ハイスクールD×S~SPIRITSを受け継ぐ者~   作:ユウキ003

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一応捕捉なのですが、ライダー達はフェニックス編かエクスカリバー編
まで出ない予定です。
(加えてどっちからライダーを出すか迷ってます)


第4話 「早すぎる再会」

~~前回までのあらすじ~~

悪魔へと転生したイッセーと、悪魔のリアス達に協力するセイ。

そんな二人はある日、一人のシスターに出会ってしまう。

自らが悪魔、悪魔の関係者である事を理解しつつも

迷っていたシスター、『アーシア・アルジェント』を教会

まで案内するイッセーとセイ。イッセーは拒絶反応から

先にセイが帰し、何とか教会まで彼女を送るセイ。

そんな中でセイは教会に違和感を覚えるのだった。

そして、イッセーははぐれ悪魔との戦いを見て、セイの

強さと自らの特性を知るのだった。

 

 

バイサーとの戦闘から数日後、夜。

セイは一人学生服姿でレブル250を駆り、街を走り回っていた。

それは、彼の勘によるものだった。

セイ『何だ。胸の奥がザワザワと騒めきやがる。

   頭ん中でアラームが鳴りっぱなしだ』

そう思いながら、町中を駆けるレブル。

セイの勘は、はっきり言ってよく当たる。それは、かつて

数多の戦いを見て来て、経験した事で生み出された

天然のレーダーのような物だ。研ぎ澄まされた本能に

よる勘が、今は警鐘を鳴らしていた。それも、最大ボリュームで。

やがてセイはそのレーダーがより強く反応する方向を

見つけ、そちらに向かった。そして……。

 

  「ッ!?あの自転車って!」

角を曲がった時、セイは一軒の家の前にイッセーが使う

自転車がある事に気付いた。更に、その家から異様な

プレッシャーを感じたセイは、すぐさまその家の前に

レブルを停車させヘルメットを取ると、後ろのケースに

入れていた鞄から更に電磁ナイフとDE、特殊な

ナックルダスターを取り出して装備した。

ホルスターを装備し、予備のマガジンを取り出し、一本を

DEに装填し、スライドを引いて初弾を送り込んだ

セイはすぐさま駆け出した。

鍵の掛かっていないドアを開け、土足のまま中に飛び込むセイ。

そして、彼は僅かに光の漏れる扉を見つけ飛び込んだ。

 

  「イッセー!!!」

ドアを蹴り開け、中に飛び込んだセイが見たのは……。

???「あぁ?」

イッセー「せ、セイ!?」

銀髪の、銃を構えた神父に、足を撃ち抜かれたイッセー。

更に、この家の家主と思われる人物の変死体。

それを見た瞬間、セイは誰が何をしてイッセーがどういう

状況なのか、この場の敵は誰なのかを一瞬で理解した。

 

セイ「貴様かっ!!」

   『ガチャッ!ドンドンッ!』

???「おぉっと!?」

すぐさまセイはDEを連射するが、神父はバックステップで

銃弾を回避した。しかしその隙にイッセーを庇うように

神父と向き合い、DEを構えるセイ。

セイ「イッセー!無事、ってわけじゃなさそうだが、

   大丈夫か!?」

イッセー「痛っつ。あ、あぁ。イテェが、何とか」

 

ひとまずイッセーが無事な事に安堵するセイ。

しかし、彼はすぐさま意識を前の神父に向けた。

???「おんやぁ~?可笑しいざんすね~?

    な~んで人払いの結界があるのに、人がぁ?」

セイを見るなり、神父が疑問符を浮かべる。

   「まぁ、おたくはどう見てもかたぎの人間じゃ

    無さそうっすけどねぇ?」

セイの握るDEと腰元のナイフを見て笑みを

浮かべる神父。

セイ『あの笑い方。反吐が出る程見て来たぜ』

  「……そこの変死体、ここの家主だろ?テメェが

   やったのか?」

???「うん?そう、そうそうそう!そうでありんす!

    この家に住む悪魔崇拝者のゴミを!この

    天才エクソシストの『フリード・セルゼン』様が

    綺麗さっぱり取り除いてあげたんですよ!

    ね!僕ちゃん偉いでしょ~!」

   『ギリッ!』

目の前の神父、フリードの言い分にセイは奥歯を噛みしめる。

しかし、彼の頭の中がすぐにクールになる。

戦場は、頭に血が上った状態で勝てる程生易しいもんじゃない。

それこそが、セイの経験から言える結論だ。

セイ「……っざけんな……!」

ゆったりとした動きで、セイの左手が電磁ナイフを逆手で

引き抜く。

フリード「あぁ?んだとテメェ」

セイの言葉に、フリードの表情が歪みセイを睨みつけるが、

その程度で怯む程セイは弱くはない。

セイ「テメェだけは許さねぇ。何より、危険だ。

   ここで排除する」

フリード「あぁぁぁぁっ!?何言ってくれちゃってんの

     かなぁぁっ!排除する?出来る訳ないだろうが!

