半深海艦子供提督   作:包帯ぐるぐる

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 僕は姉が務める鎮守府...枝霧鎮守府の手伝いでその鎮守府に来ていた....
 姉は数少ない小艦隊で数々の任務をこなし、艦娘達からも慕われていた
 本部でも姉は人目置かれて本部長である祖父に恥じない存在だ
 
 だが姉はもういない...

 一年前、姉が本部に向かうために乗った船が何者かに撃たれ、撃沈した...
 姉はその時、客の避難を優先して救命ボートに乗り遅れて船と一緒に沈んだらしい

 僕は正式に提督に昇任してこの艦隊を仕切っている


子供提督の悲劇

今は、和田提督主催の遠征同行会で、遠征について勉強するために友人の冴霧提督に許可をもらい、艦娘達の遠征に同行させてもらっている

 

「それにしても...ほんと似てるよね〜」

「ん?何に?」

「駆逐艦響に...」

「あぁ...まぁね...この体だし...」

 

 彼女は冴霧提督...僕にとって胸の大きいもう1人のお姉さん的存在だ

 

 そして、僕は生まれた頃から「白斑」と言う病気を患っていた

 だから、髪も白い

 そして、男なのに女の子に近い体をしているため、姉によく女装をさせられたこともある

 響と違うところと外見で言えば...目の色だけ

 僕は響とは違う赤色の目をしている

 

「やぁやぁ君たちも同行していたのかい?」

「うわっ...イキリ野郎だ...」

「どうしたんだい?そんな顔をして」

「いや、なんでも...えへへ..」

「遠征の見学に来てるんですよ」

「ふ〜ん...」

 

 不思議そうに冴霧提督を見るこの男は伊喜利提督...結構癖のある人の1人だ

 

「まぁ僕は〜?優秀だから〜?そんなに苦労しないけどね〜」

 

 訂正...超ウザイ人だった

 

「所でさぁ...今度一緒に焼肉でもしようよ!枝霧提督?」

「べ、別にいいですけど...なんで急に...」

 

 伊喜利提督の急なお誘いに少し戸惑った

 

「いや?心配だからだよ...姉の事...まだ気にしてるんでしょ?」

「それは...」

 

 図星だ...

 姉の死からまだ1年...早々立ち上がれる事はないのに、自分はその感情を殺してしまっていた

 

 枝霧提督は少し悲しい表情をみせた

 

「大丈夫だからね...私が着いているから...」

 

 悲しい表情を見せる枝霧提督をぎゅーと抱きしめる

 涙腺が震える...久しぶりの姉に似た温もりと共に...

 

「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

 

 ついに涙腺が崩壊して大量の涙が流れる

 殺した感情が蘇り、心が悲しみに溢れた

 枝霧提督は、冴霧提督に抱きしめられたまま大泣きした

 

 ここは艦内である。1人の大きい体をし、提督が着る服を身にまとう男が甲板に向かう

 

「まんまと乗りやがったぜ...あの糞ガキ!1年かかったが、あいつさえ消えれば俺が上位に組み込むはずだ!」

 

 男はブツブツ独り言をいい、口に加えたタバコを吐き捨て、甲板に向かった

 

 冴霧提督は大泣きする枝霧提督を優しく抱いた

 

 しばらくすると、枝霧提督は泣きやんだ

 気持ちも少し楽になった様子だ

 冴霧提督は枝霧提督が離れると

 

「私、ちょっと服着替えてくる...」

 

 と言って甲板から自分の部屋に向かった

 

「僕は、次の出撃の作戦を考えてくるさ」

 

 そして伊喜利提督も居なくなり、僕一人が甲板に残った

 海上には、僕の枝霧鎮守府の艦娘達、ゴーヤ、暁、響、文月、曙が船の隣にいた。

 

「頑張って〜」

「了解、頑張るよ」

「てーとくでち!」

 

 艦娘達に手を振ると響が手を振って、それに気づいた曙以外の他の艦娘達も手を振った

 微笑ましい光景に笑顔になる

 

 バンッ!!

