ハイスクールD×S~SPIRITSを受け継ぐ者~ 作:ユウキ003
クロスオーバーです。
SPIRITSを読んでたら熱血路線に当てられて書き始めました。
亀更新ですが、楽しんでいただければ幸いです。
その世界は、様々な力に満ちていた。
——神器——
聖書の神と呼ばれ存在が人間に与えた、神さえも倒す力を持った大いなる力。
——悪魔・天使・堕天使——
神話の世界でのみ語られながらも現実に存在する彼ら。永遠に近い時を生きる悪魔。神に使え天界に住まう天使。邪な考えによって堕天し、悪魔と冥界を二分する堕天使。
それだけではない。神さえも殺す龍。北欧神話、ギリシア神話、インド神話、日本神話……。
様々な神話が実在し、それに付随する存在もまた、実在していた。故に、神器を持たぬ人間とは彼らにとって最弱の生命だ。脆く、遅く、力も無い唯の生命。そう認識されても
仕方ない程、彼らから見て人間とは弱い生き物だった。
だがしかし、人間が必ずしも弱いかと言われれば答えはNOである。
何故ならば、その様々な神話が交差する世界の影で日々、人類の自由と平和を守る為に戦っていた男たちが居たからだ。
彼らは人と悪魔のハーフでもなければ神に選ばれた人間でもない。ただ少し、他人より力に優れ、頭脳が明晰なだけの、唯の人間だった。
しかし彼らはある日、悪魔をも超える悪意ある者達の手によって改造手術を施され『改造人間』となってしまった。そんな彼らはやがて、人々を護るために立ち上がり、そして
戦った。いや、今も彼らは戦い続けている。社会の闇に潜み、世界を支配しようとする者達と日々戦い続けている。
そして、彼らを知る数少ない人々は、彼らを称え、こう呼ぶ。
『仮面ライダー』、と。
これは、そんな仮面ライダーたちの、熱き男たちの背中を見て育った青年が悪魔たちの存在を知り、大切な人々を護るために戦い、やがて地球そのものを揺るがすほどの激動の戦いへと身を投じた、小さく弱い、それでも戦い続けた人間とその仲間たちの戦いと友情、そして愛の物語である。
ハイスクールD×S~SPIRITSを受け継ぐ者~
とある地方都市、駒王町。その真夜中。
『ブォォォォォォンッ!!』
市街地の路上を一台のバイク、ホンダ・レブル250が疾走していた。しかし、更にレブルの前を走る人影がありレブルに乗るライダーはその人影を追っていた。
「クソッ!?人間風情がっ!」
悪態をつきながらも走るその人影の正体は、チーターのような足を生やした中年男性だった。しかし、厳密にはその男は人ではなかった。
『悪魔』。
神話の中にしか存在しない『はず』の存在。しかし現に悪魔や天使、堕天使は冥界や天界と共に実在し、人間と遜色ない程の社会を築いていた。そして、この駒王町はとある貴族悪魔が統治している町であり、そんな彼女の領地に現れ、今まさに追いかけられているのが、悪魔社会において何等かの理由で追われるみとなった『はぐれ悪魔』だった。
そして、そのはぐれ悪魔を追うのが、黒いプロテクタースーツに髑髏が描かれたマスクを身に纏ったライダーだった。と、その時、後方を走っていたレブルのライダーが腰元のヒップホルスターから左手でオートマチック拳銃を抜き放ち、それを撃った。
『ドンッ!』
『ビスッ!』
「うがっ!?く、っそぉ!」
如何に悪魔と言えど、防がなければ銃弾でもダメージを受ける。ましてやライダーが手にしている銃は50口径の拳銃、デザートイーグル(DE)のカスタムメイドだ。ハンドキャノンとさえ謂われるDEの威力は伊達ではない。
『ドンドンッ!』
『ビスビスッ!』
「ぐあっ!」
更に撃ち込まれた2発の弾がはぐれ悪魔の腹と右脹脛を撃ち抜き、はぐれの足を止めた。撃ち抜かれた事でその場に転倒するはぐれ。と、その時。
「鬼ごっこは終わりかしら?」
倒れたはぐれの前に、よく通る声の少女が舞い降りた。その背にあるのは黒い蝙蝠のような翼。それを持つと言う事は彼女が悪魔である証拠だ。
