ハイスクールD×S~SPIRITSを受け継ぐ者~   作:ユウキ003

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今回はアーシアとの出会いからバイサー戦までです。



第3話 「ファーストコンタクト」

~~前回までのあらすじ~~

友人であるイッセーが悪魔になった事を知ったセイ。

そんな矢先にイッセーが再び堕天使に襲われるが、何とか

彼の救援に間に合い堕天使、ドーナシークを撤退させる

リアス達。翌日、リアスに呼ばれる形でオカルト研究部に

呼ばれたイッセーはリアス以下、朱乃、小猫、祐斗が

悪魔である事。自らが悪魔になった事などの経緯を

説明される。そんな中でイッセーはセイの戦う理由を

聞いたりするのだった。

そして、リアスは一人、今後の事に不安を覚えるのだった。

 

そんなある日の土曜の朝。

イッセーはセイと共に学校へと向かっていた。

イッセー「う~~ん。相変わらず契約は取れないけど、

     アンケートじゃいい結果貰うんだよな~俺」

セイ「お前、結構アニメとかの知識もあるもんなぁ。

   そう言うのを生かした契約ってなんか無いかなぁ」

と、二人してイッセーの契約について相談したり話を

していた時だった。

???「はぅぅっ!?」

イ・セ「「ん??」」

不意に二人の前方で一人の少女らしき人物がこけた。それはもう

顔面ごと地面に突っ伏す程に、である。

イッセー「あ、あのぉ。大丈夫っすか?」

一応近づき、手を差し出すイッセーとそれを後ろから見ているセイ。

???「あぅ。ご丁寧に、ありがとうございますぅ」

そう言って、少女はイッセーの手を取り立ち上がった。

しかしその時、不意に突風が起こり少女の頭を覆っていた

ヴェールが飛ばされてしまった。

慌ててそれを追い、ジャンプしてキャッチするセイと。

露わになった少女、金髪ロングヘアの美少女に視線を奪われるイッセー。

それを見たセイは……。

 

セイ「あの、これ」

???「あ。ありがとうございます」

ヴェールを差し出しながら、肘でイッセーを小突いた。それに

よってハッとなるイッセー。

イッセー「あ、こんにちは。え~っと。……りょ、旅行ですか?」

そして、イッセーは我に返るなり、何やら会話を続けようと

声をかける。

???「いいえ。実はこの度、この街の教会に赴任する事に

    なりました。ただ、道行く人には言葉が通じず、

    困っていたんです」

と、説明する少女。ちなみにこの時、イッセーは悪魔転生の

副作用として、言語翻訳機能で普通に会話していたが、

はた目から見ると、イッセーと金髪少女が完璧な英語で

会話しているように、セイからは見えていた。

しかし、そこは努力家のセイ。

彼女の言葉を完全に理解は出来なくとも、単語の意味を理解し、

大体の内容は理解できていた。

セイ「新しいシスターさん、か」

イッセー「あれ?セイお前英語分かるのか?」

と、聞き返すと、少しばかりため息を漏らすセイ。

セイ「あのなぁ、学年主席を舐めるなよ。これでも英語は

   得意科目だ。……しかし、この街の教会は随分ボロい。

   何だって今更」

ため息を漏らしてから、少しばかり考えるセイ。

イッセー「えっと、あの、俺教会なら知ってるかもしれないん

     ですけど……」

???「ほ、本当ですか!?ありがとうございますぅ!

    これも主のお導きなのですね!」

セイが考えている傍でそんな事を言い出したもんだから、

彼は驚いてからため息をついたのだった。

 

そして、案内をしていた時。

セイ「おいイッセー、本当に大丈夫か?」

と、小声で会話する二人。

イッセー「わ、分かってるけど、あんな可愛い子を放っては

     おけないだろ?」

セイ「そりゃまぁ、そうだが。……けど教会はお前らにとって

   敵の根城なんだ。近づくだけでも拒否反応が出る

   らしいから、限界が近づいたら無理せずに言えよ?」

イッセー「あぁ。わかってるよ」

と、静かに少女、『アーシア・アルジェント』に聞こえないように

話しながらも彼女を案内する二人。

 