     この天才フリード様に勝てる訳!」

 

しかし、次の瞬間セイはフリードの言葉が途切れるのを

待つことなく懐に飛び込んだ。

    「ッ!」

驚きで一瞬反応が遅れる中、セイは左手のナイフを下から

斬りあげる。

それを寸での所で回避するフリード。

    「あっぶねぇなぁ!この野郎っ!」

カウンターの蹴りを放つが、セイはそれを喰らう前に

バックステップで離れる。刹那。

   『『ジャギッ!』』

二人が手にしていた拳銃を相手の頭に突き付ける。

 

    「へっ!」

セイ「……」

そのまま、数秒にらみ合う二人。二人とも、冷や汗を

流しながら静かに引き金に掛けた指を動かし……。

 

と、その時。

 

アーシア「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

不意に悲鳴が響き、向かい合っていた二人の集中力が

一瞬途切れる。そして、先に集中を戻したのはセイの方だった。

セイ「るぁっ!」

一瞬の隙をついてフリードの銃を、ナイフを握ったままの

左手で殴り飛ばすセイ。

フリード「ちぃっ!?」

それに舌打ちしながらフリードは光の剣を取り出しつつバック

ステップで距離を取る。

対してセイもフリードを警戒しながら悲鳴がした方を

向く。

 

そこに立っていたのは、先日イッセーとセイが出会った

少女。アーシアだった。

イッセー「あ、アーシア。何で……」

理解が追い付かないイッセーが呟くと、アーシアが

ゆっくりと視線をイッセーに、そしてセイに向ける。

アーシア「い、イッセー、さん?それに、セイ、さん?」

彼女の方も理解が追い付いていないのか、体を震わせながら

驚愕の表情を浮かべていた。

 

そして更に彼女は無残な死体を再度見て、『ひっ』と短く

悲鳴を漏らす。

    「こ、これは、一体。どうして、お二人が、

     ここ、に」

恐怖から呂律が回らないアーシア。

フリード「あぁそうだしたね~シスターアーシアァ。

     あなたはこういうのを見るの初めての

     経験でしたねぇ。こ・れ・が~。

     悪魔に憑りつかれた人間の最期

     なのですよ~」

アーシア「そんなっ!?どうしてですかフリード神父!

     どうしてあんなひどい事を!?」

フリード「酷い?な~にを言ってるのかなぁシスター

     アーシア。奴らは悪魔に魂を売ったクズ。

     それをお掃除するのがエクソシストの役目じゃ

     あ~りませんかぁ?それこそが、俺達が神から

     与えられた使命なのですからぁ~」

その言葉に、再びセイはギリッと奥歯を噛みしめる。

セイ「何が掃除だ!」

フリード「あぁ?んだとテメェ」

セイ「所詮貴様のやりたい事は虐殺!何がエクソシストだ!

   テメェは唯の戦争屋、ウォーモンガーに過ぎねぇ

   だろうがっ!!!思っても居ねえ事吐いて

   んじゃねよバトルジャンキーがっ!」

イッセー「せ、セイ」

その時、イッセーは初めて、友人になってから初めて見せる

セイの激怒した姿に驚きを浮かべるのだった。

    『お前、怖くねえのかよセイ。こんな状況

     なのに。その銃弾だって、お前に当たれば

     死ぬかもしれないのに。お前は、やっぱり、

     俺なんかより……』

 

普段からイッセーは松田達と共に、怒られる事をしていた。

それをセイに咎められた事もある。けれども、これほどまでの

怒りを浮かべる事は無かった。

イッセーの方から僅かに見えるセイの瞳の奥には、怒りが

灯っていた。そして、こんな状況でも恐怖よりも先に

怒りが前に出てくるセイの背中を見て、イッセーはふと、

彼と自分の違いを、場数の違いを認識するのだった。

 

フリード「悪魔に協力する奴が、聖職者に説教なんて

     垂れてんじゃねよ!!」

セイ「はっ!テメェのどこが聖職者だよ!戦争狂いの

   リアルデーモンがよぉっ!」

フリード「あぁぁぁっ!?俺をクソ悪魔と一緒にすんじゃ

     ねぇよ!こうなったら、まずテメェから殺して

     やるよ!一瞬では殺さねぇ!腕の指、足の指、

     腕や足、体全部細切れにして、ゆっくり殺してやるよ!」

セイ「やれるもんなら、やってみなぁっ!!」

フリード「上等っ!!」

 

フリードが一歩を踏み出そうとする。セイもDEの照準を

合わせようとする。だが……。

アーシア「おやめくださいっ!」

不意にセイやイッセーを庇うようにアーシアが間に割って入り、

これにはフリードも予想外だったのか足を止め、セイも慌てて

DEの銃身を上げる。

    「おやめくださいフリード神父!」

フリード「はぁぁぁぁぁっ!?このクソシスター何やってんの!