輝く紅い髪を靡かせ、同性からも羨ましがられる程の美貌を持った彼女こそ、この町、駒王町を統括する純血悪魔、『リアス・グレモリー』だった。
更に、その彼女の後ろに彼女の下僕である数人の人影が同じように悪魔の翼を使って降り立った。
「うぐ、貴様はぁ、グレモリー家の」
何とか体を起こしたはぐれ悪魔は憎々し気にリアスを睨みつける。そこへ……。
『キキィッ』
先ほどまではぐれ悪魔を追跡していたスカルマスクのライダーが追いつき、これではぐれ悪魔は前後を挟まれる形となった。
「何か、言い残す事はあるかしら?」
そう言って、風になびく髪をいじるリアス。同時に、彼女が浮かべる余裕ぶった表情がはぐれを苛立たせた。
「この、クソッタレがぁぁぁぁっ!!!」
怒りを爆発させたはぐれは、何とか動く右手を掲げ魔力の塊を発射しようとしたが……。
『ドンドンッ!』
『ビスビスッ!』
「うぐぁっ!?」
背後に居たスカルマスクのライダーの早撃ちがはぐれの右肩と右掌を正確に撃ち抜いた。痛みによって、集中力を中断され撃ち出すために溜めていた魔力が霧散する。
「あ、ぐ。に、人間、風情、がぁ」
既にいくつもの傷口から血を流しているはぐれが忌々しそうに呟く。
「それがあなたの最期の台詞ね、はぐれ悪魔パルサー。これまでの所業を思い出しながら、消し飛びなさい!」
そう言うと、リアスは赤い魔法陣を作り出し、そこから彼女の得意な『滅びの力』、赤黒いエネルギーを発射した。そして、それに飲み込まれたはぐれ悪魔のパルサーは、声を
上げる事も無く、跡形もなく消し飛んだのだった。
それを見届けると、リアスの背後に控えていた眷属の一人、リアスにも劣らないプロポーションの持ち主である黒髪の女性、『姫島朱乃』が彼女に近づいた。
「お疲れ様でした、部長」
「えぇ、みんなもお疲れ様。それに」
一度振り返って後ろに居た眷属たちをねぎらってからリアスはレブルの方へと歩み寄った。それに合わせ、一度レブルのエンジンを切ってからマスクを外すライダー。
マスクの下から現れたのは、少し癖のある黒髪を持ち勇ましいと言う言葉が似合いそうな端整且つ男の雰囲気が溢れる顔の、リアス達と同い年ぐらいの青年だった。
「あなたもお疲れ様、セイ。今日はあなたのお手柄よ」
「ありがとうございます」
そう言って、マスクを腋に抱えつつバイクから降りる青年。
「お役に立てたのなら、何よりです」
「そうね。それじゃあみんな。今日の仕事はここまでよ。各自ここで解散」
「「「はい、部長」」」
そう言って、朱乃と他の二人の眷属も頷く。それを確認したリアスが再びセイと呼ばれた男の方を向く。
「それじゃあセイ。また明日。学校でね」
「はい。失礼します」
そう言って挨拶を交わすと、セイはスカルマスクをかぶり直してレブルに跨り、リアス達に一礼してから暗い夜の道を走り去って行ったのだった。
そして翌日。その朝。駒王町にあるマンションの一室で、早朝にダンベルを手に筋トレをしている青年の姿があった。短パンにTシャツ一枚と言うラフな格好のままダンベルを交互に上下させるその青年は、昨晩リアス達と共に戦った人物、セイこと、
『滝 誠一郎』だった。
「はっ、はっ、はっ」
シャツ越しにでも分かる鍛え抜かれた筋肉に無駄は無く、彼が如何に鍛錬に時間を割いてきたかが分かる。やがて、セイは日課の鍛錬を終えるとシャワーで手早く汗を流し、
彼が通う学校、駒王学園の制服に着替えてから更にエプロンを掛け、手早く学校へ持って行く弁当と朝食を作った。そして、時計を確認して家を出ようとしたセイだったが……。
「っといけね。忘れる所だった」
何かを思い出して、玄関の手前で引き返した彼はリビングに戻り、その一角に置かれた仏壇の前に正座した。
「お父さん。お母さん。俺は今日も元気です。今日も、学校に行ってきます」
そう言って、仏壇にある幼き日のセイとその両親を映した写真に
向かって手を合わせてから、改めて彼は家を出るのだった。