その道中……。

「うわぁぁぁぁん!」

公園の前に差し掛かった時、3人の耳に子供の泣き声が

聞こえて来た。見ると、公園の中で怪我をしたのか

子供とその母親らしき女性が居た。すると……。

アーシアは迷いもせずに子供の方に向かって行ってしまった。

セイ「あ、ちょっ」

彼の制止の声も聞かずにそちらへ行くアーシア。

それを見たセイはイッセーの方に視線を向けた。イッセーも

少しばかり肩をすくめてから、二人はアーシアの元へと

歩み寄る。

そして近くで見ていた時。

アーシア「大丈夫?男の子ならこのくらいの怪我で泣いては

     ダメですよ?」

そう言って静かに男の子の怪我した部分に手をかざすアーシア。

すると……。

   『パァァァァァッ』

アーシアの手から緑色の光が現れ、男の子の怪我を見る間に

直してしまった。

それに内心驚くイッセーとセイ。

イッセー「ッ!……なぁセイ、あれって」

セイ「魔力、な訳ないとすると。神器、それも恐らく回復系か?」

と、二人はアーシアに聞こえないように静かに小声で

話しながら、男の子の怪我を治癒する彼女を見守っていた。

やがて怪我が治ると、母親は男の子を連れてそそくさと

行ってしまった。

その去り際。

男の子「ありがとう、お姉ちゃん!」

彼女の力に驚きもせずにそう言っていた。しかしアーシアには

日本語が分かる訳もなく、少しキョトンとしていた。

そこへ。

 

イッセー「ありがとう、お姉ちゃんだってさ」

悪魔の力で通訳をするイッセー。

その言葉に笑みを漏らすアーシア。しかし……。

    「……その力って」

ぼそっと呟いたイッセー。

アーシア「はい。治癒の力です。神様から頂いた

     素敵な物なんです」

と、言うアーシアだったがイッセーとセイは彼女の言葉に

陰が含まれている事に気付いた。

イッセーがチラッとセイの方を向くと、静かに首を振る

セイ。

彼としては、『この話題は止そう』と言う意味であり、

それはしっかりイッセーにも伝わった。

 

その後、何とか教会が見える場所にまでやってきた

3人。

しかしセイはチラッと隣のイッセーを見たが、彼が

冷や汗を浮かべている事に気付いて、

『ここらが潮時か』と考え、助け船を出す事にした。

セイ「あ、そういやイッセー。お前今日何か提出する

   課題があるとか言ってなかったか?」

イッセー「え?」

突然の話題に、呆けた声で返事をするイッセー。

セイ「確かこの前の小テスト、点数悪くてお前なんか

   課題出されたんじゃなかったっけか?」

そういって、目配せをするセイ。そして、数秒して

イッセーはその意図に気付いた。

イッセー「あ、あぁ!やっべそうだった!」

と、何とか慌てるふりをするイッセー。そして、それに

気づいてアーシアも振り返った。

アーシア「あ、あの。どうかされましたか?」

イッセー「あ、いや、その!ごめん!俺学校に用事が

     あったんだ!でその……」

   『チラッ』

セイ「ふぅ。後は俺が案内しとくよ」

チラッとセイの方を向いたイッセーと、その視線に気づいて

息を吐いてから笑みを浮かべつつ頷くセイ。

イッセー「あ、後はこいつが教会まで案内してくれるから!

     じゃあ俺はこれで!」

と言って、歩き出そうとした時。

アーシア「あ、待ってください!せめて、せめてお名前だけでも!」

と言われ、足を止めて振り返るイッセー。

イッセー「えっと、俺は兵藤一誠。周りからはイッセーって

呼ばれてるからイッセーで良いよ。で、こっちは俺の友人で」

セイ「はじめまして、滝誠一郎です。イッセーや友人からは

   セイと呼ばれています。セイと呼んでください」

簡単な英文で挨拶をするセイ。

アーシア「私はアーシア。アーシア・アルジェントと申します!