 

「銃声でち!」

「嫌な予感...」

「提督... 」

 

 銃声に心配する艦娘たちは、枝霧提督の乗る船を見る

 

「なに?銃声?」

 

 着替えて中の冴霧提督が銃声を聞いて戸惑う

 

「甲板からだ!急ぐぞ!」

 

 伊喜利提督は着替えて中の冴霧提督の部屋を開け、冴霧提督に知らせると一目散に甲板に向かった

 

 後ろで乾いた銃声が聞こえた

 自分の胸からは大量の血が溢れ出ている...

 枝霧提督はその場に崩れ落ちると、男が近寄ってきた

 

「お前の姉が悪いんだ!俺の出世を邪魔するから...恨むならお前の姉を恨め!」

「まさか...お前が...お姉ちゃんを...!」

 

 憎い...目の前に敵があるのに何もできないことが...

 そんな自分を枝霧提督は恨んだ

 男は、枝霧提督を掴むと甲板の外に突き出した

 

「はは!見ろ!お前たちの主がここで死ぬさまをなぁ!」

「てーとく!」

 

 掴み吊るされる枝霧提督を見た艦娘達は、戦闘態勢に入る

 ぽたっぽたっと海に落ちる枝霧提督の血...

 

「早く提督を離しなさい!さもなくば...!」

「おお〜怖いねぇ〜」

 

 砲塔を男に向けて怒る曙...

 そんな状況でも男は笑った

 

「いいぜ〜!離してやるよ〜!」

 

 男がそう言うと曙は砲塔を下げた

「クハハハ...」と男は奇妙な笑いをした途端

 

「ほらよ!」

「え?」

 

 と言い放って枝霧提督を海の方に放り投げた

 

「(あぁ...もっと生きたかったな〜...)」

「ていとくーー!!」

 

 落下中にキラキラと涙をこぼす枝霧提督はそのまま海へと落ちた

 

 叫ぶ艦娘達は、枝霧提督の落下したポイントまで急いで向かう

 

「ゴーヤ!早く提督を助けて!」

「了解でち!」

 

 ゴーヤは海中に沈んでいく枝霧提督を目指して潜っていく

 青々とした海が徐々に真っ赤に染まっていく...

 

グサッ!

 

「やぁ、和田提督?お久しぶりです」

「お...前...何をしているのか...分かって..いるのか...」

「ええ、わかっていますとも♪」

 

 伊喜利提督はにこやかに笑って答える

 鈍い音とともに胸から鋭利な刃物が突き出る

 そして、「グチャ」と言う音を放ちながら肉を抉るように刀を動かした

 男は苦しみ、胸に突き刺さったポタッポタッと剣先から血液が流れ落ちる

 

「こんなことして...許されるとでも...」

「だからやっているじゃないですか」

「!?」

 

 伊喜利提督は、さらに苦しめるように刀を激しく上下に動かした

 男は血反吐を口から吐き、もがき苦しんだ

 

「さて、トドメをさすか...」

「お願いだ...何でもする...だから、命だけは...」

「死ね」

 

 伊喜利提督は、慈悲を乞う男を無視して、男の体から刀を抜き取り、男の体を肩から横腹にかけて斜めに切断した

 二つに別れた男の体を伊喜利提督は艦娘達のいない方に蹴飛ばし、海に捨てた

 

「てーとく!今助けるでち!」

 

 ゴーヤは沈んでいく枝霧提督を目指す

 残り2m...1m...小さな体が近くなっていく

 

「てーとく!」

 

 そして、手の届く範囲に入った

 

「今助け...てーとく?てーとく!!」

 

 一瞬だった

 手を差し伸べて掴もうとした途端、黒い何かが枝霧提督に絡みつき、一気に深海へ引きずり込んみ、枝霧提督の帽子のみ浮かぶ

 

「てーとく!!!」

 

 静まり返る海中に、ゴーヤ声だけが響き渡った...

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