家を出たセイが徒歩で向かったのは、駒王学園と呼ばれる学校だ。少し前まで女学校であったが近年共学化。部活の数も多く、海外交流も盛んな学校だ。そんな学校にセイは通っていた。やがて、彼が歩いていると大勢の駒王の生徒達が歩いている道へと
合流した。
「おぉセイ、おはようさん」
「おう。おはよう」
同級生の男子生徒が声をかけて来た。
「あ!滝先輩!おはようございます!」
「おはようさん。あ、聞いたぜ。女子テニス、練習試合近いんだってな。頑張れよ」
「は、はい!ありがとうございます!」
後輩で知り合いの女子生徒にも激励を送った。
「おっす!おはよう滝!」
「おぉ先輩。おはようございます」
「なぁ悪いんだが滝、またバスケ部の助っ人頼めねぇか?一人この前の試合で怪我しちまってよ」
「あぁ俺なら良いっすよ。後で細かい話聞きにっても良いすっか?」
「あぁ!助かるよ!後でな!」
知り合いで先輩の男子生徒からはバスケの助っ人を頼まれた。
と、そんな風に、大勢の生徒達と話をする当たり、如何に彼が年齢等に関係なく周囲から慕われているかがよくわかる。そして、彼が校舎に向かって歩いていた時だった。
「あ~。おっぱい揉みて~~」
不意に彼が歩いていた近くにあるなだらかな坂の草原の方から不謹慎さが丸出しな発言が聞こえて来た。
「ハァ。全くあの問題児どもは」
と、声の主とその近くに居る面々を見たセイはため息をつきながらそちらへと足を向けた。
「おうコラ変態共。朝っぱらから何してんだよ」
そう言って、草原に寝そべる3人の男子の頭の近くに立ち彼らの顔を覗き込むセイ。
「んぁ?何だセイかよ」
そう言って、体を起こしたのはさっきの不謹慎な発言の主、『兵藤一誠』こと『イッセー』だ。更につられて体を起こすイッセーの悪友で、丸刈り頭の『松田』と眼鏡男子の『元浜』の二人。
「おはようさん。で、お前達は何が何だって?色々不味い単語が聞こえて来た気がしたんだが」
「っるせぇセイ!俺はお前程モテないんだ!それでも俺には、俺達には夢があるんだ!そう、ハーレムを作ると言う夢が!」
と、拳を握りしめ熱く語る、文字通り変態のイッセーとそれに頷く二人。
「だったら、学友としてまずはその煩悩丸出しの態度を改める事をお勧めするよ、ったく」
そう言って、相変わらずな学友たちの態度にセイはため息を付いた。
「つか、そう言うお前だって女に興味ないのかよセイ!」
「俺か?生憎と、俺はそっちに現を抜かすよりやる事が山ほどあるんだよ」
「くっ?!これがモテる男の余裕か!死ねリア充!爆発して死んでしまえ!」
「「そうだそうだ!!」」
松田の言葉に同調して声を荒らげるイッセーと元浜。
「お前ら、何気にヒデェなホント。大体、俺なんてモテるのか自覚ねぇよ」
敵意丸出しで物騒な事を言う3人に呆れた様子で返すセイ。
「ん?何だセイ。お前自覚なかったのか?」
「あん?自覚?」
と、肩をすくめるセイに疑問符を投げかける元浜。
「お前、女子の間では結構有名なんだぞ。如何にも男と言った見た目と面倒見の良い性格。成績はクラスどころか学年でトップに躍り出る程の秀才。体育でもサッカー、野球、バスケ、水泳等々をそつなくこなす天才。正しく文武両道。加えて後輩やクラスメイトどころか先輩からも頼られる兄貴肌として交友関係も広く、1年の後期のバレンタインでは大多数の女子からチョコを貰い、尚且つそれに手作りのお菓子を綺麗にラッピングしてホワイトデーのお返しとして送るなどっ!正しく絵に描いたようなモテ男ではないか!それを知らんとは!何たる奴!」
と、段々と声を荒らげる元浜。
「くっそぉ!俺達だって、俺達だってセイ程のスペックがあればぁ!」
「クッソ~!爆ぜろリア充!」
と、恨めしそうにセイを睨みつける松田にイッセー。それを見てセイは再びため息をついた。
「あのな~。顔はともかく、運動に勉強とかは日々の心がけなんだよ。そう言うのは努力だ努力。お前らも女子にモテたいならせめて言動なり何なりを変えろっての。取り合えずは、変態3人衆なんて言われないように頑張れよ」
そう言うと、3人から離れて歩き出すセイ。