     私の事もアーシアとお呼びください!」

イッセー「あぁ。それじゃあシスター・アーシア。俺はこれで。

     縁があったら街で会えると良いな」

アーシア「はい!」

 

と、それだけ言うとイッセーは来た道を戻って行った。

セイ「それじゃあ、後の案内は俺が」

アーシア「はい。よろしくお願いします」

 

という事で、セイはアーシアの鞄を持ってあげながら彼女と

共に教会へと足を運んだ。

セイ「ここか」

  『明かりがついてるから人は居るんだろうが……』

   『コンコンッ』

そう思いつつ、ドアをノックするセイ。

すると……。

   『ガチャッ』

しばらくして扉が開いた。

???「はい、どなたですか?」

出て来たのは、アーシアと似たシスター服に身を包んだ、

右側に跳ねたダークグリーンのショートヘアの女性が

現れた。

セイ『日本語か、助かったぁ』

  「あ、えっと。実はさっき街でこの教会に赴任

   するというシスターさんに会った物で、

   迷っていた様子だったので案内を」

と言いつつ、後ろに振り返るセイと彼の視線の先を追う

シスター。

アーシア「この度、この街の教会に派遣されました。

     アーシア・アルジェントと申します」

挨拶をしつつペコリと頭を下げるアーシア。

そして、挨拶を聞くとシスターの女性は笑みを浮かべた。

???「あぁ、あなたがシスター・アーシアですね。

    お話は伺っています」

と、今度は笑みを浮かべる女性の方が頭を下げた。

ルオン「私の名前は『シスター・ルオン』と申します。

    ようこそお出で下さいました、シスター・アーシア。

    そちらの方も、シスター・アーシアの案内、

    本当にありがとうございました」

と、更にセイにも頭を下げるルオン。それにはセイも

驚いていた。彼にしてみれば、そこまでされる事をした

等とは思っていなかったからだ。

セイ「い、いやまぁ俺は人として当然の事をしただけですよ」

そう言って恥ずかしそうに頭を掻くセイ。

  「あ、じゃあ俺はこれで」

アーシア「え!?」

踵を返すセイを見て、驚いたアーシアは……。

 

    「ま、待ってください!せめて中でお礼でも!」

咄嗟に彼の袖を掴んで止めた。

セイ「え、えっと」

それに彼が返答に迷っていると……。

ルオン「そうですね、お茶くらいしか出せませんが、

    この出会いも何かのきっかけ。お茶でも

    いかがですか?」

と更にルオンからも誘いが来てしまった。それを受けてセイは……。

セイ「えっと、じゃあ、少しだけご馳走になります」

アーシア「はい♪」

YESの答えを貰った彼女は満面の笑みを浮かべた。

 

そして、教会内に足を踏み入れたセイとアーシアはルオンの

案内によって宿舎の方へと案内された。その一角にある

リビングのような場所に案内された二人。

ルオン「それでは、二人はここでお待ちください。

    私は神父様達にシスター・アーシア到着の報告を

    してきます。お茶は妹に頼んでおきますので

    ご心配なく。では、私はこれで」

そう言うと、ルオンは部屋を後にした。残された二人。

 

しかし、セイにとっては話題として何を振ろうか

考えていた。先ほど神器を見た時、何やら影があったのは

察していたから、下手に話題を振ると地雷を踏みかねない

と思っていたのだ。

そこへ。

アーシア「そう言えば、セイさんはこの街の生まれなんですか?」

先に彼女の方から話題を振ってきてくれたのに内心

ホッとするセイ。

セイ「いや、この街には高校進学と同時に移住したんです。

   この街に住み始めて2年です」

何とか英語で会話をするセイ。

アーシア「ご家族と暮らしているんですか?」

セイ「いや、家は神奈川、あぁえっと、ここより遠くで。

   俺は一人暮らしです」

アーシア「それでは、家事はセイさん一人で?」

セイ「えぇまぁ」

と、他愛ない雑談を繰り返していると……。

 

   『コンコン』

???「失礼します」

不意にノックが響いて、誰かが入って来た。それは

お盆を持った女性だったのだが……。

アーシア「え?ルオン、さん?」

入って来た女性を見て、そう呟いてしまうアーシア。

 