     邪魔!すっげぇ邪魔!って言うかお前自分が

     何してんのか分かってんのかいなっ!?」

アーシア「お願いです!どうか、どうか二人を見逃して

     あげてください!」

フリード「見逃すっ!?バカかよテメェ!相手は悪魔、

     クソ悪魔とその協力者なんざんすよ!

     Understand!?ましてや俺達は堕天使の旦那の

     加護が無けりゃ生きてもいけねぇ半端もん!

     そこしっかり理解してますかぁ!?」

セイ『堕天使だと?』 

アーシア「確かに、イッセーさんは、悪魔で、セイさんは

     その協力者かもしれません。でも、でも二人は

     とっても優しくて、いい人です!だから!」

フリード「っるせぇ!」

その時、アーシアの言葉を遮るようにフリードが

光剣を掲げる。

 

セイ「アーシアッ!」

それに気づいたセイが彼女の肩を引いてアーシアの体を

後ろへと押し、自分と位置を入れ替えさせる。

フリード「死ねやぁっ!」

セイ「くっ!!」

振り下ろされる光剣。しかし、セイはそれを何とか

左手の電磁ナイフで受け止める。

 

電磁ナイフと光剣の間でバチバチとスパークが散る。

フリード「何ッ!?こいつ唯のナイフじゃ!」

セイ「その通りだよっ!こいつは、俺の恩人が作った

   最強のナイフだ!」

そう言って、フリードを蹴って距離を取るセイ。

イッセー「くっ、セイ」

その時、何とか壁に手を突きながらも立ち上がろうと

しているイッセー。

それを見たセイは……。

 

セイ「イッセー!お前にはまだ覚悟とかを求めちゃ

   居ねぇが、お前は自分を庇ってくれた女の子を

   守ろうって思うかっ!?」

その言葉を聞くと、イッセーは……。

イッセー「そんなの、あるに……。決まってんだろうがぁぁぁっ!」

ギュッと、壁についた手を握りしめながら、叫び、立ち上がる。

 

そしてさらに、イッセーの左手に赤い籠手が現れる。

    『俺だって、俺だって戦えるんだ!俺一人じゃ

     無いなら!セイが、仲間が居てくれるなら!

     それに何より……』

    「恩人の女の子置いて逃げられるかぁぁぁぁっ!」

アーシア「イッセーさん、セイさん」

自らを鼓舞するように叫び、拳を握りしめてファイティング

ポーズを取るイッセー。

そして、アーシアはそんな二人の背中を見つめている。

    『怖い。怖いけど、ここで逃げたら後悔する!

     だからっ!俺は逃げない!セイだっているんだ!

     こんな所で、逃げてたまるかっ!!』

イッセー自身も、内なる炎を燃やして立ち上がり、構える。

 

フリード「はっ!やる気?やる気ですかい?!良いですねぇ

     良いですねぇ!殺し甲斐があるってもんだぜぇ!」

そう言って、フリードが光剣を両手で握り直す。

DEを片手で構えながら、電磁ナイフを前に向けるセイ。

アーシアを右手で庇いながら、左手を握りしめるイッセー。

 

そして、フリードが踏み込もうとしたその時。

   『カッ!』

不意に床から光が漏れだした。

イッセー「な、なんだ!?」

フリード「何事!?」

二人が一瞬のことで状況が理解できない中、セイが

一人口角をつり上げ、笑みを浮かべる。そして……。

 

   『ダッ!』

    「あぶねっ!?」

光がやがて魔法陣になり、そこから飛び出して来た何かが

フリードに切りかかった。それを光剣で防ぐフリード。

その何かの正体と言うのが……。

 

祐斗「お待たせ兵藤君、セイ君。助けに来たよ」

剣を携えた祐斗だった。更に魔法陣を通って、朱乃、

小猫、リアスが現れる。

フリード「お~お~お~~!悪魔の団体様いらっしゃ~い!

     良いねいいねぇ!より取り見取りだぁ!」

下品な笑みを浮かべるフリード。それに対しリアスや

祐斗たちが密に顔をしかめる。

 

セイ「木場!」

彼の声に、祐斗が一瞬振り返る。

  「そいつは危険だ!仕留めるぞ!」

祐斗「ふっ。……言われずとも!ハァッ!」

フリード「うぉっと!」

鍔迫り合いをしていた剣を振ってフリードと距離を取る祐斗。

そこに……。

セイ「……ッ!」

   『ドンドンッ!』

彼のDEが火を噴く。

フリード「あらよっと!」

しかしそれをフリードは転がりながら家具を盾にして防ぎ、

すぐさま立ち上がって光剣を構える。

 

