神様に雇われて、異世界転生者を殺すことになったラッパー少女の物語*リメイクするため凍結   作:しじる

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今更ながらラップの解説
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20.韻 腐華のパーフェクト?ラップ教室

 星々の輝く夜空、コールドWAR甲板中央広場私。

 私はそこでフィーネと共に寝転がっていた。

 単純にやることがないのだ。

 未だに神様からの依頼が来ない、本当にあの神様は返す気などあるのだろうか。

 一抹の不信感が過ぎるが、信じるしかない。

 出なければ私は元の世界に帰れないのだから。

 

 「ねえフカ…教えて欲しいの」

 

 そんな時、フィーネが唐突に口を開いた。

 私が彼女へと頭を向ければ、彼女もまた頭をこちらに向けていた。

 

 「何を?」

 

 私は問い返す。

 するとフィーネは少しモジモジとしながら、私へと伝えた。

 

 「えっとね…ラップを教えて欲しいの」

 

 ……思考が停止した。

 唐突すぎる、なんでまた急にラップを教えてくれなんて。

 私はちょっと困惑した思考を整え直して、改めてフィーネを見る。

 表情こそ引き気味だけど、その目は真剣だった。

 ……なんで言い出したかは置いておき、そんな目で、フィーネに言われたら断れないな。

 私はすっと立ち上がり、フィーネに手を出す。

 

 「いいよ、それじゃあ立とうか」

 

 そう言うとフィーネは引き気味の表情を笑顔に変え、瞳を輝かせて私の手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はフカの手を取って立ち上がる。

 ラップを教えて欲しいと言ったのは、純粋にもっとフカを知りたかったから。

 フカが好きでたまらないラップが、どういうものか、よく知ってみたくなったんだ。

 それを教えてくれると言ってくれて、私は舞い上がっちゃったけど、フカはそれを咎めないで微笑んでくれる。

 さて、言われて私は立ち上がって、フカも私の前に立っている。

 しばらく呼吸を整えるような動作の後、フカは口を開いた。

 

 「それじゃあ、フィーネはどこまでラップを知ってる?」

 

 「えっと…よ、YO、YO!!……くらい」

 

 私は素直に回答する。

 だってラップって言ったらこれくらいしか私には分からなかった。

 「やっぱりそこからか」とフカが呟く。

 それは呆れではなくて、なんというか予想通りと言った表情だった。

 

 「それじゃあ、まずラップとは何かから行くね」

 

 そう言われて、私はゴクリと生唾を飲んだ。

 やがてフカの口から語られるラップとは何か。

 ラップは【韻律】【リズミカルに演説】【ストリートの言葉】を組み込んだ音楽。

 要素に【何が歌われてるか】という内容、【リズムや韻】を構成するフロウ、【終止と声調】の話し方があって、ラップをする人をラッパー、またはMCって言うみたい。

 メロディーにあんまり乗る必要がなくて、お話するみたいに抑揚をつけて歌う。

 そして同じような言葉を重ねる、ライムを踏むというみたいだけど、これが特徴みたい。

 YO、YOもその1部みたいだね。

 

 「要は、ライムを踏んで、自分だけにしか表現出来ないフロウをかます。それがラップだよ」

 

 そう言って、フカはどこからともなくマイクを取り出す。

 うん、カラオケとかでよく見る普通のマイクだ。

 この時点で、私は胸が踊った。

 だってマイクを出すってことは、フカのラップを聞かせてくれるということで…

 

 「習うより慣れろ、早速一つお手本行くね」

 

 そう言って、フカがマイクを口元へ持っていく。

 合わせてどこからともなく現れたスピーカーから音楽が流れ始めた。

 上手い人の真似をする、それが上達の道。

 よくお母さんに聞かされた言葉のとおりに、フカのラップを私は学ぶために、全神経を集中して聞き始めた…

 

 

 

 

 Let's seminar

 腐華様だ

 A・K・A 【クールな殺し屋】さ

 ようこそラップの世界へ

 歓迎するぜこの業界へ

 フィーネ

 君がその気なら、空にそり立つ木になりな

 成り上がれるさ、私と一緒ならさ

 ビギナーラック Beginning このラップに込めて

 君に届けよう この熱く燃えるフロウ

 

 

 

 

 確かに話すように、私に語りかけるように、フカのラップが聞こえてくる。

 なんというか、歌というか、本当にお話してるみたい。

 でもよく聞くと聞こえる似てる言葉。

 ラップって聞くと、YOYOというイメージしかなかったけど、こうして聞いてみるとそれが偏見だってよく気付かされた。

 

 

 

 

 燃え上げようかHeart 道のりはHARD

 でもね君はBird 飛び越えてけるさHate

 最初は初心者 誰もが小心者

 怖がりは悪くない それくらいがいいんじゃない?

 私とつかみとろう このshining street road!

 

 

 

 

 そこでフカはマイクをしまった。

 私はその言霊にただただ手を打つしかなかった。

 

 「これで軽く流したけど、こんな感じかな」

 

 そう言って、フカはさっきとは違うマイクを取り出す。

 それは首?みたいなところにFと刻まれたマイク。

 一瞬なんのことか分からなかったけど、フカの顔を見て気づいた。

 

 「もしかして…私に!?」

 

 「うん、ラップ仲間が増えるのは嬉しいから」

 

 私は喜びのあまりフカに抱きついた。

 まさかマイクを貰えるなんて思ってた無かったから。

 そして貰ったマイクに恥じないラップを歌えるように、頑張ろうとも思った。

 

 「最初はゆっくりでもいいよ、最初からすごい人なんてなかなかいないし」

 

 フカがフォローを入れてくれた。

 それだけでも勇気が湧いてくる。

 ラップを歌うのは、前の人生も合わせて初めての経験。

 私は頭の中に浮かんだそれを、ただ声に出した。

 

 

 

 

 初心者だけど いいとこ見せたい!

 フカに感謝 気持ちが絡んじゃう

 焦って言葉がまとまらないけど

 この気持ち知って欲しい!

 上手く歌えない 上手くなりたい

 だから教えて ラップというモノ!


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