入って来たシスター服の女性は、ルオンと瓜二つな

顔立ちをしていた。数少ない違いがあるとすれば、

彼女の髪が右ではなく『左側』に跳ねている事だった。

驚くアーシアだがセイには予感が

あった。

セイ「えっと、もしかしてシスター・ルオンの妹さん、

   ですか?」

先ほどの『妹』と言う単語を思い出して聞き返すセイ。

アーシア「えぇ!?」

???「はい。その通りです」

そう言いながら彼女は二人の前のテーブルの上にお茶を

出した。

   「改めまして、私は『シスター・リオン』。

    ルオンは私の双子の姉です」

と言われ、セイとアーシアは驚いたような表情を浮かべた。

   「ふふ、そうですよね。周りからも似ていると

    よく言われます」

二人の反応を見て、リオンは口元に手を当ててから笑みを

漏らした。

 

その後は、少しだけ他愛もない話をしてからセイは教会を

後にしようとした。

セイ「それじゃあ、俺はこれで」

聖堂の入り口前で見送りに来たアーシア、リオンと向かい合う

セイ。

アーシア「はい。あの、セイさん。……その、良かったらまた

     教会にいらしてください。その、何かお話でも

     出来ればいいのですが」

リオン「その時があれば、またお茶でもしながらお話を。

    私と姉も、お待ちしています」

と、少し恥ずかしそうに顔を赤くしながら呟くアーシアと

笑みを浮かべるリオン。

それにセイは……。

セイ「はい。縁があればまた。それじゃあ、失礼します」

笑顔で頷き、頭を下げてからセイは歩き出したのだった。

 

 

そんな帰り道。

  『……あの教会、変な視線がいくつかあったな』

先ほどまでの笑顔とは打って変わり、どこか真剣な表情を

浮かべるセイ。

彼は教会に入り、そして教会を出るその時まで、いくつかの

視線を感じていた。

  『その中でひと際ヤバいのが一個あったが、あれが

   ホントに神に仕える奴の視線か?

   あれはまるで、俺が見て来た『怪人』を見て

感じた時の悪寒と似てる』

彼は、かつて対峙してきた『異形』たちを思い出す。

 

  『奴らにとって、人間なんてゴミか餌、改造人間の

   素体程度にしか思っちゃいない。さも同然のように

   命を奪う。それを躊躇ったりなどしない。

   ……神父の中にそんなヤバい奴が居るのか?

   まさか……』

  「こりゃ、帰ったらすぐさま報告だな」

そう思いながら、彼は学校へと向かうのだった。

 

 

ちなみに、その夜の学校では……。

リアス「二度と教会に近づいちゃダメよ」

イ・セ「「すみません」」

二人揃ってリアスから怒られていた。

リアス「イッセーはまだ悪魔になりたてで仕方ないとは

    言え、セイの方は分かっているでしょう?

    悪魔ではないとは言え、悪魔の関係者ではあるの

    だから教会側から目を付けられる可能性だって

    あるのよ?」

セイ「すみません。……言い訳になってしまいますが、

   どうしても迷っている彼女を放っては置けなくて」

頭を下げつつも、そう呟くセイに、リアスは少しばかり

ため息をついた。

リアス「ハァ。あなたが優しいのは知っているけど、

    お願いだからそれで無茶だけはしないでね?

    あなたも立派なオカルト研究部の部員なんだから」

セイ「はい」

 

と、そこで二人へのお説教は終わった。そこへ。

朱乃「あらあら。お説教は済みました?」

扉を開けて朱乃が入って来た。

リアス「朱乃、どうかしたの?」

朱乃「はい。討伐の依頼が大公から届きました」

と、彼女が真剣な面持ちで呟くとリアスとセイも同じく

真剣な表情を浮かべたが、事態が分かっていないイッセーは

少しばかり首を傾げるのだった。

 

セイ「朱乃さん。相手の潜伏先は?」

そんな中ですぐに朱乃に問うセイ。

朱乃「場所は市街地から離れた郊外にある廃棄された

   洋館です。地図がここに」

そう言って、ポケットから小さい地図を取り出した朱乃は

彼にそれを渡し、セイもそれに素早く目を通した。

セイ「ここ、か。部長」

場所を確認したリアスの方に向き直った。それを見て、

リアスも無言でうなずいた。

  「一度家に帰って装備を持って現場に向かいます」

リアス「わかったわ。今から30分後、洋館にジャンプ

    するわ。その時向こうで落ち合えるかしら?」

セイ「了解ですっ!」

そう叫ぶと、セイは近くのソファに置かれて鞄をひっつかんで

部室を飛び出していった。

 

それを見ていたイッセーは。

イッセー「あ、あの部長。セイの奴どこ行ったんですか?

