神様に雇われて、異世界転生者を殺すことになったラッパー少女の物語*リメイクするため凍結   作:しじる

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7.韻 作戦会議

 あの後、フィーネに擬態化魔法をかけて反乱軍に連れていくと、てんやわんやしてしまった。

 まあこんな子が酷い目にあってるのは国のせいだと叫ぶものもいれば、普通に愛でる者もいるし、なんの関心も抱かない人もいる。

 そんな混沌は置いとき、その渦中の彼女は今どこにいるのかと言うと…

 

 「フカ〜」

 

 「あ、ごめんごめん…」

 

 私の膝元にいた。

 彼女はかなり私に懐いてしまい、私から一向に離れようとしない。

 トイレまでついてきた時は流石に焦った。

 犬のワービーストとはいえ、懐きすぎじゃないか?

 すこし懐疑心が現れそうだけど、まあ害はまだないしいいかなとか、若干楽観的にかんがえてる。

 あんまり考えすぎたら、頭が痛くなるし面倒極まりない。

 そんなの嫌だから、深く考えないようにした。

 そして今私がフィーネにしてることは、頭を撫でているだけだ。

 私を椅子代わりに座って、忙しなく動いてく反乱軍兵達を眺めてる。

 面白いのだろうか、同じように彼女の瞳はそれぞれを追っていた。

 とりあえず私は彼女の頭を撫で続けるだけだ。

 さらさらと、黒い髪は指で解かせれるほど滑らか且つ艶やかで、触るだけで気持ちがいい。

 そして私が撫でれば、フィーネも合わせて機嫌の良い声を出す。

 

 「完全に子守になってるな、クサリ!」

 

 「オヤジさん?」

 

 そんな時、私に声をかけてきたのはオヤジさん。

 …やっぱり女性なのにオヤジさんというのは変だな。

 

 「オヤジは称号だからな。女とか男とか関係ないぞ」

 

 ……顔に出てたかな?

 私の考えを当ててきたオヤジさん。

 そう言ったあと、彼女は私の横に座る。

 合わせてフィーネが、オヤジさんとは反対側に逃げる。

 怖いのだろうか、私以外が近づく時には常にこうだ。

 

 「ハハハッ、まだダメかい!」

 

 後頭をかきながら、オヤジさんは笑った。

 反対にフィーネは私を盾に出てこない。

 …怯えるフィーネはちょっと可愛いとか思った私は変だろうか。

 何にしても、これじゃあいつまでたっても、他の反乱軍兵達がフィーネに触れれる日は来ないだろう。

 

 「ところでクサリ、後でいいか?」

 

 オヤジさんが話題を振ってくる。

 何だろうか、どの道私は暇だ。

 当然変なのでないなら向かう。

 ……向かいたいんだけど、フィーネ?

 

 「やー」

 

 フィーネが私にまた座り、そして降りない。

 立てない。

 椅子から離れなれない。

 

 「フィーネ、せめて立たせて?」

 

 「うー」

 

 そう言うと離れてくれた。

 けど凄く泣き出しそうだ。

 あぁ、もう。

 私は手を伸ばし、フィーネの頭を撫でる。

 するとフィーネはすぐ機嫌を直してくれた。

 

 「それじゃフィーネ、また後で座らせてあげるからね」

 

 「うん、待ってる!」

 

 やっぱり少し悲しそうだけど、このままだといつまでたっても離れられないので、ゆっくりとその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、オヤジさんに呼び出されてやってきたのは作戦会議室。

 至ってボロい見た目の会議室としか言えないが、ちょこんと添えられてる紫の花が唯一の華か。

 そんなところに2人、既にいた。

 参謀さんと団長さんだ。

 参謀さんは文字通り、団長さんは本当の意味で反乱軍兵のまとめ役をやっている。

 マリア・クルーザーズの人間ではないため、当然ヤーさんではない。

 その2人と、私とオヤジさん。

 計4人がここに集まった。

 

 「さて、3人をここに呼んだ理由は簡単だ。ある作戦を実行するにあたって、クサリに作戦内容を伝えることとと、改めて作戦を見直すためにだ」

 

 そう言って、オヤジさんが席につく。

 それに合わせて2人も座る、私も一人立つのはダルいので座ることにした。

 てか、作戦ってなに?

 

 「クサリ、前に開けてもらった箱。あれな、中にある計画書が乗ってたんだ」

 

 オヤジさんが何かをテーブルに広げる。

 それは蒸気機関車の経路だった。

 ……この世界に列車あったんだ。

 そんなことを考えていたら、オヤジが続きを参謀さんに言えと伝える。

 

 「ハイハイハイ、えー、この蒸気機関車こと【アトラクター号】は、どうやら王の親族を運ぶための脱出列車のようですハイ。ですのでハイ、【アトラクター】を襲撃、中の親族を捕まえてしまえば、この反乱も成功ということですハイ。王が何者かに暗殺されて、実権が親族ハイ、一人息子のジョンソンになり、摂政兼護衛として【御堂皇】も乗ってると思われます。2人、ハイ特に御堂を捕らえてしまう、あるいは殺害してしまえば、残るはろくに政治を知らないジョンソンのみですハイ」

 

 …相変わらずハイが多い人だ。

 とりあえずまとめれば、列車を襲撃して中にいる王の息子を捕らえて、皇を殺せばいいんだね。

 ジョンソンを捕まえたら、反乱軍が政治をやるのか…

 ヤーさんの支配する国にならないそれ。

 少しこの世界の行く末が心配になったけど、皇を殺せればOKの私は、正直そこまでこの世界に思いれないし、良いかと切り捨てた。

 知らない他人の人生なんか知るか。

 知っているオヤジさん達には悪いと思うけどね。

 

 「で、作戦ですがハイ。単純明快に【水牛】で飛び乗ります。ハイ、間違いなく反撃に法魔が飛んでくるんで、1筋も2筋も上手くいかないでしょう。つい最近までの私なら絶対にやらない作戦ですハイ」

 

 そう呟いた後、私に目をやる。

 まあ知ってた。

 やっと働ける…働きたくないけど、暇は辛いんだ。

 

 「そこで一騎当千ならぬ一騎当億のクサリ殿に突撃して頂き、我々はクサリ殿のバックアップに回る、万が一にもクサリ殿がダメな場合でも、我々はすぐさま救助に迎える配置で行いますハイ」

 

 それに誰も反論しない。

 この短期間に随分と信頼されてるなぁ…

 私戦ったの1回だけなのに。

 まあ、それの方が都合いいか。

 本当の意味で全力出せそうだし。

 

 「クサリ、やばいと思ったら即逃げろよ。奴らアタシらが死に体だからって、余裕かましてこんな堂々と親族脱走を計画したんだ。仮に成功すれば一気に反乱は成功する。だが失敗したら…それでもクサリがいれば立て直せる気がするんだよ、だから死ぬなよ…こんな無茶たのんどいてあれだが…」

 

 そう言って頭を下げるオヤジさん。

 別に気にしなくていいよ、確かに無茶振りにも程があるけど。

 

 「こういう無茶な話……」

 

 「っ!(やっぱりダメか…)」

 

 「きらいじゃないよ?」

 

 「!!」

 

 全員の顔に光が指す。

 そして今まで口を閉じていた団長さんが話し出す。

 

 「OK、全員に今の話伝えてくる。決行はいつだ」

 

 「2週間後、全てはその時に決まる」

 

 その言葉で、会議は終了した。

 この世界とおさらばするのも、意外と……フラグか。

 最後まで言わないでおこう。

 そんな考えのあと、私はその場を後にした…

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