「後、警察の世話にだけはなるなよな~」
と、彼は去り際にそう言うのだった。
ちなみに、数十分後。セイの後から教室にやってきたイッセー達だったのだが……。
「ぐ、ぐふぅ」
机に突っ伏しているイッセー。彼の顔は、所々赤く腫れていた。それを見て察してしまうセイ。
「………。ま~た女子剣道部の村山達にしばかれたのか?ホント、警察の世話だけにはなるなよな?」
「っるせぇ」
覗きをしようとしてボロボロにしばかれて教室にやってきたイッセーを見て、セイはため息をつくのだった。
そして放課後。
セイは一人校舎を離れ、学園の敷地内にある場所に向かった。そこは、敷地のはずれにある木造の建物、旧校舎だった。元々、今セイやイッセー達学生が使っているのは新校舎で、そっちが建てられると旧校舎は殆ど使われ無くなったのだが……。
躊躇った様子もなく旧校舎に足を踏み入れ、進んでいくセイ。やがて彼は一つの扉の前に立つとそれを開いて中に入った。
そこは……。
「失礼します」
扉を開けながら、そう言って中に入るセイ。部屋の中は、はっきり言って不気味だった。カーテンによって閉め切った窓と少ない光源のせいで薄暗く、床には魔法陣、壁には不気味なアイテムが飾られていたからだ。
しかし臆する事も無いセイ。そして……。
「あら、来たわねセイ」
部屋の中では、昨日の夜共に戦ったリアスと彼女の眷属である朱乃たち3人が集まっていた。リアスが彼に気づいて声をかけた。
「すみません、少し遅れました」
そう言ってソファに座るセイ。彼の隣に居たのは……。
「セイ君が遅れるなんて珍しいね」
と、さわやかな表情で問いかけたのは金髪が特徴的な、学園1の美青年とも言われる『木場祐斗』だった。
「あぁ、実はバスケ部の先輩から今度試合の助っ人を頼まれてな。それの話に言ってたんだ」
そんな説明していた時。
「……。相変わらず、先輩は人助けが好きですね」
と、感情が無いようにも聞こえる静かな声がセイの向かい側のソファの方から聞こえて来た。その人物とは、銀髪に左側にした黒い猫の髪飾りが特徴的な、小柄な少女、『塔城小猫』だった。
祐斗も小猫も、そして朱乃も、訳あってリアスの眷属となった『転生悪魔』なのだ。そして、秘かに街を統治しているリアスの協力者として、今のセイはここに、オカルト研究部の部室に居るのだった。
やがて、朱乃がセイの前に紅茶を置き、リアスの脇へと控える用に戻ろうとリアス自身が話し始めた。
「それじゃあ、いつも通りみんなに集まって貰った訳だけど、今日は少し穏やかじゃない議題があるの。朱乃」
「はい」
そう言って朱乃を近くに呼んだリアスは机の上にあったファイルから一枚の写真を撮りだして彼女に渡し、セイ達の前に置かせた。
「こいつは?」
そこには、トレンチコートの様な物を着た男を映しだされていた。
「少なくとも一人、この街に潜入したと目される堕天使の男よ」
「ッ!?堕天使、ですか?」
「……穏やかではありませんね」
と、驚いている祐斗と無表情だが同じく驚いている小猫。
かつて、悪魔は別の勢力と大きな戦いを繰り広げていた。
それが『堕天使』と『天使』の勢力だ。冥界を二分する形で生活している悪魔と堕天使が冥界の覇権を争う形で戦い、更にそれらを滅しようと天使が参戦してきたのだ。やがて三つ巴の様相を呈し始めた三大勢力による戦いは苛烈を極め、血で血を洗うような凄惨な戦いへと発展していった。そんな戦いのせいか、三大勢力は相当のダメージを負う結果となった。それによって三大勢力は戦いを控えるようになった。
今でも小競り合いこそ続いているが大きな争いにまでは発展していなかった。しかし、ここに来ての悪魔領への堕天使の潜入。小猫が穏やかではないと言うのも無理は無いのだ。
「こいつ、一体何の目的で駒王に?」
「今の所それらに関する情報はないわ。潜入された以上黙って見過ごすわけには行かないけど、今はまだ様子見よ」
セイの言葉に答えるリアス。