     それに、討伐って」

リアス「そうね。時間もある事だし、先に説明しておいた

    方が良いでしょう。朱乃」

朱乃「はい」

リアス「祐斗と小猫を呼んでおいて頂戴。その間に私は

    イッセーに色々説明しておくから」

朱乃「はい。わかりました」

と頷くと、部室を後にする朱乃。

リアス「さて、それじゃあ話をしておきましょうか。

    掛けなさい」

イッセー「あ、はい」

執務机に座るリアスと、ソファの一つに座るイッセー。

 

やがて、リアスが語ったのが、『はぐれ悪魔』と言う存在だった。

イッセー「じゃあ、そのはぐれ悪魔が部長の土地、つまり

     この街に逃げ込んだから、部長がそのはぐれ悪魔を

     倒すって事ですか?」

リアス「そうよ」

一通り説明を終えたリアスは、イッセーの言葉に頷くと

時計に目をやった。もうすぐセイが部室を出てから20分以上が

経とうとしていた。

   「そろそろね」

そう言って椅子から立ち上るリアス。そこへ。

朱乃「失礼します」

祐斗たちと一緒に朱乃が入って来た。

リアス「これで揃ったわね。朱乃、ジャンプの用意を」

朱乃「はい」

 

その後、イッセーとリアス達は魔法陣で目的の廃屋近くまで

到着した。

イッセー「あれが……」

リアス「えぇ。はぐれ悪魔が潜んでいる廃屋よ」

着いて早々、そちらに目を向けるイッセー達。その時。

セイ「よぉ、待ってたぜ」

丁度、イッセー達の後ろから声がした。

イッセー「うぉっ!?何だセイ居たのかよ!びっくりさせ――」

振り返ったイッセーだが、彼の言葉はそこで途切れた。

 

セイの姿を見るなり、二度瞬くをしてから、恐る恐ると言った

感じで彼を指さすイッセー。

    「せ、セイ?何だその恰好?」

セイ「ん?あぁそっか。お前にはこの格好見せるのは

   初めてだったな」

という彼の恰好は、全身真っ黒なプロテクタースーツ。

普段携帯している電磁ナイフにDE。更には何やら

メリケンサックの様な武器をいくつもベルトの右側に

引っ掛けていた。

更に、その左手には髑髏が描かれたヘルメットを、

右手にはショットガンを抱えていた。

  「こいつは俺の自作のプロテクタースーツだ。

   ま、大したもんじゃないが気にするな」

イッセー「は!?自作!?つか今更ながらに思うがお前

     銃とかどこで手に入れたんだ!?」

セイ「あぁ、それは部長や恩人経由で」

イッセー「部長!?と言うかお前の恩人って……」

セイ「まぁその辺は追々話すよ。今は……」

そう言いつつ廃屋に目を向けると、セイの表情が

一気に引き締まり、彼は左手で髑髏のマスクを被り、

ショットガンを両手で握る。

 

  「……部長」

リアス「えぇ。行きましょう」

彼女が頷くと、祐斗たちも真剣な表情を浮かべ歩き出す。

戸惑うイッセーだったが……。

セイ「ほれ、行くぞ」

イッセー「あ、あぁ」

セイに背中を叩かれ、彼に続いて最後尾を歩き出した。

 