同じように剣を構える祐斗と、彼の隣でDEと電磁ナイフを

手にしたまま構えを取るセイ。

その光景にイッセーは半ば呆然としつつ二人の、特にセイの背中を

見つめていた。

だが……。

朱乃「ッ!」

不意に朱乃が何かに気付いて周囲を見回してから、リアスの

傍による。

  「部長、堕天使の反応が一つ。こちらに接近中です。

   加えて、周囲にはぐれ神父らしき気配が近づいて

   来ています」

その言葉に、一瞬眉を動かしてからフリードを睨みつける

リアス。

フリード「へへ~ん。こういうの、形勢逆転って言うんじゃ

     ないかな~!」

その言葉に、祐斗とセイが奥歯を噛みしめる。

リアス「……やむを得ないわね。朱乃、ジャンプの用意を。

    イッセーを回収して本拠地へ戻るわ」

イッセー「なっ!?」

    『それってつまり、逃げるのか!?だったら!』

    「部長!あの子も!アーシアも一緒に!」

彼女の事に気付き、そう叫ぶイッセー。しかし現実は

残酷だ。

リアス「ダメよ。魔法陣でジャンプできるのは私の

    眷属か特殊なお守りを持つものだけなの。

諦めて」

イッセー「そ、そんな……!」

    

    『置いてけって言うのか!自分を庇ってくれた

     女の子を、あんな奴と一緒に!』

やるせなさから、拳をギュッと握りしめるイッセー。

だが……。

 

セイ「……任せろイッセー」

イッセー「え?」

不意に、彼の耳に力強い声が届く。

セイ「今の俺はそのお守り忘れちまったみたいでな。

どの道俺は魔法陣でジャンプ出来ねぇからな。

   外にはレブルだって止めてある。アーシアの事は

   任せろ」

イッセー「セイ……」

フリード「はぁぁぁぁっ!?な~に言っちゃってんだよ

     このクソがぁっ!逃がすわけねぇだろうがぁっ!」

その時、フリードが光剣を構えセイに向かって跳躍した。

祐斗「ッ!?セイ君!」

咄嗟に叫ぶ祐斗。しかし、セイ自身は何ら恐れても、

臆しても居ない。

フリード「死ねやぁぁぁぁぁぁっ!」

 

光剣を振り下ろすフリード。だが……。

   『ガキィィィィンッ!』

セイの左手の逆手に持った電磁ナイフが光剣を防ぐ。

フリードはそのまま、上からの圧力でセイを押し倒して

マウントを取ろうと考えていた。だが……。

   『ジャギッ!』

体の後ろに隠されていた彼の右手には、あの特殊な

ナックルダスターが握られていた。

フリード「ッ!?」

今のフリードは体が宙に浮いており、回避は出来ない。

そこへ……。

 

セイ「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

叫びと共に繰り出される拳。

    『ドゴォォォッ!』

ナックルダスターに覆われた右こぶしがフリードの腹部に

突き刺さる。だが、それだけではない。次の瞬間。

    『バリバリバリッ!』

フリード「あばばばばばばばばばっ!!!!!!」

ナックルダスターに仕込まれていた電撃発生装置が

動き出し、フリードの体を感電させる。

 

そして、電撃装置が止まると、フリードは体中から

煙を出しながらその場に倒れた。

イッセー「す、すげぇ……!」

 

そして、イッセーはセイの一撃、気迫の籠った強烈な

一撃を前にして、鳥肌を立てていた。

    『俺も、俺もなれるのか。あんな風に……!』

内心、彼の強さへの憧れにも似た感情が生まれつつある

イッセー。しかし事態はその余韻に浸る事を許さなかった。

 

セイ「部長。部長たちは魔法陣で拠点に戻ってください。

   俺は、陸路で合流します」

リアス「……彼女は私達から見れば敵よ。それでも助けるの?」

セイ「分かっています。ですが、アーシアは俺とイッセーの

   『友人』です」

アーシア「ッ」

セイの言う言葉に、一瞬だけ目を見開くアーシア。

 

セイ「それに何より、男として彼女をこのままに

   しておくわけには行きません」

  『あの人たちだって、きっと同じことをしたはずだ。

   目の前の命を助ける事に、いつでも全力だった

   『あの人たち』なら』

セイの決意が籠った言葉と瞳を前にリアスは……。

 

リアス「……わかったわ。学園で待ってる。彼女を

    連れてきなさい」

イッセー「部長!」

彼女の言葉に、驚いてからうれし涙を浮かべるイッセー。

 

そして、そんな彼らの足元に魔法陣が出現する。

    「セイ!アーシアの事、頼んだぞ!」

セイ「あぁ!任せろ!すぐに俺も学園に行く!」

そう言って、セイは右手でサムズアップをし、

イッセーもそれに気づいて同じように右手で

サムズアップを返す。

そして、それを合図にするかのようにイッセー達は

魔法陣で転移していった。

 

それを見送ったセイはアーシアの方に向き直った。

セイ「そう言うわけだ。ここは危険だから、行こう」

そう言って右手を差し出すセイ。しかしアーシアはそれを

取る事を躊躇った。

アーシア「あ、あの。やっぱり、私は……ダメです。

     セイさんや、イッセーさんにいっぱい迷惑を

     かけてしまいます。だから……」

そう言って、自らの胸の前で両手を握りしめ、

俯くアーシア。

 

