。
こいつやマジェさんが前までは俺達の敵だったんだよな。今となっては想像つかなくなってるよ。
「それよりも何なんっチュか? 加賀美真司。おばはんに向かって土下座なんて。以前のお前の事を思ったらすごく情けないっチュよ」
「…何かスイマセン」
呆れ顔になっているワレチューに何故か謝る。
こちとら好きで土下座してた訳じゃないんだけどなぁ…
「で? 結局何やってたんチュか?」
「え、えーっと……マジェさんに相談事をな…」
「……は?」
呆れていたワレチューが再び質問してきたところを、俺は苦笑いしながら答えた。
そして少しの沈黙が流れ、ワレチューは目が点になった。俺が何を言ってるのかわからないと言わんばかりの表情になったかと思うと、深い溜息をつきながら言葉を漏らす。
「何で相談事で土下座してるっチュかお前は…」
「ええっと…成り行き?」
「成り行きで何で土下座にまで至るかこっちが聞きたいっチュよ…」
「スイマセン…」
これで二度目のスイマセンです。
だけどさ、俺だって何でこうなったのかわからねぇんだよ!? こっちが聞きたいくらいなんだよ!?
…言ってたら余計に悲しくなってきた。
ズーンと気分が沈んで俯く俺。そんな俺の後ろから深い溜息と共に、ポンと肩に何かが置かれた感触を感じた。
「…マジェさん?」
振り返るとマジェさんが、顔を片手で覆いながら溜息をついていた。
俺の肩に感じた感触は、どうやらマジェさんの手だったみたいだ。
マジェさんはそのまま俺に話しかけてきた。
「いいから早く話せ。このままでは相談に乗れるものも乗れなくなる」
「うう…マジェさぁん…」
何かマジェさんの優しさにジーンとくる。
この人って根はいい人なんだな。今更ながらそう思う今日この頃…
俺はそのまま、マジェさんに俺の悩みを打ち明けた。
――――――――
「女神達がクリスマスを過ごす方法…か」
「そーなんだよ。せめて今年くらいとか思ってるんだけど」
畑の端にある大きな岩に座り、項垂れながら話す俺。マジェさんも同じく、俺と同じ様に座りながら顎に手を当てて静かに呟いた。
「正直力にはなれんな。一応私はあいつらに敵対していた身、そいつらのために何か考えるのは癪に障る」
「……デスヨネー」
そうだよなぁ…俺達って元は敵同士、今はそうじゃないと言ってもそう簡単に割り切れる訳じゃないもんな…
しかもそれが敵対していた相手のためになる事なら尚更。これはマジェさんに相談すべき事ではなかったのかもしれない。
「相談事はそれだけか? なら早く帰ってくれ、私は忙しいんだ」
「ああ…うん。悪かったな、相談に乗ってもらって」
「これくらい、相談の内に入らん」
「…そっか」
最後はそっけなくなってしまったけど、マジェさんにはお礼を言った。マジェさんもマジェさんで少し冷たくあしらわれてしまったが…
それでも相談に乗ってもらっただけ良かったと思う。少しは自分の中にあったもやもやが消えた感じだ。
うっし! そんじゃ今からでも俺に出来る事を考えよう。少しでもみんなの負担を軽くする方法が見つかるかもしれない!
そうと決まれば即行動。まずは相棒にでも…
「……お前みたいなやつが大勢いたらな…」
「……え?」
いざ相棒の下へ! と思い一歩を踏み出そうと思ったら、マジェさんが何かボソッと呟く声が聞こえた。
その声で踏み止まり、マジェさんの方へ振り向く。
「お前みたいなやつが大勢いたら、女神の仕事も少しは片付くかもしれんな」
「俺が…大勢?」
「仮に、の話だ。まあ現実問題そう言う事は出来る筈はないがな…」
俺が大勢…たくさん…分身…………あっ!?
「それだぁぁぁぁあっ!!」
「おわっ!? な、何なんだ一体!?」
そうだ、何で気がつかなかったんだ!
俺ってば本当にバカだよなぁ…マジェさんのおかげで思い出したぜ。
「マジェさんありがとう! 俺行って来る!!」
「あ、ああ…どういたしまして?」
全力疾走で駈け出す俺。
まずは相棒と合流しないと!! 話はそれからだ!!
みんなには今年だけでもクリスマスを過ごしてもらえるかもしれない、そう思いながら俺は走り出した。
「……何か解決策でも見つかったと言うのか? あいつ…」
「わからないっチュが…最後辺りオイラ空気だったっチュねぇ…」
「どうでもいいがな、そんな事は」
マジェコンヌとワレチューは、ただ茫然と真司を見つめながら、ぶつぶつとぼやいていた。
* * *
『真司、本当にやるのか?』
プラネテューヌのとある草原。そこに俺と相棒が向き合うような形で会話を進める。
相棒は少し躊躇していそうな、それでいて心配そうな声で俺に話しかけてきた。
「ああ、覚悟は出来てる。クリスマスまで残り一週間ほど、それまでに絶対に全ての国のクエストを終わらせてやる!!」
握り拳を作って相棒の前に突き出す俺。そして自分の決意を相棒に伝える。真っ直ぐに、強く。
すると相棒は、フッと口元に笑みを浮かべ、俺に応える様に向き直った。
『そうか。ならその覚悟に私も相乗りしよう。そして叶えようじゃないか、女神達のクリスマスを』
「ああ! 行くぜ? 相棒!」
そう言うと俺は右腕を前方に突き出した。
すると右腕に光の粒子の様なものが纏わりつき、次第に龍の腕の様な形を成していく。
龍の籠手。かつての相棒のご神体だったものが俺の腕に装着された。
「っし! そこからの!!」
『Illusion! now…』
突き出していた右腕を、今度は横に伸ばして手の平を広げる。すると大きな円の様な魔法陣が出現し、俺の右腕から身体全体を通り抜けた。
魔法陣が通り抜けたかと思うと、そこから一つの人影が出現した。その姿は紛れもなく俺の姿だった。
それは一つだけじゃなく二つ、三つと数を増やし、数が十のところで魔法陣が消え去った。今ここに、俺の分身が十体出現した。
かつてネプテューヌ達が捕まった時、みんなを助け出すために編み出した俺の技。これがイリュージョン・ミラージュである。
俺を含めた十一の俺は、円陣を組み、グッとお互いの肩を支え合った。
「みんなにクリスマスを迎えてもらうために!! やるぞ!!」
『おおぉっ!!』
今ここに、クリスマス大作戦が遂行された。
うん、ぷるるんとピーシェが出なかった事は反省! 次回はちゃんと出るよ? 本当だよ?
マベちゃん達だって出るんだからぁ!?