その後、廃屋の中に入った6人。各々が静かに周囲を警戒する。

セイもショットガンを握る手に力を籠める。その時。

小猫「……血の臭い」

先頭を歩いていた小猫が鼻を腕で覆いながら呟く。

その声に6人は足を止め、祐斗は剣にそっと手を置く。

   『ガシャンッ』

セイもポンプアクションを動かし初弾を送り込み、周囲を

見回す。

その時、イッセーは周囲に満ちた殺意と敵意で体を震わせて

居た。

イッセー「な、なぁセイ。お前、人間なのに怖くないのか?」

セイ「あぁ。育った環境のせいか、こういうのには

   慣れっこでね」

イッセー「お、お前の育った環境って一体……」

と言っていると……。

リアス「イッセー。今日あなたには悪魔の戦闘と言う物を、

    人知を超えた存在との戦いを見てもらうわ。それと、

    後は悪魔の駒の特性も教えておこうかしら」

イッセー「あ、悪魔の駒の、特性、ですか?」

リアス「そうよ。折角だから、悪魔の駒、イーヴィル・ピース

    や悪魔の歴史も教えておきましょうか」

 

そう言うと、リアスや祐斗たちは、悪魔、堕天使、天使陣営の

戦いとその結果、そして悪魔の駒が生み出された理由、

その結果生まれた『レーティングゲーム』の事を説明していた。

イッセー「あの、それで俺の特性って一体」

リアス「そうね、イッセーは」

と言いかけた所で……。

セイ「お取込み中の所すいませんが、奴さん、来たみたいだぜ」

彼が二人の会話を遮り、奥の方へとショットガンの銃口を

向けた。

その時。

???「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?

    甘いのかな?苦いのかな?」

不気味な声と共に、暗がりの中から上半身裸の女性の体が

現れた。

最初、イッセーは女性が浮いているのか?と考えたが、

そうではなかった。

更に暗がりから現れた下半身は、重機並に巨大な四足の

獣の姿をした物だった。

イッセー「あ、あれが!?」

セイ「あぁ。はぐれ悪魔だ」

祐斗「そう。あれが主を裏切った悪魔の末路。力に溺れ、

   醜悪な姿に成り果てた悪魔だよ」

驚くイッセーにセイと祐斗が答える。

そんな中で、一歩、5人より前に出るリアス。

 

リアス「はぐれ悪魔バイサー。主の元を逃げ、己の欲求を満たす

    為に暴れ回る不逞の輩。その罪万死に値するわ」

キッとバイサーを睨みつけるリアス。

   「グレモリー侯爵の名において、あなたを

    吹き飛ばしてあげる!」

バイサー「こざかしい小娘だこと。その赤い髪のように

     あなたの身を鮮血で染めてあげましょうか!」

リアス「雑魚ほど洒落の利いたセリフを吐くものね」

 

その時、突如としてバイサーが自らの胸を揉みだした。

それに興奮を覚えるイッセーだったが……。

イッセー「あれ!?魔法陣じゃね!?」

バイサーの胸に魔法陣が浮かび上がったのに気づいたイッセー。

セイはその言葉を聞くと……。

セイ「おい!ぼさっとするな!」

イッセー「おわっ!?」

隣に居たイッセーの首根っこを掴んで横に飛んだ。

リアス達も各々跳躍し、避ける。次の瞬間。

 

   『ビシュゥッ!』

そこからエネルギーが発射され、彼らの背後にあった壁を

溶かした。

    「た、確かにこりゃ化け物だな」

セイ「そう言うこった。お前は下がってろ」

リアス「祐斗!セイ!」

 