だが……。

セイ「関係無いよ。俺には」

そう言って否定し、アーシアの手に自分の手を重ねるセイ。

それによって、俯いていたアーシアの顔が上がる。

  「俺は悪魔側の協力者だけど、それでも目の前で

   困っている誰かを見捨てる事なんて出来ない。

   その人が泣いているのなら、尚更な」

そう言って笑みを浮かべるセイの前では、アーシアが

密に、その目に涙をためていた。

 

このまま戻れば、何があるか分からない。

その恐怖に怯えているアーシアを見たセイにとって、

彼女に手を差し出さない理由はもう無い。

 

かつて、彼が同じように、力強い腕に助けられたように。

 

  「さぁ行こう!」

アーシア「ッ、はい!」

彼の言葉に頷き、アーシアは彼に手を引かれるまま

外に出た。

すぐさまレブルに跨り、自分が被って来たヘルメットを

アーシアに渡して被らせるセイ。

    「あ、あの!セイさんヘルメットは?」

セイ「すまん。それしか持ち合わせが無いんだ。

   ノーヘルはダメだが、緊急時だからな」

そう言いつつ、アーシアの手を引いて彼女を

何とか自分の後ろに跨らせるセイ。

その時、彼の目がレブルの後方。少し離れた路地から

一台の黒いバンが現れるのをサイドミラー越しに

見つけた。そして、そのバンを見た瞬間、彼の中の

アラームが最大ボリュームで鳴り響く。

 

セイ『来たっ!?あれがそうか!』

  「アーシア!しっかり掴まってろ!飛ばすぞ!」

アーシア「え?」

   『ヴォォンッ!』

    「きゃぁっ!」

彼女が答える前にレブルを発進させるセイ。それによって

アーシアが短く悲鳴を漏らした。

 

すると、先ほどのバンが急加速してレブルを

追って来た。

セイ『ちっ!?やっぱあれにはぐれ神父共が乗ってるのか!?』

内心、毒づきながらもレブルを走らせるセイ。

  『追って来るなら来やがれ!免許を取ってから数年、

   俺がどれだけバイクテクを磨いてきたのか、教えてやる!』

   『ヴォォォォォンッ!』

しかし、それでもセイは内心笑みを浮かべてからレブルを更に

加速させる。

 

住宅地のメリット、交差点の多さを利用してジグザグに走る

レブル。しかしバンの方は外壁に車の車体が当たろうが

お構い無しに向かって来る。

  「ちっ!?」

  『何なんだよこのしつこさ!それだけアーシアが

   あいつらにとって貴重って事なのか!?』

内心、はぐれ神父のしつこさに驚きつつもレブルを駆るセイ。

 

   『ヴォォォンッ!』

そして、レブルが住宅街を抜けて少し広めの道路に出た時。

  「ッ!?」

彼の進行方向を、数台のバンが横に並んで進行を拒んでいた。

そのバンを避けるには、その少し手前にある路地を左に

行くしかないが、セイはパトロールの一環としてこの街の

大よその道を頭に叩き込んでいた。だからこそ、そこを

曲がった先にあるのは通行止めの壁。

つまり、デッドエンドである。

 

  『くっ!?あそこは曲がれない!どうする!?』

素早く目を走らせるセイ。

  『ッ!あれだ!』

そして彼はバンの壁の少し手前にある、乗用車に

目を付けた。周囲に人払いの結界をしてあるのか、

人影はない。しかしそれはセイにとって好都合だった。

  『やるしかねぇ!一か八か!』

  「アーシア!しっかり掴まってろ!

   かなり無茶するぞ!」

アーシア「え、えぇ!?何ですか!?」

この時のセイは、日本語であったが為にアーシアに

意図が伝わっていなかった。それに気づいたセイは……。

セイ「Be caught!(掴まれ!)」

もう一度英語で叫ぶ。そして、それに気づいたアーシアが

セイの腹部に腕を回し、それをギュッと掴む。

 

そして……。

  「行っけぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

   『ヴォォォォォォォォォォッ!!!』

限界までスロットルを捻ったセイ。レブルが

さらに加速し、乗用車のボンネット目掛けて突進していく。

そして……。

 

  「上がれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

腕に力を入れ、車体を持ち上げるセイ。そして……。

   『バガンッ!!!』

盛大な音と共に、レブルの車体が宙へと飛んだ。

レブルがバンの壁を飛び越える。

  「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

   『ガッ!』

セイが叫びながら車体をコントロールし、何とか着地する。

   『ギャルルルルルッ!!!』

  「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

そして後輪から白煙を上らせつつ包囲網を突破した

セイのレブルはアーシアを連れて夜の市街地を疾走していく。

 

 

一方、夜の教会では………。

追撃部隊の事で連絡を受けていた男、ドーナシークが居た。

ドーナシーク「そうか。……今は良い。戻れ」

そう言って、電話を切るドーナシーク。

      「ちっ。使えん人間どもめ。……まぁ良い。

       あの女が生きているのなら、また奪えば

       良いだけの事。……見ていろ、私は必ず

       より高位の高みへと登って見せる……!」

そう言って、ドーナシークは近くの机の上に置かれていた

アーシアの写真に、まるで道具を見るような目を向けるのだった。

 