「私達の戦いが、三大勢力による戦争再開の火種になるようなことだけは避けなければならないのは、みんなも分かっているわね?」
「「「「はい、部長」」」」
「良い返事ね。ともかく、相手の狙いが分からない以上みんなも普段以上に周囲を警戒するように」
そんなわけで、リアスからのお達しとしていくつかの注意事が告げられた。
それから数日後の休日。
「ん~。遊んだ遊んだ~」
と、私服姿のイッセーが商店街にあるゲーセンから出て来た。
「っと、こんな時間か。何か飲み物でも飲んで帰るか~」
と言うと、一人歩き出したイッセーは近くの公園へと行き、そこで自販機で飲み物を買い、ベンチに腰掛けた。
『そういや、これ何なんだろうな~』
と、頭の中で呟きつつ懐から一枚の紙を取り出すイッセー。それは、不思議な魔法陣が描かれた一枚のチラシだった。
『駅前で綺麗なお姉さんが配ってたからつい勢いで手に取っちまったけど、怪しいよなぁこれ』
そう思いつつ、缶に口を付けるイッセー。
「まいっか。家帰って捨てよ」
そう言って飲み物を飲み終えたイッセーはチラシをポケットにしまいゴミ箱に空き缶を投げ入れた。そして、彼は帰ろうとしたのだが……。
「あ~君、ちょっと良いかな?」
「え?」
不意に後ろから声をかけられたので、振り返ったイッセー。そこにはコートにシルクハットを被った男性が立っていた。
「あぁすまない。実は遠くからこの街を訪ねて来た者なのだが、如何せん土地勘が無くてね。すまないが、この地図の場所は分かるかな?」
と言って、男性は懐から畳んでいた地図を広げてイッセーに見せた。
「えっと、公園がここだから~。あぁそれってあっちっすね」
と、そう言って地図にあった印の方を指さすイッセー。その時イッセーは男性の方に『背を向けてしまった』。
「あぁ、ありがとう。そうだ。ついでに用事を済ませてしまうか」
「へ?用事って……」
『ズブッ!!』
「え?」
振り返ったイッセー。しかしこの時、彼は腹部に違和感を覚え、視線を下に向けた。そこで彼は、自らの腹部に突き刺さる光る槍を目にした。
「え、なっ。……ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
そして、現実を理解し絶叫するイッセー。それを確認すると、男性、いや、『堕天使ドーナシーク』は手にして槍をイッセーから引き抜いた。それによって地面に倒れるイッセー。
「あ、ぐぅっ!?何だよ、こ、れ。あ、あんたは、一体……」
「そうだな、冥途の土産に教えてやろう。私は堕天使ドーナシーク。崇高なる堕天使の御方々によって、神器を持つ貴様を殺しに来た者だ」
「堕、天使?神、器?訳わかんねえ、よ」
「ふっ、脆弱で無知な人間ならばそうだろうさ。そんな人間の、唯の子供のお前ならばその傷でも死に絶えるだろう。精々、苦しんで死ぬが良い」
そう言うと、ドーナシークは手にしていた槍を消し去り、その背中から黒い翼を広げると高笑いを浮かべながら空へと去って行った。
「嘘、だろ。俺、こんな所で死ぬの、かよ。冗談じゃ、ねえ、ぞ。俺は、俺は、まだ、生きるんだ」
何とか動くからだで、仰向けになるイッセー。そして、彼は自分の血で汚れた右手を見つめる。
『赤い。あの人と、リアス・グレモリー先輩と同じ、紅い、色』
もはや口も動かないが、それでも赤から連想する存在、リアスの事を考えるイッセー。
『そうだ。死ぬ、なら、いっそ、あの人の、よう、な、美少女に、抱かれ、て……』
やがて、血を失い過ぎたが故に意識が朦朧としだすイッセー。だが、その時……。
『パァァァァァァァッ!!』
不意にあのチラシが輝きだしたかと思うと、イッセーのすぐ近くに紅い魔法陣が描かれた。
その魔法陣の中から現れたのが、リアスだった。そして、イッセーは彼女の姿を見た所で、意識が途切れるのだった。
翌日。イッセーは昨日の一件を夢と勘違いしつつ、何故か怠い体でいつものように学校へと向かうのだった。
彼はまだ知らない。自分の身に起こった、真実を。今は、まだ。