彼女が命令を飛ばすと、祐斗が、イッセーに消えたと思わせる

程の速度で駆けだした。更に……。

   『ドパドパッ!』

セイの手にしたショットガンから、ライフルスラグ弾が発射された。

   『ガキィンガキィンッ!』

それを咄嗟に手にした槍で防ぐバイサー。だが……。

祐斗「はぁっ!」

   『ズバズバッ!』

バイサー「ぎあぁぁぁぁぁぁっ!!」

注意がセイに向いている一瞬の隙を突いて、祐斗がバイサーの

両腕を根本から切り裂き、悲鳴が木霊する。

更に……。

   『ドパドパッ!』

2発、バイサーの胴体にライフルスラグの弾丸が命中する。

バイサー「ぐがっ!貴様ァァァァァァァッ!」

怒り狂ったバイサーは目標をセイに変更し、彼目掛けておっぱいから

溶解液を乱射する。

イッセー「危ないっ!」

咄嗟に叫ぶイッセー。しかしそれはセイにとって分かり切った事。

彼はすぐさまショットガンの構えを解くと走り出した。

溶解液の雨がセイの走り抜けた場所を一拍置いて溶かしていく。

だが、バイサーはその巨体故、旋回性に難があった。故に

走り回るセイを捉える事が出来なかったのだ。

パルクールのように机の下を滑り抜け、椅子を飛び越えながら

走るセイ。そして、彼は崩れかけている柱の根元に滑り込んだ。

 

バイサー「このぉぉぉぉっ!」

その柱目掛けて、溶解液を発射するバイサー。案の定、柱を溶かす。

だが、それはセイの考え通りだった。

次の瞬間。

セイ「うぉぉぉぉぉっ!」

   『バゴォォォンッ!』

彼の気合の叫びと共に、バイサーが溶かしたと反対側で

爆発が起こった。そして、元から不安定だった柱がバイサーの

方に向かって倒れた。

慌てて柱の下敷きにならないように体を横へとずらすバイサー。

   『ズズンッ!!』

盛大な音と共に、倒れた柱がバイサーの後ろの壁にもたれ掛かる。

その柱の方に一瞬だけ気を取られてしまうバイサー。

だが、その時には既に……。

   『ダダダッ!』

バイサー「はっ!?」

不意の足音に気付いて前を向くバイサー。その時、倒れて斜めに

なった柱の上をセイが走っていた。

 

彼女、バイサーは憤りを覚えていた。目の前の黒づくめは、

明らかに悪魔ではない。それは分かる。どう見ても人間だ。

そんな人間が、自分を攻撃し、剰え傷つけている事に

怒りを覚えていたのだ。

バイサー「コノ、人間風情ガァァァァッ!」

最初はまだ美しいと言えた顔を、怪物のように歪ませながら

バイサーは叫び、再び溶解液をセイに向けて放った。

溶解液が柱の上を走るセイに迫る。

 

だが……。

   『ダンッ!』

セイは柱を蹴り、跳躍。溶解液を飛び越えるようにして、

人の形をしたバイサーの上半身目掛けてキックの態勢を作った。

そして……。

セイ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

気合ととともにバイサーの胸部に蹴りを入れた。刹那。

   『バリバリバリッ!』

バイサー「ぎあぁぁぁぁぁぁっ!」

靴底に仕込まれた電撃発生装置がキックと共に作動し、

バイサーを痺れさせた。

 

バイサーの体を蹴って離脱し、着地するセイ。

イッセー「す、すげぇ。セイ、あんなに戦えるのかよ」

彼はただ、友人の戦いぶりに驚嘆していた。

そこへ。

リアス「イッセー、あなたも自分の力と向き合って

    強くなれば今のセイみたいに戦う事なんて

    造作もないわよ」

イッセー「ま、マジっすか!?」

リアス「セイは、確かに強いわ。でもそれは彼が長い間

    鍛錬を続けたから。そして今のイッセーの身体的な

    能力はセイを越えているわ。それを使いこなす事が

    出来れば、あなたは彼以上に強くなれる」

強くなれる。その言葉を聞きながら、イッセーは先ほどまでの

セイの戦いぶりを思い出し、秘かに拳を握りしめるのだった。

 

そして、そうこうしている内に小猫、朱乃と攻撃を仕掛けた

事でバイサーはボロボロになった。のだが……。

朱乃が攻撃していた時。

   『バリバリバリッ!!!』

バイサー「ギァァァァァァァァァッ!」

先ほどのセイのキックを上回る程の雷がバイサーの体を黒焦げに

していく。しかも……。

朱乃「あらあら?まだまだ元気そうですわね。それなら、

   こんなのはどうでしょう!」

   『バリバリバリバリバリッ!』

更に強い雷がバイサーを襲う。

イッセー「な、なぁセイ。朱乃さん。笑ってるよ?笑ってるよ!?