 

戻ってセイとアーシア。

セイ『……。もう追ってこないか』

バックミラーで仕切りに背後を確認しつつ、念のため

行先を悟られないように、少し遠回りで学園へと向かうセイ。

やがてセイは、学校の裏門へと近づく。すると門が自動的に

開いて、彼らを迎える。

セイは旧校舎の林の近くまでレブルで行き、そこに停車すると

エンジンを止めた。

アーシア「あ、あの。セイさん。ここは一体?」

ヘルメットを取り、彼の手を借りながらもレブルから

降りるアーシア。

セイ「ここは俺やイッセーの先輩が在籍する学校だ。

   さっきの赤髪の人、覚えてるだろう?

   これからあの人やイッセーの所に行く」

アーシア「その方って、悪魔、なんですよね?」

どうやら、敵である悪魔側の領地に居る事に不安を

覚えているのか、ギュッと両手を握りしめるアーシア。

それを見たセイが……。

セイ「心配するな。もしもの時は、俺やイッセーが守る」

そう言って、彼女の頭を撫でた。撫でられた事で

顔を赤くするアーシア。

 

その後、彼女を連れてオカ研の部室へと行くセイ。

   『コンコン』

  「部長、俺です。アーシアを連れて戻りました」

リアス「……入りなさい」

静かに、しかしいつもの優しい声色とは違う緊張と

警戒を含んだ声に、セイは内心冷や汗をかきながら

扉を開ける。

 

執務机に座っているリアスと、ソファに座るイッセーや

祐斗、小猫。朱乃はイッセーの前に屈みこんで腿の

銃創の治療をしていた。

イッセー「ッ!アーシア!ってっ!?」

そして、イッセーはアーシアが入って来たのに気付いて

立ち上がるが、すぐに痛みで倒れそうになる。そこへ。

   『トサッ』

セイ「無理すんなよ。まずは怪我を直せっての」

倒れそうになるイッセーの肩に手をやって助けるセイ。

イッセー「わ、悪いセイ」

セイ「気にすんなよ。当然の事をしてるだけさ」

そう言って、イッセーに肩を貸しながら彼をソファに

座らせるセイ。

  「傷の方はどうだ?」

朱乃「幸い致命傷にはなっていませんが、やはり悪魔に

   とっての光は毒。治癒には時間がかかりそうです」

傷の具合を聞くセイに、朱乃が答える。

 

と、その時。

アーシア「あ、あの!」

不意にアーシアが声を上げ、他の面々の注目を集めた。

    「私にイッセーさんの治療をさせてください!

     私には、人も悪魔も癒せる力があるんです!」

と言うが、リアス達は困ったような表情を浮かべた。

しかし……。

    「お願いします!それに、大丈夫です!

     私には、その、そう言う、経験が……」

セイ『経験?』

次第に小さくなるアーシアの声の中で、経験と言う単語が

引っかかるセイ。やがて彼は数秒考えてから……

  「部長。イッセーの治癒、アーシアにやらせてあげて

   貰えませんか?」

リアス「……何故そう思うの?」

セイ「アーシアには治癒の力があります。それを俺と

   イッセーが見た事があります。お願いします」

そう言って頭を下げるセイ。

リアス「……わかったわ。但し、少しでも変な動きを

    した場合は、容赦しないわ」

そう言って、静かに鋭い視線をアーシアに向けるリアス。

アーシア「は、はい!」

しかしアーシアは臆することなく、朱乃と場所を

入れ替わって、彼女の神器である、

『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の力が

発動。彼女の手から緑色の淡い光がイッセーの傷を

治していく。

 

そして、数分もすればイッセーの腿に空いていた傷を

完全にふさいでしまった。

これには祐斗たちも、何より先ほどまで負傷していた

イッセーも驚いている様子だった。

セイ「イッセー、どうだ?痛みは?」

イッセー「あ、えっと。殆ど、って言うか全然無い」

彼の問いかけに、驚いて少し呆けてからも足を動かして

答えるイッセー。

アーシア「私の力は、どんな種族でも癒してしまう治癒の力です。

     ただ、治癒は出来ても失った体力を癒す事は出来ません。

     そこだけは気を付けてください」

イッセー「あ、あぁ。ありがとうなアーシア」

 

そして、それから数分後。リアス達は目下の課題である

アーシアの処遇への件についての話し合いを始めた。

リアス「さて、イッセー、セイ。よく聞いて。さっき

    イッセーにはセイが戻ってくるまでにはぐれ

    エクソシストの事を話したけど、彼女と

    私達では水と油。相容れない存在よ。あなた達

    には酷な話でしょうけど、彼女をここに

    置いておく事は出来ないわ」

イッセー「そんなっ!?」

驚き、叫んでからアーシアの方を見るイッセー。やがて……。

    「だったら!俺の家で何とかします!親だって

     俺が説得して……!」

リアス「説得して、どうするの?彼女があなたの家にいる

    限り、あなたのご家族にだって危険が及ぶのよ?」

イッセー「ッ!!」

その言葉を聞いた時、イッセーの脳裏に両親の顔。そして、

さっき見た変死体の姿が思い浮かんでしまった。

リアス「……残念だけど、今の私達では彼女を保護する

    術はないわ」

机に肘をつき、指先を組み合わせての彼女の言葉に、

俯くイッセー。

 