一方、セイは朝からイッセーに元気がない事を気にしつつ珍しいな、程度の認識だけで別段気にしていなかったが……。放課後、それの事実は突如として知らされた。
『ガタッ!』
「なっ!?こいつは、イッセー!?」
驚き、ソファから立ち上がってしまうセイ。
時間は、数分前にさかのぼる。
「失礼しま~す」
いつものように、部室へとやってくるセイ。
「来たわねセイ。それじゃあ全員が揃った訳だけど、今日は少し、大事な話があるの」
と、セイを見ると笑みを浮かべて歓迎したリアスだったが、彼がソファに座ると眷属である祐斗、小猫、そして協力者であるセイの方を真剣な表情で見つめた。
「実は昨日、堕天使に襲われたと思われる学園の少年が居たの。彼は運よく私達が配っている悪魔稼業のチラシを持っていた事、そして悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を持っていた私への思いが強く、私を召喚した事で難を逃れたわ」
「では、その少年は転生悪魔に?」
「えぇ」
朱乃の言葉にリアスは頷く。
と、ここで少し解説しておこう。
リアス達は日々、悪魔として人間との取引を行っている。人間側の要求に対して様々な対価を要求。悪魔が人間の欲望を叶え、対価を貰う、と言った感じだ。イッセーが貰ったあのチラシは、その取引を行うために必要な物であり、強い願いによって悪魔(この場合、リアスと彼女の眷属の3人の内の誰か)を召喚する仕組みになっていた。
そしてもう一つ、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と言う物がある。このピースは人間で言うチェスのような者だ。数は一個違いで15個、ポーン、ルーク、ナイト、ビショップ、
クイーンと各種それぞれ数と能力がある。そして、そのピースを持つ存在、ここで言うリアスをチェスで言う王、キングとする。
キングの資格。つまりピースを持つ事が出来るのはある程度血統の付いている悪魔のみである。この駒には、主の資質に応じて様々な存在を転生悪魔にする力がある。転生悪魔となった者は主、キングに使える僕となる。付け加えるのなら、祐斗がナイトの眷属、小猫がルーク、朱乃がクイーンの眷属悪魔である。
さて、話を戻そう。
「それで、堕天使が襲ったって言ってましたけど、まさか神器目当てで?」
「その可能性は高いでしょうね」
と、セイの言葉に頷くリアス。
神器、とは?
それは別名『セイクリッド・ギア』と呼ばれるアイテムの事だ。天使陣営の長、聖書の神が作り出したシステムで、所有者に不思議且つ、様々な力を与えるアイテムの事だ。中には神を倒す程の力を持った者、神滅具≪ロンギヌス≫とさえ称される物があるほど、かなり強力且つ危険な存在だ。
「セイクリッド・ギアの力は時に神をも超えるとさえ言われているわ。そして、その覚醒による堕天使陣営の被害を恐れた何者かがあの男を遣わして少年を襲わせた。そう考えられるわ」
そう、神器の力は強大ゆえに襲われている節もあるのだ。
「クッ!ふざけやがって!何も知らない民間人相手にあの野郎っ!」
パン、と拳を打ち付け合い、怒りを滲ませるセイ。
「セイの怒りは最もよ。けど安心して。襲われた少年はピースの力で眷属にしたから生きているわ。今日も無事に登校してい姿をさっき確認してきたもの」
「そうですか」
と、彼女の言葉に安堵するセイ。
「それで部長、その襲われた少年と言うのは?」
と、朱乃が問うとリアスは机の上に伏せられていた写真を取って朱乃に渡し、更にセイ達にも見させた。
そして……。
「なっ!?こいつは、イッセー!?」
その少年が、見知った仲の友人だった事に驚くセイ。
これが、悪魔となり、後に激動の時代を駆け抜けた少年と、大勢の人々を陰から救って来た英雄に憧れ、悪魔となった少年と共に、同じように戦い続けた少年の、始まりの日だった。
第1話 END
主人公とライダーたちの絡みとかは今後分かって行く方向です。