     どういう事!?」

彼女の執拗な攻撃に若干引き気味のイッセー。

その問いかけに、セイは……。

セイ「ハァ。あのなイッセー。朱乃さんはドSなんだよ」

ため息をついてから、一言そう言った。

イッセー「な、成程。ドSか。……って、そんなんで

     納得しろってか!?」

セイ「事実だから仕方ないんだよ」

そう言って、朱乃の方へと目を向ける二人。そこでは……。

朱乃「ふふふふふふっ!」

満面の笑みを浮かべた朱乃がバイサーを蹂躙していた。

 

セイ「まぁ、朱乃さんは味方には優しいからその辺は

   心配するな。……多分」

イッセー「多分って!?多分って何だよ多分って!」

そんなやり取りを見て、笑みを漏らすリアス。

リアス「大丈夫よ。セイの言う通り朱乃は味方にはとても

    優しいから。あなたの事も気に入っているようだし、

    今度甘えてみると良いわ」

イッセー「は、はぁ」

    『甘えると言われても……』

朱乃「うふふふ♪」

イッセー『当分はあの笑顔のせいで無理そうっす部長』

と思うイッセーだった。

 

そして最後は、リアスが自らの能力、『滅びの力』を使って

バイサーを消し飛ばした。これで討伐の依頼は終了した

事になる。

その終わり際、イッセーは自らの特性をリアスに聞いたのだが……。

 

リアス「ポーンよ。イッセーは兵士なの」

 

返って来たのは、将棋で言う歩、ポーンであるという現実だった。

 

その事でがっくりと項垂れるイッセー。だったが。

セイ「ま、気を落とすなよ」

イッセー「セイ」

ヘルメットのガードを上に上げ、素顔を晒しショットガンを肩に

担ぎながらイッセーの肩を叩くセイ。

セイ「どうせお前の事だから、自分が下っ端だって思ってんだろ?」

イッセー「うぐっ!?そ、それは、その……」

図星を当てられ、言い淀むイッセー。それを見たセイは一度息を

ついてからフォローしてやろうと考えた。

 

セイ「なぁイッセー、将棋で言う歩ってのは相手陣地に突っ込むと

   と金になるのは知ってるだろう?」

イッセー「え?そりゃまぁ知ってるけど、でもいきなり  

     何だよ?」

セイ「と金になった歩は王の次に強い金の駒と同じ扱いに

   なる。知ってるか?チェスのポーン、兵士も似たような

   事が出来るんだぜ?」

イッセー「え?」

セイ「チェスのポーンも相手陣地に踏み込むと、似たような事で

   クイーン、ナイト、ビショップ、ルークのどれかに

   成る、まぁ格上げだないわば。そしてこのルールは

   悪魔のレーティングゲームにも採用されてる。つまりだ。 

   お前が敵陣に突入さえすれば、今言った4つの力を

   発動できるようになる。そうすればナイトの速さも、

   ルークのバカ力や防御力が手に入るって寸法だ」

イッセー「そ、そんなシステムがあったのか!」

セイ「そう言う事。まぁつまりだ。自分を弱いって思いこまない

   事だな。……誰だって最初は弱い。けど、だったら

   鍛えりゃ良い」

イッセー「鍛える?」

セイ「おう。俺だって、鍛えに鍛えてここまで戦えるように

   なったんだぜ?」

と言うと、イッセーの肩を叩くセイ。

  「ま、とにかくだ。お前はお前なりに強くなりゃ

   良いんだよ。言ったろ?お前はまだ『研修中』だってな」

そう言って、セイは笑みを浮かべ、イッセーも。

 

イッセー「そっか。そうだな」

そう言って頷いた彼は、頬をパンパンと叩いた。

    「っしゃぁ!やってやるぞぉぉぉぉっ!

     ハーレム王に俺はなる!」

自らの夢を叫び、意気込むイッセーを見てセイは『クックッ』と

笑みをこらえるのだった。

 

しかし、二人はまだ知らなかった。

 

 

一人の少女の命を掛けた激闘が、もう間もなく始まろうと

している事を。

 

     第3話 END

 




作中に出てきた双子のシスターはオリキャラで今後も出てきます。
お楽しみに。
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