しかし……。

セイ「彼女をかくまう『あて』ならあります」

静かに呟いたセイに、他の面々の視線が集まる。

  「俺の育ての親とも言える人が神奈川に住んでます。

   アーシア一人くらいなら養えるかもしれません」

リアス「……聞いていたのセイ?彼女がそこに居るだけで

    堕天使が襲って来るかもしれないのよ?」

セイ「判ってます。ですがあそこには、並みの堕天使程度

   歯牙にもかけない位の、強者が居るんですよ」

 

そう言っているセイの脳裏に浮かぶのは、胸にSの文字を

持つ、赤い体に白いマフラー、カブトムシを思わせる

体を持った、英雄の一人の後ろ姿だった。

 

  「あの人なら、堕天使に何か絶対負けません」

確信の籠った目で、リアス達を見るセイ。

それだけの自信と信頼が、彼にはあったのだ。

  「危険だと仰るのは十分承知しています。ですが……。

   俺はアーシアの友人として、一人の男として、

   彼女を見捨てることはできません。

   リスクは承知の上です。それでも、俺は簡単に

   諦めたくありません」

決意の籠った瞳でリアスと対峙するセイ。

そして……。

 

リアス「ハァ。わかったわ」

そう言って、リアスの方が先に折れた。

   「それで、どうするの?」

セイ「今日の内に連絡を取ってみます。まずは

   そこからです」

リアス「そう。……それまで彼女はどうするの?」

セイ「本人の許可次第ですが、出来れば俺の家で

   匿うつもりです。俺は一人暮らしですから、

   そっち方面では迷惑は掛かりません。アーシア、

   どうする?」

アーシア「あ、えっと、良い、んですか?」

セイ「あぁ」

 

アーシア「そ、それじゃあ……。お世話になります」

そう言って彼女が頭を下げ、今後の目的は決まった。

 

その後、セイとアーシアはレブルでセイのマンションへと

戻る事になった。

そして部室を出る時。

リアス「セイ。これを」

一枚のお守りのような物を差し出すリアス。

セイ「これは?」

リアス「悪魔の言語翻訳の力を持ったお守りよ。彼女との

    意思疎通を考えると不便でしょう?」

セイ「ありがとうございます」

礼を言って、それを受け取りポケットにしまうセイ。

  「それじゃ、行くぞアーシア」

アーシア「は、はい!って、セイさん言葉が……」

セイ「今貰ったお守りの力だ。行くぞ」

アーシア「はいっ!」

 

そう言って二人は部室を出て行く。そして二人は

再びレブルに跨ってマンションへと戻って行った。

 

 

数十分後。念のため迂回してマンションに戻ったセイは

レブルを駐車場に止めてブルーシートを掛け、周囲を

警戒しながら自室へと戻った。

鍵を使ってドアを開けて中に入るセイ。

セイ「上がってくれ。自分の家、とまでは言わないが

   くつろいでくれ」

アーシア「は、はい!お邪魔します!」

内心、初めての部屋にキョロキョロしつつリビングへと

付いてくるアーシア。

セイはリビングに制服の上着、鞄を置くと時計に

目を向けた。

セイ「もうこんな時間か。アーシア、シャワーでも

   浴びてくるか?あんな後だし、汗かいただろう?」

アーシア「え!?で、でもそう言うのはセイさんが先の

     方が……」

セイ「良いよ。こういうのはレディーファーストだ。

   あ。後夕飯だけど、アーシアもう食べた後か?」

アーシア「あ、いえ。私お夕食はまだ――」

   『キュゥゥゥ……』

彼女の言葉を遮るように、アーシアのお腹が可愛い悲鳴を

漏らしてしまう。

    「はぅぅぅ……」

お腹を押さえながら顔を真っ赤にするアーシア。それを

聞いてクスクスと笑みを浮かべるセイ。

セイ「まだみたいだな。じゃあシャワーで汗を流して

   来ると良いぜ。俺は何か夜食を作ってるから」

アーシア「な、何から何まですみません」

セイ「良いの良いの。気にすんなって」

 

その後、アーシアはセイに案内されてお風呂でシャワーを

使い汗を流した後、彼が用意した黒地に金のラインが

入ったジャージを着てリビングに戻って来た。

アーシア「セイさん、お風呂使い終わりました」

セイ「そうか。っと、悪いな、そんなデカいジャージ

   しかなくて。生憎男の独り身だから女性に

   貸すような服が無くてな」

アーシア「いえ。大丈夫です」

そう言って、リビングにあるテーブルの前に

敷かれた座布団の上に座って待つアーシア。

 

セイ「さぁどうぞ」

やがて、しばらくするとセイがオムライスの乗った

皿を二つ、持ってきて片方をアーシアの前に置いて、

もう片方を持ちながらアーシアの反対側に置いた。

  「素人のだから味はあんまり保証できないが、

   まぁ食ってくれ」

アーシア「はい」

セイ「頂きます」

アーシア「あ、えっと、イタダキマス」

手を合わせるセイと、それを見て真似るアーシア。

 

スプーンでオムライスを掬い、口に運ぶアーシア。

   『パクッ』

    「んっ!」

そして食べるなり、少しばかり驚いた表情を浮かべる

アーシア。

    「セイさん!すっごく美味しいです!」

セイ「そうか?そいつは何よりだ」

そう言って、彼も笑みを浮かべながら食事をする。

 

その後、食べ終わった食器を片付けてから、リビングに

あったテーブルを退かして来客用の布団などを並べている

セイ。そんな様子を見ていたアーシアだが、不意に彼女の

目が隅にあった仏壇へと向いた。

アーシア『これって……』

彼女の目は、幼き日のセイらしき少年と、彼と一緒に居る

一組の、夫婦らしき男女が映っている写真に向いていた。

    「あの、セイさん。これは一体何ですか?」

セイ「ん?あぁ。それは仏壇だよ。死者を祭る祭壇みたいな

   物だ」

アーシア「え?でも、この写真って……」

 

セイ「……俺の両親だよ」

アーシア「え!?」

静かに答えるセイと、驚き目を見開くアーシア。

    「で、でも確かセイさんは独り暮らしでお父様から

     仕送りをしてもらっていると……」

セイ「……養父なんだよ。その人」

彼女の方を向かず、布団を準備しながらも淡々と語るセイ。

アーシア「義理の、お父様なんですか?」

セイ「あぁ。俺の旧姓、古い苗字は橘。滝って苗字は、

   養父の苗字なんだよ」

アーシア「ご、ごめんなさい。私、知りもしないで

     色々と」

そう言って頭を下げるアーシア。そこへ。

セイ「気にすんな」

彼はゆっくりと近づき、アーシアの頭を撫でた。

  「もう10年も前の事だ。それに、俺が自分で

   話しただけの事だ。気にするな」

アーシア「セイさん。……ありがとう、ございます」

 

セイ「あぁ。……今日はもう遅い。飯も食った事だし、

   アーシアはもう休んだ方が良い。何かあったら

   さっき教えた俺の部屋に来てくれ。それじゃあ、

   お休み」

アーシア「は、はい。おやすみなさい」

ペコリと頭を下げるアーシアを見てから、セイは自室に

戻って行った。

 

そして、スマホを取り出しある番号に掛けるセイ。

少しして……。

   『プルルルッ、ガチャッ』

???『はい、もしもし?』

セイ「夜分にすみませんおやっさん。俺です。セイです」

電話に出た相手、それはセイや彼が英雄と慕う男たちからも

『おやっさん』と言われ慕われている男性、『立花藤兵衛』だった。

藤兵衛『おぉ、その声セイか?どうしたこんな夜中に』

セイ「……実は、お願いしたい事がありまして」

藤兵衛『……何があった?』

セイの意思が籠った言葉に、何かあると感じた藤兵衛が

同じように、確かめるような声色になる。

 

その後、アーシアの事を話したセイ。

   『そうか、その子は堕天使に』

セイ「はい。……今の俺では、彼女を守り切る事は出来ません。

   しかし彼女に別の行く当てがあるとも思えません。

   そして何より、生半可な場所では堕天使に狙われても

   守り切れる確証はありません。……無茶なお願いなのは

   十分承知しています!ですが、『茂の兄貴』が居るそこ

   なら……!そう思って、連絡させてもらいました」

藤兵衛『そうか』

 

しばらくの間、二人の間に沈黙が流れる。やがて……。

   『……わかった』

セイ「ッ!おやっさん!」

藤兵衛『行く当てのない子を、世間に放りだすわけにも

    行かんだろう。茂には俺から話をしておく。

    週末にでも、家につれて来い』

セイ「はいっ!ありがとうございます!」

笑みを浮かべるセイ。

 

その後、2、3話をしてから電話を切るセイ。やがてセイは

スマホを充電器に指すと、リビングの方へとアーシアの

様子を見に行った。

 

アーシア「すぅ、すぅ」

そして、そこでは既にアーシアが可愛い寝息を立てながら

眠っていた。それを確認して笑みを浮かべたセイは自室に

戻った。

そして、机に備え付けられた椅子に座ると

鞄の中からDEを取り出し、マガジンを確認しだした。

やがて、彼は静かに天に輝く月を見つめる。

 

 

セイ『守って見せる。今度こそ』

 

静かな決意と共に、月を、空を睨みつけるセイ。

 

だが、戦いはまだ始まったばかりであったことを、

彼は知らないのだった。

 

     第4話 END

 




今更ですが、セイの戦い方はSPIRITS本編の滝ライダーを
ベースにしてます。
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